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May 30, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-東京ガールズコレクション(TGC)、パリへ(06.05.24)

 コメント:何はともあれ早速の世界への第一歩。今後の展開に期待しております。

2位-IKEA(イケア)を迎え撃つニトリの品質管理改革(06.12.01)

 コメント:先週のガイアの夜明けでは、IKEAに対して、「商品を絞り込め!」
      の社長指示。正解だと思います。
 
3位-しまむら参戦で郊外靴流通が熱くなる(06.05.17)

 コメント:郊外では靴流通を脅かし、しまむら本体は、まもなく都心に攻め込む
      カウントダウンが始まる・・・予感。

4位-プレミアムジーンズの源流、キャピタル(06.05.22)

 コメント:日本のアルチザン、KAPITALみたいなこだわりSPAも
      あっていいと思いますね。

5位-パートから社長へ~生活者の視点が流通を変える(06.05.17)

 コメント:妥協を許さない生活者の視点が最高のサービスをもたらす・・・

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May 29, 2006

卒業しても等身大でとらえる、アパート・バイ・ローリーズ

 本日(5月29日)の日経MJ、「ブランド深化論」のコーナーにローリーズファームでお馴染のポイント社の新業態、アパート・バイ・ローリーズの記事が掲載されています。

 同社は、当ブログでも何度かご紹介していますが、「商品開発は顧客と同じ目線と感覚を持つ人が担うべき」という方針を持ち、それぞれのブランド業態が狙うターゲット客層と同じ世代、ライフスタイルを送るスタッフを開発責任者にあてる、いわゆる「等身大MD」を身上にしていることで有名な会社です。

 10代後半から20代前半の女性をターゲットとする同社の基幹業態、ローリーズ・ファームをご自身の等身大MDで大当たりにしてみせた山崎裕美さんも、いまや30歳を超え、デザインというよりは、マネージメント側に回っていた矢先。古くからのローリーズファンからも、もう「若すぎて着れない」という声もあがっていたところで、業態成熟期もにらんで、再び、山崎さんを等身大の開発責任者に、30歳前後の同ブランドの卒業生を対象に立ち上げられたのが、アパート・バイ・ローリーズになるわけです。

 記事によると、同新業態は、この春、3店舗をオープンしJR系のルミネなどで好調な滑り出し、とのことで、何よりだと思います。

 21世紀のファッション流通最大の課題は、「生活者とつくり手の距離をいかに縮めるか」にあると思っています。距離とは、流通の複雑さの解消だけではなく、当然のことながら、時間(スピード)、そして生活感覚こそ重要な要因であると考えます。

 ポイント社もこの課題に、ひたむきにチャレンジしている会社のひとつですね。経営者が環境を作って、社員がいきいきと仕事をし、伸びてゆく。そんな人を育てる会社が素直に儲かる業界であってほしいな、と常々思っています。

 関連エントリー-ポイントの好業績を牽引する「等身大MD」

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May 27, 2006

流通を悩ます駐車違反取締強化

 5月26日(金)の日経新聞によると、6月1日に施行される「改正道路交通法」で、都市部の駐車違反が厳しく取締られるとのことで、物流が「動脈」である流通企業、運送会社にとって大きな問題となりそうです。

 記事によると、警察から委託される民間の「駐車監視員」が違反車両を確認し、ただちに駐車違反が成立するような内容です。

 従来ならミニパトの婦人警官などが、タイヤにチョークで印を付け、しばらく様子を見る猶予時間がありましたが、6月からは、「駐車監視員」が発見と同時にデジカメ撮影をし、ナンバーを携帯端末に入力、そういった作業の間、おおむね5-10分様子を見て運転手が戻る気配がないと、ただちに駐車違反の認定ステッカーを貼る模様。

 ファッション流通はじめ流通企業が佐川急便、ヤマト運輸、福山通運などの宅配便業者に依存しているのはだれもが認めるところ。いつも汗水たらして、笑顔で元気に待ちわびた荷物を届けてくれる、時間ぎりぎりまで集荷の荷物を待ってくれる「佐川さん」には誰もがお世話になった経験があるはず。

 そんな宅配便業者さんも、都内に中継基地を新たに数百拠点作って、台車や自転車で対応したりすることを検討しています。
 1日に5回の集配のあるコンビニも、トラック1台あたりドライバー2人体制で駐車違反を免れようと頭を悩ませています。

 流通業では小口多頻度納品が主流になりつつあり、確かに、それが都心渋滞を引き起こしたひとつの原因にはなっているかもしれません。今回の措置が、荷物の到着が遅れる、コストアップなど、わが流通業界への影響は小さくなさそうです。何とか工夫と流通企業&運送企業の相互協力理解で乗り切らねばなりませんね。

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May 26, 2006

セブンイレブン、500億円を投じて店舗情報システム刷新

 本日(5月26日)の日経新聞によると、コンビニ最大手、セブンイレブンジャパンは、500億円を投じて8年ぶりに店舗情報システムを刷新するとのことです。01年12月から続く既存店売上前年割れに対し、店舗運営効率アップをもくろむもので、流通全般にいくつか興味深い内容が含まれています。

 おそらく、金額的には、動画を活用するインフラ周りやハード(端末)に一番お金がかかるのだと思いますが、流通の実務経験者から見て興味深いのは、①店舗の購買特性に基づく「店舗分類の細分化」と②「本部と店舗のインタラクティブなコミュニケーション」の部分だと思います。

 前者については、ご存知、従来のレジでお客さんからお金をもらってドロアーキーを開けるために押す客層登録キー(性別・年齢別;私は青の49=男の30-49歳です。)による、「客層X商品のクロス分析」を超えて、更に、店舗を立地や近隣環境(オフィス街、学校が近い、工場が近いなど)に基づいて100タイプに分類し、売れる商品の違いを認識した店舗特性x商品のクロス販売分析を可能にする仕組みのようです。
 後者は、本部が持つ全国的な有効情報を動画でわかりやすく各店に伝達する仕組みです。

 ともに、本部がより顧客のことをきめ細かく定量的に理解し、顧客と本部の距離を、また、店舗スタッフと本部の距離をいかに縮めるか、という部分にお金を投じるという話で、過当競争時代に、極めて重要な、他社に差をつける重要ポイントだと思います。

 実は、ちょうど昨日あったIT企業さんとの勉強会でも、マーチャンダイジングと商品コントロールの実務をする上で、前提あるいは仮説条件としての「店舗分類」がいかに重要であるかで熱くなったところでした。

 「店舗分類」とは、その店に、どんなお客さんがお見えになって、どんな商品を望んで、どんな買い方をされるか、をデータで知り、似通った店舗をグルーピングして、そのグループ単位で品揃えを考え、お客さんがほしいであろう商品を的確にお届けしようという発想です。多店舗化されたチェーンストアでは、一般的に売上や売場規模や商品回転といった企業側の結果数字で分類するケースが多かったと思いますが、これからは、立地、客層、時間帯といった、より生活者の購買行動パターンを知り、生活者の立場に立った分類が重要になってくると思います。
 
 たとえファッション業界でも、生活者の購買行動の博物館=コンビニエンスストアからは、学ぶべきことがとても多いと思っています。 

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May 24, 2006

東京ガールズコレクション(TGC)、パリへ

 本日(5月24日)の繊研新聞によると、日本最大の携帯通販サイト、 「ガールズウォーカー」 の運営を行うゼイヴェルは、同社が主催する東京発信ストリート&トレンドファッション(=リアルクローズ)のファッションショーイベント、  「東京ガールズコレクション(TGC)」 のサテライト版、「東京スタイルコレクション」を、今年7月にパリで開催されるジャパンエキスポでお披露目することになったとのことです。

 ジャパンエキスポは日本のアニメ、コミック、ゲームなどのサブカルチャーをヨーロッパに紹介するイベント。

 ジャパンエキスポHP

 正直、ホームページの通り、客層は全く違うとは思いますが、第一回目のTGCのDVDに目を留めたジャパンエキスポの主催者側からのラブコールで、TGCが世界に飛び出す第一歩を踏み出すことになったようです。

 今回のスタイルコレクションはTGCオリジナルのブランド別ショーではなく、スタイル別にブランドをミックスしてショーを行うという、これまた東京リアルクローズがわかりやすいショーとなる模様です。

 世界のファッション業界が「世界最速」と認める東京ストリートファッショントレンドが体系立ててパリジャンの目に触れる初めての機会になります。

 大浜社長も、「開催まで3ヶ月、エキスポもファッションイベントではない。条件的には厳しいが、実際にやって反応を見たい、」「最終目的は世界中のプレスやバイヤーを日本に呼ぶこと」と期待に胸を膨らませています。

 今回は、来場客というより、いかに世界のファッション基地パリのプレス、デザイナー、クリエーター、バイヤーの目を引き付け、評価を受けるかがポイント。試行錯誤を覚悟しながらも果敢に取り組む大浜社長を応援したいと思います。

 また、同紙紙面で同時に「ジョイアス」を展開するフォー&コレーの赤松社長と、かつて一世風靡したものの、昨年から休止していたサーフブランド、「アルバローザ」をアルバローザジャパンを設立してブランド再生にも乗り出すことを発表しています。

 ゼイヴェル大浜社長のチャレンジは続きます。

 関連エントリー-東京ガールズコレクション
 関連エントリー-ゼイヴェルが目指すケータイメディア放送局
 関連エントリー-第2回 東京ガールズコレクション日程決定
 関連エントリー‐来週のTGC x GEISAI#9は熱くなりそう

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May 23, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-IKEA(イケア)開店カウントダウン(06.04.15)

 コメント:開業の直前から連続1位記録更新中。

2位-しまむら参戦で郊外靴流通が熱くなる(06.05.17)

 コメント:郊外を舞台にした既存企業は決してレディース向けが充実しているとは
      思えないので、チャンスでは・・・
 
3位-H&M(エッチアンドエム)の06年コラボはヴィクター&ロルフ(06.05.15)

 コメント:H&M(エッチアンドエム)のキャスティングの妙味も感じますね。

4位-リヴァンプのユニクロ流効率経営とは?(06.05.12)

 コメント:生活者視点の流通改革を期待しています。

5位-パートから社長へ~生活者の視点が流通を変える(06.05.17)

 コメント:「最強の現場集団」・・・素敵な目標です。

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May 22, 2006

プレミアムジーンズの源流、キャピタル

 5月22日の日経新聞、「旬の人」のコーナーに、国産プレミアムジーンズ、KAPITAL(キャピタル)の平田社長のインタビュー記事が掲載されていました。(注:KAPITALはスペルミスではありません。ブランドは「KAPITAL」、社名は「CAPITAL」。意図的に。)業界では知る人ぞ知る有名なアルチザンにして起業家。

 昨日の「Made in Japan」の話題ではありませんが、キャピタルは、もともと世界のプレミアムジーンズ生産の中心地、岡山県倉敷市児島で20年前にミシン一台からスタートした加工ものデニムを中心としたOEM(相手先ブランドによる受注生産)メーカーでしたが、10年前から自社ブランドを立ち上げ、全国10店舗、10億の売上にまでなったとのことです。東京でも恵比寿、白金、今年3月には六本木ヒルズに入居するまでになっているのですね。

 KAPITALホームページ

 平田社長が取り入れた本藍で48回も染めて色落ちさせたり、サンドブラストや漂白剤を使ったこだわりのヴィンテージ加工技術が、国産デニムブランドのみならず、欧米の著名ジーンズメーカーに取り入れられているのは業界も認めるところ。

 アメリカ西海岸のプレミアムジーンズの中には、岡山の生地を使い、アメリカで縫製され(この時点でMade in USA)、児島にヴィンテージ加工に出され、アメリカに戻され、販売されているものも少なくないと聞きます。

 世界の「ファッションジーンズ」の歴史と進化、すなわち、多くのメーカーがリーバイスの下請けから始まり、リーバイスの物まねを行いながら自社ブランドを立ち上げ、マス路線、こだわり路線それぞれの道をたどって、昨今のプレミアムジーンズブームに至るまで・・・キャピタル=平田社長が影の立役者として、世界のジーンズに影響を及ぼしていると言っても過言ではないかもしれません。

 記事の最後に「最近は、手間の度合いに反してあまりに高価なジーンズが多いので、価格破壊をするのが次の目標」とのこと。価格破壊?・・・もちろんここまでやってこの価格?という価値あっての話だと思います。

 世界に冠たる国産デニムの歴史を支えるキャピタル、これからもどんな「作品」が産み出されるか楽しみにしたいと思います。
 
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May 21, 2006

イトーヨーカ堂のメイドインジャパンプロジェクト(MIJP47)

 5月17日の日経MJに、イトーヨーカ堂が衣料品と住関連商品のプライベートブランドとして展開している「Made in Japan」を刷新して、「MIJP47(メイドインジャパンプロジェクト フォーティセブン)」を立ち上げたことに関する記事が掲載されています。47は都道府県を示す数字。
 「Made in Japan」の名で02年に国産品に焦点を当ててスタートしたコンセプトは当初のままで、今回の改名は、日本全国の産地と組みたい、というヨーカ堂のメッセージがこめられているとの解説です。

 MIJP47の商品を見に家の近くのイトーヨーカ堂を覗きに行きました。
 
 兵庫(豊岡)の牛革ビジネスバッグ、新潟(見附か五泉?)のニットベスト、和歌山(紀州)、岐阜(一宮)、大阪(泉州)のジャージー生地を使ったポロシャツ、兵庫(西脇)の生地を使った・・・などなど、中国製ならいまや1900円が相場となった商品の隣の棚に、クオリティの高い日本製4900円の商品が点在します。 また、POPやタグを見ていると、かつてはアパレル生産の原料を求めて産地を回っていたころを思い出します。やっぱり、素材も縫製もいいですよね。昔、ものづくりのイロハを教えてくださったお世話になった方々の顔も思い浮かびます。

 新聞記事によると、06年2月期決算では、この「Made in Japan」は年間300億円を売り上げたとのこと。以前は、GMSの「つまみ喰い」的な取り組みか、とちょっとうがった目で見ていましたが、結構売れているんですね。

 言うまでもなく、21世紀最大の流通のテーマは、

 いかに生活者とつくり手(産地)の距離を短くするか

 だと思います。そういう意味でも、同社のこのプロジェクトはやり方次第では、中国生産を主体とする大手ファッション流通企業に対する差別化にもなるし、大上段に構えれば、国家的プロジェクトとしても意義のあることだと思います。

 今回拝見した商品は、既存のイトーヨーカ堂の顧客であるシニア層を対象にした商品群で、それはそれで、今までの売り方でいいかもしれませんが、売り方(マーケティングや売場)を変えれば、きっと幅広く大人の客層を取り込め、もっともっと大きなマーケットに化けるかもしれない、と思ったものです。藤巻さんには、ぜひぜひpbiよりこちらのプロジェクトのブラッシュアップをしていただいた方が有効な気がするのは私だけでしょうかね。

 海外のマーケットリサーチなどをしている時、高級百貨店、専門店で「Made in Japan」の商品を見るたびに誇りに思ったものです。やっぱり、品質は世界一ですから。
 
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May 18, 2006

パートから社長へ~生活者の視点が流通を変える

 ブックオフ・コーポレーションの創業時の主婦パートで、現在は常務取締役の橋本真由美さんが次期社長に就任される人事が発表されたのを受けて、昨日、今日の新聞、TVなど各種メディアが、「主婦パートから社長昇格」をサプライズ人事として、大きく報道しました。

 同社の現在の繁栄があるのも、坂本現社長の「流通革命への信念」と「人材育成への情熱」を、橋本常務が主婦としての「生活者の視点による妥協を許さない改革」で支えて来たことは、流通業界でも有名な話。今回の人事は、どこかの突発的な「お飾り的」女性トップ人事とは全く意を異にし、日夜、努力を積み重ね、人を支え、人を育ててきた女性が成功する、というあるべきジャパニーズ・ドリームの姿のひとつと言えましょう。

 いい機会ですので、以前読んで、人を活かす21世紀型流通企業のバイブルのひとつとして関心した、京セラ稲盛会長も絶賛する、ブックオフ社の経営について詳しく書かれたビジネス書を一冊お勧めしておきます。

 「ブックオフ 情熱のマネージメント」

 また、今回の夢ある報道を聞いていて、もう一冊、お勧めしたいビジネス書があります。私のリテールサービスのバイブルです。

 「サービスが伝説になる時―「顧客満足」はリーダーシップで決まる」

 アメリカで、やはりパートから、かの高級百貨店「ノードストローム」の役員に上り詰めたベッツィ・A・サンダースさんが書かれた本で、当時ベストセラーになった本なのでご存知な方も多いかもしれません。目から鱗ばかりの内容ですが、その中で、私が、もっとも大切にしている次のような一文があります。

 顧客に最高のサービスを提供するためには、自分自身が日ごろから妥協を許さない厳しい生活者でなければならない。

 自分が顧客の立場でも、日ごろから、ま、こんなもんか、と妥協していたら、いつになってもお客さんが感動する、いいサービスはできない・・・といつも身を引き締める時に肝に命じる言葉です。おそらく、ブックオフの橋本常務も、家庭を切り盛りしている主婦だからこそ、さらに、シビアな生活者の目でサービスを見つめ、お客さんのために、会社のために、あたりまえのことをしようよ、とはっきり言え、変えることのできる現場を支えてきたのではないか、と想像しています。

 ファッション流通でも、「しまむら」がM社員と呼ばれる主婦のパートさんたちの声で、毎月のように店舗運営マニュアルを進化させ続けているのは、有名な話です。

 主婦でなければ、とは言いませんが、これから、ますます生活者の視点で改革ができるか否かが企業の明暗を分けることになる、と思えてなりません。 

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May 17, 2006

しまむら参戦で郊外靴流通が熱くなる

5月16日の日経新聞に、ご存じ日本最大、グループ1200店舗超のファッションチェーンストアー「しまむら」が、靴専門1号店を激戦西東京青梅地区に出店して、チェーン展開に乗り出したことに関連する記事が掲載されています。

 記事によると、店名は「ディバロ」。中国への委託生産、輸入販売をするパンプス、サンダル、ミュール、スニーカーなどを130坪の売り場(しまむらの半分以下)で展開、100店体制をめざすとのことです。
 注目の価格はサンダル1000‐1900円、本革2900‐3900円など百貨店価格の1/10を想定しているとのことです。

 しまむらは、分社化しているジーニングカジュアル業態、アベイル(150店舗、年商330億円)やしまむら本体でもこれらの靴の販売はウォーミングアップ済で、これから東京靴流通センターのチヨダ、ABCマート、ユニクログループのワンゾーン、イオンのニューステップとツルヤ(アスビー)連合、イトーヨーカドーが展開を始めたフットキューブなどとの郊外靴流通戦争に参戦することになります。

 しまむらの勝ち目は?・・・大いにあり、と見ました。その理由は

1.ファッショントレンドに合わせた生活者の履物購買頻度は高まっているにもかかわらず、靴業界のMDサイクルは対応が遅れていること。しまむらは衣料同様一回投入、売り切り、新しい商品を次々に被せて行く手法を取るそうです。

2.しまむらのサイズ在庫管理のノウハウや店間移動のインフラは、ハイスピードで売り場の鮮度を維持し、既存靴流通の商品回転をはるかに上まるであろう。最大手のチヨダですら、ようやく最近POS導入を決めた状況。

3.ローコストオペレーションによる低価格の実現。しかし本革となると輸入規制=関税輸入割当(TQ)問題が懸念されます。もっとも、ファストファッション的品揃えであるならTQの影響を受けない「合皮(ケミカル)」で十分かと思います。
一方、スニーカーはある程度NB(ナショナルブランド)に頼らざるを得ないと思いますが・・・。

4.しまむらの他業態(アベイル=ヤング、メンズ、キッズ、バースデー=ベビー、シャンブル=生活雑貨)との共同出店で自前ファッションパワーセンターの完成。これから開発が加速する他の近隣型SCやSuCに負けない集客力がつく?

後発ながら婦人ものを核にしたダークホースにして本命になりうる企業の参入で、郊外靴流通再編の役者がそろった、という感があります。

 関連エントリー‐靴業界にも大きな再編の波が

 関連エントリー‐ABCマートが低価格のNBスニーカー販売


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May 16, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-IKEA(イケア)開店カウントダウン(06.04.15)

 コメント:これほど多くの方がブログでショッピングレポートをされているのも、
     注目度が高い証拠です。

2位-ZARA(ザラ)ジャパン スペイン本社100%出資へ(05.12.22)

 コメント:久々にZARA関連がランクイン。秋以降も出店が楽しみですね。
 
3位-ワコールHDがピーチジョン(PJ)と資本業務提携(06.05.11)

 コメント:野口社長は、ワコール側の「一緒に世界に行こう」のプロポーズにクラッと
     来たそうです。世界へ飛び出せPJ!

4位-ne (エヌ・イー)のネクストエッジが清算手続へ(06.04.02)
 
 コメント:清算後はいかに。

5位-ヴィレッジヴァンガードのアンチチェーンオペレーション(06.05.04)

 コメント:小売業に従事する人が、考えさせられることの多い内容いっぱいです。

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May 15, 2006

H&M(エッチアンドエム)の06年コラボはヴィクター&ロルフ

 本日(5月15日)の繊研新聞にも出ていますが、先週末のプレスリリースから

 WWD.COM
 VOGUE.COM
 NEW YORK TIMES

 などに、次々とスウェーデン発の世界のファストファッションの雄、H&M(ヘネス&モーリッツ;エッチアンドエム)の06年秋冬コラボ企画のデザインパートナーに、オランダの男性デュオデザイナー、ヴィクター&ロルフが決まった、との報道がBREAKING NEWSとして世界を駆け巡っています。

 注釈:H&Mは日本に未進出で、おなじみのない方も、近い将来日本に押し寄せる、世界のファッション流通の潮流-「ファストファッションの挑戦状」として、お読みください。

 11月にヨーロッパ、アメリカ、中東の世界24カ国で、今回は、ウイメンズだけでなくメンズもアクセサリーを含めても頭からつま先までをカバーするコレクションが同時発売になるとのことです。。

 04年11月、カールラガーフェルドの起用で同社の月次売上前年対比は24%アップ、05年11月、ステラマッカートニーの起用でさらに11%アップを記録した今年は、一体どれくらいの売上アップに寄与するか注目されるところです。

 以前このブログで、06年のコラボ相手は「プラダ」ではないか、という噂についてエントリーをし、内心楽しみにしていました。プラダでないのは、少し残念でしたが、今回のヴィクター&ロルフの起用は「意外」ながら、上記の記事を読みながら考えていたら、とても「意味」と「インパクト」のあることではないかと思えてきました。

 ヴィクター&ロルフのプロフィールはファショコン通信に譲りましょう。自身のコレクション以外にも、アレグリのデザイナーや、日本でも、GIBOつながりで、オンワード樫山のICBのデザインも勤めているようですね。

 要は、芸術的アプローチ、オートクチュール出身、00-01年秋冬パリコレ以来プレタを始めてからも、モードよりもアートを意識した斬新で奇抜なコレクションで名を博したデザインデュオ。つまり、リアルクローズから遠いところにいる、よりアートというか、感性よりのファッションの作り手である彼らを起用したところに、「ファッション民主主義」を提唱するH&M(エッチアンドエム)の凄さとある意味、冷徹さを感じます。

 ヴィクターさんも記事の中で、H&Mからのご指名に驚きながらも、クチュールにルーツを持つ自身が、いつも業界の「小さい世界」の中にいるという閉塞感を持っていたことを告白し、今回H&Mとのコラボが、より多くの人たちに自分たちの作品を提案できるチャンスである、と胸躍らせているのが判ります。

 もともと、アート、クチュールといったわかる人にしかわからない限られた世界から始まり、徐々に視野を広げて、進化してきた新鋭デザイナーが、更に多くのファッションファンのためにどんな「手の届く」コレクションを提案するのか?

 ということで、今回は、カールラガーフェルドやステラマッカートニーの時に比べて、対生活者はもちろん、ファッション業界のデザイナー、クリエーターたちにインパクトがある出来事になるのではないかな、と思っています。

 そして、プラダとのコラボは、是非、そう遠くない、H&Mが世界一のファッションSPAになる日のためにとっておくのも悪くない、と思ったりもします。
 
 関連エントリー‐PRADA(プラダ) for H&M(エッチアンドエム)が実現するとファッションの民主化が進む?

 関連エントリー-欧米マーケットに影響与えるファストファッション

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May 12, 2006

リヴァンプのユニクロ流効率経営とは?

 今週の日経新聞、繊研新聞、日経MJ各紙で流通企業専門の企業再生請負会社、元ユニクロ幹部コンビが設立したリヴァンプがゴールドマンサックスと共同で、帽子・ネクタイ・マフラーなどの服飾雑貨の百貨店向けブランドライセンス商品を中核に卸売りを行うアルプス・カワムラの株式の100%をテイボーから取得し、10日付けで買収したと報道する記事が掲載されていました。

 役割分担としてはゴールドマンサックスが資金を、リヴァンプが経営支援を行うわけですが、リヴァンプが乗り出す時にいつものように紙上に登場する「ユニクロ流」とか「ユニクロのノウハウ」という言葉がとても気になります。

 今回も、アメリカのMBAを取得された優秀なプロスタッフによる本格的ターンアラウンド(企業再生)のようですから、定石どおり、債務整理(本件はあるのかどうか存じ上げません)、在庫ポジション、価値の的確な把握などを行った上で、勝てる営業再生への転換、株式上場あるいは事業売却が王道でありましょうが、マスコミが言うどんな営業再生が「ユニクロのノウハウ」なのかがとても興味深いところです。

 以前代表のひとりである澤田さんがインタビュー記事で「マーケティング」を強調していたのが印象に残っています。

 ユニクロがマーケティングにふんだんに投資が出来たのも、アパレルメーカーを飛ばして商社ファイナンスを利用して大量に中国生産を行い、店頭では、低価格ながら高い収益性で叩き出した利益高とキャッシュフローから捻出された広告宣伝予算が背景にあったのは間違いありません。
 また、澤田、玉塚両氏も業界では秀でた指折りの経営幹部であったことは間違いありませんが、現実的には、柳井会長の意思をよりアカデミックに、的確に現場に落とすという役割にすぐれていた存在だったと思います。

 ご本人たちは、マスコミで「ユニクロ流」とか言われるのをどう思っていらっしゃるのでしょうか。当初は、名刺代わりに使えるかもしれませんが、実は、歯がゆく思っているのではないかと思うことがあります。企業再生は、きれいごとではなく、地味で、いや、泥臭く、ある意味、人間不信にも陥りがちな命がけの仕事だと思いますから。

 いずれにせよ、ロッテリア、フージャース、トークツ、アルプスカワムラ・・・事業はスタートしたばかりです。業界のよき先輩として、「リヴァンプ流」の背中を見せていただけることを期待しています。

 関連エントリー-元ユニクロ首脳が企業再生ファンド共同設立

 関連エントリー-靴業界にも大きな再編の波が


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May 11, 2006

ワコールHDがピーチジョン(PJ)と資本業務提携

 5月11日(本日)の日経新聞、繊研新聞によると、婦人下着大手のワコールホールディングスは、ピーチジョン(PJ)の発行済み株式の49%を取得して資本業務提携を決めたと発表したとのことです。6月2日付で野口正二会長(野口美佳社長の元旦那さん)が持つ全株式を取得するとのことで、残りの51%は引き続き野口美佳社長が所有していますので、主導権は野口社長のままで変わりなさそうです。

 PJは、正式な情報はありませんが、20歳前後の客層を中心に、現状、売上170億、経常利益30億を上げ、カタログもネットも店舗も好調の模様で、飛ぶ鳥を落とす勢い。ワコールは、30-50代の客層を中心に、既存のビジネスの伸びなやみがあるものの、老舗、大手としての信用、インフラを持ち、多事業体制に柔軟なホールディングカンパニー形式を取っています。
 
 PJは、野口社長の男前経営論、キャラクターと行動力で、ここまで見事にブランディングをし、ぐんぐん業績を伸ばして来ましたが、一方では、業界では品質や在庫管理に課題があるとも言われていました。 
 諸事情は判りませんが、今後、PJが企業としてブラッシュアップして、株式公開も狙える、資本業務提携のタイミングとして、絶妙なのではないか、と思います。

 野口社長の「よさ」を殺さずに伸ばせば、相乗効果あり!両者の強みを上手に発揮しながら、これからも生活者に楽しいインナーファッションを提供していってもらいたいと思います。
 
 ますますがんばれーS40生まれの同年代の社長!

 関連エントリー‐ピーチ・ジョン(PJ)が贈る最強の谷間

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May 10, 2006

採用難とショップの魅力

 5月8日の繊研新聞、「流通レーダー」というコーナーに大手カジュアル専門店各社のパートアルバイト(P/A)の採用難が成長戦略に大きく影響を及ぼしている記事が掲載されていました。

 直近の決算はまずまずの業績を叩きだしている各社も、景気回復による他産業と競合、郊外SCへの通勤条件の悪さ、商業施設の営業時間の長さなどが主な要因となりP/Aが思い通りに集められない状況。求人費の上昇、時給をあげても集まらず、苦肉の派遣会社の活用も少なくなく、人件費を圧迫、目先は出店戦略を、中期的には販売管理費の恒常的な上昇やサービスの質へと影響を及ぼして行くことが懸念されます。

 この問題はファッションに限らず多くの流通企業が数年前から頭を痛めている話。これまで、自力で(?)育った優秀なP/Aを社員登用するというスタイルをとる企業が多い中で、予備軍の頭数の「確保」という入り口の部分につまづいているのが現状です。

 確かに、回りでも、時給を上げたり、短時間採用、短期間採用などを組み合わせたり、小手先で急場をしのがれる事例を多く見受けます。しかしながら、王道あるいは正論を言えば、やはり労働売り手市場の時代に奇策はなく、時給や報奨金など目先のお金で釣るのではなく、 「トップ主導で」 腰を据えた企業ぐるみによる 「働きたいお店の環境づくり」 に尽きると言えそうです。

 企業イメージは確かに広告宣伝費をかければ多少はあがるかもしれませんが、これからの時代に取り組むべきことは「店長」をキーパーソンとした、人が成長する、活気のある、そしてそれが顧客に伝わる、働きたくなる魅力ある職場づくりではないでしょうか?

 ここ2週間でブログでご紹介したヴィレッジ・ヴァンガードは、3年半もの間、地域最低時給に耐えたP/Aのみを社員登用するという、「踏み絵」を踏ませる、一見、搾取構造のようにも見える人材登用システムをとっています。しかし、実は、企業のビジョンと品揃えの魅力を理解したスタッフに、権限委譲と階層別に人がやりがいをもって活躍する「環境」をトップが主導して意図的に作っているからこそ成り立ち、成果が上がっているのだと思います。

 また、こちらも以前ブログで紹介しましたが、ハニーズやアースミュージック&エコロジーのクロスカンパニーのように目先の人件費高よりも中長期的な企業戦略、人材育成を優先させ、P/Aに頼らず、新卒を正社員として採用し、育成する仕組みをとりながら成長している企業も出てきました。

 資本主義ではなく、人本主義・・・今回の採用難の問題も人材育成に対する企業姿勢と、切り離せない問題だと痛感しています。 

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May 09, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-IKEA(イケア)開店カウントダウン(06.04.15)

 コメント:GWもものすごいお客さんだったようです。TB下さっているブログに
      臨場感あるレポートがありますので、是非ご覧ください。

2位-ne (エヌ・イー)のネクストエッジが清算手続へ(06.04.02)

 コメント:引き続き多くのアクセスです。
 
3位-IKEA(イケア)を迎え撃つニトリの品質管理改革(05.12.01)

 コメント:IKEA話題沸騰で、ニトリも脚光を浴びる。90年代の終わりにGAPのテコを
      うまく利用したユニクロの2匹目のドジョウはいる!と思います。

4位-絶好調 ヴィレッジ・ヴァンガードに見る「商売の原点」(06.04.24)
 
 コメント:昨日の日経MJにも菊池社長のインタビュー記事がありました。
      5年間連続月間既存店売上高前年クリアは誰もが羨む偉業。

5位-トレンドセッターの流行先読み術

 コメント:業界内だけでなく、時代の流れ、生活者の心理を読み、整理する努力、感性が
      問われています。

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May 08, 2006

靴業界、問われる顧客との距離

 本日、5月8日の日経MJに月星化成、アキレスといった大手靴メーカーが販売子会社の統廃合に乗り出すことに関する記事が掲載されています。

 月星は、昨年すでに販社から本体に商品在庫を今年7月には営業権も引継ぎ、アキレスも3年かけて段階的に商品在庫を移管するとのこと。両社のねらいは、もちろん、企画生産と営業の一体管理による店頭情報の把握と機会損失の極小化になります。

 靴業界は、その流通に販売会社など問屋がかなり介在しているケースが多く、今回の大手2社の動きは、業界の流通構造を、スポーツシューズ業界をも巻き込んで大きく変える動きになりそうです。

 この背景には、

 ○今まで販社が手厚く支援をしていた中小小売店が大手チェーンや大型SCにより
  加速度的に減少、
 ○ABCマートやワンゾーンなどバイイングパワーのある大手チェーンが
  メーカーとの直接取引、タフな価格交渉を開始していること

 などがあり、販社の存在意義が問われているものです。

 いずれにしても、上記の「ねらい」のところで指摘したように、川上のメーカーサイドから流しっぱなしの時代は終焉を迎え、マーケットや店頭の変化への機敏な対応が雌雄を決する時代。靴業界の流通再編はこれからです。

 関連エントリー‐靴業界にも大きな再編の波が

 関連エントリー‐ABCマートが低価格のNBスニーカー販売

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小口多頻度運送の時代

 5月7日の日経新聞のファミリー経済「エコノ探偵団」に、生産が増え続ける段ボールに関する調査記事が掲載されていました。
 
 「段ボール」と「ファッション」は関係ないように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ファッション業界で、段ボールと「お友達」でない人はいないと思いますので、話題にしてみたいと思います。

 記事によると、2001年から年々増え続けた段ボールシートの生産量は、2005年、137億2393万平方メートル(残念ながら、どれくらいすごいのかは想像つきません)で、2年連続過去最高を更新とのこと。

 経済成長時代であれば、段ボールの需要が増えるということは、景気がよく、イコール商品の総出荷量が増えることを意味していたかもしれません。確かに、デフレ脱却がささやかれる昨今、景気は回復しているかもしれませんが、絶対的な「消費量」が増えたとは思えません。

 答えは、流通関係の方ならお察しの通り、次のような流通の変化によるもののようです。

 ○ビールはビン(ケース配送;回収)から缶(段ボール配送;行ったきり)へ
 ○清涼飲料水は缶から容器の大きいペットボトルに形状が変化し、
  大き目の段ボールが必要に
 ○通販、ネットショップが増え、個人宅へも段ボールが
 ○コンビニが先鞭を切って、大手スーパー、ドラッグの毎日発注毎日小口配送に対応
  するために、小さな段ボールの需要が増えている

 いろいろありますが、少子高齢化による一回の消費量の減少やそれに対する企業の鮮度競争、スピード経営による小口多頻度運送の影響が一番大きいようです。

 ファッション流通においてもご他聞にもれず、店頭に毎日(週5-6日)新しい商品やサイズ補充商品を届けられるかどうか?それによって、お客さんがいつお見えになっても新しい売場、商品が提案できるか?サイズ切れを限りなくなくすことができるか、が勝敗を決する時代になりました。倉庫と店舗を行き来する折りたたみコンテナ(オリコン)も普及してきましたが、やはり、これからも段ボールのお世話になる機会が減ることはないだろうな、と思われます。

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May 04, 2006

ヴィレッジヴァンガードのアンチチェーンオペレーション

 5月1日発売の流通業界専門月刊誌「商業界」6月号に「遊べる本屋」ヴィレッジヴァンガード(以下ヴィレヴァン)の特集記事パートII が掲載されています。

 先週のブログで3月号の特集記事に関心した内容のエントリーをしましたが、今回は、やはりその3月号がとても好評だったらしく、前回の「総論」に対して、今回は「深堀り」として、売場作りからPOPの極意までかなり詳しく掲載されています。

 この中で興味深かったのはやはり菊池社長のインタビュー記事のところでしょうか。

 3月号の特集記事が大手企業の方からも好評だった理由を問われて、(以下引用)

 「大手リテーラーの方は、われわれにノスタルジーを感じているんだと思います。『昔、俺たちもああだったよ』と。途中からチェーンオペレーションが入ってきて、ちょっと違った方向へ行ったけれども。 だから、『アイツら本当にバカみたいにやってるよな』という感じだと思うんですよ。『信じられないよ、あのやり方をずっと続けているなんて』といったように。でも初期段階はみんな僕らみたいな感じだったはずなんですよ。でも、一度チェーンオペレーションにしちゃうと、もう戻れないという状況になっちゃうんですよね。」(引用終わり)

 リテールチェーンにかかわる仕事をしている人間にとって、しかも、店舗数の少ないころからそこそこ大きなチェーンへの進化(?)を経験した人間にとって、この菊池社長の言葉は本当に感慨深いものがあります。

 思い起こせば、たぶん経験のある方は、共感してもらえるのではないか、と思いますが、商売って、本当は、自分で仕入れて、自分で売場作って、自分で売る、「自己完結」している時が一番売れるし、楽しいんですよね。

 それを、企業を拡大する過程で、ある時点で、チェーンストアオペレーションを学び、分業を始める。分業してもみんなの気持ちがひとつで、一枚岩のままならそれなりに大きな威力を発揮するんだけれども、いつか「づれ」が発生する。それをカバーするために標準化、マニュアル化を計る。当初の思いを知らない人が増え、そのマニュアルに基づいて仕事をしている。いつの間にか、お客さんから遠いところで仕事をしている・・・

 菊池社長は、おいおい、それでいいのか?それで楽しいのか?ほんとにお客さんのためになってるのか?と言っているように聞こえるのです。

 そしてヴィレヴァン58ヶ月連続既存店売上高前年対比クリアの秘密に関する重要と思われるコメントを引用しましょう。(以下引用)

 「僕らがやっているのは個人商店の集まりであってチェーンオペレーションではありません。店長のPOPライティング、ディスプレーの仕方、仕入れの仕方、バイトの使い方、マーケティングの仕方は年々ブラッシュアップされる。そういうことをやっている。だから売上が上がるんです。
 つまり、現場のブラッシュアップと売上げが見事にリンクする稀有な小売業をやっている。(以下省略)」(引用終わり)

 人が成長するから既存店売上も上がる。

 ハッとはっとします。目から鱗です。でも、ただそれだけなんですよね。極めてシンプルですが、基本だし、真実だと思います。記事によると、ヴィレヴァンの人事評価は、6割が数字(店舗、担当カテゴリの売上前年対比アップ)、4割が本人が成長したか、人を育てたか、だそうです。

 いろんな意味で、ヴィレヴァンそのもののオペレーションのズバリ真似は難しいと思います。また、チェーンオペレーションにしたリテーラーもあえて形だけ個店対応に戻すことも適切ではないと思います。

 しかし、「人が成長した分、既存店売上が上がる」という図式には、どんな企業でも取り組めることではないか、と思います。

 関連エントリー-絶好調 ヴィレッジ・ヴァンガードに見る「商売の原点」


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May 03, 2006

まちづくり3法改正をめぐる対応

 5月3日の日経新聞に2007年秋に施行される「まちづくり三法」改正への対応について、GMS、スーパー、SC開発会社、ホームセンター、家電量販など郊外を舞台に店舗を展開する大手企業43社に対して同紙が実施した調査についての記事がありました。

 各社の対応を多い順に挙げると、
 1.1万平方メートルぎりぎりの店舗を出店(約51%)
 2.既存店を強化(約42%)
 3.都市型小型店を展開(約26%)
 4.法改正までの出店を前倒し(約20%)
 5.中心市街地への出店を強化(約20%)

 となるようで、やはり、郊外立地で法律の範囲内、ぎりぎりの床面積で、近隣型SCなどの形で多店舗化を計る企業が過半数を占める、きわめて現実的な回答が多い模様です。

 これに対して、地方自治体によっては、都市計画に関する独自の権限で、規制が始まる前に駆け込み出店する企業に早くもストップを掛けたり、出店規制に入っていない「準工業地域」も制限対象に加えるなど、各地で企業と自治体の激しい攻防が始まっている模様です。

 しかし、飽和になりつつあるところにさらに出店する「後だしジャンケン」とまで言われる開発企業のSC出店合戦、一方、中心市街地を空洞化させておいてただただ、規制を加える地方自治体・・・まちづくり三法改正をめぐる動きには、生活者不在の議論が少なからず見受けられます。

 規模による制限やゾーン規制ではなく、もっと個別に、地域地域で生活者の利便性を考えてショッピング環境のあり方がデザインできないものかと、こんな記事を読むたびに考えさせられます。

 関連エントリー-まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図

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May 02, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位--IKEA(イケア)日本開業決定(05.06.15)

 コメント:先週はIKEAオープンで、多くのリンク、検索エンジンから
      アクセスをたくさん頂きました。

2位-ne (エヌ・イー)のネクストエッジが清算手続へ(06.04.02)

 コメント:引き続き上位ランクイン、突然の閉店を惜しむブログからのリンクからの
      アクセスが多かったです。
 
3位-IKEA(イケア)開店カウントダウン(06.04.15)

 コメント:IKEA2件目のランクイン

4位-絶好調 ヴィレッジ・ヴァンガードに見る「商売の原点」(06.04.24)
 
 コメント:チェーンオペレーションを否定しながらも、多店舗化が続く
      その秘密に迫る。

5位-IKEA(イケア)を迎え撃つニトリの品質管理改革(05.12.01)

 コメント:IKEAが注目されればされるほど、日本の企業にも磨きがかかる
      ことを期待しています。ニトリはいよいよ北海道から東京に本社移転!

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百貨店で男性・女性が同じフロアで洋服選び

 5月2日の日経新聞によると、大丸梅田店が地下一階に男性向けと女性向けの商品が一緒に並ぶ「ヤングレディース&メンズフロア」を登場させたとのこと。

 一般的に洋服、服飾雑貨は、百貨店に限らず、専門店も性別で売場を分けているものです。正直、主に、供給側の都合や思い込みによる「くくり」であることは否めません。

 ところが、最近の若い客層は、カップルで買い物を楽しむ傾向が強まり、セレクトショップなどへ流れるケースが・・・
 
 これに対して、同社の地下1階の売場半分をカップル対応のできるメーカーブランドを導入し、好感触を得ているとのことです。

 海外視察をしても、アメリカのSPA業態もまだまだ性別や年齢でセグメントした売場が多いと思います。

 一方、以前ロンドンのSCを視察して興味深かったのは、TOPSHOPなど、メンズ・ウィメンズの両方を品揃えしているSPAやセレクトが多いのですが、売場構造が、入り口を入ると、右メンズ、左レディースと売場が二手に分かれるものの、ちょうど売場の真ん中あたりと、奥のレジやフィッティングルーム付近で、「再会」してカップルが相談できるスペースが設けられているショップがとても多かったことが印象的でした。そう、アメリカで言うと、アバクロやホリスターのお店のような構造です。

 お客さんもその構造を利用してカップルで楽しそうにコミュニケーションを図っている姿を見受けました。

 今回の大丸さんの改装、お客さんの購買行動側から見た売場構成のチャレンジによい結果がでれば、と楽しみにしています。

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