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March 29, 2006

コムサイズム復権の狼煙(のろし)

 27日の繊研新聞、ファイブフォックスの核事業であるコムサイズムの業務改革の記事がありました。
 
 同社は、最大手の一社でありながら、株式公開を否定し、ホームページすら持たないなど、ディスクロージャー(情報公開)を行わないポリシーの会社のため、関係者以外からは、なかなか客観的な動向を知ることが少ないので、興味深く読ませてもらいました。

 簡単に前説をしますと、1993年(ワールドOZOCスタートの翌年)、かつてコムサデモードのファンであった団塊ジュニアファミリーをターゲットとして、同社初の本格的SPA業態としてスタートしたコムサイズムは、2000年前後に全盛期を迎えました。 時代の先を読んだ高粗利率、伝説的な「おたたみ」など徹底したVMDときれいで高感度の売場はデベロッパーから引っ張りだこ。そのため同業態はSCでも売上歩合12%以下の好条件、低家賃比率を実現。また、大型化による低人件費率とあわせて極めて低い損益分岐点を誇っていました。感性の割には低価格で高い回転率を実現していたところを見ると、ある意味日本の「ファストファッション」のさきがけといっても言いすぎではないかもしれません。

 同社の特徴は一言でいえば、DCブランド出身の日本独特の感性に基づいたアナログによるトップダウン伝道型。前期期末店舗数はコムサイズムだけで255店舗にもなるそうですが、POSは導入しながらもITによる業務を否定し、全体会議、対面、電話、ファックスなどアナログコミュニケーションにこだわります。

 今回の記事によると、同業態は、多店舗化した属人的なチェーンストアにありがちな、ヤングに偏りすぎた商品企画による客離れや、低価格化による客単価の減、多店舗化に追いつかない人材育成などにより、2003年あたりから既存店の売上に翳りが見えてきたために、

・低価格帯をカットして本来の客層にあわせた商品群の投入
・それまで1人あたり10-15店舗を見ていたトレーナー50人まで増員して
 1人あたり5店舗といったきめ細かい店舗教育の実践
・店舗作業の効率化による接客時間の増加

などあくまでもアナログ的な方策が功を奏し、ここに来て前年比二ケタ増が狙える体制が整ってきたとのことです。

 好調な新興SPA企業の多くがIT活用による店舗と本部のインタラクティブな情報交換をすすめる中で、アナログによる上意下達の伝道にこだわるファイブフォックス社のコムサイズムが次世代にむけてどれだけ成果を出し続けられるか・・・とても興味深く、今後も見守ってゆきたいと思います。

皆様の応援が毎日の活力になります。
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