日本向け中国優良工場を口説きにかかる欧州ファッション企業
12月15日の繊研新聞の1面の「変わる繊維地図-中国(上)」という連載特集記事を興味深く読んでいました。
記事によると、「最近日本向けに強い(中国のファッション商品)生産拠点を欧州企業が次々に訪問している」といううわさが上海界隈を飛び交っているとのこと。
それらの欧州企業は工場を訪れては、
「お宅はユニクロ向けを生産しているか。生産しているなら取引しよう。」
と話を持ちかけてくるらしい・・・。
06年の欧米の繊維製品輸入クオタ(輸入制限枠)廃止に関連して、欧米企業が中国に生産を集中し、日本企業の中国生産への影響が懸念されていたことについては、当ブログでも幾度となくコメントしてきました。
しかしながら、現実は、
○クオタは廃止したが欧米各政府が国内産業保護のセーフガード(輸入自主規制)
を発動したり、
○実際には、欧米向け(量を追求)と日本向け(小回りよく品質に対応)の工場は
かなり住み分けされていた
のが実情で、オペレーター(縫製スタッフ)の工場間転職以外はさほど日本向け生産に影響が無かったというのが業界の見方のようでした。
しかしながら、今回の動きは・・・
欧州ブランド企業が本国工場の閉鎖を行ったことや(例:バーバリー)やユーロ高で収益性の落ちたラグジュアリーブランドが(コーチを見習って?)いよいよコスト削減の目的で、日本が鍛えた品質を誇る工場で生産を行うのではないか、というのが背景があるようです。
また、さらに、勝手な想像ですが、このたび日本進出を表明したH&Mの動きも見逃せません。H&Mが日本に来れば今のところ急速な拡大はしていないZARAのライバル心に火をつけることは間違いありません。
ZARAとともに、H&Mも感覚はよいが、品質が本当に日本の生活者に支持されるか?というのが彼らの日本マーケットでの成功のカギのひとつだと思います。
そこで、H&MやZARAのような企業が本格的に日本マーケットを攻略するために、ユニクロ他日本企業に鍛えられた工場の生産キャパシティを押さえにかかる・・・想像に難くない話です。
特にスペインを世界の生産およびデリバリーの基地にしているZARAより世界数十カ国にバイイングオフィスを持ち、生産網を張り巡らせ、各地からターゲットとなるマーケットを攻めるH&Mの方が手ごわいかもしれません。
今週はすっかりH&M特集になってしまいましたが、これから2年後に日本にやってくるH&M。かつての世界No.1 SPA企業、リミテッドブランズを抜いて、GAPに続き世界2位となったファッションリテーラーの動向からは目が離せません。
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