住友商事の地に足のついたライフスタイルリテイル事業
1月9日付日経MJや10日発売の日経ビジネスに、内容は違えど、総合商社、住友商事の地に足のついたリテイル戦略についての記事が掲載されており、とても興味深く読んでおりました。
同社は、こと生活関連流通事業に関しては、総合商社にありがちな、資金力にものを言わせて系列化し、商流をがんじがらめにすることによってシェアの獲得をする戦略に陥ることなく、合弁によって上手にノウハウを吸収したり、投資事業に粘り強く取り組み、長期的ビジョンで成功に導くセンスを持っているという点で、昔から関心しておりました。
古くは、日本のスーパーマーケット(食品スーパー)創成期にアメリカセイフウェイの協力を得て「サミット」を立ち上げ、「スーパーの女」の原作本著者としても有名な安土敏こと荒井伸也さんが同社から出向して、粘り強く、軌道に乗せたのをはじめ、「アメリカンファーマシー」「トモズ」といったドラッグストア、米アパレルの「エディバウアー」、「ジュピターショップチャンネル」、また、昨年株を米本社に返却しましたが、手の届くラグジュアリーブームの火付け役バッグブランド「コーチ」の日本での成功にも一役かいましたし、「西友、ウォールマート」の仲人でもあります。産業再生機構案件、「マツヤデンキ」の再生に腕を振るった切石さんも住友商事のこの事業部のご出身の元役員さんでしたね。
実は、アメリカのリテールマーケティングやチェーンストア業態論を学んで行くと、日本の生活者にあわせて、半歩先を行く同社の戦略が非常によく理解できます。
また、同社は、他の大手商社が、いまだに川上(原料・製造)サイドの発想で、業界・業種軸で事業部を構成(食品本部、食料本部、繊維本部・・とか)しているのに対し、昨年、繊維本部と消費流通本部を統合してライフスタイルリテイル事業本部を設立し、同じ事業部で衣食住をしかも川下(リテイル)視点で見ているのがわかります。
さらに、その中にブランド・リテイル事業開発部を設置して、「ポスト・コーチ」を育てるべく、海外ブランドの日本進出に投資して行こうという方針。同社のような生活者視点、腰をすえた事業育成の姿勢なら、海外から日本進出する企業も信頼できるのではないでしょうか。
また、メディア事業とリテイル事業を事業横断的に「ウェブビジネス戦略会議」でつなげている点も見逃せません。まさしく、これからの生活者視点ですね。
生活者からもっとも遠いところにいそうな総合商社もここまで次世代リテイル対策を考えているところもあります。これから更にすすむ日本の流通再編でも、重要な役割を果たしていただけそうで、期待しております。
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