しまむらの店舗分類(ストアクラスター)
11月15日の日経MJに先日1000店舗を突破したファッションセンターしまむらの店舗分類の見直しの記事が掲載されています。
同社は、従来、店舗の売上規模(大・中・小)と気温、すなわち日本列島南北どちらに位置しているか(北=寒い・南=暖かい)で全国の店舗を6つのグループに分け、全体の9割は共通商品としながらも、あとの1割は、この店舗分類に基づいて商品構成に変化をつけていました。
最近、都心部に出店を始め、地方より高い商品がよく売れることがわかり(例:ハンドバッグも通常1890円主体に対して、都心では3900-4900円主体など)、従来の6つの店舗分類に都心店舗用に2つの分類を加え(中心または周縁)8つとし、今期中に都心部ではどんな商品が売れるのかの分析に入り、来期から運用に移して行くとのことです。
チェーンストアとは本来、同じ規模の店舗で同じ品揃えを幅広い客層に向けて多店舗化してゆくことで、効率を上げてゆくビジネスではありますが、店舗数を増やせば、地域特性、立地、商圏規模、競合関係などにより客層が異なり、売れる商品にも差が出てくるものです。
ファッションストアにしても、従来、創り手側の理想は、全店同立地、同規模、同MDを行い、店またはブランド側が客を選ぶことだったかもしれませんが、最近はそうも行かないのが現実だと思います。
そこで、今、業界が取り組んでいる問題として、店舗分類(ストアクラスター)が挙げられます。
アメリカのリテールビジネス大会のような会合でも、今年の話題はいかにストアクラスターに取り組み、精度を上げるか?に集中していたようですし、今後は日本でも、顧客を知り、どんな顧客がどんな商品を買っているのか、顧客に支持をされる商品とは何かを追求しながら、仮説としての「店舗グループ」別に顧客に合わせる品揃えの精度が問われてくると思います。
私が昔勤務していたファッションチェーンでも、コンビニのように買い上げ顧客の性別や年齢をレジで打ち分け、どんな商品がどんな客層にお買い上げ頂いているか、当初の仮説は正しかったなどの検証を行って客層を基軸にした店舗グループごとに品揃えの見直しを随時行っていたものです。
ファッションビジネス(特にアパレルブランド)は、これまで「当て逃げ」型が多かったと思います。だからブームも一過性で、消えてゆくブランドや会社が多いのではないかと思います。業界の多くの人が「それがアパレルビジネスだ、顧客は飽きっぽいんだから・・・」なんて結論付けるわけですね。
しかしながら、最近の勝ち組SPA型の企業には、ショップブランドイメージを保ちながら、顧客に合わせた品揃えで、長続きしている事例も出てきています。ビジネスというのは、本来そういうものだと切に思います。
そんな経営を実践する上で、どんな基準を設けるかは、取り扱う商品特性によるとしても、店舗分類(ストアクラスター)は「顧客を知る」ための、とても重要な戦略の入り口の一つであると思っています。
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Comments
なるほど!店頭の情報はものすごい情報資源なんですね。
医療の場合、レセコン(レセプトコンピュータ)に情報として入っているわけですが、それを、保険請求以外に活用することは、まだ一部でしかできていません。もっとも、進化した電子カルテでは、かなりデキるかもしれません。
クライアントの属性、診断名、処方薬ランキング、検査オーダーランキングなどなどの情報が、リアルタイムに、簡単に表示できるような電子カルテがあったらいいな。
Posted by: ほそD | November 17, 2006 05:59 AM
ほそDさん
いつもコメントありがとうございます。
なるほど、そうですね、顧客と商品またはサービス(医療の場合、病状、診断、処方でしょうか?)をクロスさせて顧客を縦軸だけではなく、病状、診断、処方例とかを横軸に串刺しできて統計的に使えたら医療も更に向上するのではないでしょうかね。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | November 18, 2006 01:30 PM