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October 31, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-ファストファッションの挑戦状(05.10.16)

 コメント:Yahoo!ニュースからのリンクで多くのアクセスを頂きました。 

2位-”ファストファッション”から”ファッション2.0”が始まる(06.10.25)

 コメント:ファストファッションの動向が業界全体を生活者最適を目指した
      改革に向かわせることを期待しています。

3位-隅に置けない!ワゴン店舗の魅力(06.10.22)

 コメント:既存の店を飛び出し、顧客に近づくゲリラ戦?としても期待の
      ワゴン店舗はSCのスパイス的存在。

4位-リアルクローズの時代(05.12.19)

 コメント:最近検索エンジンからのアクセスが多いエントリーです。

5位-ユニクロ6000億円達成に必要なこと(06.03.16)

 コメント:店舗の大型化、トレンド性の高い商品の導入・・・
      やはりユニクロ本体の成長がキーになりますね。

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October 30, 2006

ファッション2.0に乗り遅れるな

 日経新聞に同紙本社コラムニストによる「核心」というコラムがありますが、10月30日のテーマ(見出し)は「『2.0』に乗り遅れるな-革新的な進化問う時代」というものでした。

 最近、当ブログでも話題にする『2.0(ニーテンゼロ)』は、ご存知、Web2.0(ウェッブ2.0)の言い回しになぞらえて現代用語になりつつありますが、記事中でも、

 「2.0を1.0からの革新的な体質の進化の表現ととらえると2.0現象は随所に出てきている」

 と、デル、アップルコンピュータ、出光興産、ソニーから小泉内閣までを引き合いに出して、それぞれが従来のやり方=1.0に対して、ここ5年間で、「革新的な進化」=2.0に生まれ変われた事例、そうでない事例について論じています。
 そして「視力検査のように2.0を上限」とせず、「2.0時代に乗り遅れず」「しかも連続的なバージョンアップを忘れない」ことの必要性を説いてコラムの結びとしています。

 さて、本題の「ファッション2.0」ですが、私の先日のエントリー ”ファストファッション”から”ファッション2.0”が始まる に関して、ファッションブログ仲間の「新・両国さくらのファッション・イン・ファッション」のさくらさんがコメントをエントリーしてくださっています。 「ファッションの民主主義化」って何?

 日経のコラム同様に、ファッション2.0は、Webを活用しているかどうかにかかわらず、いろんな解釈があってもいいのではないかと思っていますが、ファッション業界の「革新的な体質の進化」をファッション流通ブログde業界関心事的にいうと、

 ファッション1.0・・・毎シーズン生産者側流通者側の論理、都合で
            プロダクトアウトされるファッション
 ファッション2.0・・・生活者のマインド(ディマンド)を起点に
            スピードをもって提案されるファッション

 この思いは、私自身の原体験に基づきます。

 私のこの業界でのキャリアは商社アパレル部門でアパレル企業やアパレル小売チェーンのための企画生産業務代行から始まり、その後、アパレル卸会社(欧州アパレルジャパン社)、カジュアル系小売チェーンでの業務を経験しましたが、その過程において、供給側の怠慢による多くのリスク、ロス、無駄、習慣・・・が、生活者への小売価格にヘッジされるのを見てきました。

 生活者は生産者・流通者側の都合で高く買わされているのではないか?

 なぜこんな風になっているかというと、たぶんその理由のひとつは、生活者から遠いところで仕事をしているゆえの各流通段階の「生活者に対する無知・無関心・情報不足」ではないかと思っています。

 ファッション流通を、「真実の瞬間」とは何か(ちょっと大げさですね)を問いながら、企画生産側から生活者に近づきながら業務経験を重ね、小売で働くようになって目から鱗が落ちたような気がしました。

 お客さんって、店頭で、こんな風に感じて、財布からお金を出して、実際着用して、友達にもほめてもらって、喜んでくれたらまた戻ってくるんだなと。なあんだ自分自身だってそうじゃないか。 

 そう思ってからは、あの喜んでくれたお客さんたちの顔が頭に浮かび、今度はこうやって喜んでもらいたい、なんて考えながら業務にあたったものでした。

 そうすると、とびっきり旬なものを、納得の行くクオリティで、そしてどこよりも安く、早くお届けしたい、って考えるようになるんですね。それをどうしたら実現できるか真剣に考えるわけです。

 話は変わりますが、ファッション業界では、これまでハイファッション→トレンド→ヴォリュームといったファッションビジネスのヒエラルキーが存在し、トレンドは高いところから時間(シーズン)をかけて低いところに流れる、といった特権的な?状況や、ヨーロッパ→アメリカ→日本といったファッション文化の成熟度の差による情報伝達の差がビジネスチャンスを生み出していたと思います。
 
 ところが、情報化社会、インターネット時代において、成熟した生活者の進化は止められず、ファッショントレンドの同期化、または逆転現象をも引き起こし、その象徴が、いまや、世界最速と言われるようになった東京のストリートファッションではないかと思います。

 そんな動きとも呼応するかたちで、生活者に近いところで生活者の立ち場に立ってファッションビジネスを考え、生活者にとっての適時、適材、適所、適価、適量を追求し、かつスピードを持って提供するビジネスモデルが次々に生まれ、マーチャンダイザーあるいはバイヤーと店頭との密なPDCAサイクルを高回転でまわすことによって成功を収める企業が続々と出現しています。

 キーワードは "from mind to market" そして "speed to market"でしょうか。
 (傾倒している消費者購買行動学の大家RogerBlackwell教授の
  リテールマーケティング書の言葉より) 

 当ブログでご紹介しているマルキュー系、ワールド、ポイントなどのSPA系ファッション企業やゼイヴェルのgirlswalker&TGCあたりが、今のところ日本の代表格にあたるのではないかと思いますし、海外を見渡せば、ZARA、H&M、TOPSHOPという欧米で”ファストファッション”あるいは”ハイストリートファッション”と呼ばれるSPA企業がその全世界的な動きをリードしていると思われます(ユニクロはこのあたりを強烈に意識して2.0に向けての改革を始めたばかりでしょうか)。

 そして、その動きがヒエラルキーの頂点にいるハイファッションのブランド群や旧来型の企業に突きつけている現実、業界に生活者最適への「革新的な体質の進化」を迫っている図式であると思えてならないのです。

 正直、ファストファッションを否定的にとらえる業界の方は少なくありません。しかし、私は、彼らの活躍が業界全体が一皮剥けるきっかけになれば・・・多くの生活者がそれに賛同し、その声、態度を業界が無視できない状態になりつつあることをむしろ歓迎しています。

 その先にあるものこそ、生活者のディマンドを起点とした「ファッションの生活者主権化」であり、旧来型ヒエラルキーをも変革する解放された生活者が主役の「ファッションの民主主義化」ではないかと思うのです。

 ファッションと一言で言っても、さまざまであり、わかる人にだけしかわからないものがあってもよいだろうし、もちろん、お金持ちしか手の出せないものがあってもよいと思います。

 しかし、マクロトレンドは価格帯にかかわらず生産者都合ではなく、生活者起点のファッション2.0だと思いますし、この波に乗るかどうかが、未来を決するのだと思います。

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October 28, 2006

しまむら1000店舗突破、いざ都市部攻略へ

 10月27日の日経新聞、日経MJ、繊研新聞各紙が一斉に、10月26日の3店舗の出店をもって、1002店舗と、1000店舗を突破した、しまむら社の「ファッションセンターしまむら」の記事を取り上げています。

 日本のファッションチェーン、単一業態で1000店舗達成はもちろん初の快挙になります。すばらしいですね。

 02年に沖縄に出店して47都道府県に出店を果たし、東北や北関東のいくつかの県では、衣料消費マーケットシェアの10%を占め、地方では知名度が高く、東証一部上場、ユニクロと並んで、ファッション業界のもっとも優良企業のひとつであるしまむらも、都心部ではそれほど知名度がありません。

 それもそのはず、ファッションセンターしまむらは、地代家賃の安い郊外ロードサイド立地の人口10万人商圏、売場面積300坪、年商3.5億円、ローコストオペレーションをフォーマットにしているため、これまで東京、大阪の都心部にはほとんど出店しておりませんでした。

 それを数字で表したものがしまむらの18年2月期決算概要 の10/14ページにあります。

 しまむらの衣料マーケット全国シェア平均は4.43%。福島県の14.30%を筆頭に山梨県、群馬県など6県では県のシェアを10%以上獲得している計算になりますが、東京都は0.74%、大阪府は0.67%。東京は23区では足立区に2店舗、江戸川区に1店舗という状況。

 業界では、マスマーケットでの単一業態の出店余地は1200店舗と言われており、同社も当初はそのあたりを目標にされていたようですが、1000店越えを果たし、各紙記事中の野中社長のコメントでは、「都心部の出店を考えれば2000店舗も可能、今後、グループ全体で年間100店舗出店する計画のうち東京、神奈川、埼玉で20店舗は出したい」としています。

 そのため、26日に出店した店舗のひとつ、ホームズ葛西店(東京)では、感度の高めのファッション衣料と服飾雑貨、靴のみに品揃えを絞った実験をしているとのことです。同社は、数年前から、すでに既存店でも、VMDやファッションの先取りの実験を繰り返しており、商品によっては、多少高額品も売れる、と自信を得ていると聞いています。

 確かに、都心のど真ん中でなくても、首都圏近郊地域にホームセンターやスーパーが核になったパワーモールの出店余地はあると思いますし、既存の駅前不振SCも少なくありません。

 キーになるのは、しまむらの都心型ファッション衣料マーチャンダイジングが、

 ○郊外では10万円を切る月坪当たり売上をどこまで引き上げられるか?
 ○集客力を見込んだSC誘致で、家賃比率をどこまで抑えられるか?

 にかかっていると思います。

 これは面白くなってきましたね。

 都心部でユニクロおよび低価格業態のジーユー(g.u.)、大型店の実験を始めているハニーズ、そしてファッション衣料に絞ったしまむらの都心型フォーマットの激戦がカジュアル衣料のさらなる低価格化を引き起こすか?

 勝敗はもちろん、「安さ」だけではなく、イメージ戦略も含めて、生活者に、「安いけど悪くないよね」と言わせることだと思います。 

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 関連エントリー-しまむらが都心部に攻め込む日

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October 25, 2006

”ファストファッション”から”ファッション2.0”が始まる

 昨日のYahoo!ニュースで当ブログのエントリー「ファストファッションの挑戦状」が記事の中で取り上げられた関係で、アクセスが急増しています。

 リンク元ニュース記事-「トップショップ」が日本初上陸、「デフレ・ブランド」巨大化の秘密

 従来のファッションビジネス=”ファッション1.0”が、顧客の心理(ディマンド)を起点としたサイクル=”ファッション2.0”に変わろうとしている激動の時代に、”リアルクローズ”や”ファストファッション”というキーワードが注目されています。

 当ブログは、まさしくそのあたりをテーマにしたファッションビジネスブログであり、これからも更なる「ファッションの生活者主権化」、「ファッションの民主主義化」のためにエントリーを続けようと思っています。

 どうぞよろしくお願いいたします。  

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 関連エントリー-ファストファッションの挑戦状
 関連エントリー-リアルクローズの時代
 また、
 関連カテゴリー-ファストファッションの挑戦状 
 をお読みいただければ、”ファストファッション”関連の最新動向がまとまってご覧になれます。

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October 24, 2006

【お詫び】ファッションビジネスセミナー延期のお知らせ

 以前ブログでお知らせした10月26日(木)開催予定であった私が講師を務めるファッションビジネスセミナーが事情により延期になりますので、参加申し込みの方に、ご連絡とお詫びを申し上げます。

 【延期日程】
 日時:2006年11月10日(金)14:00-16:50
    ※当初10月26日(木)に開催予定だったものです。
 場所:富士通ビジネスシステム 後楽本社(最寄駅 後楽園、飯田橋)
 テーマ 「SPA時代のファッションリテーラーの在庫コントロール」

 このセミナーを解説した過去のエントリーはこちらになります。
 
 【お知らせ】ファッションビジネスセミナー(再)

 既にお申し込みだった方には、富士通ビジネスシステム(FJB)さんからご連絡があるとは思いますが、日程、詳細は、以下セミナーホームページをご覧いただくか、富士通FJBさんにお問い合わせをいただければ幸いです。

 株式会社富士通ビジネスシステム
 東京第一営業本部リテイルソリューション営業部
 セミナー事務局 担当:三宅氏
 富士通ビジネスシステム主催セミナーホームページ
 TEL:03-5804-8261
 FAX:03-5804-8269
 
 直前で申しわけありません。よろしくお願いいたします。

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October 23, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-ユニクロ6000億円達成に必要なこと(06.03.16)

 コメント:先々週のジーユー(g.u.)立ち上げ以来多くのアクセスを頂いています。 

2位-店頭情報収集、ハニーズの場合(06.10.14)

 コメント:顧客に距離的にも感性的にも近い店頭スタッフの声をどれだけ
      活かせるかの興味深い事例です。

3位-【お知らせ】ファッションビジネスセミナー(再)(06.10.17)

 コメント:今週木曜日、26日のセミナーのお知らせです。

4位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:すっかりランキングのレギュラーになったおなじみのエントリーです。

5位-リアルクローズの時代(05.12.19)

 コメント:「リアルクローズ」という言葉は、ファッション1.0と2.0の間にある
      トレンドキーワードかもしれませんね。

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October 22, 2006

隅に置けない!ワゴン店舗の魅力

 10月20日の日経MJの一面に、ショッピングセンターなどの通路に置かれ、当初は仮設、臨時、催事の役割であった雑貨などを販売する「ワゴン店舗」のローリスク高効率販売についての記事が掲載されています。

 海外のSC視察の際は、いつも楽しみであったワゴン店舗も、最近は日本のSCやアウトレットモールのお約束の風景としてしっかり定着した感があります。

 記事に掲載されている一般的なワゴン店舗出店のSCとの契約条件を引用すると

 【出店時】 
 ○内装費   -看板代など5-10万円、なしのところも多い
 ○敷金保証金-25-50万円、契約終了時に返還、なしのところも多い
 ○初期投資  -0-60万円

 【出店後】
 ○家賃    -月売20-25%の歩合あるいは、1週間5-7万円の固定
 ○契約期間 -最短1ヶ月、3ヶ月程度が多い、2年以上更新継続するケースも
  
 と固定費は極端に安いところに特徴があります。

 これに目をつけてワゴン店舗をチェーン展開しているサンダル専門店「クロックス」は、1坪月商800万円売る稼ぎ頭(御殿場プレミアムアウトレット店)もあるそうです。

 考えてみれば、通常のテナントよりも通行客数は格段に多く、商品が手に取りやすく顧客に身近、エンターテインメント性も高い、店舗販売でもっとも効率が高いと言われる、「店頭販売」のおいしいところだけを取り出したようなもので、記事のように、バッグ、靴、帽子などアイテムが絞られた商品を販売するのであれば、極めて結果が出やすい販売方法と言えます。

 これは新規商品開発の実験販売や個人の起業にもピッタリの売り方だと思います。シーズナル服飾雑貨はもちろん、アパレルでもTシャツなどなら十分いけるんじゃないでしょうかね。

 話はファッションではないところに広がってしまいますが、以前から注目している飲食サービスビジネスに「ネオ屋台村」があります。これは、ワークストア・トウキョウドゥ社が展開する屋台イベントビジネス(ケータリングビジネスにも近い)で、東京国際フォーラム前などでもおなじみですが、ランチタイムに世界のジャンクフードを販売する軽自動車を毎週日替わりで数台乗りつけ、曜日別に違ったランチメニューがいろいろ楽しめるというサービスです。毎日、OLさん中心に行列して、楽しそうに召し上がっている姿も東京国際フォーラム前のひとつの風物詩になっているのではないでしょうか。

 「ワゴン店舗」もこの「ネオ屋台村」も人気のキーワードは同じだと思います。

 生活者に身近で親近感がある!エンターテインメント性が高い!
 
 そうそう、私たち生活者は、毎日、ワクワクするような商品との出会い、ライブ感覚と感動を求めていますからね。 

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October 20, 2006

単品平場と自主編集売場

 10月20日の日経新聞と繊研新聞に衣料改革に取り組むダイエーの記事が掲載されています。

 てっきりダイエーは衣料売場はユニクロに任せるのかと思っていましたが、樋口社長が退任され、丸紅から西見社長が来られて、「衣料に再チャレンジする」と方向転換があったものに連動する動きのようです。

 日経の記事は既存量販向け単品志向メーカーとのNPB(ナショナルブランドのラベルを使ってその店だけのオリジナル商品を作る)の取り組みについて、繊研新聞の方は、業務提携した丸井の指導による自主編集売場作りに関するものです。

 記事によると、ダイエーは、今後、社内で「平場」という呼称をやめ、「自主編集売り場」に統一するとのことです。

 最近、百貨店からGMSまで、今までメーカーに任せていた「単品平場(ニットならニット、ボトムならボトムとアイテムごとに集積している売場)」を「自主編集売場(小売側が自社独自のテーマやコンセプトにあった商品を集荷し編成した売場)」にする傾向があるようです。

 お客さんは当然「自主編集」だと思っていたのに、実は百貨店やGMSは棚を割り振っているだけで、品揃えはメーカー任せだったなんて知らずに買い物しているわけで、いまさら「自主編集」と言うのも面白いなと思いながら静観しております。

 ちょっと意地悪な言い方をしましたが、百貨店やGMSの意図は、単品集積売場ではなく、テーマ、テイスト、コンセプトに基づいて、「トータルコーディネート提案する売場」、という意味で「自主編集」という言葉を使っているわけですね。

 売場をアイテム(単品)を切り口にするかテイスト(コーディネート)を切り口にするかは、とても大きな違いがあり、簡単にできるものではない、よっぽど覚悟をして組織を変え、時間をかけないと、なかなかうまくいかないと思っています。

 なぜならば、百貨店の平場、GMSやチェーンストアのほとんどの売場においては、もともとのサプライチェーンそのものが、単品平場向けに成り立っている、すなわちメーカーは実質専業メーカー(アイテムごとに特化した)が多く、仕入体制もバイヤーはアイテム別に置かれている、という実態があるため、既存のメーカーからの集荷仕入れだけで、テイストやコーディネートを切り口にした売場を構成するには、至難の業、相当のセンスと技術を要するだろうと思うからです。(ユニクロのg.u.もこのジレンマに陥りそう)

 そんな中で、イオンあたりはコーディネートを重視して、オリジナル企画製造の取り組みを始めているようですが、ダイエーは従来の取引メーカーへ依存する形で売場の小手先で対応しようとしているようで、結果は火を見るより明らかな気がします。

 いずれにせよ、顧客の顔が見える自主編集売場であって欲しいものです。
 
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October 18, 2006

アパレル大手が販売契約社員を正社員化

 10月18日の日経新聞にアパレル大手のサンエーインターナショナルとワールドが、業界の販売職(FA)契約で一般的な雇用形態である「契約社員」を、サンエーインターで約1000人、ワールドで約6000人それぞれ正社員化したことに関する記事が掲載されています。

 両社のこの措置は、都市部を中心とした商業施設の相次ぐ新設に伴い、人材を囲い込み、安定確保するのが狙いのようです。

 もともとはショップの出退店や繁忙閑散期対策に企業側が柔軟に対応するために福利厚生面は正社員と同じながらも1年ごとの契約更新にしていたり、さらにワールドあたりは時給契約をしていた契約社員を正社員化して安定収入を保証する動きは、調整しやすさのリスクを負ってまで、それに勝る出店機会や人材難が背景にあるわけです。また、SPA化による高粗利率の余裕も多少なりともそれを援護しているような気もします。

 最近は、アパレル業界に限らず、契約社員どころか、パートアルバイトの採用もままならず、派遣会社に高い時給を払ってまで新店OPENの人材不足を穴埋めをしている企業も少なくなく、実際の雇用契約の内容はわかりませんが、このような正社員化によるFAスタッフの待遇、ステイタスの保証およびモチベーションアップが今後も業界各社で検討されるはずです。

 また、待遇面だけではなく、企業の都合で切った貼ったの、使い捨ての人事政策から、新卒、中途にかかわらず採用した人財をしっかりと育成せねばならないという機運も徐々に高まっているように感じます。

 「生活者主権」の時勢が、そうでなければショップやブランドが生き残っていけない競争社会を企業に突きつけているとも思います。

 昔から3Kと呼ばれ久しい業界の販売職ですが、現実は、店頭はお客様のことを知る大事な場であるとともに、かつお客様が販売員を通じて企業の良し悪しを判断する場でもあります。そんな大事な店頭では、やはりショップ、ブランドを体現する人材を育成し、配置するのは当然だと、販売スタッフのプロフェッショナル化が図られる、そんな時代の到来も遠くはないのではないかと期待しております。
 
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October 17, 2006

【お知らせ】ファッションビジネスセミナー(再)

 本日は、私が講師を務めますファッションビジネスセミナーのお知らせです。
 
 日時:2006年11月10日(金) 14:00-16:50
  ※当初10月26日(木)に予定していたセミナーが延期になったものです。
 場所:富士通ビジネスシステム 後楽本社(最寄駅 後楽園、飯田橋)
 テーマ 「SPA時代のファッションリテーラーの在庫コントロール」

 
 先月15日に同じテーマで開催しましたが、その際、定員オーバーだったのと、とても好評だったので、前回お聞きになれなかった方を対象にもう一度同じ内容で開催することになりました。

 主催は、中堅ファッション専門チェーンの業務システムに強い 富士通ビジネスシステムさん、前半で、私の講演、後半は、150社以上に導入実績があり、某大手SPA企業や某靴専門チェーン企業が活用して実績を上げている、私のビジネスパートナーでもある松山電子計算センターさん開発のファッション専門店向けマーチャンダイジング業務パッケージソフト「現場主義II」のデモンストレーションになります。

 セミナーの内容に関連して私のテーマへの想いをお伝えするために今一度、以前のエントリーの内容を以下『 』内に述べさせていただきます。 

 『店頭起点と叫ばれて久しいファッション業界で、顧客ロイヤリティの向上と企業収益の両立を目指すファッションリテーラーの店頭在庫コントロールの基本中の基本をマーチャンダイジング組織論から特に業務の概念定義と実践まで、体系的にまとめ、お話します。

 内容は、私が以前勤務していたファッション専門チェーンで、社長特命で在庫コントロール部を立ち上げてから、業務構築、人材育成を行った3年間の事例をまとめたものです。

 この業界で働き始めてから、こと在庫にはいろいろ苦労させられました。

 商社勤務時代、大手アパレルの億単位の未引取り在庫の前に途方にくれました。ヨーロッパブランドのジャパン社時代は、売り切れないのをわかっていながら、契約上本国から買い付けざるを得なかった輸入商品在庫の処理に苦しみました。小売チェーンで靴のバイヤーをしていた時には、前任者から引き継いだ、当初、売れ筋だったにもかかわらず全店にサイズが点在して不稼動となった在庫をどうすればうまく消化できるかを考えるのが最初の仕事でした。

 生産現場から店頭に至るまで、在庫の悩みはあるものですが、生活者に近づくにつれて、その内容や質が変わって来るのを私自身、身をもって体験してきました。

 今回お話する内容は、そんな在庫に対する「なぜ?」を私自身が仕事を通して生活者に近づきながら考え、たどり着いた私なりの結論で成り立っているのではないかな、と準備をしながら考えておりました。

 SPA時代にファッション企業がぶち当たる壁。店頭での週間単位の仮説検証力と店舗ごとの鮮度管理の徹底、そしてリテーラーのサプライチェーンに対するリーダーシップについて参加される皆さんと考えてゆきたいと思います。』

 前回は、特に、30店舗から50店舗くらいをお持ちで、年商30億円から100億円くらいまでのアパレル、アクセサリー、靴の専門店、チェーン店様の現状の課題にフィットし、好評でした。

 参加をご検討される方は、詳細こちらからDMをダウンロードできます。

 参加費無料で、多少空き席はあるようですので、業界の方で、ご興味ある方は富士通ビジネスシステムさんホームページからお申し込みくださるか、同社受付窓口にお電話ください。

 株式会社富士通ビジネスシステム
 東京第一営業本部リテイルソリューション営業部
 セミナー事務局 担当:三宅氏
 富士通ビジネスシステム主催セミナーホームページ
 TEL:03-5804-8261
 FAX:03-5804-8269

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October 16, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-ユニクロ6000億円達成に必要なこと(06.03.16)

 コメント:先週のジーユー(g.u.)1号店で多くのアクセスを頂きました。 

2位-ファストリの低価格新業態、ジーユー計画が徐々に明らかに(06.07.09)

 コメント:同上。!?びっくり&はてなさんからジー・ユーお買い物レポート
      のTBが入っています。是非ご覧ください。

3位-米アーバンアウトフィッターズ、欧州そして日本へ(06.10.03)

 コメント:多くのお買い物の楽しさを教えてくれたURBNの日本進出、
      是非実現して欲しいですね。

4位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:息の永い人気エントリーですね。
      今日も古着テイストの新品とのミックスを楽しむ若者の姿が。

5位-クイーンズ卑弥呼にシンエイが商品供給(06.10.06)

 コメント:提携はモデルサイズの靴のマーケット拡大に起爆剤となるか?
      楽しみにしています。

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October 14, 2006

店頭情報収集、ハニーズの場合

 10月13日の繊研新聞に、レディースSPAチェーン大手のハニーズが今年2月から始めている新着商品人気投票システムに関する記事が掲載されています。

 ハニーズは、毎週
 月曜日・・・前週の販売データの分析
 火曜日水曜日・・・バイヤーによる都内の定点観測(マーケットリサーチ)
 木曜日・・・発注会議
 金曜日・・・中国の工場への発注
 を繰り返し、30-40日の生産期間で毎週店頭に60-70品番の新商品を投入しています。

 毎週木曜日の発注会議では、現場の声を反映させるために、顧客の世代に近い店長の一部を会議に呼び、商品ひとつひとつにつきデザイン、品質、価格について、挙手方式で反応を見た上でデータとの整合性をとって発注数量を決定してきましたが、さらなる精度を上げるために、まずは、今年の2月から全店(約600店舗)が人気投票形式で、投入商品の良し悪しや今後欲しい数量などを投票出来るシステムを導入し、上位50位を見て追加発注や新規商品発注の判断などに活用しているとのことです。

 同社は従来の企画生産サイクルにこの情報を付加するとともに、月曜日に投票された結果を火曜日には全店に返すことによって各店に仮説検証をさせ、将来のバイヤー育成にもつなげようと考えているようです。
 また、8月からは、未投入の商品も画像ベースで投票をしてもらい、初回発注数量の判断に活用し始めたとのことです。

 以前もポイントの店頭情報収集に関するエントリーをしまいたが、ファッションストアにとって、いかに生活者との接点である店頭からデータでは読み取れない情報を収集するかが、課題だと思います。

 そのひとつの手法として各社が取り入れているのが、営業日報や週報だと思いますが、効果的な運用が出来ている企業は結構、少ないのではないかと思います。店長育成も含めて永遠の課題ではないでしょうか?

 私もかつて、いかにPOSから読み取れない、まだ売れてないけど試着する人が増えた、など先の判断に役立つ「顧客行動」をいかに週報に書いてもらうかに躍起になったものです。

 ある私の知り合いの有名SPAご出身のファッションコンサルの方がよくおっしゃいますが、彼がSPA企業のコンサルを始めるとまず一番初めにチェックするのが、週報。

 週報を見ればMD(マーチャンダイジング)に意思があるのかないのか、それが本部から店舗に的確に伝わっているかがはっきりわかるとのこと。

 うまくいっていないところは、POSを見ればわかる、売れている商品の点数や金額しか書いてなかったり、もっともひどいのは、「予算取れなくて申し訳ありません」なんて懺悔文があるところ。押しなべてMDもむちゃくちゃ!といいます。

 120%同感ですね。

 毎週毎週の企画・仕入のMD意図を明確に店舗に伝えてこそ本当にできる仮説検証(PDCA)だと思います。

 どんなツールを入れようが、やはり魂を入れるのは人、であるということを忘れてはいけませんね。
 
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 関連エントリー-絶好調企業「ポイント」に思う店頭情報活用考

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October 13, 2006

今日1号店がOPENした「ジー・ユー」関連エントリーにアクセス殺到中

 本日の日経MJの一面に、ダイエー南行徳店に1号店がOPENした、ユニクロを展開するファーストリテイリングの低価格新業態ジーユー(g,u,)に関する特集記事が掲載されています。

 その他、メディアでも取り上げられているせいか、検索エンジン経由で「ジー・ユー」に関してエントリーした記事にアクセスが殺到していますので、以前読まれた方もいらっしゃるかもしれませんが以下にご紹介しておきます。

 今日は、OPEN前に500人くらいが並び、目玉でカシミヤ・カーディガンが100枚限定で990円で売り出され当然あっという間に完売だったそうです。(10.17訂正 チラシを見ましたがカシミヤ”タッチ”カーデガンでした。ですよねぇ。)

 ジー・ユーは、今シーズンダイエー内や近隣型SCタイプのモールに立て続けに25店舗をOPENするとのこと、また、自社製造(商社経由)のユニクロとは違い、ラベルは「ジー・ユー」ではありますが、アパレルメーカー6社ほどの協力を得て企画生産しているとのことです。

 ユニクロの既存店売上高は秋から付加価値の高い商品を投入したことが功を奏して8月、9月連続で脅威の二桁増。今後、ジー・ユーとのすみわけも興味深いところですね。

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 関連エントリー-ユニクロ6000億円達成に必要なこと
 関連エントリー-ファストリの低価格新業態、ジーユー計画が徐々に明らかに
 関連エントリー-ユニクロのジーユーはイケそうな予感

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イオン、ダイエー&マルエツ株取得で流通王者へ大手!

 本日の日経新聞の一面は、先だってダイエー再建に向けて優先交渉権を獲得したイオンと丸紅・ダイエーの3社間の今後の提携交渉の骨子についての記事でした。
 
 交渉内容は
 ○丸紅がダイエー株15%をイオンに売却
  (これによりダイエーへの出資比率は丸紅44%、イオン15%)
 ○ダイエーがマルエツ株20%をイオンに売却
  (これによりマルエツへの出資比率はダイエー37%、丸紅30%、イオン20%)

 その上で食品、衣料の商品共同開発や物流・システムの共同利用、商品共同仕入れが提携内容に盛り込まれている模様です。

 先週業界の予想通り、イオンへの優先権があっけなく決まった時には、イオンがマルエツの株30%を要求して、イオンの発言力が高まることを懸念した丸紅が難色を示した内容の興味深い報道がありましたね。その際は、「さすがイオンの交渉上手」と思いましたが、取り急ぎ、交渉を進めるにあたってはイオンが一歩引いた?形になったのでしょうかね。来年3月末に譲渡額を決定とありますが、これからの交渉も見ものです。

 流通業界各社のここのところの業績トレンドは、GMSは厳しく、食品は堅調。したがって、イオンのねらいはダイエーそのものの再建よりも、

 ○手薄な首都圏基盤の食品スーパー、マルエツ取得

 ○まちづくり三法改正をにらんだダイエーの都心部物件のSC開発

 ○イオン中長期計画売上7兆円に向けての数字合わせ

あたりにあるのでしょうね。

 来年3月までの、流通最大手イオンと総合商社丸紅の日本流通史上最大の綱引きに注目です。

 関連エントリー-イオンが握る?ダイエー再建第二幕のゆくえ

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October 11, 2006

創立40周年、ベネトンの復活はあるのか?

 ご存知、イタリアのアパレルブランド、ベネトンが今年、創立40周年を迎えました。

 というわけで、ここのところメディアからすっかりご無沙汰で、目だったトピックもなく、過去のブランドとして忘れてしまいそうだった同社の記事を、久しぶりに、先週の繊研新聞の連載や10月11日の日経MJで目にすることができました。

 おさらいをするまでもありませんが、ベネトンは、80年代の後半から90年代の前半、その人種差別をテーマにした衝撃的でメッセージ性の高い広告活動やニット製品の染色手法で、また、イタリアンファッションブームにもあやかって、マーケティング的にも、商品企画的にもアパレル各社のお手本となり、国際的に知名度、好感度抜群のブランドの地位を獲得したと記憶しております。

 そのころ海外出張に出かけても、イタリアはもちろん、ドイツ、香港、アメリカ、インド・・・世界の街角でベネトンのショップを見つけては、そのワールドワイドさに驚いたものでした。特に、香港のシスレー(ベネトンが買収したフランスのブランド)でよくMADE IN ITALYの商品を買い物させていただきましたっけ。

 1965年創業以来、店舗数は、120カ国、5000店(8割以上がFC)とは脱帽ものです。

 今回の日経MJの記事は、一時の勢いを失って、21世紀に入って後退し続ける売上も、ようやく底を打って、これから復活をかけるベネトンの改革を追っています。

 何がベネトンを時代遅れにしてしまったのか?

 そんな視点で、興味深く読ませていただきました。

 記事によると、問題は

 ○「品質に一番目を向ける」

 と最近までMADE IN ITALYにこだわりつづけ

 ○「物づくりと販売はそれぞれのプロが手掛けるべき」

 とFC(フランチャイズ)販売にこだわった

 カリスマ創業者ルチアーノ・ベネトン名誉会長が言うところの、この二つの「ベネトンの強み」にありそうです。

 生活者から見たら、ベネトンがFC中心だなんて関係ありませんから、GAP、LIMITED、ZARA、H&M、NEXT、ユニクロ・・・らの世界のファッションSPA強豪企業の商品、サービスと比較され、購買が検討されるのは当然です。

 この間、特に急成長を続けるライバルのスペインのZARA、スウェーデンのH&Mはベネトンを尻目に何をしてきたかというと、マーケットの顧客の心理(ディマンド)を起点とし、世界で作って世界に売るスピード感あふれるファッションビジネスの実践に他なりません。

 記事中にいくつかの最近のベネトンの改革の内容が紹介されています。

 □イタリア国外、アフリカ・東欧・アジアへの大幅(今期末で88%)生産シフト
  によるコスト削減
 □世界各地でメガストアを含む直営店出店の加速
 □商品投入ペースを月1回のペースに早めたこと

 ルチアーノベネトン名誉会長が言う「ベネトンの強み」に反した低価格化、直営、スピード重視で売上が浮上した事実は皮肉ですし、一方、記事にも指摘されていますが、ZARAやH&Mらの後追いで果たしてブランドポジショニングは確立できるのでしょうかね。顧客コミュニケーションとしてのPR活動の再構築を訴える意見もあるようです。

 もちろん、品質はブランディングにとって絶対欠かせないことだと思います。しかし、ここんとこ、ファッションビジネスの事情は劇的に変わっているのに、多くの企業が取り残され、というか生活者の立場で考えることができずに、「変われずにいる」事実があると思います。

 ベネトンの場合も、世界のFCパートナーから受けたオーダーを集計し、イタリア主導でデリバリーするという、このご時世にいまだに生活者から遠いところで、多くの人を介して企画・生産・物流・販売オペレーションをするという、今となっては時代遅れの発想を捨てきれずにいるところに問題があるのではないでしょうかね。

 そんなことを考えていたら、だれかがWEB(ウェッブ)2.0になぞらえて、ファッション1.0とファッション2.0なんて言葉を使っていて面白いなと思ったことを思い出しました。

 私のファッション1.0と2.0の違い、解釈はこうです。

 「ファッション1.0」が企画生産者側のこだわり、都合で一方的に生み出される商品

 なのに対して、

 「ファッション2.0」は生活者のディマンドを起点にスピードをもって届けられる商品

 どうでしょう?

 追伸:実は、私個人は、こだわりのMADE IN ITALY、大好きなんですがねぇ・・・

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October 09, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-米アーバンアウトフィッターズ、欧州そして日本へ(06.10.03)

 コメント:アメリカンストリートカジュアルのお手本がまもなく日本上陸?

2位-リアルクローズの時代(05.12.09)

 コメント:リアルクローズとは、生活者の心理を起点にした
      これからのファッション思想です。

3位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:古着ブームも踊り場。最近は、古着と新品MIXのコーディネート
提案が勝負を決す。

4位-見直し迫られる商社のOEM生産ビジネス(06.09.30)

 コメント:アパレル流通の舞台を裏で支えるお仕事の話です。

5位-百貨店の郊外SC出店が始まる(06.10.04)

 コメント:2006年は、ポストSC時代の幕開けです。

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October 06, 2006

クイーンズ卑弥呼にシンエイが商品供給

 10月5日の繊研新聞、6日の日経MJに、婦人靴SPAの卑弥呼が展開する大きいサイズの靴専門店「クイーンズ卑弥呼」に、百貨店のミセス靴売場に強い靴卸のシンエイ(スポーツ大手を除くと業界3位)が商品供給することに関する記事が掲載されています。

 記事によると、ヤング、キャリアに強い卑弥呼とミセスに強いシンエイ、両社の業務提携に向けての第一弾のようで、今後、流通再編、百貨店靴売場のリストラなどが進む靴業界で、売場から生産までその提携を模索するとのことです。

 以前ブログでもモデルサイズの靴(=24.5cm以上の婦人靴)はニッチマーケットであることを取り上げましたが、実際のところ生産・在庫リスクは否めないこのビジネスに、シンエイのハイセンスなミセスの商品が加わることによって、リスク分散と幅広い客層を取り込みながら、今後の展開に弾みをつけようという狙いのようです。

 話は変わりますが、先日、親しくさせて頂いている靴業界の社長さんとお話をしました。話はいつも「業界の課題」に行き着きます。

 ご存知のように、日本の靴ビジネスには産業保護のために輸入関税割当(TQ)という大きな輸入規制、参入障壁があります。ストレートに言うと、既得権益としてのTQを持っている会社以外には、革靴の関税率は法外に高いということです。紳士靴のように、スポーツシューズにかこつけた逃げ道のない婦人靴はこの影響を真っ向から受けます。この規制は時代に逆行してますます厳しくなっている模様です。

 産業保護はわからないでもないですが、それゆえに、靴メーカーが自由な流通ができずに弱体化し、再編が必要になり、また生活者が欲しい商品を納得のいく価格で買える機会が損なわれるというのは、いかがなものかな、と常々思っています。

 関連エントリー-大きいサイズの靴、クイーンズ卑弥呼
 関連エントリー-顧客は靴売り場に何を望むか?
 関連エントリー-片足陳列か、両足陳列か?
 
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October 05, 2006

ハニーズが中国100店体制に向けて中国人留学生を育成

 10月5日の繊研新聞によると、ヤングレディースカジュアルSPAのハニーズは、今後3年間で中国に100店舗体制を築くのにあたって、日本に留学に来ている中国人学生8名の新卒採用を決めたとのことです。

 8名は服飾系学校の卒業予定者ではなく、4年生大学や大学院卒業見込みの方々だそうで、1年半で店舗開発、企画、スーパーバイザーのプロに育て上げ、中国でキャリアとして活躍してもらおうという話です。

 さすが勢いのあるハニーズ、と思うと同時に、なんかいい話だな、と思いました。

 ハニーズのビジネスモデルは、東京のストリートファッションのスピードと中国のクイックデリバリーあってこそ。今回の話は、会社も中国のファッションビジネスの発展に貢献できるし、留学生の方々も、日本で一生懸命勉強して、将来故郷のファッションビジネスで活躍する人材に育っていき、ハニーズに恩返しをするのだろうな、と想像できます。

 ハニーズは日本でも年間100店舗以上の新店出店を行っていますが、チェーンストアにおいて多店舗化の本当の壁は人材育成です。同社は、これに対して、大卒新入社員を半年で店長に仕上げる組織と教育体制を敷いて努力しているのは有名なところです。

 中国出店に関しても人とともに会社が成長してゆくことを考えているんだな、と関心しながら記事を読んでおりました。

 関連エントリー-ハニーズ、中国に1号店出店


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October 04, 2006

百貨店の郊外SC出店が始まる

 今秋は、川崎駅前大型SC、ラゾーナ川崎、ららぽーと豊洲から始まって、まちづくり三法改正後の首都圏商圏の今後を占う大型SCの出店がめじろ押しですね。

 そのうちの目玉のひとつ、11月18日に武蔵村山にオープンする都内最大級の郊外型SCダイヤモンドシティ・ミューの記事が、10月4日の日経新聞と繊研新聞に掲載されています。

 このSCのトピックは、もちろん、三越初の郊外SC出店。百貨店(三越)とGMS(ジャスコ)がアンカー(核)店舗になっている日本ではめずらしい郊外SCのテストケースとなります。

 ダイヤモンドシティ ミュー プレスリリース記事

 アメリカでは、複数の百貨店やGMSを核店舗として大型SC(RSCやCSC)が出店するケースがほとんどですが、日本では、そういったアメリカ式郊外SCの事例はほとんどと言っていいほど見られませんでした。

 郊外型SCの売上(坪)効率は、百貨店のそれの半分以下。損益的に、郊外立地に日本の百貨店出店はそぐわないと言われてきました。

 売上効率が低く、その割に家賃が高い郊外型SCブームで活躍する常連テナントは、

 ・SPA化で粗利率を高く設定するか、

 ・大型店出店で家賃を変動経費的に契約するか

で売上はそれほど上がらなくても儲かるビジネスモデルを構築して来ましたから、それに対して、百貨店の委託条件、粗利40%程度では利益がのこらない、というわけです。

 このブログでも何回かご紹介しているように、景気回復を受けて、今だとばかり、百貨店各社が都心部で増床・改装で競争を激化する一方で、今回の三越を初め高島屋、大丸、阪神が2006年-2008年にかけて郊外型SCに核店舗として出店します。

 背景には、都心部店舗の客層の老齢化に危機感を感じて、郊外の30-40代の若いファミリー層をつかんでおく、という狙いがあるようです。

 また、ミューには、ワールドのフラクサスも東京初出店ですし、新しい近郊SCの試金石としてしばらく話題になりそうですね。 

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October 03, 2006

米アーバンアウトフィッターズ、欧州そして日本へ

 10月2日の繊研新聞によると、アメリカの大学生に人気のカジュアルブランドセレクト&SPA型チェーン、アーバンアウトフィッターズは、これまでの英国、アイルランドに続き、この度、コペンハーゲン、ストックホルムに出店し、今後欧州出店を加速、3年以内に日本進出も視野に入れているとのことです。

 アーバンアウトフィッターズは、アメリカにリサーチに行かれる業界の人間には、おなじみで、90年代後半から今世紀初頭まで多くのカジュアルチェーンが参考にしたファッションストアですが、一般の方にはあまりなじみがないかもしれないので、同社のメイン業態、ウィメンズ業態、ヤングレディース業態のURLを紹介しておきましょう。

Urban Outfitters アーバンアウトフィッターズ
Anthropologie アンソロポロジー
Free People フリーピープル

 アーバンアウトフィッターズとの出会いは、私が90年代前半にアメリカのヘビーウエイトのTシャツを日本に輸入すべく、アメリカ東海岸に足しげく通っていたころ。NYのSOHO店で胸躍る思いをしたのを今でも忘れはしません。

 同社は、フィラデルフィアのキャンパス近くで1号店をOPENして以来、大学に合格して、一人暮らしを始める18歳の男の子女の子のライフスタイルにあったファッションとグッズを提案するというコンセプトの店で、アパレル、服飾雑貨、アクセサリー、家具、インテリア雑貨、パーティーグッズなどなど・・・赤錆の利いた鉄骨と廃材を利用した天井の高いウエアハウスタイプの大型店にその品揃えのバラエティさはこの上ありません。

 今や、株式も公開し、アメリカ全土に出店しておりますが、90年代は、そういったコンセプトゆえに、大学のある街にしか出店しない、という出店ポリシーを貫いていたところにほれ込んだものです。

 単調なSPA系のストアや量販集荷型チェーンが多い中で、アンチテーゼのごとく、アパレルはディーゼル、トリプルファイブソウル、アディダス、スピワークなどをホットでクラシックなNBブランドを核にして、それにアメリカの新鋭ブランドや、BDG(ブルドッグ)、FP(フリーピープル)といったPBに、更に古着をミックスさせ、アジアン系の生活雑貨でスパイスを利かせた店内は1時間いても飽きなかったものです。

 最近は、既存店売上に少々翳りが見えてきたようですが、今後は積極的に海外へも展開するわけですね。

 ロンドンにハイストリートケジントンの店も訪問しましたが、イギリスの人気ブランドを上手に取り入れ、ロンドンローカルにあった店舗と品揃えをしていてさすがだなと思ったものです。

 欧州では、5~10年で50店舗を計画しているとのことですが、ロンドンに続いて、ファストファッションのH&Mの牙城、北欧を攻めるあたりは、とても面白いアプローチですね。アパレルだけでなく、生活雑貨にもこだわりがありますので、北欧っ子にも受けること間違いないのではないかと想像しております。

 日本でいうと・・・代官山や原宿などにあるDEPT(デプト)あたりが雰囲気近いかもしれませんね。

 数年前から、社長さんが来日して、日本進出のための立地を物色したり、情報収集していたのは聞いていましたが、日本マーケットをどう見て、どんなローカル商品ミックスで来るか、とても楽しみなところです。  

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October 02, 2006

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位--リアルクローズの時代(05.12.09)

 コメント:NHKスペシャルの余波。やはり、モードより熱いリアルクローズこそ東京ファッション。

2位-この秋、UNIQLO MIXは手ごわいかもしれない(06.09.17)

 コメント:そして今月のジーユーのOPENも見逃せない。

3位-西松屋チェーンのローコストオペレーション(06.09.25)

 コメント:プライベートブランドにローコストオペレーション。
      その愚直な追求姿勢が勝ち組の条件でしょうか。

4位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:価格戦争も一段落して、原宿古着戦争は第三幕へ。

5位-TOPSHOP(トップショップ)がケイトモスと契約(06.09.21)

 コメント:ロンドンオックスフォードサーカスのTOPSHOPとH&Mとのガチンコ勝負は世界でもっとも
     熱いファッション戦地のひとつでしょう。

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