店長会議のあるべき姿とは
2月23日の繊研新聞に、ポイント、パル、三愛など専門店チェーンが行っている全国店長会議の内容に関する記事が掲載されていました。
ファッション業界に限らず、リテーラーの業績をもっとも左右する要因のひとつであるのが、この「店長」の力量であり、店長育成が企業最大の課題であることは間違いありません。
というわけで、業界各社、この「店長会議」の内容には腐心され、試行錯誤されているのが現状ではないでしょうか。
記事では、ポイントが、これから展開される商品のファッションショーを行い、店舗からの要望で商品化された商品が登場した時には歓声が上がった話、パルが接客ロールプレイングを競うコンテストを行い、受賞者はその後1年間勲章(バッジ)を胸に店舗に立てる話、三愛では各店が自主的に設定したテーマの達成度をプレゼンテーションで競う発表会を行い、朝礼を中心に店舗が店長を中心にチームワークで取り組んで改善を行った事例がグランプリを取った話が、それぞれ紹介されており、各社がいかに店長のモチベーションをアップさせるかを目指して店長会議に取り組んでいることがわかります。
仕事柄、何社かの店長会議に出席させていただいたり、話題になって見聞きしたことがありますが、その良し悪しと、既存店売上前年比などの業績は実に連動しているような気がしています。
こういうのはよくないなぁ、と思っているのは、全店長が集まった場で、ここぞとばかり、入れ替わり立ち替わり本部のスタッフからの一方的な情報伝達が行われ、注意事項や説教が延々と続く。配布資料も膨大で・・・辟易し、休憩時間に会場から出てくる店長からはため息も・・・いくら「がんばろう」、と叱咤しても、こんなんじゃ店長のモチベーションが上がるはずもないですよね。
一方、これはいいなぁ、と思ったのは、予算達成率だけを尺度にするのではなく、業績の改善を行った店長やチャレンジ中の店長たちにフォーカスをして、彼らにみんなの前で報奨金を授与するだけではなく、その努力のプロセスを、どういう工夫をして、なぜうまくできたかをスピーチする場を中心に作って、全店長は明日の自店向上のためのヒントはないかとむさぼるようにその話に耳を傾け、メモをとり、励ましあうというもの。この会社は毎回(月)こういった内容を中心に複数の店長に「晴れ舞台」を与え、スポットを当てる店長会議を続けており、実際、「店長力」で立派な業績をあげています。
前者と後者の違いは言うまでもなく会社が「誰が主役と思っているか?」の違いだと思います。
また、後者の企業は、企業が課題を解決し、成長するある程度の方法、ノウハウは、既に社内にある成功事例の中にある、あるいは日々現場で起こっていることの中に業績向上のヒントがある、ということがわかっているということです。
これは、私が、ファッション企業が抱える課題に関して、ご相談にのる時に幹部の方に一番最初にお話する内容でもあります。一足飛びに難しいことをやるよりも、こういった社内にある成功事例や有効情報を会社のナレッジとして横方向に共有させるか、蓄積できるか、をまずは考えましょうよと。
そんな身近にいる誰かが実際に行った成功事例は、お偉いコンサルが言うことよりもはるかに実現可能であり、「手の届く」身近にある解決法を見つけ出す、時には頭を下げて聞く、そしてまずはまねしてやってみる、そんな訓練を繰り返すことが、人の成長のベースに必要だと考えています。
大事な戦力である店長をわざわざ全店から一同に集める店長会議。店長に価値のある、リアルでなければできない、と実感できる、「人が学び、成長し、明日の改善のヒントと勇気を店舗に持って帰れる場」にしたいところですね。そして、それを促進するのが本部サイドの最大の役割でありましょう。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
いつもお読み頂きありがとうございます。
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