1月5日の日経MJ、新年恒例の「2007年の消費 経営者100人はこう見る」を眺めていました。
さまざまな業界の大企業の経営トップ100人が今年の消費の伸び率から株価、為替相場などを予測するアンケートに答えたものをまとめたものです。
「消費のキーワード」の項目で最も多かったのは、やはり定年を迎え始める、2007年問題の主役、「団塊の世代」でした。続いて「健康」、「二極化」と続きます。
今に始まった話ではありませんが、今年に入ってからの新聞紙上のさまざまな経営者のインタビュー、所感では、この「二極化」あるいは「二極化の加速」というキーワードを非常に目にします。
つまり、高いものと安いものしか売れないと言いたげなこの「二極化」の言葉。百貨店関係者が高いものがよく売れているのを指して言う場合が多いようですが、しかしながら、こういったステレオタイプ的な言葉は、使う側にとっては非常に好都合な言葉ですが、生活者のウォンツにどれだけ応えようとしてるのか甚だ疑問に思ったりします。
中間価格帯で努力して成功しているバッグのコーチやサマンサタバサ、ポイントのローリーズファームやクロスカンパニーのアースミュージックアンドエコロジーなどに対してはどのように評価をされるのでしょうかね。
かつては、中間価格、低価格といえばハイファッションやトレンドファッションのコピー(トレードオフ)だったわけですが、今やこれらの中間価格帯のプレーヤーはもちろん、低価格帯の猛者たちも、価格は安くても、トレンドファッション企業と同じプロセスで価値ある商品を企画、生産し始めていると思います。
さて、100人の経営者の「消費のキーワード」の中で、もっともインパクトがあったのは、しまむら社の藤原秀次郎会長の「十人五色」でした。
しまむらの藤原会長は、ファッションビジネスの中で、その「科学的」とまで思える極めてロジカルなビジネスモデル作りと経営判断、一方で感じる、従業員と生活者に対する「愛情」ゆえに、私が最も尊敬するビジネスマンのひとりでありますが、この「十人五色」の言葉にはリテーラーとしての使命感を感じざるを得ません。
従来チェーンストアは、世の中の80%の人が買う最大公約数的な品揃えに絞り込んで多店舗化するのが仕事でした。つまり、生活者を逆に「十人一色」に当て込もうという発想にもなりますかね。
一方、いまや世の中に商品は溢れ返っていますから、「十人十色」に応えようとすれば、そういった店を作ることは可能でしょう。しかし、どのように見せるかとか、在庫問題とか、その弊害も小さくはないはずです。うまくできれば百貨店、さもなければディスカウンター的な見え方になるのでしょうか。
以前、藤原会長が何かの記事の中で、「小売の仕事は10ある商品を5くらいに絞り込んでお客さんが選びやすくしてあげることだ」、とか、「ひとつのタイプにハメるのではなく、多くてもせいぜい10個くらいのタイプにハメるというイメージだ」というような内容のことをおっしゃっているのを読んでいて、シンプルだけどとてもわかりやすい言葉だなと思ったりしました。
「二極化」=生活者が「より高いもの」「より安いもの」だけ望んでいるなんて、2タイプしかいないなんて、供給側の都合、努力放棄のように聞こえますね。
生活者を過度にステレオタイプにするのではない、いろいろな生活者のウォンツを読んで、小売企業が「意思」と「努力」をもってお応えする。そのプロセス、結果が「十人五色」になり、生活者に安心して支持をされるストアポジショニングにつながるのではないか、とあらためて感じさせられたものです。
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