パターンオーダー(PO)スーツ販売で顧客ニーズを探る
2月23日の繊研新聞に百貨店や専門店の紳士スーツ売場で需要が拡大するパターンオーダー(PO)スーツに関する記事が掲載されていました。
百貨店の中では、紳士フロア全スーツ売上の4割を占める店があるほど定着してきた、とのこと。
POは、手の届く価格で、気に入ったシルエットのスーツを試着し、生地、裏地、ボタンを選び、自分の体型に合わせてサイズ調整までしてもらえる、世界に1着しかない自分だけのスーツのお買物は、オーダーシャツとあわせて満足度の高い男の贅沢、至福の喜びの一つでありましょう。体に合う気に入った既成スーツが見つからない私も利用者の一人としてとても実感があります。
売り手にしてみても、少子高齢化や人口減でモノが売れなくなる時代に、今さらながら、顧客の声を聞きながら顧客に合わせたカスタマイズができる接客、顧客満足度も高い、ある意味、理想的で、プロファッショナルならではのファッション販売の姿なのではないかと思ったりもします。
POスーツのことを考えていたら、ふと、最近ご無沙汰している百貨店でメンズのバイヤーをしている友人から10年前に聞いた言葉を思い出しました。
販売は各アパレルまかせでバイヤーですら誰にどんな商品が売れているかわからなかった百貨店のしくみの中で、仕事熱心で、理想の品揃えに貪欲だった彼の当時の唯一の情報源は、スーツの「お直し票」であった、という話。毎週手書きのお直し票の束を1枚1枚めくるのは大変だけれども、限られた情報ながら、顧客を想像し、いろいろなことがわかり、そこから品揃えの見直しを考えているのだ、という苦労話でした。当時は、POSじゃなくて、「お直し票」から何がわかるのかなぁ?と漠然と聞いていたものです。
POスーツの接客時には、単純な「丈つめ」だけではなく、じっくり時間をかけて、対話とひとつひとつの確認プロセスの中から細部にわたる顧客のニーズがプロの販売スタッフによって引き出され、カルテのような注文票に書き込まれて行きます。
なるほど、POSでは、売れたものはわかるけど、その商品にお客さんがどんな風なカスタマイズを加えたかは、その注文票なりお直し票を見ないとわからない、むしろ、こっちの方が将来の品揃えのヒントになるかもしれない、と思えてきます。
POスーツの需要が拡大すれば、そんな情報をもっと集めることができるようになり、彼だったら目を輝かせながら、個々の「点」の情報を「線」や「面」にしようと、隅から隅まで読み取って行くのだろうな、と想像しました。
百貨店、専門店各社さんも、POスーツが好調な今こそ、「売れるから」、ではなく、「明日の顧客ニーズを読み解くために」、この好機を活かしていって欲しいなぁと思ってやみません。
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