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March 24, 2006

世界で働く人材

 22日、23日の繊研新聞にANF(アバクロ)日本法人立ち上げに関わり、同社が日本進出を見送った後、ギャップジャパン代表取締役に就任された田代俊明さんのインタビュー記事が掲載されていました。

 同氏はギャップジャパンの他に高級シューズのトッズジャパン、ジョージジャンセンの役員も兼務されており、日本人のファッション関係者として複数の外資系企業の役員を任されているという業界の逸材のひとりです。

 田代氏は名誉や報酬だけでなく、そんな働き方をすることで、世界に飛躍したいと考える業界の次世代の人材に自分の背中を見せたいと言います。

 日本のファッションマーケットは世界の中でも一流、世界に名をはせているデザイナーもいる。しかし、ビジネスとなると、人材はトップクラスの働き方が出来ていないし、評価もされない、国内の業界内でジョブホッピング(転職)を繰り返すだけの従来のステップアップの限界を指摘します。

 日頃ある外資系のブランド企業の社長さんや外資系企業専門ヘッドハンターの方々と親しくさせて頂いておりますが、それらの方々からよくお聞きするのは、やはりファッションに限らず、外資系企業の多くは実務担当の生え抜きの人が下から昇進で偉くなるケースは極めて稀で、ヘッドハンターたちの高所得マネージメントクラスのリストに載った限られた人たちが階層社会のように、企業間をキャリアという勲章を増やしながらトップクラスで転々とすることが多いようです。

 また国内外の国際的ファッション系リテール企業のトップクラスの方の経歴を見ているとビジネスを繊維業界としてではなくエンターテイメントビジネスと考え、違った業種と行ったり来たりされていることにも気付きます。
 
 そう、これから続々と日本に来襲する外資系リテール企業との競争はそんな発想の違うマネージメントがされている企業との競争になるのです。

 90年の初頭に需給バランスの逆転が起こり、05年にはいよいよ人口減が始まりました。完全な買い手市場の時代に「日本は異質なマーケットだから外資にはわからないだろう」と危機感を持たずにあぐらをかいていると、生活者に見放される時代もすぐそこに来ているかもしれませんね。

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