リーン・リテーリングに期待するもの
12月20日の日経MJに大手コンサルティング会社マッキンゼーがあるアウトドア系SPA企業で行った「リーン・リテーリング」という業務改革の事例に関する記事が掲載されています。
以前、ルイヴィトン・ジャパンでも同社のリーン・リテーリングによる業務改革を行って、一定の効果を上げている事例を当ブログでもご紹介しました。
リーン・リテーリングとは、簡単に言えば、トヨタのジャストインタイム、工場の製造工程において作業を定量化(数値や時間に)して分析し徹底的にムダ取りをして生産効率を上げる手法です。
ファッションストアでは、「ファッションビジネスはアナログだ」「チェーンストアならまだしもウチは違う」という言い訳よろしく、いろいろなことが人海戦術、精神論的にすすめられていることが少なくありません。
記事によると 事例企業の店舗で、店舗の状況や作業をストップウォッチで測ったり、メモ帳を手に観察したりすることにより、属人的であったり、あいまいだったことを「見える化」することによって、特に、人員シフト、バックオフィス業務、配送頻度などの改善により2ヶ月間で売上の2-3%の向上とともに、
○在庫が25%減って
○欠品率が15%低下
○接客時間が30%増えて、
○顧客の待ち時間が30%減った
という成果があがった成功例が紹介されています。
最初は懐疑的だったスタッフの人たちは、成果が上がると協力的になり、いまや一丸となって業務改革に取り組んでいるといいます。
その昔、私がリテールビジネスに転じて間もないころ、会議で 「かなり売れてます」とか「(競合店を見に行ったら)結構、混んでましたよ」とか「いっぱい、いっぱいで限界です」といったあいまいな会話でものごとが進行していく光景に、ものすごく抵抗を感じたのを覚えています。
これでいいのだろうかと思ったというか、何がなんだかさっぱりわからなかった私は、当たり前のことかもしれませんが、意識的に裏づけを取るべく、「何点の商品在庫に対して何点売れました」とか、「ショッピングバッグを持って出てくる人が30分の間に何人中何人いました」とか、「同じ時間に行ったら、A社がこうだったのに対して、B社はこうで、うちはこうでした」とか 数値化したり、比較対象となるものを設定して比べたり、同じものを継続的に見続けること(定点観測)をこころがけたものでした。
幸い私がバイイングしていた商品群で成果があがったため、その後、特に若手の連中はその癖を真似てくれ、会議もここちよくなったのを記憶しています。
上記のSPAで改善されたものは、すべてある程度、本気になって工程分析を行えば、改善することが期待できるものと共感します。
しかしながら、業務の効率化を履き違えてはいけないのも言うまでもありません。 業務改革は、リストラ目的の人員削減や血の通わないサービスのマニュアル化のために行うのではなく、効率が上がった分、スタッフの行動にゆとりが生まれ、笑顔が溢れ、本当にアナログでしかできない、お客さんのお買物をお手伝いするという楽しいひとときに時間がとれることを期待して行いたいものですね。
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