絶好調 ヴィレッジ・ヴァンガードに見る「商売の原点」
流通業界の専門月刊誌、「商業界」06.03月号に「ヴィレッジ・ヴァンガード全面研究」という50ページほどのボリュームの特集記事がありました。
ご存知「遊べる本屋」ヴィレッジ・ヴァンガードことヴィレヴァンは、先月06年3月まで実に58ヶ月連続で既存店売上高前年対比クリアの快進撃中。FC含めて全国190店舗以上を展開する規模のチェーン店でありながら、本部一括仕入やPOS管理を否定し、全店各店仕入で、この数字は驚異と言わざるを得ません。
特集記事は、その秘密を、菊池社長はじめ、幹部社員やスタッフの方のインタビュー、コンサル、アナリストの客観分析を中心に構成されており、以前から下北沢の旗艦店のいちファンであり、雑貨バイヤーのころ、よく店頭から見える品揃えや編集方法をベンチマークさせていただいた経験を思い出しながら、興味深く読ませていただきました。
○同社が本屋といいながら、雑貨店並みの粗利を確保して、高い営業利益を上げていることは、よく知られていましたが(雑貨売上比率70%超はもはや本屋ではない)、
○出版業界の委託返品制度をフル活用して、新刊本ではなくても、既刊本大量陳列の演出で生活者を「意外性」と「鮮度」で魅了している、そのスピードはファッションストア並み(なるほど、これが財務上在庫回転率が低い割りには高度な鮮度が保てる手法の一つだったのですね)
○スタッフの単品への想い、仮説検証は、POSなしでも、セブンイレブンの「タンピンカンリ」に通ずるところすら感じる(売場でお客さんの反応をよく見ています)
○お店のファンがアルバイトを始める、地域最低賃金からスタートし、「編集」と呼ばれる連想ゲームの売場作りや個性的でプッと笑ってしまうPOPなどを通じて顧客と語り合う商売の楽しさが伝承式に体に叩き込まれる(好きこそものの上手なれ)。
○優秀な人材ほど、ハイスピードで異動、下積み3年半でようやく勝ち取る社員の座。目に見えぬマニュアル化ながら、金太郎飴化する人材育成方針。
ヴィレヴァンの成功をみて、雑貨やCDを品揃えした書店はいくらでもあったと思います。しかしながら、生活者から見て競合店と思える追随企業がいまだ出現しないのは、やはり、同社が、既存の業界の慣習にとらわれず、むしろそれを逆手にとって、生活者に近いところで、顧客と語り合う商売の楽しさ、商売の原点を追求する人づくりを実践しているからに他なりません。
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Comments
私も先週末に横浜のヴィレッジ・ヴァンガードへ行ってきました。
以前、吉祥寺に勤めていた2000年ごろ始めてヴィレヴァンに行ったとき
「何屋か分からないけど楽しい店」というのが第一印象でした。
横浜の店も商品の関連性をとにかく深堀をしていて、手に取った商品の次に見たい本や雑貨が棚ごとに陳列されており惹きつけられました。また、ほぼ全ての商品に担当者のコメントが入った手書きのPOPがつけてあり、担当者の商品に対する愛情を感じますよね。
新刊はほとんど無く(まったく無いのかもしれませんが)逆にお店として販売したい本を大量に陳列することにより需要の掘り起こしをしているのも普通の本屋との大きな違いだと思います。まさしく『楽しめる本屋(?)』ですよね。
Posted by: いのうえ | April 26, 2006 12:18 AM
いのうえさん
コメントありがとうございました。
ヴィレヴァンは、業種の枠をぶち壊した、次世代型ストアの先駆けではないか、と思い、99年くらいから下北の店を定点観測しています。最近は、SCにも多く出店しているので、SCリサーチの際には、かならず覗いてしまう店のひとつですね。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | April 27, 2006 01:08 AM