ポイント還元合戦、その先にあるもの
今週の週刊「日経ビジネス」、流通各社のポイント還元に関する特集記事は、昨今のポイント還元に関する現状がとても的確にまとめられていて、一読に値します。
政府のデフレ終息宣言間近という矢先、大阪を舞台にしたヨドバシ、ビック、ヤマダ電機の異常なまでのポイント還元率上乗せにかこつけた値引き合戦から始まり、それを煽るかのように流通各社のポイントは、航空会社のマイレージ、楽天、Yahooなどのショッピングポイント、クレジットカードのポイントを経由して、最終的にはエディやSuicaと言った電子マネーへの交換へとつながって行く図式。
セブン&アイやイオンなど流通大手による電子マネー導入の追随を待つことなく、エディ&Suicaは水面下で提携を模索。そのタイミングは、07年3月?関東圏私鉄、バスなどの共通磁気カード、パスネットに代わるICカードPASMO(パスモ;PASSNETとMOREを組み合わせた造語)のスタートと同時に相互乗り入れを予定するSuica本命のシナリオか?
ポイント還元制度の企業側本来の目的である購買履歴分析による品揃え改革、優良顧客囲い込みは、机上の空論に終わり、「値引き」コスト増にあえぐ実情。
記事が指摘するように、ポイント還元は、売上が上がればメーカーからリベートが得られる家電業界や、値引きしても利用が増えれば儲かる仕組みの装置産業的な航空業界やレンタル業には適しているかもしれないけれど、業種や自社の損益構造との見合いをよく考えるべきと加熱ぶりに警鐘を鳴らします。ちなみにファッション流通関係でいうと、記事では、百貨店は不向きな業種の部類に入っています。
さらにポイント引当金計上問題や、企業同盟で先行するTSUTAYAのTポイントや、ギガスケーズデンキがポイント還元をやらない理由(下記)などなど、昨今のポイント還元を取り巻く問題が一堂に網羅された、さすが「日経ビシネス」という記事だと思います。
参考:ギガスケーズデンキ加藤社長の
「私がポイント制度をやらない5つの理由」(日経ビジネス06.4.24号)より
1.お客の自由を奪う・・・他の買い物に使えない「拘束性の預金」
2.顧客分析の効果なし・・・専門家の指摘が正しいとは限らない
3.投資負担がかさむ・・・コスト増より商品値引きで幅広く還元
4.売場効率も低下・・・カード作業で余計なレジ待ち時間が発生
5.不毛な競争と一線・・・歯止めかからぬポイント割引は自殺行為
これから、商品、サービス、企業と顧客の関係の「質」が問われるであろうという節目に、企業が「勢い」で始めたポイント還元やCRMを見直すいい時期かもしれません。
そして、それでもなお、値引きだけで終わらない、顧客と向き合い、がっちりつかむ、本格的FSP(フリークエントショッパーズプログラム=ポイント会員制)の覇者になるご決心がおありであれば、是非、是非、山梨のスーパーマーケット、オギノさんをベンチマークしていただきたいと思います。社長が陣頭指揮をとって、日々弛まない社員教育の徹底まで、目から鱗のベストプラクティスです。
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