アドボカシー顧客を増やすということ
1月19日の繊研新聞に今年の第96回全米小売業協会大会に関する記事が掲載されていました。
流通業界の方でも、同大会の話題には、あまり気を留めていないかもしれませんが、毎回、アメリカのファッションを含む大手リテーラーが最新のテクノロジーやシステム投資などについてどんなことを考えているのか?そのマクロトレンドを示すキーワードが出てくるので明日の日本の流通を占う上で、興味深くチェックしている次第です。
今回のキーワードは「デジタルとアナログのミックス&マッチ追及」とのことで、いかにデータを収集し、分析するかというテクノロジー投資一辺倒だったここ数年の話題の中で、久々にデータを分析する上での「アナログ」や「感性」の必要性が提唱されたようです。(当然といえば当然ですが・・・)
その中でも、一度満足させた顧客の顧客満足が長続きしない時代に、「顧客満足」から「顧客ロイヤルティ(固定客化)」というステップを超えて、「アドボカシー顧客」なる、「周囲の人にその店やブランドを勧めてくれるお客」をどう育て、拡大するかが重要であることが話題になった、という一文に目がとまりました。
もっとわかりやすく言うと、情報が溢れ、企業の広告宣伝の信憑性が問われている昨今、口コミが重要視されてる状況は日本でも同じですが、既存顧客が信者となり、顧客が顧客を紹介してくれることほど力強いものはないことは、誰もが認めることころではないかと思います。
アマゾンのレビューにしても、SNSにしても、アフィリエートにしても、いわゆる一般生活者の口コミを利用して購買をいかに増やすかが現代マーケッターの最大関心事のひとつでありましょう。
ちょうどそんな記事を読んでいて、最近ある大手家電量販店の幹部の方とお話をする機会があった時に出た話を思い出しました。
その企業は、売上に占める「既存顧客の紹介による新規顧客の売上」が現在7%あるとデータで掴んでいます。今年はそれを倍にしようという目標を立てて、社長が率先して推進していると言います。
「口コミ」による売上が大事なことはわかっていますが、こんな風に現状の数字をしっかり掴んでいて、それをどうやって倍にしようか、と計画的に仮説検証に取り組んでいる企業の事例はそう多くないと思います。
この「顧客の紹介による売上」を上げる方法は、単純に目先の「売上」「会員数」そのものアップや、購買金額の高い「優良顧客数」を増やすアプローチとは、根本的に発想もプロセスも違うし、むしろ企業の将来の安定を考えた時にずっと重要なことであり、それに取り組む企業はさすがと感心したものです。
信者となった顧客が顧客を連れてきてくれる・・・全く、リテーラー冥利につきる状態ではありませんか。
そんな「アドボカシー顧客」づくりに本格的に取り組んで行きたいものですね。
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Comments
こんばんは。
クチコミ流行りですが、「アドボカシー顧客」を数値でとらえるとは、さすがですね。
全体に対する信頼感を醸成するわけですから、
総力戦になるのでしょうか。
その量販店のその後についてのお話しを、また聞かせてください。
Posted by: 河上@マーケ | January 19, 2007 11:03 PM
河上様
いつもコメントありがとうございます。
皆さんもご存知の企業の話ですが、私もその経過に注目したいと思います。
ところで、この「アドボカシー・マーケティング」は今年の流行になりそうですね。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | January 20, 2007 05:23 PM
こんにちは。ブログに訪れたらアドボカシーという記事を書かれているので驚きました。最近、「アドボカシー・マーケティング」というタイトルで翻訳をしまして出版しております。是非、ご高覧下さい。
いろいろ情報交換させていただければと思います。
今後とも宜しくお願い致します。
山岡
Posted by: アドボカシー・マーケティング | January 20, 2007 10:07 PM
山岡様
コメントありがとうございます。
顧客満足の先にあるもの・・・それがわからないと目先の顧客満足もおぼつかないというもの。
ブログも拝見しまいた。
同感するところ多いです。
こちらはファッションビジネスにフォーカスしていますが、
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | January 22, 2007 10:31 PM