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January 30, 2007

H&Mの一格上の業態、コレクション・オブ・スタイル(COS)3月ロンドンにOPEN

 1月29日の繊研新聞およびWWD.COMに、GAPに次ぐ世界第2位のファッションチェーン、H&M(へネス&モーリッツ)社が、以前から発表していた「H&M」より一格上の新業態、「Collection of Style(COS)」の1号店を今年、3月にロンドンのリージェントストリートにOPENすることに関する記事が掲載されています。

 ドイツが圧倒的に最大市場だったH&Mも、英国での躍進、アメリカの強化により、世界的にバランスが取れてきた模様で、一格上の新業態は英国での1号店OPEN、また、同記事にはZARAの後を追ってまずはインターネット通販から始めるホームファッションライン、H&M HOMEについても触れられています。

 GAPの再建が報道される一方で、07-08年の世界ファッションリテーラーの話題は、H&M 対 ZARAを展開するINDITEXの第二世代SPA、ファストファッションSPAの一騎打ちの構図になりそうですね。

 08年にH&Mは日本進出を果たしますが、彼らのビジネスモデルはともかく、正直、今のH&Mのクオリティのままでは、日本の生活者には通用しないのではないか、と見ていますが、このCOSのクオリティがどこまでのレベルのものなのか、日本での成功を占うとても大事なキーポイントになりそうな気がしてなりません。

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January 29, 2007

東京ガールズコレクション(TGC)イン北京

 1月29日の繊研新聞1面およびゼイヴェル社のHPプレスリリース記事によると、ゼイヴェルが主催する日本最大のリアルクローズのファッションフェスタ「東京ガールズコレクション(TGC)」を、来る3月26日に開催される「中国国際服装服飾博覧会2007」のジャパンパビリオンのメインコンテンツ「TGCイン北京」として開催するとのことです。詳しくは、

 ゼイヴェルプレスリリース記事

 日本のマーケットでは、ちょっと落ち着いた感のある赤文字系ファッションですが、昨年のパリに続いて北京への世界発信。前回のパリジャパンエキスポはちょっと、AKB系のマニアックなイベントだったようですが、今回の日本文化に憧れる中国、北京でのショーは、ちょっとアジアにひと風吹かせそうな気がして楽しみです。

 日本のリアルクローズを世界に

 これからの「TGCイズム」の発展に期待しています。

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 関連エントリー-東京ガールズコレクション(TGC)、パリへ

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先週の記事別アクセスランキング

 先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-2008年東京まで待てない!今春上海で世界SPA戦争前哨戦が始まる(07.01.22)

 コメント:ZARA、H&M、ユニクロ、ハニーズ、無印良品・・・それぞれの上海っ子の
      反応が楽しみです。

2位-H&M(エッチアンドエム)、2008年秋 日本進出(06.12.12)

 コメント:世界一に近づくファストファッションSPAの日本進出に業界に限らず、
      にわかに流通、一般生活者と話題が高まっている感じがします。

3位-ヤング感覚で母娘狙う レプシィムローリーズファーム(07.01.24)

 コメント:マーケット深耕に強みを活かした面白い着眼点だと思います。

4位-アドボカシー顧客を増やすということ(07.01.19)

 コメント:口コミマーケティングの先にあるもの、それがアドボカシー。

5位-ポイントカードに潜む危険(07.01.22)

 コメント:めまぐるしく進むICカード&電子マネーの行く末は・・・

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January 28, 2007

パルの「拝啓社長殿」

 1月27日の繊研新聞に、パルが展開するルミネ新宿店最高の月坪効率(150万円)を誇る「ガリャルダガランテ」の記事と関連して、同社の社内制度「拝啓社長殿」が紹介されています。

 パルグループは、大阪出身で数年前に本部を原宿に移し、東京ではポイントあたりに比べると、少々地味で知名度はいまひとつの同社ですが、昨年東証一部上場に指名替えし、ナイスクラップやスーパーラバーズの支援などユニークかつ堅実なファッションSPA企業のひとつだと思います。

 先日米フォーブス誌が選んだベスト・スモールカンパニー(中小企業)の1社にポイントや西松屋などとともに紹介されていましたが、世界から見ると、年商750億円の東証一部企業もスモールカンパニーなのですかね。

 それはさておき、同社には、年に2回、ほぼすべての社員が井上社長に対して、新商品や新業態のアイデアを書面で直訴する「拝啓社長殿」という制度があるそうです。

 この制度を利用して次世代幹部候補が立ち上げた業態もあるようで、そんな社風が今の同社の原動力になっていること。

 ユナイテッドアローズも社員からの業態提案を取り上げ、「UAラボ」として、ステップを踏んで事業としての可能性を模索するなど、社内起業支援の制度がありますね。将来の成長のを背負って立つ若手の発想、芽を大切にしようという社風はとても大事なことですね。

 何人の経営者を育てられるか?それがこれからの「社長」の仕事だと思います。同感。
 
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January 27, 2007

ウォルマートの三角合併が怖い

 1月27日の日経新聞に米ウォルマートの副会長マイケル・デューク氏のインタビュー記事が掲載されています。

 同氏は、昨年秋、ダイエー提携をめぐりイオンに競り負けたが、今年5月に解禁になる「三角合併」に「日本政府に感謝している」と日本企業買収に攻勢を強める考えを示したとのことです。

 三角合併とは、外国企業が日本の現地法人を使って日本企業を買収する時に、株主に自国の自社株で払えるようになる制度。つまり、企業の時価総額がものを言うわけですね。

 記事によると、ウォルマートの株式時価総額はイオンの10倍!

 同氏は、韓国、ドイツからは撤退したのの、西友5期連続の赤字にもかかわらず、日本からは退かない意思表示をしています。イオン+ダイエーとセブン&アイの二強体制は許すまじ、と西友+αのバイイングパワーを増すための買収に意欲的な内容の記事です。
 
 今年は、外資の三角合併、日本人が想像のつかない、ちょっと、怖いことになりそうな気がしますね。
 
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January 26, 2007

ゾゾタウンがリアル店舗情報を紹介する「ゾゾナビ」スタート

 1月25日の繊研新聞、26日の日経新聞に、ゾゾタウンを運営するスタートトゥデイが26日からスタートしたリアル店舗紹介サイト「ゾゾナビ」に関する記事が掲載されています。
 
 「試着がしたい」、「サイトで買おうとしたが売り切れだった」、というユーザーの声にこたえて、ユーザーの最寄店舗を紹介しようということでスタートしたとのことで、PCとケイタイから利用できるサービスです。

 ゾゾナビPCホームページ

 エリア別、ブランド別に最寄のショップが検索でき、ショップが発信するセールや新着情報がリアルタイムにキャッチできるのが特徴で、今回のプレオープンで1000店舗(同一屋号のチェーン展開店舗ショップも各1店舗と換算している模様)、3月のグランドオープンで3000店舗の紹介を目指すとのことです。

 PCとケイタイのサイトを両方チェックしましたが、PCは普通ですが、ケイタイの方は、モバイルならではの楽しみ方が出来て面白いかもしれませんね。

 たとえば、自分が原宿にいるとして、各ショップが書き込むセール情報や新着情報を見て、原宿にあるそのショップを即、訪れたり、GPSを使えば、原宿にあるゾゾ推奨ショップがどこにあるか、どんな位置関係であるかがわかるので、原宿ファッションショップめぐりにも利用可能というわけです。

 また、アクセスの多いブランドのランキングがあったり(直近はUAが1位です)、グランドオープンの時には、多くの人がその街で、ゾゾナビを利用してどんな買い周り方をしているか、を公開する、ショップめぐりの達人?あるいは指南?のようなサービスもスタートさせるというから、さすが、と唸ります。

 以前もゾゾレジデンスをブログで紹介しましたが、生活者が自由に行う部屋作りや購買行動を追跡し、その情報を企業のみならず一般生活者に公表するこの試みは、ネットならではの最高のマーケティングのひとつだと思います。生活者も楽しいし、企業側も学ぶところがある。

 それをファッション業界出身ではない、スタートトゥデイが仕掛けていることが凄く面白いことだと思います(ゼイヴェルしかりですが)。さすが、わかってるよねって。

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 関連エントリー-SNS仮想マンション、ゾゾレジデンスはファッションマーケティングの宝庫

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January 24, 2007

ヤング感覚で母娘狙う レプシィムローリーズファーム

 1月24日の日経MJにポイントの基幹SPA業態、ローリーズファームの郊外型SC向け派生ブランド「レプシィムローリーズファーム」に関する記事が掲載されています。

 通常は駅前ファッションビルを主戦場とするローリーズファームが幅広い客層を取り込むために、流行のデザインを取り入れながらも少し大人しくし、内装もナチュラル系で、ローリーズの知名度で立ち止まった娘とともに30~40代の母も着れる商品を展開しているのがこの業態の狙いです。

 色展開やディテールのこりかたが違うだけでローリーズと同じ感性のものを扱い、現状ローリーズと同じ商品8割、レプシィムオリジナル2割のところ、夏にはレプシィム6割までもって行くというものです。

 今期6店舗からスタートし、20代の販売員が40代の顧客を接客する際に不慣れだという課題はあるようですが、計画通りの立ち上がりで、SCから引く手あまたとのことです。

 話は変わりますが、ファッションセンターしまむらも数年前からファッション性、ヤング客層取り込みに力を入れていますが、同社は品揃えにトレンド性を取り入れる際に、既存のミセスメーカーにトレンドデザインを期待するより、ヤングメーカーにサイズ対応でミセスも着れる商品を発注品揃えし、成功していると聞きます。

 感性をもった生活者は今も、そして将来、年を重ねても、従来のミセスやアダルトやシニアメーカーの提案する商品を喜んで着用するとは到底思えません。

 このローリーズファームやしまむらのような既存の流通にとらわれない生活者の心理をとらえた柔軟な発想こそが生活者の支持を得られることになるに違いないと思います。

 ポイント社は次なる成長戦略として当初、近隣型SC(NSC)向けの新業態を考えているとの記事を以前読みましたが、このレプシィムのような既存大型郊外SCのテナント入れ替えに上手に入り込む業態開発に取り組む方がはるかに同社らしいと思いますね。

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January 23, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-客数がリテールビジネスを癒す(07.01.14)

 コメント:ファッションストア、NSCと都心どちらに成長エンジンを求めるのが
      得策か?

2位-米GAPが事業再建計画検討へ(07.01.10)

 コメント:アメリカで大型M&Aを計画するファストリもGAPグループ買収の候補?

3位-アメリカンイーグル07年春、日本進出(06.08.23)

 コメント:ここのところ、またまたアクセス増えてる過去のエントリー。

4位-ワールドが服飾系専門学校で明日の店長育成(07.01.13)

 コメント:販売のプロを育成するいい成果が上がるとよいですが。

5位-H&M(エッチアンドエム)、2008年秋 日本進出(06.12.12)

 コメント:上海、パリなどでの日本SPAとの前哨戦が見ものです。

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January 22, 2007

2008年東京まで待てない!今春上海で世界SPA戦争前哨戦が始まる

 1月22日の繊研新聞、今回の新春小売業首脳インタービューは、ハニーズの江尻社長の記事でした。

 記事によると、昨年12月中旬に出店した同社の上海万达商業広場の店舗は絶好調の模様、初年度損益トントンのメドも立ったようで、また、2月に同じく上海は正大広場に出店する立地は、4月に出店予定のH&M(エッチアンドエム)の隣とのこと。

 ちなみにH&Mが出店するビルの1、2階はH&Mで3階がユニクロとのことで、江尻社長はH&Mが日本進出する前に隣同士になり、来年の秋の前哨戦が上海で繰り広げられることを楽しみにしているとのことです。

 私も、H&MとZARAの激戦パリにユニクロが進出するのもとても楽しみですが、この春、上海で、先行のZARA、H&Mとユニクロ、ハニーズがぶつかるのもとても興味深く思っています。

 ちょうど22日の日経MJの一面も昨年、今年と中国進出を果たす欧米日強豪カテゴリーキラーの見所特集でしたね。

 世界のH&Mには店舗の世界観や広告宣伝の妙味については、まだまだ及ばないと思いますが、こと東アジア市場という地政学的なオペレーションを考えた時にまんざらハニーズに分がないとも思えません。

 というか、日本マーケットにH&Mの世界観の作り方とハニーズのスピード感あふれる企画生産オペレーションを併せ持つファッションストアが現れたら最強!とても面白いことになると以前から思っています。

 お互いベンチマークしあいながら切磋琢磨されてゆくのを楽しみに見守りたいと思います。 

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 関連エントリー-ハニーズは日本のH&Mになれるか

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ポイントカードに潜む危険

 1月22日の日経新聞の社説に今年、大変なことになりそうなポイントカードと電子マネーに関する論説が掲載されています。

 今春の地下鉄私鉄バス共用ICカード「パスモ」の導入と同時に行われるSUICAへの相互乗り入れ、セブン&アイの電子マネー「ナナコ」の発行が決定的な引き金となり、ポイント交換&電子マネーは大戦国時代に入ることは間違いなさそうです。

 また、先週の週刊東洋経済1/20号では、「保存版ポイント相関図」付きで30ページにも及ぶ「ポイントカード大氾濫」の大特集を組んでいましたが、始めのころは興味深く読んでいましたが、正直途中でちょっと辟易としてきました。
 
 確かに賢い生活者は上手にポイントを貯め、交換、集約し、旅行をしたり、買い物ができるのですが、今日の日経新聞の社説の執筆者が言うように、

 定期以外は無記名のはずのSUICAやパスモも、記名式のポイントやマイレージと交換することで、情報がつながり、個人の移動履歴と購買履歴を一緒にたどれるようになる、「危険性」もはらんでいるわけですね。

 個人情報と引き換えに、利便性を得る。

 そんなことを割り切りながら、一生活者である私も、ICカードやポイントカードを限りなく1枚に集約し、財布を薄くしたいと思い、できるだけ割引を得られること、そして、そのICがケイタイ電話に内蔵することを望んでいます。そのうち、ケイタイ電話をリーダーにかざすことすら面倒になるかもしれませんね。

 ちょうど10年前にアメリカで出版されたある消費者行動学に関する書籍にこんなことが書いてあったのをずっと覚えています。未来の生活者の消費の姿を予言したものです。

 1.生活者が消費をする時、生活者はスキャナーに手のひらをかざせばよい。
 2.スキャナーは生活者の手に埋め込まれた個人IDをスキャンする。
 3.各企業に対する個人消費の集約、精算を一手に引き受ける覇権を握った企業が
   取りまとめて生活者に請求する。
 4.その請求書はその生活者の家計簿そのものであり、
 5.行動履歴そのものである。

 1-4まではその書籍に書いてあったこと、5は今回私が加筆してみたものですが、なんかどんどんそんな風になって来てますね。

 めまぐるしく便利になる時代に個人武装、企業のモラルがますます問われる・・・

 2010年ころには、どんな風になっているのかなぁ。 

 あまり考えすぎても仕方ありませんが、最近DMでゴミ箱がいっぱいになることが多くなった気がします。

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January 19, 2007

アドボカシー顧客を増やすということ

 1月19日の繊研新聞に今年の第96回全米小売業協会大会に関する記事が掲載されていました。
 
 流通業界の方でも、同大会の話題には、あまり気を留めていないかもしれませんが、毎回、アメリカのファッションを含む大手リテーラーが最新のテクノロジーやシステム投資などについてどんなことを考えているのか?そのマクロトレンドを示すキーワードが出てくるので明日の日本の流通を占う上で、興味深くチェックしている次第です。

 今回のキーワードは「デジタルとアナログのミックス&マッチ追及」とのことで、いかにデータを収集し、分析するかというテクノロジー投資一辺倒だったここ数年の話題の中で、久々にデータを分析する上での「アナログ」や「感性」の必要性が提唱されたようです。(当然といえば当然ですが・・・)

 その中でも、一度満足させた顧客の顧客満足が長続きしない時代に、「顧客満足」から「顧客ロイヤルティ(固定客化)」というステップを超えて、「アドボカシー顧客」なる、「周囲の人にその店やブランドを勧めてくれるお客」をどう育て、拡大するかが重要であることが話題になった、という一文に目がとまりました。

 もっとわかりやすく言うと、情報が溢れ、企業の広告宣伝の信憑性が問われている昨今、口コミが重要視されてる状況は日本でも同じですが、既存顧客が信者となり、顧客が顧客を紹介してくれることほど力強いものはないことは、誰もが認めることころではないかと思います。

 アマゾンのレビューにしても、SNSにしても、アフィリエートにしても、いわゆる一般生活者の口コミを利用して購買をいかに増やすかが現代マーケッターの最大関心事のひとつでありましょう。

 ちょうどそんな記事を読んでいて、最近ある大手家電量販店の幹部の方とお話をする機会があった時に出た話を思い出しました。

 その企業は、売上に占める「既存顧客の紹介による新規顧客の売上」が現在7%あるとデータで掴んでいます。今年はそれを倍にしようという目標を立てて、社長が率先して推進していると言います。

 「口コミ」による売上が大事なことはわかっていますが、こんな風に現状の数字をしっかり掴んでいて、それをどうやって倍にしようか、と計画的に仮説検証に取り組んでいる企業の事例はそう多くないと思います。

 この「顧客の紹介による売上」を上げる方法は、単純に目先の「売上」「会員数」そのものアップや、購買金額の高い「優良顧客数」を増やすアプローチとは、根本的に発想もプロセスも違うし、むしろ企業の将来の安定を考えた時にずっと重要なことであり、それに取り組む企業はさすがと感心したものです。

 信者となった顧客が顧客を連れてきてくれる・・・全く、リテーラー冥利につきる状態ではありませんか。
 そんな「アドボカシー顧客」づくりに本格的に取り組んで行きたいものですね。

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January 16, 2007

ハニーズが一格上の新業態開発

 1月13日の繊研新聞、16日の日経新聞によると、婦人専門店チェーンのハニーズは、今秋から都市部の駅ビルやファッションビル向けに、平均単価が3500円相当となる、既存のハニーズの約2倍の価格帯の新業態を開発するとのことです。

 ハニーズはこれまで、郊外SCを中心に642店舗(06年12月末)になりますが、ターゲットとする国内1400店舗が視野に入り、次の業態開発に入る模様で、ルミネ、パルコなどでも通用する感性、品質の商品に取り組むというもの。

 同社が、ターゲット客層と同年代の店長の声、デザイナーの感性を活かしてマーケットでの売れ筋トレンド商品をスピード企画、生産、販売するビジネスモデルは、1900円を中心とするポピュラープライス(マス)マーケットでは成功をおさめましたが、半歩進んだローワーモデレートプライスマーケットでも実践できるかとても興味深いところです。

 ポイントのローリーズファームやアースミュージックアンドエコロジーあたりとの勝負になるわけですかね。

 一般的に、これまで、業界では、ハイエンドを頂点にファッション階層の比較的高いところのブランドや企業が比較的低価格のブランドや業態を開発して(裾野を広げて)成功した事例はいくつもありますが、「下から上へ」の事例はM&A以外は思い当たらないのが正直なところです。

 しかしながら、ハニーズの週間サイクルで分析、マーケット定点観測、現場の声を活かした商品発注会議、同週中に中国の工場と商談して即発注をするという業務スピードは、業界の中でも評価の高いところです。

 マーケットの動きを見てから、素材も妥協しながら作る(従来のハニーズ)ではなく、マーケットの動向を見る前に予測をして素材とデザインを決め込まなければならない作業は、間違いなく、勝手が違うと思いますし、そのマーケット経験者の専門別部隊が必要であると思いますが、国内に自社工場があったり、店頭の声を吸い上げる仕組み、インフラはハニーズが単なるトレードオフのコピー屋さんとは一味違うところだと思っています。
 
 効率の悪い近隣型ショッピングセンター(NSC)で店舗を増やすよりは、可能性の高い都心型ファッションビルに是非是非チャレンジしていって欲しいと思います。

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 関連エントリー-ハニーズが極めるデマンドチェーンマネージメント
 関連エントリー-店頭情報収集、ハニーズの場合

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January 15, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-米GAPが事業再建計画検討へ(07.01.10)

 コメント:飽和状態であって、決して収益性が悪いわけではない
      と思うのですが・・
      大きくなりすぎることなりに悩みもあるわけですね。

2位-アメリカンイーグル07年春、日本進出(06.08.23)

 コメント:アメリカでは引き続き好調を維持、どんな形でやってくるのか楽しみ。


3位-今、日本がお買い得(07.01.03)

 コメント:回りまわって、そして、日本のマーケットが豊かになりますように・・・

4位-十人五色(07.01.06)

 コメント:大競争時代、生活者主権時代のいい言葉だと思います。

5位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:それぞれの持ち味のあるUSED新御三家の魅力を原宿に見に行こう!

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January 14, 2007

客数がリテールビジネスを癒す

 1月13日の日経新聞によると、11日にユニクロを展開するファーストリテイリングが発表した07年8月期の連結業績見通しの下方修正を受けて、12日のファストリの株価は東証の値下がり率ランキング1位となるほどの下落をしたとのことです。

 要因として、
 1.秋冬物の動きの鈍い商品の早期値下げによる売上高総利益率の低下
 2.低価格の新業態、ジーユーの計画未達(計画対比55%程度?)

が挙げられています。
 
 1については・・・UNIQLO MIXなどファッションにチャレンジした商品が立ち上がりはよかったけれども、作りすぎたのかな?と年末年始に同社のレディース売場の片隅で大量に値下げされている商品を眺めながら思っていました。

 2について・・・g.u.(ジーユー)の出店立地は、ダイエーの不振店跡地やまちづくり三法改正後に開発が加速すると見られる食品スーパーを核とする近隣型ショッピングセンター(NSC)です。

 実は、今週、ジーユーが出た立地に同時に出店された複数の企業の方々から同じコメントを頂きましたが、オープン当初は売上もよく、期待をしたものの、その後の減速が著しく、早くも損益がおぼつかない状況とのこと。その理由は、単価の低さは覚悟していたものの、買い上げ客数が少ないというものです。

 以前からブログでもコメントして来ましたが、基本的に、NSCの生活者にとっての位置づけ、つまり期待と購買頻度は、ファッションリテーラーのそれと相反するものがあると思っています。

 たとえば、ファッションリテーラーにとって、月坪売上が10万円にも満たない立地では、よっぽど粗利率が高いか、すでにローコストオペレーションが確立されているフォーマットでない限り、いくら家賃が安くても、その他の固定費で利益が残らない構造ではないかと思われるのです。

 もともと、郊外立地で客数がそれほど多くなくても、低価格の高頻度実用衣料による高い関連販売率で運営できるように鍛えられたしまむら、西松屋、チヨダグループなどはまだしも、都心や大型SCで慣らされた企業はオペレーションの確立まで苦戦を強いられることになるでしょう。 
 
 それより1月11日の日経新聞にも掲載されていた、ユニクロによる津田沼の丸井跡地の開発の方が気になります。

 丸井が昨年のなんば店OPENや今後有楽町など、次世代型百貨店を標榜し既存百貨店立地にフォーカスしてガチンコ勝負をしかけてくるにあたって、準都心型丸井は閉鎖、跡地を立地に合わせたファッションビルのModi(モディ)にしたり、今回の対ユニクロのように集客力のあるパワーテナントに丸ごと貸してゆく話を進めています。

 たとえば52週チラシを撒き、抜群の集客力を誇るユニクロが高層階でシャワー効果を発揮し、ユニクロが下層に相乗効果のあるファッション業態や異業種にテナント貸ししようとするこのプロジェクト。こちらの方が、客数が見込めそうで新しい商業施設として期待ができそうで楽しみです。

 やはり「客数が小売を癒(いや)す」だと思いますね。

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January 13, 2007

ワールドが服飾系専門学校で明日の店長育成

 1月12日の繊研新聞によると、ワールドは07年度から服飾系専門学校4校に販売系人材養成コースを開設、将来の販売系人材確保と育成を目指すとのことです。
 
 4校とは、杉野ドレスメーカー学院(ドレメ)名古屋ファッション専門学校、上田安子服飾専門学校、マロニエファッションデザイン専門学校。
 
 それぞれファッションビジネスストアマネージメント学科などの名称の学科を新設し、1年時から週3日の店頭実習もあり、その後、同社の店長候補教育と同等のカリキュラムをワールドストアパートナーズやワールドビジネスブレインなどから講師を招いて実践的な講義通じて受講するとのこと。同学科の卒業生は、希望しない場合を除きワールドへの就職、店長候補となる模様です。

 学校側も、実践的講師が来て既存の講師にも刺激になることを期待しているようですね。

 何年も前から、インターンシップ制を取り入れる企業はありますが、ここまで企業が学校へ踏み込んだ形の取り組みは、事例が少なく、業界では、過度な青田買いとの批判もあるかもしれません。

 しかしながら、ファッション販売では、販売スタッフ(FA)の力量は大きくブランドの売上を左右するもの。販売人材難が深刻な昨今、自社でノウハウを蓄積、体系化させてきたワールドだからこそできる「ビジネスプラットフォーム」発想であり、人材育成がおろそかな業界の中で、これらの文字通り産学協同事業で本当の人材育成ができるのであれば、むしろ期待すべきことではないか、と思えます。

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 関連エントリー-アパレル大手が販売契約社員を正社員化

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January 10, 2007

米GAPが事業再建計画検討へ

 1月10日の日経新聞によると、世界最大のSPA企業、米GAPが、ゴールドマンサックスと契約をし、いよいよ事業再建の検討に入ったとのことです。

 GAPの事業売却の噂は以前からいろいろと出ていました。バナナリパブリックはそこそこの業績を出しているものの、GAP本体は、全米飽和状態、低価格業態のOLD NAVYが不振の状況で、現在、10四半期連続の既存店前年対比割れを喫している模様です。 

 アメリカのネットニュースメディア各紙によると、
 1.投資ファンドによる買収、事業再生
 が最有力で、以下

 2.37%株式を保有する創業者フィッシャー氏ファミリーによるMBOと非公開化
 3.バナナリパブリック、GAP、OLD NAVYの分割売却

 など、が検討課題で、いずれにせよ、株主の現CEOに対する不振を一掃することを急務としているようです。
 
 メディアの見方は、同業他社には、これほどの規模の同社をTake Overするパートナーは見つかりづらく、既存店割れとは言え、不動産資産はないものの、引き続き大きなキャッシュフローを生み出している同社は、非公開化、再生後、再上場とすることが、投資ファンドにとっては魅力とのことです。

 興味深いのは、GAPの再建(事業売却など)に伴って、同社の売上高が減少すると、毎年20%近いまたはそれ以上のペースで成長し続けているH&MとZARAを展開するINDITEXが世界ファッションSPA世界1位、2位に躍り出るスピードが加速する、ということです。

 いずれにせよ、ユニクロの柳井会長の言葉を借りて申し上げると、この「ファッション第1世代SPA(LIMITED、GAPなどのトレンドの要素を持ったベーシックチェーン)」から「第2世代SPA(ハイファッション、トレンドファッションを低価格で販売するファストファッションチェーン)」への「世代交代」は時代の大きな潮流といえましょう。

 2008年にH&Mが日本進出するころには、H&Mは世界一になって、鳴り物入りでやってくる可能性が高まったということです。

 今後のGAP社の動向に注目です。

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January 09, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-今、日本がお買い得(07.01.03)

 コメント:07年も外資の日本進出が目白押し。揉まれて強くなれニッポン企業。

2位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:原宿の古着ショップの情報を収集している方々からの検索エンジン
      経由のアクセスは今年も多そうです。

3位-アメリカンイーグル07年春、日本進出(06.08.23)

 コメント:さて、まもなく07年春ですが、その後どうなったのでしょうかね。

4位-今年のファッション流通を振りかえって(06.12.31)

 コメント:06年の出来事から07年の予測もできそうです。

5位-十人五色(07.01.06)

 コメント:小売業の使命がこの言葉に籠められている・・・

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福袋に期待するもの

 新聞の記事や、新年の世間話を通じて、都市部の百貨店、ファッションビルの初売りは昨年ほどの爆発力はなかったものの、人気店では福袋が初日数時間で完売、セールの一部前倒しとの連動で大方前年クリアということでまずまずのスタートだった模様です。

 ところで、福袋は従来、何が入っているかわからない楽しみ、価格以上のバリューに期待して、当たり外れも覚悟して買うものでしたが、昨今、年末のうちから中身を公表したり、店頭では、中身を見せるのが当たり前になってきているところもあるようです。

 正月三が日に、近所の大手量販店の特設売場や衣料コーナーでも、毎年おなじみのサーフ系、スポーツ系、人気キャラクター系のライセンスブランドアパレル福袋を山積み販売していました。ブランドごとに中身をすべてディスプレーして、どれも中身は同じ、これらが入ってます、お買得でしょう、とばかりバリュー感をアピールしていましたが、これには、少々考えさせられました。

 近郊からわざわざ都心部に買い物に来る希少ブランドショップの福袋ならまだしも、小商圏でのこの売り方はいかがなものかと・・・

 何が言いたいかというと、ちょうど、その答えが、1月8日の日経新聞、政府や企業は本当に生活者の「家計」のことを考えているか?を問題提起をする新年連載コラム「ニッポンの家計 イエコノミー」の最終回。またしても、しまむらの藤原会長のコメントの中にあったので引用させてもらいたいと思います。

 安いだけでは売れない時代に、日本全国1000店舗超、小商圏で業績を伸ばし続けているファッションセンターしまむら。低価格の普段着を主軸に大量販売している同社も、全体の6割のコモディティ商品に対して、4割を占めるファッション商品は、

「同じ店に同じデザインは一着しか置かない」

ことをポリシーにしている、というのは業界でも、有名な話。(実際には、店間移動で同じ商品が集まってくる店は例外としてありますが)

 その理由は至って簡単、

「だって入学式で同じ礼服を着た人と隣り合わせたら気まずいじゃないですか。」

と藤原会長。

 実は、うちの小学校3年生の娘も、上述の量販店に洋服を買い物に行くと、「あっ、これ学校で着ている人がいるからイヤ」と言います。

 同じ小商圏で、中身を見せながら同じ服の入った福袋を大量に売る量販店と、礼服と言えども、同じ商品を二着と置かないしまむら。これ、どちらが生活者のことを、あるいは、ファッションの本質を思いやっていると思いますか?

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January 08, 2007

J-WAVEがラジオ番組連動型ファッション通販をスタート

 1月8日の日経MJによると、FMラジオ局のJ-WAVEは、1月5日より20-30代女性向けファッション通販サイトをオープンし、翌6日から毎週土曜日にオンエアされるファッション情報番組EC ONLINE ~J-REAL(ジェイリアル)と連動し、番組で情報とともに紹介した商品を同サイトで販売しようという試みをスタートさせたとのことです。
初年度売上目標は1億円とのこと。

 J-REAL(ジェイリアル)サイト

 サイトを見ると、この番組は、私もしばしば聞いているアンドレア・ポンピリオさんナビゲートの番組「モダイスタ」の最後の5分で行われるようですね。最近、モダイスタもファッション関連の内容やCMが多いと思っていましたが、この布石だったんでしょうか。

 雑誌やTVなど、ビジュアル(目で見えるもの)と連動したネット通販は、よく知られていますが、ラジオという音声のメッセージだけでどこまで視聴者に興味を沸かせ、サイトに誘導できるのかの試みは、非常に興味深いところです。

 以前も、テレビドラマ中の「劇中広告」をブログで取り上げましたが、ラジオの場合、どこからが番組(情報)で、どこからが広告なのか、その境目が難しそうです。

 目に見えるもの耳に聞こえるものがどんどん広告で埋め尽くされる今日。生活者も情報を整理して、モノを見極める力がますます必要になりそうです。

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 関連エントリー-劇中CMの効果はいかに?

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January 06, 2007

十人五色

 1月5日の日経MJ、新年恒例の「2007年の消費 経営者100人はこう見る」を眺めていました。

 さまざまな業界の大企業の経営トップ100人が今年の消費の伸び率から株価、為替相場などを予測するアンケートに答えたものをまとめたものです。

 「消費のキーワード」の項目で最も多かったのは、やはり定年を迎え始める、2007年問題の主役、「団塊の世代」でした。続いて「健康」、「二極化」と続きます。

 今に始まった話ではありませんが、今年に入ってからの新聞紙上のさまざまな経営者のインタビュー、所感では、この「二極化」あるいは「二極化の加速」というキーワードを非常に目にします。

 つまり、高いものと安いものしか売れないと言いたげなこの「二極化」の言葉。百貨店関係者が高いものがよく売れているのを指して言う場合が多いようですが、しかしながら、こういったステレオタイプ的な言葉は、使う側にとっては非常に好都合な言葉ですが、生活者のウォンツにどれだけ応えようとしてるのか甚だ疑問に思ったりします。
 
 中間価格帯で努力して成功しているバッグのコーチやサマンサタバサ、ポイントのローリーズファームやクロスカンパニーのアースミュージックアンドエコロジーなどに対してはどのように評価をされるのでしょうかね。

 かつては、中間価格、低価格といえばハイファッションやトレンドファッションのコピー(トレードオフ)だったわけですが、今やこれらの中間価格帯のプレーヤーはもちろん、低価格帯の猛者たちも、価格は安くても、トレンドファッション企業と同じプロセスで価値ある商品を企画、生産し始めていると思います。

 さて、100人の経営者の「消費のキーワード」の中で、もっともインパクトがあったのは、しまむら社の藤原秀次郎会長の「十人五色」でした。

 しまむらの藤原会長は、ファッションビジネスの中で、その「科学的」とまで思える極めてロジカルなビジネスモデル作りと経営判断、一方で感じる、従業員と生活者に対する「愛情」ゆえに、私が最も尊敬するビジネスマンのひとりでありますが、この「十人五色」の言葉にはリテーラーとしての使命感を感じざるを得ません。

 従来チェーンストアは、世の中の80%の人が買う最大公約数的な品揃えに絞り込んで多店舗化するのが仕事でした。つまり、生活者を逆に「十人一色」に当て込もうという発想にもなりますかね。

 一方、いまや世の中に商品は溢れ返っていますから、「十人十色」に応えようとすれば、そういった店を作ることは可能でしょう。しかし、どのように見せるかとか、在庫問題とか、その弊害も小さくはないはずです。うまくできれば百貨店、さもなければディスカウンター的な見え方になるのでしょうか。

 以前、藤原会長が何かの記事の中で、「小売の仕事は10ある商品を5くらいに絞り込んでお客さんが選びやすくしてあげることだ」、とか、「ひとつのタイプにハメるのではなく、多くてもせいぜい10個くらいのタイプにハメるというイメージだ」というような内容のことをおっしゃっているのを読んでいて、シンプルだけどとてもわかりやすい言葉だなと思ったりしました。

 「二極化」=生活者が「より高いもの」「より安いもの」だけ望んでいるなんて、2タイプしかいないなんて、供給側の都合、努力放棄のように聞こえますね。

 生活者を過度にステレオタイプにするのではない、いろいろな生活者のウォンツを読んで、小売企業が「意思」と「努力」をもってお応えする。そのプロセス、結果が「十人五色」になり、生活者に安心して支持をされるストアポジショニングにつながるのではないか、とあらためて感じさせられたものです。

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January 03, 2007

今、日本がお買い得

 2007年、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今年初のエントリーは年末年始、日経新聞のいくつかの記事を読んでいて感じた、ファッションビジネスにもひとごとではなさそうなマクロ経済的な話を取り上げてみたいと思います。

 1月1日の日経新聞の一面に、総額1400兆円にもおよぶ日本の家計の金融資産(現金、預貯金、株、投資信託など)のゆくえに関する記事が掲載されています。

 「家計」の金融資産は、従来、主流だった低金利の金融機関への預貯金から、ここのところ、高利回りを期待して、日本企業への直接投資(株や債券の購入)のみならず、外貨建ての金融資産に向かい、以前、政府が三年前に行った円売り為替介入総額35兆円を上回る、40兆円規模の「円売り」の力が恒常的に円高を阻止するほどになっているとのことです。

 そういった「家計」の円売り円高阻止の力が、日本の経済を支える輸出企業の史上最高益をもたらし、一方では、海外投資ファンドの日本企業M&A資金や、株、不動産といった資産投資をも少なからず下支えしている模様です。

 12月31日の日経新聞の「エコノ探偵団」では、なぜここのところ海外のブランド店が日本の銀座や表参道などの超一等地に相次ぎ大型店を出店しているのか?の裏側に迫る内容を取り上げていました。

 記事の内容をまとめると、

1.日本の不動産価格が路線価ベースで、ピーク時の5割程度と割安なこと。当然、円安も割安感に一役かっている。今後好景気継続によって値上がりの期待もある。

2.日本人以外にも、円安で増加の傾向にあるアジアからの観光客向けに、現地より種類が豊富で、割安感の出た日本でのブランドショッピングに大いに期待ができる。

ということでした。

 日本人が汗水たらして貯めた金融資産が海外に流れ、日本の輸出企業は潤うものの、そんな資産を利用した外国企業が「お買い得な」日本の資産を買いあさる。

 なんか、相変わらず、日本人が自分で稼いだお金で楽しんで豊かになるという構造には程遠いような気がしてしかたがありませんでした。
 
 戻って1月1日の日経新聞によると、景気が15年目に入った英国と90年代に10年景気を経験したアメリカ。英米両国の共通点は、国内総生産(GDP)に占める家計消費の割合が70%。一方、日本の景気拡大は4年10ヶ月といざなぎ景気越えで戦後最長を更新中とは言え、同55%と両国に比べればかなりの低め。
記事は「その差は家計の力を引き出せる国か、とじ込めている国か、ではないか」とコメントしています。

 今年も、日本マーケットはそんな外資の荒波、刺激を受けることになるでしょう。しかしながら、憂うばかりでなく、そんな環境の中で、日本が着実に「家計の力を引き出せる国」「自ら豊かさを楽しめる国」へと脱皮してゆくことを期待したいと思います。

 “JAPANESE DO IT BETTER” の言葉を信じて・・・

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