ルイ・ヴィトンもトヨタ方式でカイゼン中
11月18日から封切られる映画「プラダを着た悪魔」のモデルになったと言われる米ヴォーグの編集長、アナ・ウィンター氏関連の記事が気になって、「クーリエ・ジャポン」11月16日号を買い、特集「ファッション業界の内幕、有名ブランドを動かす権力者たち」を読みました。
独裁者的な女帝と言われながらも、結果として、ファッション業界の表と裏を仲介する役割を果たしたアナ・ウィンター氏の記事や、欧米のハイファッションブランド企業でデザイナーを上手に操るMBAホルダーのCEOたちやマネジャーと呼ばれる演出家たちの活躍を興味深く読んでおりましたが(余談:ところで「クーリエ・ジャポン」は、専門家ではない翻訳家が訳しているから記事が読みづらいんでしょうかね?)、特集記事の最後は品切れ防止の改革に取り組む「ルイ・ヴィトンの挑戦」でした。この元ネタはアメリカ、ウォールストリートジャーナルです。
ルイ・ヴィトンのバッグと言えば、限定商品を売上促進に利用し、「人気商品のウェイティングリストに名前を連れねOヶ月待ち」の代名詞のようなブランドでありましたが、この1年間、マッキンゼーのコンサルティングを受け、トヨタ生産方式(いわゆるリーン生産方式)をベースに
「顧客の要求は、商品がいつも店頭に並んでいることだ」
を実現すべく生産から店頭までの効率経営に取り組んでいるとのことです。
効率経営といっても単なる合理化、大量生産化ではなく、無駄の多かった、専門化された職人技工程についてブランド品質を落とさないように再編成をしているようですね。
記事にある1年間の変化を数字で拾ってみます。
○トートバッグ「リード」を1個作るのに要していた人員と時間
20-30人→6-12人 8日間→1日
※デザインによってチームを再編成し多品種対応可能に
○新作を店頭に送り込むスピード
12週間→6週間
○工場のスケジュール
週単位で調整→世界の店舗からの売れ行きに応じて毎日調整
記事を読んでいて、ルイ・ヴィトンほどの世界のトップブランドでも狙った希少性(生活者を飢えさせて話題を呼ぶ)ではなくて、4代にもわたって、専門化した職人工程だから仕方がないと「あきらめられていた生産の無駄」による店頭品薄状況だったのかと、ちょっと意外にも思いました。
いずれにせよ、ハイファッションであろうと、ビッグブランドであろうと、手が込んでいれば、こだわりがあれば品切れしてもあたりまえ、という生活者無視の作り手の発想、驕りは通用しなくなってきているんだな、と「ファッションの生活者主権化」の時代への着実な進行を感じています。
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