中国物流加工活用でアパレルコストを削減する条件
6月14日の日経新聞、本日(6月15日)の繊研新聞それぞれに、中国生産したアパレル製品を日本に輸入後、出来るだけコストをかけずに店舗に届けるSCM(サプライチェーン)プロジェクトに取り組む企業の記事が掲載されています。
前者は、洋服の青山やザ・スーツカンパニーを展開する青山商事、オンワード樫山のエニファム、PIKOやタウン&カントリーなど量販向けサーフブランドを販売するカジュアルアパレルのクリムゾン、後者はナルミヤインターナショナルの取り組み事例です。
中国生産へのシフトが異業種よりも進んでいると言われるアパレル業界。これまでも流通の合理化(中抜き)、SPA化などにより、製造原価や流通コストを下げる努力を続け、粗利益率を上げる努力を重ねてきました。
競争はさらに激化、店頭価格は下げ止まったものの、家賃・人件費の高騰を中心としたコスト(販売管理費)アップは深刻な問題。さらなるコスト削減に余念がありません。
そういった改革の一環で、ここ数年、各社がメスを入れているのが、今まで国内でかけていた加工経費や物流経費です。具体的にいうと
○品質検品(検数と検質)
○小売客先別値札(バーコード)つけ
○検針(ミシンの折れ針が残留していないかどうかの機械によるチェック)
○アソート組み(各店で必要なカラー・サイズのセット組)
などの作業。
これまでも日本人技術者の派遣や日本の検品加工会社の現地法人設立などにより徐々にではありますが、これらの作業を中国側で完結させていましたが、今回の各社の取り組みのように、日本で輸入通関を終えた商品を港からそのまま全国の店舗あるいは客先のセンターへ直接納品という試みはここ最近増えて来た話だと思います。記事によると、これらにより物流コストの2-5割削減が可能とのこと。
もっとも、こういったコスト削減を実現するための条件は、
・小売側がリスク分担を伴う主導権を取る
・アパレル卸と小売の密なコミュニケーションと信頼関係
・SPA(製造小売)業態で自己完結していること
などなど、いずれにせよ小売側のリスク分担、信頼関係、リーダーシップが問われるわけです。
記事にはありませんでしたが、しまむらの今年の決算で粗利率を押し上げた要因のひとつは、こういったリーダーシップだったわけですし、今回の記事の事例もクリムゾンを除きすべて店頭を持つSPA業態です。
言うは易し。行うは・・・。コストを削減するには、小売の意識改革とリーダーシップが必須だということです。
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Comments
takaさん、こんにちわ。
TBありがとうございました。
相変わらず、現場のことを良くご承知されている内容で私も刺激になります。
ところで、先日大阪のICの会合があり、「人事労務屋のつぶやき」の田代さんとお会いしました。田代さんのブログもtakaさん同様、大変人気のあるブログであることをはじめて知りました。
大阪のほうはICの人数も少なく、まだまだこじんまりした感じですが、お二人同様、認知されるように盛り上げて生きたいと思います。
これからもよろしくお願いします
Posted by: ueshima | June 15, 2006 10:06 PM
上嶌さん
こんばんわ
コメントありがとうございました。
田代さんが大阪の会合に参加されたのですね。今やIC協会の広告塔のお一人ですね。
秋以降、私も大阪のお仕事が始まりそうなので、そのときは是非お会いしましょう。
これからもよろしくお願いします。
Posted by: taka | June 16, 2006 11:09 PM