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June 28, 2006

見直されるバーゲン

 6月27日の日経新聞に、百貨店各社が夏のバーゲン期間を短縮したり、値引き率を抑制したりする動きに関する記事が掲載されています。

 百貨店やファッションビルでは、今でも7月と1月のバーゲンシーズンの売上は大きいものがありますが、業界全体で、プロパーシーズン(定価販売期間)とバーゲンシーズンの売上の差が年々小さくなっているのが現状です。

 背景には、生活者にあわせた業界の企画生産販売体質の変化があるのは間違いありません。

 従来は、
○春夏秋冬それぞれのシーズンに必要な商品を半年前から仕込み、期間中「売り減らし」をする
○バーゲン時に一斉値引き販売、その後の残在庫処理に追われる

 生産側の都合とバーゲン値引きや残在庫処分損を定価で購入する生活者に負担させていることに他なりません。

 これに対して、
○シーズンを生活者の需要にあわせて細かく分け、その時に必要な分だけ作り、
○売れたら追いかける(「買い足し」型)、売れても深追いをせず、次の新しい商品を投入する
○新しい商品が入ってくるから滞留期間の長い商品はバーゲン期間でなくても売場から引き上げたり、値下したりする
この方式が全体的に主流になりつつあると思います。

 生活者側から見れば、今買わないと売り切れる、という危機感は煽られますが、いつも新しい商品が売場に並んでおり、売り手側もそれほど値下をしなくて済むわけです。
 
 今回の百貨店のバーゲンに対する動きはまさにこういった流れを受けたもの。かつては、天候要因で、季節にメリハリ(夏暑く、冬寒い)があるとバーゲンは玉切れ、その逆だと、バーゲン好調ってな天候頼みの他力本願的な話をよく聞きましたが、今後は、企業もさらに努力をし、生活者も鮮度の高い商品を手にすることが現実になればな、と思います。

 そうしたら楽しみなバーゲンがなくなるじゃないかって?

 大丈夫、そんな動きが進めば、シーズン通していい商品が安く買えるようになるはずですから、大局的に見れば、得するのは、生活者ですよ。

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June 27, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-住友商事が伊勢丹からバーニーズを買収(06.06.21)

 コメント:先週の業界の一番大きなニュースでした。

2位-「JR百貨店」の脅威(06.06.19)

 コメント:伊勢丹の戦々恐々のJRの勢いはまだまだ続く
 
3位-まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図(05.12.25)

 コメント:ポストSC時代、生活者は「都心回帰」がその答え?

4位-30年目を迎えたセレクトショップ(06.06.13)

 コメント:希少価値を保ちながら、アメーバーのように新しい業態を産む
      セレクトショップ新時代の到来。

5位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:おしゃれな子ほど古着屋を上手に使ってるみたいですね。

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June 26, 2006

ポストSC時代に大切なこと

 25日の日経新聞、連載特集「消費をつかむ」および「言葉で読む消費」を読みながら、まちづくり3法改正以降のポストSC時代の商圏とビジネスのあり方を想像していました。

 近隣型SCに次なる成長を求め、新業態も視野に入れて開発に力を入れる企業。既存大型SCテナント入れ替えに隙あらば新業態で更に食い込もうとする企業。本命はJRと、波に乗る企業。最近はそんないろいろな業界話や報道が耳に入ります。

 企業の成長戦略として、どれも決して間違ってはいないと思いますが、この日の日経の記事、特に1面の「消費をつかむ」を読んでいると、商売にはもっと大事なことがあるような気がしてきます。

○売上高が驚異の103ヶ月連続プラスの京急百貨店(横浜市上大岡)の話・・・同店のポイントカードを持つ港南区の顧客=13万人は、同区の世帯数の1.5倍といいます。
○駐車場がガラガラで駐輪場を増設する埼玉の商業施設
○他県からの集客ができなくなり、へたる上越の郊外大型パワーセンター・・・

 アメリカのSC社会に宝の山を見、大型SCで広域からの集客をもくろむ大手デベロッパーの夢は、まちづくり3法改正を待たずとも、打ち砕かれ、企業の「投網」戦略とは裏腹に、少子高齢化、人口減時代は小商圏あるいはアクセスのよい立地で、幅広い世代の顧客にきめ細かく対応する企業の支持が高まる必然。

 顧客の顔が見えているということ、ローカルの需要に応えること、工夫を続けること、そしてそんなひたむきの努力に口コミで顧客が顧客を呼ぶ時代。企業に必要なことは、現場への権限委譲、真の商売人づくり・・・変わるだろうな、そんな風に、と思う今日この頃。

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June 25, 2006

H&M(エッチアンドエム)が来春中国進出

 6月23日の繊研新聞の記事を受けて、早速、両国さくらさんの 「新・両国さくらのファッション・イン・ファッション」 でも取り上げていらっしゃいますように、世界4大SPA、ファストファッションの雄、H&M(エッチアンドエム;へネス&モーリッツ)がいよいよ極東(欧米にとっては、日本は”FAR EAST”なんですよね)は、中国進出を発表しました。

 これは、同社の5月31日で締めた半期業績報告(IR)の中でのリリース内容がそのまま報道されたもので、HPの詳細をいろいろ読んでみましたが、この件に関する内容は、今のところ、以下の文章がすべてのようです。

 The H&M Group has signed contracts for the first stores in the Far East. The establishment in China is a first step into a new, large and exciting market. During spring 2007, H&M is planning to open one full-range store each in Shanghai and in Hong Kong in best business location.

 2007春、上海と香港一軒づつ、繁華街にフルラインのストアをOPENすることにより、極東マーケット開拓の第一歩を踏み出すとのことです。

 中国進出後、どういうタイミングでH&Mが日本攻略を始めるかがとても興味深いところです。

 参考までに今年日本に独資1号店をOPENしたスウェーデンのIKEA(イケア)の極東進出の歴史を振り返ると・・・

・1975年、香港にフランチャイズ形式でスタートその後、M&Aでフランチャイジーは変わっていますがフランチャイズのまま現4店舗。
・台湾では、香港のフランチャイジーが1994年にスタート。現3店舗
・中国へは1998年中国北京に独資で進出。現3店舗
・日本は80年代にやはりフランチャイズ(アクタス)でスタートしましたが、撤退。ご存知の通り今年独資で再進出を実現。

 H&Mが日本ではなく、中国から極東進出をスタートしたのは、いろいろな憶測ができると思いますが、マーケット的に成熟している日本に比べて、日本より中国の方が攻略しやすいこと、成長途上の中国での方が大きな成長が期待できること・・・もうひとつ忘れてはならないのは、上海や香港に、極東マーケット攻略の物流ハブを作ることを構想しているのではないか、と思われるところです。

 ZARAのインディテックスのように、南欧・地中海など近隣諸国で多くを生産して、スペインの物流センターからFEDEXで世界中どんなに遠くても72時間以内に商品を届けるしくみを作っていれば、展開国数をどんどん拡大することが可能ですが、H&Mの場合は、世界中でつくり、ヨーロッパに持ち込むところから歴史が始まっています。

 北欧の人口800万人のスウェーデンの企業は、生まれながらにして、世界で作って、世界に売るのがビジネスであると考え、常に国際的発想で、しっかりと地政学的なマーケティング戦略、すなわちロジスティック戦略を敷いた上で、マーケットを攻略することが必定であると考えられます。

 また、機が熟した絶妙のタイミングで、「テコの力」を利用することも考えると思います。今はまだ、アメリカ(特に西海岸)進出間もないH&Mは、業界人は別にして、日本の生活者にそれほど名前やイメージが刷り込まれていないでしょうし、日本マーケットは、成熟しているとは言え、まだ、ファストファッション受け入れの下地も十分とは言えません。今後、ZARAやユニクロあるいはワールド、ファイブフォックス、はたまたハニーズなどがもっともっとファストファッションの下地を日本で作った上で、そして、上海あたりに世界で作った商品の集結基地を作った上でやってくるであろうと推測します。

 しかしながら、そんな遠い将来ではないでしょうね。「その日」を境に、日本のファッションマーケットがどのように変わるか、いろいろな思いで、想像しています。 

 関連エントリー-スウェーデン企業の国際性
 関連エントリー-H&M(エッチアンドエム)の海外市場攻略手法
 関連エントリー-ZARA(ザラ)中国本土1号店開店

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June 22, 2006

日経MJ2006年上期ヒット商品番付から

 6月21日の日経MJに恒例の2006年上期ヒット商品番付が出ています。
 今回の東の横綱は、脳を鍛えるゲーム、西はダ・ヴィンチ・コードとのことですが、番付入りしている商品の中から「ファッション流通ブログde業界関心事」的に気になったものを・・・

 ズバリ、西の前頭2番目のIKEA(イケア)、同じく前頭11番目のスターフライヤー、東の前頭12番目のスタイリッシュめがね。

 洋服以外の身の回り品にもファッション的なデザイン性が求められるのは当たり前の時代ではありますが、まだまだ一部のこだわり層の関心事だったと思います。しかし、今年のスウェーデンの世界最大の家具チェーン、IKEA(イケア)の日本進出が引き金になって、今年からこの傾向は大衆に落ち始める元年になるのではないか、と見ています。

 スタイリッシュめがねもしかり、ZOFFなどのおかげで、気軽に着替えるファッションめがねが身近になりましたね。スターフライヤーもまだ乗ったことありませんが、指名したくなるかっこいいデザインですね。

 特に、ヨーロッパの中でもスウェーデン発のデザインは注目です。家具(IKEA)、車(VOLVO、Saab)、ケイタイ(Sony-Ericsson)・・・機能的でシンプルで美しいデザイン、ヨーロッパの工業デザインの雄が日本のライフスタイルデザインを大きく変える予感。これからも楽しみです。

 関連エントリー-IKEA(イケア)が日本のホームファッション業界を変える?
 関連エントリー-アスクルデザイン事務所
 関連エントリー‐毎日の気分で着替えるメガネ

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June 21, 2006

住友商事が伊勢丹からバーニーズを買収

 本日の日経新聞や繊研新聞によると、総合商社の住友商事は、ファンドと共同で、百貨店の伊勢丹から、アメリカの高級ファッションスペシャリティストア「バーニーズニューヨーク」を日本で展開する子会社バーニーズジャパンを買収すると発表しまいた。出資比率は50.1%が住友商事、残りがファンドです。

 住友商事関連プレスリリース

 06年2月期のバーニーズ・ジャパンの損益は、前期の5300万円の赤字から3億9100万円の黒字に転換しており、1989年のオープン以来、17年間育ててきた「バーニーズ」のブランドを手放すのは、伊勢丹としても口惜しいとは思います。 しかしながら、これから始まる首都圏を舞台にした百貨店改装増床戦争を前に、本業への集中投資を選択したとのこと。新宿本店メンズ新館改装の大成功を受けて、来年以降 本館も数百億を投資して改装すると聞いていますので、二兎は追えないとの判断でしょう。

 伊勢丹だからこそ守り続けた「バーニーズ」のブランド価値だと思いますし、「バーニーズ」を舞台に、世界的に活躍されている田代さん、勝田さん、藤巻さんのような人材も輩出した歴史もありますしね。伊勢丹さんに対し、まずは、ご苦労様でした、と言いたいところです。

 それを受け継ぐ住友商事も興味深いです。以前もブログで紹介しましたように、同社はこれまで、リテール・ブランド戦略については、単なるブローカーではなく、「価値を磨く」姿勢、ノウハウ、実績を蓄積した商社だと思っておりますので、コーチ同様、総合力を投下して、じっくり日本での企業価値を上げたうえで、将来、ふさわしい企業にバトンタッチしていただければ、と思っています。

 ふさわしい企業・・・コーチのようにアメリカ本社独資のジャパン社?それともユナイテッドアローズってのもありえるかもしれませんね。 

 関連エントリー‐住友商事の地に足のついたライフスタイルリテイル事業 

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先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-30年目を迎えたセレクトショップ(06.06.13)

 コメント:BEAMS(ビームス)創立30周年おめでとう。これからもストリート
      カルチャーをリードしていってくださいね。

2位-無印良品がアメリカに進出(06.06.11)

 コメント:完全復活で満を持してのアメリカ進出。ユニクロと巻き起こせ
      ニッポンブーム!
 
3位-まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図(05.12.25)

 コメント:国会閉幕。来秋から郊外大型SCは出店規制へ。
      SCで大きく売上げを伸ばした各社の成長ロジックの向かう先は・・・

4位-中国物流加工活用でアパレルコストを削減する条件(06.06.15)

 コメント:小売業がリーダーシップを取って、めざせ生活者のためのコスト削減!

5位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:古着関係のエントリーがらみで1年ぶりに上位に浮上。

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June 20, 2006

オブザベーションで生活者に優しい商品、売場づくり

 一橋ビジネスレビューという主にMBA向けのビジネスケーススタディ論文を収録した季刊誌がありますが、最新号2006夏号は「営業を科学する」という興味深いタイトルだったので、手にとってみました。

 その中に西川英彦立命館大学助教授が書かれた「無印良品」を展開する良品計画の「オブザベーション」という消費者行動観察に基づく商品開発に関する論文があります。同氏は、この「オブザベーション」が2001年以降、無印良品のV字回復を支えた開発手法のひとつとして紹介しています。

 「オブザベーション」とは、実際に生活者の自宅を訪問し、日常の生活を観察させてもらい、リアルな消費の現場から消費者のインサイト(潜在意識)を見つけ出そうという手法です。具体的にいうと、家族構成の違う200世帯の家庭の浴室、洗面所、押入れ・・・普段のありのままの状態を記録・撮影させてもらい、6万点のデータを取得。写真に写っている状況を推測を排除してありのままに文章化。共通する事実を分析して、商品開発へと活かすという手法です。

 つまり、生活者が無意識に行っている行動、工夫の中から既存の商品で満たされていないものを発掘しようというものです。

 この論文にも書いてありますが、アンケート、対面インタビュー、フォーカスグループなど従来のマーケティング手法では、消費者の本音(深層心理)は炙り出せないという話。

 私も、かつて、ある専門店にいた時に営業の責任者として実施した2000人規模の顧客テレマーケティングインタビューでお客様から、さまざまなご意見を頂き、実際それに基づき、仮説戦略を実行したことがありました。筆頭に上がった企業側にとって耳障りのよいご意見よりも、3番手くらいにあったよりベタベタなご意見や客観販売データの中に本音があったりしたことを実践検証の中で思い知らされた記憶があります。

 つまり、お客様が実際に書いたり、声に出したりしておっしゃることはもちろん真実であり、大切なのですが、無意識で実際行っている行為、使い方の中に、「本音中の本音」が隠されているということがよくあると思うのです。

 以前ブログで紹介した消費者行動学に基づくリテールコンサルタントの第一人者、パコアンダーヒルさんも、書籍でこの点を指摘しています。

 生活者がより快適にお買い物をしようと、店頭で行っている工夫、行為を、より気軽にできる環境を提供して差し上げれば、売上は伸びる、と。

 そんな発想に頭が切り替わると、鏡の置き場所、フィッティングルームのあり方、レジ周りなどがいかにお客さんにとって不便であったかが思い知らされます。

 無印良品のオブザベーションも、パコアンダーヒルさんの追跡観察も意味する本質は同じだと思います。口には出して言わないことに気づき、かゆいところに手が届く商品の開発、売場の改善。売り手の都合じゃなくて、そんな生活者に優しい、気遣いのある企業が支持を得る、そんなあたりまえの時代が来ているんじゃないかなと思います。

 そう、あなたの売場でも今日から実践できることはいっぱいあるのではないですか?

 関連エントリー-ついこの店で買ってしまう理由(わけ)

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June 19, 2006

「JR百貨店」の脅威

 本日の日経MJに、先日閉幕した第164通常国会で成立した流通関連の法案に関連する記事が掲載されています。

 ファッション流通を変えるであろう、もっとも関心の高い成立法案のひとつは、やはり、まちづくり三法の見直しの中の改正都市計画法、つまり郊外の大型SCの実質出店規制に関するものでしょう。

 このブログでも「このまちづくり三法改正」に関する過去のエントリーが今でも多くのアクセス数を頂いております。

 このまちづくり三法改正に関連して、先週の週刊東洋経済の特集、「知られざる巨大流通、台頭『JR百貨店』」、はJRを取り巻く時事問題が整理されていて、大変興味深く読ませていただきました。ポスト郊外SC時代の主役は、郊外近隣型SC(NSC)ではなく、やはり、ターミナル駅を舞台にしたJRグループであることは間違いなさそうです。

 記事によると、売上換算したJR本州3社の流通関連売上高は、05年度、イオン、セブンアンドアイに次ぐ第三位の2兆円、JR東日本単体でもダイエーに次ぐ第4位の1兆3840億円。

 記事を読んでいると、札幌駅、名古屋駅、博多駅、そして今後の大阪駅、東京駅・・・日本全国の主要駅で、「駅+百貨店+JR系駅ビル(専門店)」の「次世代都心型SC」が圧倒的な集客力により駅周辺の消費を飲み込んで行くのがわかります。従来は、百貨店は少し駅から離れているくらいでないと、十分なスペースと品揃えが出来ずにあまり売れないという常識があったようですが、JRと百貨店が資本提携も含めて組むことによって、時間をかけて、より生活者のことを考えた提案型の開発、店作りが実現しているといいます。
 
 今後はこれらの駅に準ずる乗降客の多い駅でもこれに近い開発が進むことが十分予想され、その際は、百貨店ではなく、先ごろ提携を発表したイオンのようなGMSが指名されるのでしょかね。

 記事によると、ファッション流通の中でも、早くからルミネなどJRの出店成長エンジンに乗ったのがユナイテッドアローズとサンエーインターナショナル。しかしながら、駅立地では、爆発的な集客力、滞留時間が短く、商品回転が極めて速い立地で、他の立地とは異なった早期投資回収のビジネスモデルの構築が迫られると言います。

 ルミネの社長さんは、「毎年15%のテナントを交代させ、6年少々で全テナントが入れ替わるよう新陳代謝を図る。」と豪語。確かに、一般的に店の寿命は5年(売上が前年をクリアする限界)といわれていますので、極めて合理的に聞こえますが、出店企業も息つく暇なしといったところでしょうか。

 私も新宿あたりの駅ビルは便利に利用させてもらっていますが、その入れ替えのスピードにびっくりすることもある今日この頃です。 

 関連エントリー-まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図
 関連エントリー-2010年、大都市商圏がおもしろい
 関連エントリー-都が「駅ナカ」課税強化


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June 17, 2006

婦人スーツのパターンオーダーが人気

 本日の日経新聞に、大手紳士服チェーンによる婦人スーツのパターンオーダーサービスの需要が伸びていることに関する記事が掲載されています。

 パターンオーダーとは、業界(作り手)側から言うと、型紙(パターン)を修正せずに対応できるカスタムメイドオーダーのことです。生地が何種類かと型紙が何種類か用意されていれば、その数の掛け算分の需要に対応できるわけです。

 購入側から見ると、試着サンプルで着心地を確かめて、好きな生地を選んでオーダー。シルエットの変更はできませんが、
 ○生地が選べる。
 ○上下(ジャケットとパンツまたはスカート)で違うサイズをセットアップできる。
 ○袖丈、股下、ウエスト、ヒップなど、縫いしろ+アルファーくらいの範囲であれば
  補正可能。
 といったオーダーメイドまでは行かなくとも、手ごろな値段(記事によると、洋服の青山、アオキ、タカキューあたりで、3万円台から5万円台)で、「あなただけ」のオリジナル商品が短期間(1-2週間)で仕上がるものです。

 リクルート、新入社員、OL、キャリアなどに、需要が広がっており、先行したアオキでは、06年3-5月の販売が前年対比で2倍、遅ればせながら今年三月始めた青山商事では、1年間で6億-10億円の売上を見込んでいるとのことです。

 女性の社会進出、制服の廃止などの社会変化背景あっての話ではありますが、紳士服のノウハウが婦人服のサイズ需要に対応できる好例だと思います。まだパターン数と生地数はそれほど多くはないようですが、これから更なる需要の見込めるところではないでしょうか。

 もっとも、女性に限らず、私もスーツを購入する際は、企業側が用意する上下セットのサイズが合わない人のひとりです。最近は、すべてセットアップ販売(上下違うサイズが組み合わせて買える)の店が増えてきたので対応できてきましたが、こういったパターンオーダーの需要から業界が対応すべきサイズ問題など学ぶことはいろいろあるのではないか、と思います。

 関連エントリー-ファッション業界でサイズ対応が始まる

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June 15, 2006

中国物流加工活用でアパレルコストを削減する条件

 6月14日の日経新聞、本日(6月15日)の繊研新聞それぞれに、中国生産したアパレル製品を日本に輸入後、出来るだけコストをかけずに店舗に届けるSCM(サプライチェーン)プロジェクトに取り組む企業の記事が掲載されています。

 前者は、洋服の青山やザ・スーツカンパニーを展開する青山商事、オンワード樫山のエニファム、PIKOやタウン&カントリーなど量販向けサーフブランドを販売するカジュアルアパレルのクリムゾン、後者はナルミヤインターナショナルの取り組み事例です。

 中国生産へのシフトが異業種よりも進んでいると言われるアパレル業界。これまでも流通の合理化(中抜き)、SPA化などにより、製造原価や流通コストを下げる努力を続け、粗利益率を上げる努力を重ねてきました。

 競争はさらに激化、店頭価格は下げ止まったものの、家賃・人件費の高騰を中心としたコスト(販売管理費)アップは深刻な問題。さらなるコスト削減に余念がありません。
そういった改革の一環で、ここ数年、各社がメスを入れているのが、今まで国内でかけていた加工経費や物流経費です。具体的にいうと

○品質検品(検数と検質)
○小売客先別値札(バーコード)つけ
○検針(ミシンの折れ針が残留していないかどうかの機械によるチェック)
○アソート組み(各店で必要なカラー・サイズのセット組)

などの作業。

 これまでも日本人技術者の派遣や日本の検品加工会社の現地法人設立などにより徐々にではありますが、これらの作業を中国側で完結させていましたが、今回の各社の取り組みのように、日本で輸入通関を終えた商品を港からそのまま全国の店舗あるいは客先のセンターへ直接納品という試みはここ最近増えて来た話だと思います。記事によると、これらにより物流コストの2-5割削減が可能とのこと。

 もっとも、こういったコスト削減を実現するための条件は、

 ・小売側がリスク分担を伴う主導権を取る
 ・アパレル卸と小売の密なコミュニケーションと信頼関係
 ・SPA(製造小売)業態で自己完結していること

などなど、いずれにせよ小売側のリスク分担、信頼関係、リーダーシップが問われるわけです。

 記事にはありませんでしたが、しまむらの今年の決算で粗利率を押し上げた要因のひとつは、こういったリーダーシップだったわけですし、今回の記事の事例もクリムゾンを除きすべて店頭を持つSPA業態です。

 言うは易し。行うは・・・。コストを削減するには、小売の意識改革とリーダーシップが必須だということです。

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June 14, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-2007年問題を前に・・・(06.06.05)

 コメント:団塊世代の方々の人材育成面でのご活躍を期待しております。

2位-成熟期を迎えた?古着マーケット(06.06.07)

 コメント:古着はヤングのファッションスパイスとして完全に定着した感あり。
 
3位-IKEA(イケア)を迎え撃つニトリの品質管理改革(05.12.01)

 コメント:今年はホームファッションがほんとに熱くなりそう

4位-しまむら参戦で郊外靴流通が熱くなる(06.05.17)

 コメント:しまむら流は靴業界も制圧するか?

5位-まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図(05.12.25)

 コメント:日本各地でさまざまな動きが・・・

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June 13, 2006

30年目を迎えたセレクトショップ

 本日の繊研新聞1面、1976年創業のビームス誕生から30年目を迎えたセレクトショップの現状と今後の動向に関する特集記事「セレクトが動く」が始まりました。

 記事によるとユナイテッドアローズ(UA)、ビームス、ベイクルーズ、シップスのセレクトショップ大手4社の売上高は97年に460億円だったのに対し今年06年は1400億円と10年間で3倍にもなったのですね。

 インポートとオリジナルを編集する「セレクトショップ」のコアコンセプトは30年前と変わらないものの、この10年は、情報発信(マーケティング力)、新業態開発、接客の向上、個性的な店づくりなどなどを積み重ね各社成長を続けてきたと言えますが、百貨店、アパレル、その他の専門店もセレクトショップ業態に参入し、セレクト業態であることが、とりわけ珍しいものでもなく、陳腐化、同質化が避けられなくなっています。

 もともとは、補足的な役割であったオリジナルとインポートの構成比率が逆転し、6~7割がオリジナル、3~4割がインポートというのが現状。

 記事の中で、UAの岩城社長は「消費者が直接欧米と日本の売り場を見比べて購入するようになった」、「情報のスピードが加速し均質化した」、もはや、「海外から目新しいものを紹介する優位性はない」など既存セレクトショップに極めて的確で危機感をもたれた情勢分析をされています。

 実際、海外トレードショーでセレクトショップバイヤーを案内されてるインポーターさん(輸入業者)の姿を見かけますが、同じようなところが複数のセレクトショップをお相手してますしね。代理店経由でなくとも、現地のコネクションを使って、そういったセレクトショップが買い付けたものに目をつけて同じタイミングで輸入してしまう比較的量販志向の専門店も少なくありません。

 話は変わりますが、本日の日経新聞に格安海外旅行でおなじみのHISが、2005年度海外旅行取扱人数、前年対比7.6%増の231万8千人で初めて、業界最大手のJTBの225万2千人(前年対比3.7%減)を抜きトップに立ったとの記事が掲載されています。金額ベースでは、まだHIS 2494億円に対して、JTB 4109億円と大きな差はありますが、ある意味、日本の生活者を取り巻く大きな変化を物語るひとつの事象だと思います。(私も学生時代からHISにはずいぶんお世話になりました)

 先ほどのUA岩城社長のコメントではありませんが、日本のそこそこのセレクトショップや専門店のバイヤーが定点観測してヒントを得ているパリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、LAのファッションストアやセレクトショップは、既に「地球の歩き方」にも掲載され、格安航空チケットで海外旅行に行く一般生活者が平気で、現地価格でお買い物をしている時代に、また、日本未進出の人気ファッションストアの商品をインターネット通販で直接購入する若者が急増している今、かつて業界がほんの少し早い情報を文化的時差と目利き力で生活者を魅了していた優位性はもはや終焉したと言えます。

 そんな時代に、これからも「セレクトショップ」が支持を獲得し続けるためには・・・

 目利き力がブランド化したのを利用した希少価値が売りの、いわゆる「コラボ限定商品」?より多くの客層を取り込める業態開発により、間口(客層)を広げること・・・それもそれでいいでしょう。

 しかし、情報化が進み、成熟したと言われるマーケットの中で、次世代のセレクトショップが求められる役割とはなんでしょう。

 もちろん、ファッション商品そのものへのこだわりや目利き(感性)による希少価値の発掘あるいは創出は必須ですが、それだけではなく、社会情勢や生活者心理・・・時代の変化といったマクロトレンドを的確に整理し、アカデミックに先読みするマーケッターあるいはトレンドセッターとしての継続的な半歩先行く情報発信力が重要になってくるのは間違いなさそうです。

 関連エントリー-トレンドセッターの流行先読み術

 セレクトショップをわかりやすく解説した良書はこちら・・・

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June 11, 2006

無印良品がアメリカに進出

 6月11日の日経新聞によると、「無印良品(MUJI)」を展開する良品計画は、早ければ2007年初めにもニューヨークマンハッタン地区に第1号店を出店し、その後、全米に店舗網を広げる計画とのこと。商品的には、衣料と雑貨中心で食品は扱わないとのことです。

 同社は、国内304店舗、海外は、欧州アジア合計で55店舗を展開中。長年赤字に苦しんだ海外事業も2006年02月期決算は、5億4千万円の経常黒字を上げているとのこと。

 良品計画は、2002年の苦い決算の反省から、2003年以降、社外取締役のしまむら藤原会長の指導の下、しまむら流改革が4年越しに功を奏して、既存店売上の向上、販売管理費の徹底削減が定着し、2006年2月期決算は完全復活宣言。国内のオペレーションに自信がついたところで、満を持しての米国進出というところでしょうか。

 アメリカやイギリスの日本を良く知るファッションビジネス関連の知人と、「日本のファッション企業の中で、欧米で成功の可能性の高い企業またはブランドは?」という雑談をよくしますが、MUJIは必ずその筆頭に上がります。シンプルながら機能的で、その中に、日本らしさ、オリジナリティを感じるというのです。ちなみに、ユニクロは?と聞くと「GAPやNEXTとの違いがわからない」という意見が大半。

 ユニクロが立ち上がり大苦戦を強いられている世界最大のアメリカマーケットで、海外事業の先輩がどんな成果を見せてくれるか?

 あるいは、ユニクロの旗艦店がこの秋のOPEN、年明けMUJIと来たら、マンハッタンで、ちょっとした日本ブームも起きないものかと、少し期待もしております。

 関連エントリー-ユニクロのアメリカ進出、その第一歩は・・・
 関連エントリー-やはり文化は高いところから低いところにしか流れないのだろうか?ユニクロ中間決算発表から
 
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June 09, 2006

この夏、マドンナがH&M(エッチアンドエム)の顔に

 6月8日付けのスウェーデン本社、世界22カ国で1200店舗を展開するファストファッションSPAの雄、H&M(エッチアンドエム;へネス&モーリッツ)社のプレスリリースによると、同社は、世界のスーパースター、MADONNA(マドンナ)と契約を交わし、主に、

○5月21日からスタートする彼女のワールドツアーのマドンナ本人およびダンスチームのOFF STAGE衣装の提供(同ツアーのON STAGEはジャンポールゴルチェとのこと)
○8月中旬のマドンナモデルのTRUCK SUIT(いわゆるウォームアップの上下)の発売と彼女による広告

の2点で提携したとのことです。

 H&Mプレスリリース

 マドンナは、今年、47歳とは言え、世界でもっともファッションに影響というか、インパクトのあるファッションアイコンであることは、誰もが認めるところではないか、と思いますので、お金が動いているとは言え、H&M、さすがですね。

 H&M(エッチアンドエム)は、ヨーロッパコレクションと同シーズンのファッショントレンドアイテムを低価格の素材に置き換え、タイムリーに市場最低価格で大量販売をしてしまうという、いわゆるファストファッションのZARAと並ぶ、世界最大業態のひとつ。ユニクロの柳井会長が戦々恐々としている日本でまだ見ぬ強敵の最右翼です。

 H&Mはトレンドファッションが安いだけでなく、一昨年のカールラガーフェルド、昨年のステラマッカートニー、今年のヴィクター&ロルフといった業界がびっくりするようなデザイナーとの提携や、シンディ・クロフォード、ナオミ・キャンベル、昨年は疑惑で中止になったケイトモスなど、スーパーモデルを広告に起用するなどで話題づくりには事欠きません。
 
 また、同社のメジャーどころでの話題づくりばかりが注目されますが、価格は安くても、生活者にファッションとしての安心感を与えるために、格式が高く、生活者心理が計算された店舗内装や、世界的なメジャーではなくても現地ではそこそこ知られた著名人にウエアを着てもらい、ライフスタイルを滲み出すタイプの広告シリーズは昔から地道にやっているようです。日本でユニクロが毎シーズン、芸能人や著名人を起用して一連の広告を打って話題を呼んでいますが、これらは、もともとH&Mのアイデアをベンチマークしたものとも聞いています。

 ”philosophy of diversity and fashion freedom”
 
 H&Mがプレスリリースに使っている私も好きなフレーズです。

 ファッションは一部の閉鎖的な人たちのものではなく、それを楽しみたい人、みんなのものである、と伝わってきます。

 とても共感します。そして、このビジネス哲学がH&Mの世界での成長を支えている源だと思っています。

 関連エントリ-欧米マーケットに影響与えるファストファッション
 関連エントリ-H&M(エッチアンドエム)の海外市場攻略手法
 関連エントリ-H&M(エッチアンドエム)の06年コラボはヴィクター&ロルフ

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June 07, 2006

成熟期を迎えた?古着マーケット

 本日(6月7日)の日経新聞に、4年連続で増える古着の輸入量についての記事が掲載されています。
 欧米を中心に2005年の輸入量は8,081トンと前年対比10.6%増とのことで、世代別の古着需要について、解説がされています。

 去年このブログでもご紹介しましたように、10代、20代の若者の古着需要は、ファッションのスパイスパーツとして完全に定着した感がありますが、流入する量の増大に対しては、業界は警戒感を示しています。

 アメリカはLA、ヨーロッパはフランス(ヨーレカ社など)が世界2大供給地ですが、最近は、そういった地域には在庫薄らしく、南米や中東などからの輸入も増えている模様です。原宿古着戦争も価格戦争に突入し、量ははけても、上澄みをとった残りの在庫が体力のない会社の経営を逼迫するのも時間の問題との噂。

 そんな中、価格戦争に陥らないようにしようとする各社は、古着に古着テイストの新品を混ぜたり、一方、欧米の大きなサイズの古着を日本人の好みの小さいサイズにリメイクならぬリサイズ加工して、若干高くても、消化と歩留まりにより差別化をはかるビジネススタイルを目指すお店も出始めたようです。

 ここ1-2年で新たな変化がありそうな、古着業界ですが、ファッション業界の一部として、隅に置けない存在なのは、これからも変わりないでしょう。

 関連エントリー-なぜ若者は古着を着るのか?
 関連エントリー-古着ビジネスも鮮度が勝負!~古着流通を考える
 関連エントリー-原宿人気古着ショップの魅力比較

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June 06, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-しまむら参戦で郊外靴流通が熱くなる(06.05.17)

 コメント:「小売のトヨタ?」参入で混戦の郊外靴流通の未来はいかに

2位-卒業しても等身大でとらえる、アパート・バイ・ローリーズ(06.05.29)

 コメント:キーポイントは、生活者と作り手の距離をいかに縮めるか
 
3位-東京ガールズコレクション(TGC)、パリへ(06.05.24)

 コメント:パリジャンの反応が楽しみです。

4位-流通を悩ます駐車違反取締強化(06.05.27)

 コメント:6月1日施行でアクセス増。

5位-ユニクロデザインスタジオ(06.04.05)

 コメント:秋のNY旗艦店OPENは、日本のクリエーターの英知を集結して望むとのことです。

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進化する商社の役割

 6月5日の日経MJに伊藤忠商事、小林社長のインタビュー記事が掲載されていました。
 
 同社は総合商社ではありますが、ファッション流通においてもっとも影響力のある商社として、業界でもその戦略が注目されている企業です。

 同社長がおっしゃるように、かつての商社の機能の三本柱は、「通訳、海外情報の収集、商社金融」。しかしながら、情報化とともに、時代も移り変わり、「インキュベーション、コラボレーション、インベストメント」といった、リスクヘッジスタイルから、リスクをもって「主導権」を取るスタイルへの脱皮がこれからの商社の生き残りのキーポイントになっているという戦略は、全く的を得ていると思います。

 以前読んだ、繊研新聞の商社首脳インタビュー特集などでも、多くの商社がSPA企業との取り組みやOEM生産など、いわゆるメーカー機能強化を第一に上げているのに対し、同社は、ライバルはOEMメーカーや他の商社アパレル部門ではなく、投資ファンドであることを色濃く出していたのが印象的でした。

 ここ数年の同社、繊維カンパニーの動きは、徹底したブランド商標権取得。欧米著名ブランドの本社買収、日本の商標権取得、独占販売代理契約などなど、かつてイタリアンファッションブームの時にアルマーニなどの日本導入で成功をされた方がカンパニープレジデントとして指揮をとって圧倒的な勢いで、マーケット囲い込みをかけているのが感じられます。

 ファッションビジネスの最大の資産のひとつは、商標権だと思います。それに対して、資金と人材を集中投資している伊藤忠商事。以前、リテール事業に集中投資している住友商事の事例もご紹介しました。なかなか商社の動きは、生活者には見えてきませんが、時代とともに進化する商社の動きを見ていても、半歩先の流通の未来が見えてくるかもしれません。

 関連エントリー-住友商事の地に足のついたライフスタイルリテイル事業

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June 05, 2006

2007年問題を前に・・・

 先週の日経新聞や日経MJ(6月2日付け)に、スーパー88社が加盟する日本チェーンストア協会がスーパーなどで店長経験のある退職者(店長OB)を商店街活性化の指南役として無料で紹介する方針を明らかにした、との記事が掲載されていました。空き店舗へのテナント誘致、接客方法、商店街の販売促進などに活躍を期待をされている模様で、中心市街地活性化を目指す「まちづくり三法」成立を受けた措置のひとつとのことです。

 60歳定年制の見直し措置によって、いわゆる2007年問題も若干先送りされるかもしれませんが、上記のような方策が有効か否かは別にして、有能な方が、定年退職を機にどのような身の振り方をされるかは、大きな消費者マーケットの出現というだけでなく、今後の産業界にとっても興味のあるところだと思います。

 定年退職者に限らず、一線をリタイアした時の理想的な第二の人生として、ひとつ憧れている姿があります。

 90年代の終わりにアメリカのベンチャー企業で1年ほど働いていた時のこと。小さなビジネスコンプレックスのカジュアルな事務所に、たまにボスに会いにやってくる白のワイシャツにネクタイをした、そこそこ体格のよい、落ち着いた雰囲気の60代のおじさんがいました。ボスに、今ちょっと手が離せないので、10分ほど相手をしていてくれないか、といわれ、同氏とお話をさせていただきました。

 この方は、大手企業の経理部長を勤めた後、リタイアされ、同地(サンディエゴ)の100人ほどが集まる若手起業家の会合にオブザーバーとして出席し、そこに参加する何社かの経理事務を請け負っているとの話。契約時に各社と交わしたストックオプション契約を楽しみに毎日、時給6ドル程度で、若造に叱咤激励しながら働いているとのことです。
 その後のボスの話によると、企業の第一線で活躍されていた経験があるからこそ、士業のように杓子定規にならず、前向きで的確なアドバイスが評判とのことでした。

 短い間ではありましたが、若い連中ががむしゃらに伸びてゆくことを正しい方向に行くように、見守ることが今の俺の仕事だ、というような情熱のようなものすら感じたものです。同会合には、このような方が数名いらっしゃるとのことでした。

 お金には困ってらっしゃらないからこそできることかも知れませんが、こんな話は、これからの日本でもありだろうなと思います。

 日本の強みを知り、ご自身もがむしゃらにがんばってこられた団塊の世代の方々には、定年退職されても、悠々自適とは言わず、是非是非、まだまだ、事業育成・人材育成の分野でご活躍いただきたいなと思っています。

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June 02, 2006

ユニクロのポスト中国生産はいかに

 5月26日の日経新聞や5月31日の日経MJにユニクロが中国に傾斜した生産体制を見直しすることに関する記事が掲載されています。

 今後、ベトナムやカンボジアなど東南アジアに分散し、2009年までに東南アジア生産の比率を全体の3割以上に高め、現在9割以上を占める中国での生産比率を、6割台に落とすとの話です。

 記事によると中国での人件費上昇、米欧と中国との貿易摩擦に巻き込まれるリスクなどを回避する狙いで、欧米市場拡大に備えたもの。すなわち、欧米向け売上構成比の拡大に伴う話であって、日本向けについても、とは解釈し難いと思われます。

 今回の話を聞いて思い出すのは、10年ほど前、アパレル製品の海外生産(ソーシング)の仕事をしていたころに、取り組んでいた韓国、台湾、香港のメーカーが欧米のクオタ(原産国別輸入制限枠)対策でこぞってベトナム、ミャンマーに工場を新設するブームがあったのを思いだします。
 当時、アパレルの海外ソーシングに携わる人は、そういったメーカーの誘いでいろいろ日本向けの可能性を探り、トライアルもしたと思いますが、結局、原料調達と運送時間の問題で生産期間が長くなってしまい、ドレスシャツ、スラックス、ユニフォームなどスピードを要求されない比較的ファッション性の低い商品しか定着しなかったのが現実だったと思います。

 無論10年たった今、そういった地域にも改善は見られますが日本マーケットが要求するスピードの方がそれ以上であったと言わざるを得ないのではないでしょうか。

 ユニクロは、あえて遠方を管理する労力と時間をかけるより、むしろ上海近辺にスピードを重視したオペレーションを構築する方に投資したほうが今後の成長戦略にも、国内外の業界への脅威にもなると思われますが・・・いかがでしょうかね。

 関連エントリー-匠(たくみ)の技が奪われる
 関連エントリー-アパレル中国生産に異変あり?
 関連エントリー-中国人民元切り上げと日本のファッションビジネス
 
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June 01, 2006

二年目のクールビズ

 6月1日は衣替え。例年になく涼しい5月も終わり、夏日も続き、クールビズ関連の記事、報道も目立って来ました。

 TVの朝のバラエティショーは各局、昨日の環境庁主催、次期総裁候補をモデルに起用したクールビズファッションショーを報道していました。ポイントは、シャツの襟元、ポケットチーフ、ベルト、靴といったところでしょうか。

 本日の日経新聞には、天候不順で不調だった5月のアパレル市況の中で、去年に比べて2年目ということで早めにクールビズ商品を立ち上げた紳士売場が好調との記事が掲載されています。

 伊勢丹新宿本店では、婦人売場の売上前年対比4%アップに対し、紳士売場6%アップを牽引したのは、ポロシャツやジャケットの売上2桁増など・・・去年は20代、30代に普及したクールビズに対し、今年は、40代、50代の食いつきがよいようで、百貨店を中心にビジネスとしては、順調な立ち上がりと言えましょう。

 さて、今週のクールビズ関連記事で、気になったものをひとつ。

 5月29日の日経MJに、三越が社員全員に配布した「クールビズ事例集」の記事が掲載されていました。同百貨店では、6月1日から、総務部や事業本部といった後方部隊にネクタイなしのクールビズを認めていますが、今年は、それに先駆けて、社員がモデルとなった写真に解説を加えた「クールビズ事例集」を作成、配布したとのことです。

 これは、去年クールビズ元年にあたり同社が設定していた「社内ガイドライン」をベースにしたもので、「ネクタイをはずしてもだらしない印象を与えないシャツを選びます」など社員が見本になって、販促をはかりたい、という主旨があるようです。

 「販促」目的であれば、お客さんに配ったり、お客さんに接する売場の方々に実践していただきたいところですが、いずれにせよ会社で、こういった新しいトレンドに対して、いち早く基準や楽しみ方を決めてゆく動きは注目すべきだと思います。

 クールビズも「政府主導」の環境に優しい、経済活性化運動ですから、個人任せにせず、会社ぐるみで取り組む企業がどんどん出てきてしかるべきでしょうね。トップが広告塔になって、総務や人事がガイドラインを作って、営業マンが実践して・・・

 三越の例でいくと・・・

 一年目・・・社内ガイドライン作り(NGを決めて・・・) 
 二年目・・・写真付の社内用事例集(応用して、自分たちが楽しんで・・・)

 三年目・・・は、是非、お客さんを巻き込んで・・・

 業界の人はもちろん、一般の方々にも、年々定着してゆく夏のビジネスファッション=クールビズを楽しんでいただきたいと思います。

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