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August 13, 2006

アパレル業界でM&Aが急増

 今週のアパレル業界の話題は紳士服専門店チェーンを核とするAOKI(アオキ)ホールディングスによる同業フタタへのTOB、子会社化提案で持ちきりだったと思いますが、それに関連して、8月11日の日経新聞に、急増する業界のM&Aについての特集記事が掲載されており、興味深く読んでおりました。

 創業者によるオーナーシップ経営、創業家同士の親密な関係、あえて付け加えると創業者と二代目の微妙な確執など、経営体質に独特の古さと閉鎖性を残すアパレル衣料専門店業界。創業者は、その危機感から、「万一に備え」、利益を蓄積し、借金はできるだけしない経営を徹底します。手形を振りながら、日銭を稼ぐ小売業ならではの回転差資金活用術、利益剰余金の積み上げ方は異業種から見れば特異に見えるのかもしれません。

 モノ言う株主、村上ファンドが利益配当を迫った東京スタイルの一件あたりから、業界でも、利益余剰金の使途をめぐって、経営者の目を、飽和気味なマーケットの中での成長戦略ともあいまって、積極的な投資、M&Aへと向けるきっかけになったのは間違いなさそうです。東スタはその後、セレクトショップのナノユニバースや、カリスマストリートブランド、ステューシーの日本代理店ジャックコーポレーションの買収へと動きましたが、まだまだ次世代を見据えた本来のキャッシュフローを活かした本格投資とは言えそうにないような気がします。

 もっとも、M&Aは手段であって、垂直あり、水平あり、目的も違うし形もいろいろあると思います。

 ユニクロを運営するファーストリテイリングの昨今のM&A戦略は、マーケットの国境を越えたビジネスの拡大と将来を見据えたダイナミックな新時代のM&Aに見えたりします。

 一方、今回のAOKIとフタタのケースは、記事が指摘するように、ジリ貧マーケット内でのシェア争い、創業家同士、世代間の関係、古い体質を引きずりながらも、業界の典型的な縮図が赤裸々に見える今後の業界内のM&Aを占う興味深いものになる事例のひとつにもなりそうです。

 いずれにせよ、株式公開企業は新株発行、株式交換という、「造幣局的」機能を武器に、力の論理と新しい企業価値の創出を、一方では株式市場の論理で買収の標的にもなりながら・・・成熟市場と言われ久しいですが、これからも業界で、キャッシュリッチな企業を取り巻くさまざまな買収劇が起こりそうです。

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