コナカとフタタの経営統合に見る日本的M&A
AOKIのTOBによる経営統合案に端を発したフタタをめぐるコナカとAOKIの統合提案合戦は、18日にフタタがコナカ案を取り入れ、AOKIが統合案を取り下げたことで決着がつきました。
AOKIが経営統合案を提示してから日経新聞始め、各紙で毎日のようにその動向が取り上げられており、その記事を興味深く追っていましたが、結論は株式公開企業同士でありながら、創業家企業による極めて日本的でわかりやすいものだったような気がします。
・フタタの創業者、二田相談役(二田社長の父)は二田社長(息子)が世代的に共感してコナカと業務提携したにもかかわらず、業績が目に見えて改善しない状況、そのスピードに業を煮やした。
・二田相談役(父)は、旧知のAOKIホールディングス青木社長に相談し、AOKIは株式市場の原理を利用したTOBによる経営統合、子会社化を提案をけし掛けた。
・経営統合、多角化といった革新経営に手馴れたAOKIは、リーズナブルな提案を行った。
・あわてたコナカは株式交換による経営統合、子会社化を正式にフタタに提案した。これにより、フタタは同社と株主の利益を考え、二つの選択肢のうち、どちらを取るかの選択に迫られた。
・株式会社の論理から言うと発言力がないにもかかわらず、二田相談役(父)は、中途半端ではない結論が出る直前までプレッシャーをかけ続けた。
・フタタはコナカ・フタタサイドと言える銀行をアドバイザーに役員会議でソフトランディングと言えるコナカを選択した。
・AOKIは紳士的に提案を取り下げながらも、提案の正当性を誇示した。
こんなストーリーでまとめた方も少なくなかったのではないか、と思います。
おそらく創業の父も少しは親心からホッとされていたのではないか、と想像しますし、二世経営者同士が出した結論にエールを送った青木社長の一枚も二枚も上手の役者ぶりも印象的でした。
今回の一件で特に象徴的だったのは・・・
○カリスマ創業者の二世社長への親心と苛立ち
○二つの選択肢から買収される側が選ぶM&Aの事例
○AOKIとコナカ&フタタの社内外の戦略ブレーン層の厚さの違い
でした。
私も一時、気迫のカリスマ創業者と二世経営者に仕えた経験から今回の結論に妙に納得しながらも、株式市場の原理に問えない日本の公開企業のあり方に少し考えさせられる部分もありました。
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Comments
TBありがとうございました。
やはり日本の、それも中堅企業にはTOBはまだまだ馴染まないでしょうね。産業構造が違うんだから、それでしょうがないと思います。
Posted by: 松尾 | August 21, 2006 08:13 AM
takaさん
こんにちわ。IC協会の西日本の上嶌です。
トラックバックさせてもらいました。
買収される側が買収先を選ぶなんて、大変面白い事例でしたね。
いつも拝見しております。今後ともよろしくお願いします
Posted by: ueshima | August 21, 2006 05:39 PM