やはり文化は高いところから低いところにしか流れないのだろうか?ユニクロ中間決算発表から
14日の日経新聞、繊研新聞、ユニクロを展開するファーストリテイリングの中間決算発表の記事を読んで。
柳井会長が社長に復帰した最初の中間決算は、純利益24%の大幅増益となったとのことですが、ユニクロ海外事業、特にアメリカではかなりの苦戦の模様です。
郊外SCに4店舗を出店しての上期の売上は、4億6000万円と計画の半分以下、3億8000万円の営業赤字とのことです。ちなみに、同じ時期に出店を開始した韓国や香港では、すでに営業黒字を計上しているとのこと。
これに対して、06年秋には、アメリカでの「知名度のアップ」をもくろんで、ニューヨーク・ソーホーSOHO地区ブロードウェイ沿い(バナリパ、H&M、A/Xの近辺ですね)に世界最大の1000坪(日本の最大店舗は心斎橋の650坪)の巨大旗艦店を出店するとのことです。
果たして、この旗艦店の出店は、ユニクロアメリカ事業の起爆剤になるのでしょうか?
タイトルに「文化は高いところから低いところに流れる」としたのは、決して欧米をあがめ、アジアをさげすんだフレーズではなく、もう、そこに満たされているものがあれば、あえて類似の海のものとも山のものともわからないものを生活者が受け入れるかどうか?ということが言いたかったのです。
ユニクロは日本の中で、ベーシックウエアのカテゴリーキラーとしてのポジショニングを確立して成功を収めました。アメリカにはすでにGAPやLIMITEDが君臨しており、ユニクロがGAPやLIMITEDをベンチマークしたものであることは、誰が見ても明らか。ユニクロが成功するためには、GAPやLIMITEDにないものでポジショニングを確立する必要があることは、言うまでもないことだと思います。
ファッションSPAの時代が、GAPやLIMITEDが持たないものを持つ、むしろ彼らが作った隙間を突くように、H&M(エッチアンドエム)やZARA(ザラ)などの第2世代に移行しつつあるアメリカで、第1世代をベンチマーク、トレードオフ(生活者にとって商品の不要な部分を取り去ることによって低価格を実現する商品開発手法)した商品でどこまで戦えるのか?
今秋デビューする勝田さんのコレクションは見てみないとわかりませんが、残念ながら既存のユニクロには、価格品質バランス以外にそれを見つけるのは難しく、それが断然GAPやLIMITEDに優っているとは言いがたいのではないでしょうか?
香港は、黒字とのことですが、ベーシックファッションSPAの先輩、ジョルダーノとの住み分けはうまくいっているのでしょうかね。やはり「日本発」のプレミアム効果があるのでしょうか。(追記:4月15日の繊研新聞によると香港店は350坪と日本の標準より大きいとのこと。おそらく小型主体のジョルダーノに対して、大型店の圧倒的なボリューム感で勝負している模様です。)
ユニクロが持つ、せっかくの資金・人材をより有効に使ってもらいたいと思っている一人のサポーターとして苦言を申し上げました(本音は、日本の代表選手として試行錯誤して何かをつかみとっていただきたい、と思っています)。
関連エントリー-ユニクロのアメリカ進出、その第一歩は・・・(05.11.25)
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