採用難とショップの魅力
5月8日の繊研新聞、「流通レーダー」というコーナーに大手カジュアル専門店各社のパートアルバイト(P/A)の採用難が成長戦略に大きく影響を及ぼしている記事が掲載されていました。
直近の決算はまずまずの業績を叩きだしている各社も、景気回復による他産業と競合、郊外SCへの通勤条件の悪さ、商業施設の営業時間の長さなどが主な要因となりP/Aが思い通りに集められない状況。求人費の上昇、時給をあげても集まらず、苦肉の派遣会社の活用も少なくなく、人件費を圧迫、目先は出店戦略を、中期的には販売管理費の恒常的な上昇やサービスの質へと影響を及ぼして行くことが懸念されます。
この問題はファッションに限らず多くの流通企業が数年前から頭を痛めている話。これまで、自力で(?)育った優秀なP/Aを社員登用するというスタイルをとる企業が多い中で、予備軍の頭数の「確保」という入り口の部分につまづいているのが現状です。
確かに、回りでも、時給を上げたり、短時間採用、短期間採用などを組み合わせたり、小手先で急場をしのがれる事例を多く見受けます。しかしながら、王道あるいは正論を言えば、やはり労働売り手市場の時代に奇策はなく、時給や報奨金など目先のお金で釣るのではなく、 「トップ主導で」 腰を据えた企業ぐるみによる 「働きたいお店の環境づくり」 に尽きると言えそうです。
企業イメージは確かに広告宣伝費をかければ多少はあがるかもしれませんが、これからの時代に取り組むべきことは「店長」をキーパーソンとした、人が成長する、活気のある、そしてそれが顧客に伝わる、働きたくなる魅力ある職場づくりではないでしょうか?
ここ2週間でブログでご紹介したヴィレッジ・ヴァンガードは、3年半もの間、地域最低時給に耐えたP/Aのみを社員登用するという、「踏み絵」を踏ませる、一見、搾取構造のようにも見える人材登用システムをとっています。しかし、実は、企業のビジョンと品揃えの魅力を理解したスタッフに、権限委譲と階層別に人がやりがいをもって活躍する「環境」をトップが主導して意図的に作っているからこそ成り立ち、成果が上がっているのだと思います。
また、こちらも以前ブログで紹介しましたが、ハニーズやアースミュージック&エコロジーのクロスカンパニーのように目先の人件費高よりも中長期的な企業戦略、人材育成を優先させ、P/Aに頼らず、新卒を正社員として採用し、育成する仕組みをとりながら成長している企業も出てきました。
資本主義ではなく、人本主義・・・今回の採用難の問題も人材育成に対する企業姿勢と、切り離せない問題だと痛感しています。
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Comments
いつも拝見させていただいています♪
アルバイト採用には前職で関わっていましたので、思わず反応しました。
昨年後半頃から、バブル期のような採用難の状況ですね・・・。
特に、アパレル業界は、好きなブランドで働きたいという方が多いので、
求める人材がお店のターゲット顧客とズレがある場合は致命的ですよね・・。
私が前職の時、感じていたことですが、
特に若い世代の広告への猜疑心が強くなっています。
「どうせ広告だからいいことしか書いてない、ウソなんじゃないの?」という価値観です。
それは求人広告も同じで、見せかけの「よい雰囲気の会社」は信じてもらえません。
ご指摘のとおり、実体として「働く魅力のあるお店づくり」をして、口コミでうわさが伝わるレベルまで持っていく必要があると思います。
そして、広告を使うときは、いかにリアリティを出せるか、に尽きると思います。
新店の場合は仕方ないですが、こういう時代には、スタッフを辞めさせない職場環境や人材育成がますます必要となりそうですね。
Posted by: のだあき | May 11, 2006 10:11 AM
のだあきさん
おはようございます。コメントありがとうございました。
さすが、前職で本業だったとのことで、説得力のある言葉ですね、
感謝いたします。
使える人を挿げ替える時代はもう続かないでしょう。これからは育成あるのみだと思います。
また気がついたらコメントよろしくお願いいたします。
PS これからのプロジェクトがんばりましょね。
Posted by: taka | May 12, 2006 09:50 AM