しまむら2月期決算発表で商品の一品単価を考える
4月5日に発表されたしまむらの2月期決算は、引き続き増収増益のみごとな決算でしたが、4月7日の繊研新聞、9日の日経MJでは、同社の一品単価が前年対比で上昇したことに対するしまむら野中社長のコメントが話題となっていました。
「厳冬で冬物衣料が正価で売れたのが主因」「上げる施策をとったわけではなく、結果として下がらなかっただけ」「都市部は景気がよくなっているかもしれないが、全国でみるとごく一部。地方ではそうした実感はない」「今後も同じものは価格を下げてゆく」
毎年の同社の決算概要(今年は8ページ目)をご覧になったことがある方はお判りとは思いますが、同社のすごいところは、10数年間にわたって「政策的に」、一品単価を下げ続け(毎年平均5%程度)、1客あたりの買上点数を上げ、客単価は微減(毎年平均3%程度のダウン)ながら客数増によって既存店売上高前年対比アップを持続しているところです。
ところが、上記のコメントは、今06年2月期決算は一品(平均)単価前年比100.6% 同客単価102.1%になったものを受けてのものです。
多くのファッション企業では、客数が減っても、客単価が上がったことを商品政策の成功かのように、当たり前のことのように喜びますが、同社では、上がったことが、異常値としてニュースになってしまうという話です。
一部百貨店や大手ハイエンドマーケットでは最近の客単価アップを景気回復の表れとして歓迎しています。顧客は高いものを買うようになった、と。しかしながら、世の中の一般大衆の流れは、まだ、しまむらの通りではないか、と思えてなりません。
過去にも、これからの時代も、同一アイテムの一品単価が上がる場合は、警戒が必要だと思います。アウターやボトムなどのもともと単価の高い商品の構成比が高まって客単価が上がる場合、あるいは1客あたりの買上点数が増えて客単価が上がる場合はよしとしても、売上を上げようとして、行う無作為な同一アイテムの値上げは、売り手の一方的な都合であり、まず、顧客に割高感を与え、客離れが始まると見るのが正しい見方ではないか、と思います。昔から、たとえ初年度は一時的に売上をキープできても2年目以降は極端に落ち込む、というのはよくある話です。
デフレの終焉とはいわれますが、価格に節度をもった質の向上が望まれる時代になるのではないかな、と思っています。
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Comments
takaさん
おはようございますIC協会員の上嶌です。TB返しをさせていただきました。
>過去にも、これからの時代も、同一アイテムの一品単価が上がる場合は、警戒が必要だと思います。
まったく同感です。
しかしながら買い手の都合よりも売り手都合を優先される企業はまだまだ多いと思います。
現在のようなユーザー(買い手)主体の社会に変わりつつある中で、生き残っていくには多くの企業が顧客視点の発送転換を迫られてくるだろうと思っています。
その点、しまむらさんは大変素晴らしいですね。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by: 上嶌 | April 10, 2006 11:58 AM