上場企業のポイント還元引当金1000億円
19日の日経新聞の記事に上場企業のポイントサービスによる引当金(負債)が年々増加し、1000億円に膨らんだとありました。
これは、流通企業がFSP(ポイントカードサービス)で顧客に付与したポイントのうち、将来、使われるであろう金額を過去の実績から算出して決算時に引当金(負債)として計上するものですが、企業によっては、年間の経常利益に相当するほど高額なところもあり、企業経営上大きな問題となっております。
ファッション流通系では、
高島屋 33億円
青山商事 23億円
伊勢丹 14億円
あたりが記事に載っていました。
まあ、決算書上で公表している企業だけの合計ですから、実際には、この1000億円もマーケット全体から見たら氷山の一角でありましょう。
この問題は、今に始まった話ではなく、早くは、業界では、ユニクロがこの費用対効果が見出せないことと、財務上のリスクから2002年にポイントカードを廃止したのは有名な話です。また、イトーヨーカ堂は、03年いったん廃止したものの、顧客の要望ということで、すぐに復活させた経緯があります。
ポイント還元は、その店を頻繁に利用する生活者にとっては、ありがたいものですが、企業側にとっては、それによってもたらされる情報を使いこなせなければ、単なる競合との「顧客囲い込み」という名の割引合戦、つまり負担に過ぎません。
そもそも、FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)は、80年代の航空会社に始まり、90年代にアメリカのスーパーマーケットで流行った時は、不特定多数の顧客に使っていたチラシなどの垂れ流し経費を削減して、それを原資に、ITを駆使してポイントと引き換えに得た顧客情報を分析、上顧客を特定して仮説検証の積み重ねで、そういった顧客に集中特典を与えることで、安定的な利益を実現した手法として取り入れられました。
それをまねしようとした日本企業の場合は、その表面的な割引プログラムだけが取り入れられ、一方で、チラシなどの広告宣伝費は据え置きで、その本質はほとんど実現されてこなかったわけです。
そういった意味で、本格的な顧客と企業がWIN WIN関係にあるアメリカ流FSPを実現しているのは、私が知りうる限り、山梨のドミナント型スーパーマーケットのオギノくらいでしょうか。同社の顧客と向かい合う姿勢、信念、徹底、継続性の事例にはすばらしいものがあります。
そう、信念がなければできない話・・・です。
昨年施行の個人情報保護法などもありますから、企業に明確な志なければ、ユニクロのように見直しを行って、商品とサービスのブラッシュアップに集中することを検討した方がいいかもしれませんね。
皆様の応援が毎日の活力になります。
今日もこちらをクリックしていただければ幸いです。
>>>人気blogランキング に参加しています。
| Permalink | 0
Comments
文節を読み間違えまして、
上場企業の「ポイント」の記事と思い読み始めました(汗)
ポイントカードってそもそもお得なのかなぁ。。
売る側の意図に引っ掛かってないのかなぁ。。と不安はありましたが、
実際はお客さんへのサービスとして
企業には負担になっていたのですね。
そういったところから疑いをかけてしまう人(信じていいのかわからないと思ってしまう人)は僕だけなのかと感じつつ、
書き込ませていただきました。
Posted by: 鈴木 | January 23, 2006 01:47 PM
鈴木様
コメントありがとうございました。
また、誤解を招いてしまってすみませんでした(苦笑)。
そうですね。家電量販の場合は、表示価格とポイント還元でちょっとトリックを使っているところがあったり、家電量販や食品スーパーが特定の商品にポイントを多く付与するときは、メーカーから協賛金をもらって運営する場合が多いですが、基本的には、上手に利用すれば、生活者にとっては、お得、と見ていただいていいと思います。
店によっては、DMが来てわずらわしい場合もありますが、電話をかけて「いりません」と言えば来なくなりますし。上手に使って賢い生活者になりましょう!
Posted by: taka | January 24, 2006 12:02 AM