選択の自由~ファッションの民主主義化に寄せて
11月16日に94歳で他界されたアメリカのノーベル賞経済学者ミルトン・フリードマン氏に関して、連日、日経新聞など各紙にさまざまな追悼コラムが掲載されています。
そういえば、私も国際経済学を学ぶ学生だったころ、同氏の「小さな政府論」、すなわち財政政策など政府の市場への介入は最小限に、規制緩和を促進し、民間活力を最大限に利用することこそが市場活性化につながるという理論を提唱した「選択の自由」の訳本を読んで胸躍らせたものでした。
恒常所得仮説なんて、まさに賢く、慎重になった現代の生活者の購買心理を言いえていますよね。
当時は、アメリカのレーガン大統領やイギリスのサッチャー首相の政策を後押しし、遅ればせながら、日本でも小泉前首相の政策のバックボーンにもなっていると言われています。
その後、学生時代に訪れた生活者天国アメリカに感銘を受けた私は、まだまだ豊かさの足りない?日本へもっともっと世界の進んだ文化を輸入することを志して最初の職についたものです。
さらにその10年後に生活者として実際アメリカに住むことになり、そこで体感した感動を、その後、日本のリテールビジネスでの実践にぶつけ、少しづつ確信めいたものも感じました。
先日、ブログで「ファッション2.0」「ファッションの民主主義化」に触れて、にわかに物議をかもしましたが、日本のファッションマーケットにはもっともっと、生活者の「選択の自由」のための企業側の自由競争、努力が必要だと思います。
競争が企業努力を促進し、生活者を豊かにする・・・価格問題であったり、サイズ問題であったり、サービス問題であったり・・・海外組との世界レベルの競争、異業種との他流試合なお結構。
リーズナブルな価格で最先端のファッションを手にできる時代。MLサイズじゃない人も我慢しないでファッションを楽しめる時代。欲しいものがいろいろ自由に試せて、すぐに手に届く時代。
ファッション消費に関する生活者の従来の不便、不満を解消する、生活者を解放する、そんな時代はすぐそこに来ていると思います。そして、それを実現しようとするファッション企業の努力を当ブログは応援しています。
なんだか、そんな自分の発想の根源にフリードマン氏の影響も多少なりともあったのかな、と思いながらそれらの新聞記事を読んでいました。
末筆ながら同氏のご冥福をお祈りいたします。
いつもお読み頂きありがとうございます。
毎日1回、クリックで応援よろしくお願いします。
>>>人気blogランキング に参加しています。
【第8位】→stay (06.11.22現在)
| Permalink | 0
Comments
いつも興味深く読ませてもらってます。
初めまして。
いきなり質問よろしいでしょうか・・?
以前の記事のことで本当に申し訳無いのですが、
会社の無駄や慣習で消費者が高く買わされてる
というのを読みました。
その時はあんまり深く考えてなかったのですが、
今回の記事を見て読み返してみました。
一生活者として会社の理由で高く買わされてるというのは
やっぱり聞き捨てなりません。
どのような無駄、習慣で値段が上がってるのでしょうか?
的外れな質問だったらごめんなさい・・
Posted by: ムシシ | November 23, 2006 11:42 PM
ムシシさん
いつもお読みいただき、またコメントありがとうございます。
ファッションに限らず、他の業界にもそういう体質はあるかと思いますが・・・
やはり「完全買取」でない小売業の商慣習(百貨店、GMS、一般専門店の中に)がいまだに少なくないのが一番の理由ではないかと思います。
売れなければ返品できる小売業のバイヤーの多くは、お客さんのことを考えて、前向きな分析したり、仕入先まかせにしていたり、真剣に発注したりしていない場合が多いのではないか、と思います。そうすると必然的に「売れ残り」も完全買取ゆえ真剣に考えている会社に比べて多くなります。
どれくらい返品されるか?どれくらい未引取りになるかが読めないメーカーは、その商品在庫リスクを小売への納品原価に乗せるか、小売が引き取らないことを理由に難癖つけて生産元に返品したり、原料を残したままにしたりすることを考える会社も出てきます。そうすると、やはり生産元もその分、損をしないように価格に上乗せしますよね。
ファッション商品が完全に売り切れず、多少売れ残るのは普通だと思います。しかし、それに加えてそういった怠慢や慣習?にもとづく人為的ロスが価格に上乗せされていることは否定できません。企画生産から生活者の手に届くまで、その流通段階において介在している会社の数が増えるほどそのリスクヘッジによる宇上乗せ分も多くなることでしょう。
そんな業界体質にアンチテーゼとして、ユニクロのような自社製品で、売場と生産を直結させたSPAやしまむらのような完全買取主義の小売チェーンがあります。海外ではそれが当たり前なんですけどね。
完全買取するということは、リスクを背負い込むわけですから、真剣に発注し、売り切ろうと考えます。そういう企業の方が実際、お客さんに支持をされる商品やサービスを提供し、元気がいいのが現実です。なぜならば、リスクを張っているからこそ、お客さんのニーズを真剣に考えるからです。
ご参考になりましたでしょうか?
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | November 25, 2006 03:05 AM
質問に対する答え。丁寧に答えていただきありがとうございました。
なるほど、この問題は生活者にとって見えざる世界ですね。
勉強になります!
そういえば、私も昔量販店でアルバイトしてた時、
年末のこの時期になると、店長から
「これは委託の商品だから倉庫にもっていってて。」
とセール前のこの時期に言われてた記憶があります。
やはり、お店の販売力とメーカーの商品力双方が自信がない場合は、
完全買取ということができなくなるのでしょうね。
そんなお店やメーカーは淘汰されていくのでしょうね。
自社で何でもできる会社だけが生き残っていく
時代なのでしょうね。
返事、本当にありがとうございました。
Posted by: ムシシ | November 25, 2006 02:31 PM
ムシシさん
どういたしまして。
ご理解ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | November 26, 2006 02:53 AM