5月1日発売の流通業界専門月刊誌「商業界」6月号に「遊べる本屋」ヴィレッジヴァンガード(以下ヴィレヴァン)の特集記事パートII が掲載されています。
先週のブログで3月号の特集記事に関心した内容のエントリーをしましたが、今回は、やはりその3月号がとても好評だったらしく、前回の「総論」に対して、今回は「深堀り」として、売場作りからPOPの極意までかなり詳しく掲載されています。
この中で興味深かったのはやはり菊池社長のインタビュー記事のところでしょうか。
3月号の特集記事が大手企業の方からも好評だった理由を問われて、(以下引用)
「大手リテーラーの方は、われわれにノスタルジーを感じているんだと思います。『昔、俺たちもああだったよ』と。途中からチェーンオペレーションが入ってきて、ちょっと違った方向へ行ったけれども。 だから、『アイツら本当にバカみたいにやってるよな』という感じだと思うんですよ。『信じられないよ、あのやり方をずっと続けているなんて』といったように。でも初期段階はみんな僕らみたいな感じだったはずなんですよ。でも、一度チェーンオペレーションにしちゃうと、もう戻れないという状況になっちゃうんですよね。」(引用終わり)
リテールチェーンにかかわる仕事をしている人間にとって、しかも、店舗数の少ないころからそこそこ大きなチェーンへの進化(?)を経験した人間にとって、この菊池社長の言葉は本当に感慨深いものがあります。
思い起こせば、たぶん経験のある方は、共感してもらえるのではないか、と思いますが、商売って、本当は、自分で仕入れて、自分で売場作って、自分で売る、「自己完結」している時が一番売れるし、楽しいんですよね。
それを、企業を拡大する過程で、ある時点で、チェーンストアオペレーションを学び、分業を始める。分業してもみんなの気持ちがひとつで、一枚岩のままならそれなりに大きな威力を発揮するんだけれども、いつか「づれ」が発生する。それをカバーするために標準化、マニュアル化を計る。当初の思いを知らない人が増え、そのマニュアルに基づいて仕事をしている。いつの間にか、お客さんから遠いところで仕事をしている・・・
菊池社長は、おいおい、それでいいのか?それで楽しいのか?ほんとにお客さんのためになってるのか?と言っているように聞こえるのです。
そしてヴィレヴァン58ヶ月連続既存店売上高前年対比クリアの秘密に関する重要と思われるコメントを引用しましょう。(以下引用)
「僕らがやっているのは個人商店の集まりであってチェーンオペレーションではありません。店長のPOPライティング、ディスプレーの仕方、仕入れの仕方、バイトの使い方、マーケティングの仕方は年々ブラッシュアップされる。そういうことをやっている。だから売上が上がるんです。
つまり、現場のブラッシュアップと売上げが見事にリンクする稀有な小売業をやっている。(以下省略)」(引用終わり)
人が成長するから既存店売上も上がる。
ハッとはっとします。目から鱗です。でも、ただそれだけなんですよね。極めてシンプルですが、基本だし、真実だと思います。記事によると、ヴィレヴァンの人事評価は、6割が数字(店舗、担当カテゴリの売上前年対比アップ)、4割が本人が成長したか、人を育てたか、だそうです。
いろんな意味で、ヴィレヴァンそのもののオペレーションのズバリ真似は難しいと思います。また、チェーンオペレーションにしたリテーラーもあえて形だけ個店対応に戻すことも適切ではないと思います。
しかし、「人が成長した分、既存店売上が上がる」という図式には、どんな企業でも取り組めることではないか、と思います。
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