30年目を迎えたセレクトショップ
本日の繊研新聞1面、1976年創業のビームス誕生から30年目を迎えたセレクトショップの現状と今後の動向に関する特集記事「セレクトが動く」が始まりました。
記事によるとユナイテッドアローズ(UA)、ビームス、ベイクルーズ、シップスのセレクトショップ大手4社の売上高は97年に460億円だったのに対し今年06年は1400億円と10年間で3倍にもなったのですね。
インポートとオリジナルを編集する「セレクトショップ」のコアコンセプトは30年前と変わらないものの、この10年は、情報発信(マーケティング力)、新業態開発、接客の向上、個性的な店づくりなどなどを積み重ね各社成長を続けてきたと言えますが、百貨店、アパレル、その他の専門店もセレクトショップ業態に参入し、セレクト業態であることが、とりわけ珍しいものでもなく、陳腐化、同質化が避けられなくなっています。
もともとは、補足的な役割であったオリジナルとインポートの構成比率が逆転し、6~7割がオリジナル、3~4割がインポートというのが現状。
記事の中で、UAの岩城社長は「消費者が直接欧米と日本の売り場を見比べて購入するようになった」、「情報のスピードが加速し均質化した」、もはや、「海外から目新しいものを紹介する優位性はない」など既存セレクトショップに極めて的確で危機感をもたれた情勢分析をされています。
実際、海外トレードショーでセレクトショップバイヤーを案内されてるインポーターさん(輸入業者)の姿を見かけますが、同じようなところが複数のセレクトショップをお相手してますしね。代理店経由でなくとも、現地のコネクションを使って、そういったセレクトショップが買い付けたものに目をつけて同じタイミングで輸入してしまう比較的量販志向の専門店も少なくありません。
話は変わりますが、本日の日経新聞に格安海外旅行でおなじみのHISが、2005年度海外旅行取扱人数、前年対比7.6%増の231万8千人で初めて、業界最大手のJTBの225万2千人(前年対比3.7%減)を抜きトップに立ったとの記事が掲載されています。金額ベースでは、まだHIS 2494億円に対して、JTB 4109億円と大きな差はありますが、ある意味、日本の生活者を取り巻く大きな変化を物語るひとつの事象だと思います。(私も学生時代からHISにはずいぶんお世話になりました)
先ほどのUA岩城社長のコメントではありませんが、日本のそこそこのセレクトショップや専門店のバイヤーが定点観測してヒントを得ているパリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、LAのファッションストアやセレクトショップは、既に「地球の歩き方」にも掲載され、格安航空チケットで海外旅行に行く一般生活者が平気で、現地価格でお買い物をしている時代に、また、日本未進出の人気ファッションストアの商品をインターネット通販で直接購入する若者が急増している今、かつて業界がほんの少し早い情報を文化的時差と目利き力で生活者を魅了していた優位性はもはや終焉したと言えます。
そんな時代に、これからも「セレクトショップ」が支持を獲得し続けるためには・・・
目利き力がブランド化したのを利用した希少価値が売りの、いわゆる「コラボ限定商品」?より多くの客層を取り込める業態開発により、間口(客層)を広げること・・・それもそれでいいでしょう。
しかし、情報化が進み、成熟したと言われるマーケットの中で、次世代のセレクトショップが求められる役割とはなんでしょう。
もちろん、ファッション商品そのものへのこだわりや目利き(感性)による希少価値の発掘あるいは創出は必須ですが、それだけではなく、社会情勢や生活者心理・・・時代の変化といったマクロトレンドを的確に整理し、アカデミックに先読みするマーケッターあるいはトレンドセッターとしての継続的な半歩先行く情報発信力が重要になってくるのは間違いなさそうです。
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