ファストリ、ダイエーでの低価格業態出店決定
本日の日経、日経MJ、繊研新聞に一斉にユニクロを展開するファーストリテイリングがダイエーと基本協定を締結し、今秋からユニクロより2-3割安い新業態の出店をすると正式に発表したとのこと。
ファッション・イン・ファッションの両国さくらさんは、早くも昨日のうちにネットでニュースをキャッチして興味深いエントリーされていますので、こちらも是非ご覧ください。>>>こちら
私のブログでも、去年発表された時点でのエントリーがありますので、ご覧ください。
関連エントリー ユニクロが今より低価格のブランドを開発へ(05.10.23)
詳細は、ゆくゆく発表されると思いますが、今回、発表された内容によると、
・対象はファミリー
・ユニクロより2-3割安い価格
・デザインはベーシックに徹するユニクロと異なり、楽しさを強調する
・ダイエーに優先出店(これによりダイエーは食品への特化をすすめ、
衣料品は、実用衣料への絞込み)
・一店舗あたり最大300坪、将来1000億円規模の売り上げを目指す
・当面ファストリ社内で準備を進め、出店を開始する今秋までに100%出資の
子会社を設立しそちらに事業継承。
とのことです。かつてのファミクロ、スポクロよりも本格的、現実味、真剣度を感じます。
想像するに、私は、ユニクロも高くて買えない所得層の方は日本にどれほどいるかわからないのですが、価格の安さだけを切り口にした業態をやるとは思えないので、「ユニクロと異なり、楽しさを強調する」という意味を勝手に解釈すると、同社が抑えるべきポジショニングは、
1.GAPのOLD NAVY(オールドネイビー)のように、低価格ながら若者受けする
店内や販促物の”世界観”を大切にする業態
2.H&M(エッチアンドエム)のように、”トレンドファッション”を市場最低価格で
高回転でまわす業態
のどちらかだと思いますし、おそらくユニクロの既存の生産インフラが活かせる前者でしょう。まあ、いずれにチャレンジするにしても楽しみにしています。
また、同社にとっても、まちづくり三法改正は、07年以降の成長ロジック上の課題であり、今回の提携で、比較的駅に近い立地の、ダイエー200店舗中、150店舗を手中に収める可能性が出てくるとなると、まさに、渡りに船だという話になりますね。ダイエーの衣料売り場を取りたいほかの専門店もあるでしょうから、先手必勝で抑えにかかった、ところでもあるのでしょうね。
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Comments
おはようございます。
ずっと、ユニクロが気になっている古着屋店主でございます。
私にはロジック的な解説は出来ませんが、庶民的視点で思うに・・・
1.ユニクロの売場に行って値札を見ると、『う~ん高~い。』と、感ずる時がしばしばある。
2.ことローカル駅前周辺(岐阜など)を生活圏にしている人達にとって低価格衣料品売場があることは、しまむら、ユニクロに行けない人達、とりわけ車の免許がない人には十分魅力的である。
私は今回のユニクロの展開は単純におもろいやないか~♪
と、みております。
それでは、また。
▼・w・▼
Posted by: おしゃれ | January 28, 2006 06:12 AM
ご無沙汰していますが、何時も拝見していますよ~
この記事(日経でしたか)の見出しを最初に見て(読んだではなく)瞬間的に感じたのは、ダイエーは王道に戻るのだなぁ、っと勘違いをしたことでしょうか。
次に記事の本文を読んで感じたことは「軒を貸して母屋を取られる」のかなぁ、「ごはんがおいしくなるスーパー」とか云ってる間はどうにもならんだろうし、セブン&アイも訳の分からんM&Aやってるし、当分は専門店の時代は続くのかなぁと感じた次第です。
どうして誰もガチガチのEDLPをやらないんでしょうねぇ。消費者物価指数も2ヶ月連続で上がりましたし、これからの日本では最も消費者に求められる分野だと思うのですがねぇ。
Posted by: まむし | January 28, 2006 07:30 PM
takaさん、トラックバック有難うございました。
takaさんのエントリ、そして、皆様のコメントも合わせて興味深く読ませて頂きました。
日本にどのくらいの低所得者層がいるのか、統計等でも調べる必要を最近感じていますが、錦糸町や蒲田、川崎方面が仕事や生活圏になっている私は、「確実に存在はする」というリアリティを感じております。
今日も川崎のパシオス(田原屋)とユニクロ川崎ダイス店を見てきましたが、ファーストリテイリングさんが今度ダイエーさん内に出す新店(新ブランド)と同等の価格帯と思えるパシオスさんにもやはりそれなりにお客様は入店し売れていっておりましたから。最近のユニクロさんの客層は、皆こざっぱりとした服装ですが、パシオスさんの客層の趣味はちょっと違う(男性はジャージ好きだったりする)。そして、年配の人、スポーツ新聞を握り締めているような一人暮らしの男性、若い客層ではひょっとしたら母子家庭の方?(一生懸命やすいものを探している)や外国人、といった風情があります。
地方の場合は、都市型の貧困とはちょっと違って、所得は一見低いようでも実際は田んぼや畑を親戚が持っていたりするし生活費も安くて済むから、本当はそこまで生活に困っていないんだけれど、高齢化もしてきているし、服にそんなにこだわりもないから、安けりゃ安いほうが良いーーという感じかもしれませんが。
ダイエーさんの元々の客層はこの両者にかぶる部分が大きく、ユニクロさんは、takaさんがおっしゃっておられるようなキレイめな線のMDで行くよりも、もっとベタだけど楽しい感じを出した方がいいという気がします。ヤングは基本的にはヤンキー入ってる客層ですし。
「オバチャン、オッチャンとヤンキー系のためのSPA」が必要なんですよ。
但し、例えばインナーや子供服、そしてスポーツ系衣料はその典型ですが、ブランドロゴの入った商品やキャラクター商品が全くない売り場になると、かなりつらいかなぁ、という感じも致しますね。
しかし、ダイエーさんは衣料品売り場にテナントを導入することで利益率を下げることになっても、ファーストリテイリングさんの生産(場合によっては企画も)を請け負うことになる丸紅さんは、確実に数字は上がるので、これまで苦労した甲斐があった、と思っておられるのではないでしょうか。
Posted by: 両国さくら | January 28, 2006 11:49 PM
おしゃれさん、まむしさん、さくらさん
いつもありがとうございます。
私も、なかなか視点が偏った形になってしまうのは否めず、今回も皆様から、貴重なご意見をいただき、なるほど、と考えさせられる部分もあり、本当に感謝いたします。
まず、私は、「ユニクロの価格」については、現実的には、「期間限定」といわれる1900円のところ「1290円」、1000円なら「790円」が彼らのリアルな価格である、と認識しています(実際この「」内の価格で60%以上は売っているはず)。
今回の「2-3割安」は、このフェイクなしの価格を意味するのではないか、と思っています。これを特売なしで、最初から貫き通せば、結果的に、ある意味、まむしさんの言うEDLPになるのではないか、との憶測もできると思います。
それとも、更に2-3割安い990円、590円を意味するのでしょうかね。そうすると、総ハンギング、少人員の西松屋さんのような殺風景なローコストオペレーションになってしまうのではないか、と。
このユニクロの新業態にかかわらず、さくらさんがおっしゃるように、私も、とても興味があるのは、生活者が、低価格を選ぶ時のいくつかの別々の事情があるということ。
たとえば、実は、ファッションポートフォリオとして、上手に使い分けている場合があります。高級ブランドバッグももっていて、百貨店でも、しまむらでも、ユニクロでも、ヤングであれば、古着屋さんでも買う層があると思います。ケイタイやアミューズメントへの出費との兼ね合いもあるかもしれませんが、ある意味、所得は別にして、賢く楽しくお買物をする「豊かさ」の延長線にある消費パターンのひとつかもしれません。
それから、こだわりはない、、頓着するのもわずらわしく、であれば、安い方がいい、という場合。こちらも所得には直接関係ない場合もあるかもしれません。
そして、本当に経済的な事情で、やりくりせざるを得ない場合。ニートの増大や、地方で、ハローワークでやっと見つけた仕事が、親父さんの年金より安いというような話がある、昼食に150円のかけうどんを食べるのにも躊躇するという話を聞くようになりました。
最初と2番目のパターンを総中流階級として、既存のユニクロは、大きく取り込んだと捉えていました。そしてその結果、「こざっぱりとした服装」のお客さんたちを生み出した。今回も、どちらかというと、これらの層に対し、新しい切り口で低価格を表現するのでは、と想像しておりました。
しかしながら、最後のパターンが今後ますます増え続けた時に、流通はどう対応するのか、ということですね。
しまむら、パシオス、タカハシなどのディスカウンターは行動半径にもありますが、流通の失策から演出されたプライスも少なくないので、SPAでの実現は逆に難しいのではないか、とも思います。
今後いろいろ研究して、仮説を立ててみたいと思います。
皆様ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | January 29, 2006 02:57 AM