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March 31, 2007

小売等役務商標制度スタート

 3月30日の日経MJに流通業界や生活者にかかわる、4月1日から変わる主な制度や法律に関するハイライト的な記事が掲載されていました。

 この中で、ファッション流通的には、「小売等役務商標制度」のスタートをおさえておく必要があります。

 この制度が出来る前は、たとえば、「ユニクロ」という屋号のお店があった場合、その屋号、商標を第三者から保護するためには、アパレル(被服)、バッグ、履物などの取り扱う商品カテゴリーについて個々に商標登録をする必要があったのに対して、これからは、第35類で、「小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」として役務(サービス)商標登録することにより、店舗名としての屋号を守ることができるようになります。

 ブランド直営店やSPA系のところは、もともと、25類(被服・履物など)などの、商標登録で屋号・店名を守っていたところ、新たにこの役務商標登録の必要があり、一方、自社レーベルの無いセレクトショップや集荷型専門店、百貨店などは、今後、個々の商品商標登録よりも、この小売等役務商標で自社の屋号・店名を守ることになります。

 日本の商標権制度は「先願主義」と言って、早く出願したもの勝ちです。そこで、4月1日から6月30日までは新制度スタートの暫定措置として、この間に出願した会社または人は、同時に出願したとみなされるようです。

 当然のことながら、同時に出願した場合、どちらに商標権が認められるかというと、勝手に商標をおさえて、ひと儲けしようという輩ではなく、既に店名を守ろうと商品の商標登録をしている実績があったり、実際にその店名を使用して店舗を運営している会社であったり、周知度(知名度)の高い方になりますから、まっとうなリテーラーの方々には、6月30日までに出願することをお勧めします。

 もし、それを過ぎてしまって、別の会社が先願していたとしたら・・・せっかく愛した屋号・店名の変更、看板を下ろさざるを得ないはめになるかもしれませんので、十分ご注意を。

 昨日、この件に関して、政府の知的財産関連の諮問機関にも関与している弁理士の方とお話をしましたが、欧米アジア主要国には既に屋号を守る制度はあり、日本はずいぶん遅れていたそうですね。

 詳しくは、普段、皆さんがお世話になっている身近な弁理士の方にお問い合わせください。 

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March 30, 2007

イオンがグループの商品開発・仕入業務を一本化する新会社設立へ

 3月29日の日経新聞、30日の日経MJによると、イオンは、ダイエー、マルエツを実質グループ内に納めたことによって、同グループの共通業務を一本化する動きに出るとのこと。

 対象となるのは、PB開発、NBなどのメーカー仕入、物流、システムで、イオンからその機能を分社化させ、それぞれ、イオン、マイカル、マックスバリュ、カスミ、ミニストップ、ダイエー、マルエツなどのグループ企業の一括窓口になる模様です。

 記事によると、手始めにイオングループのPBである「トップバリュ」を開発する別会社を08年2月期に立ち上げ、その他の機能会社を順次立ち上げるとのこと。

 その先に、イオンホールディングカンパニー(持ち株会社)構想があるのは間違いありません。

 入り口(仕入)は一本化で業界に対する影響力強化、出口(店舗)は生活者の混乱や同質化感を避け、特色を維持するために現状のままとするもっとも合理的な戦略ですね。

 これで、イオングループの業界におけるバイイングパワーは急速に増すことになります。

 それにしても、以前、イズミヤと立ち上げた共同商品開発会社(輸入商社)、アイクはどうなっちゃうんですかね?もっとも、同社は、今は、出資会社にかかわらず、独自の道を歩んでいるようですが・・・

 アイクホームページ

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March 28, 2007

東京ガールズコレクション(TGC)イン北京にガッカリ

 3月27日の繊研新聞によると、以前このブログでもご紹介した「東京ガールズコレクション(TGC)イン北京」が26日に中国国際服装服飾博覧会内で開催され、500人超がショーを観たとのことですが、すべてマスコミや業界関係者、つまりBtoBのイベントだったとのこと。

 一般消費者へはマスコミを通じての報道になるとのことです。

 記事を読んで、なあんだ、これでは、日本の赤文字系ブランドの単なる中国卸ビジネスの紹介の場?ではないかとちょっとガッカリしました。

 ゼイヴェルの大浜社長も「来年以降、北京ガールズコレクションが開けないかと考えている」とのコメントですが、本来のTGCの主旨、生活者へダイレクトに、リアルとヴァーチャルと組み合わせたファッションフェスタイベントとは似て非なるもので、何かボタンの掛け違いがあったのかな、と勘ぐってしまいたくなります。

 日本の文化、ファッションに興味深々の中国の生活者も間違いなく、東京リアルクローズにダイレクトに刺激を受けたかったはずなのになぁ。

 まあ、中国へ第一歩を踏み出したTGC、来年以降、本来のイベントを期待しましょう。

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 関連エントリー-東京ガールズコレクション(TGC)イン北京

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March 27, 2007

伊勢丹・東急百貨店の業務提携の方がすごい

 先々週は大丸・松坂屋、今週は阪急・阪神の経営統合の記事が大きく取り上げられていますが、正直、3月26日の日経新聞、27日の繊研新聞にある伊勢丹と東急百貨店および東急電鉄の業務提携の方がインパクトを感じました。

 まあ、私が東京の人間でそちらの方が身近だからというのもあるのでしょうけど・・・

 伊勢丹の武藤社長は常々、「米国の事例を考えると、百貨店業界は四つのグループに集約されるだろう」と指摘しておられますが、今回の経営統合、業務提携を踏まえると、

 1位 大丸+松坂屋 売上高   1兆1664億円 (8225+3439)
 2位 伊勢丹+東急 売上高   1兆 984億円 (7600+3384)
 3位 高島屋     売上高  1兆 311億円
 4位 ミレニアム(西武+そごう)   9451億円
 5位 三越               8420億円
 6位 丸井               5615億円
 7位 阪急+阪神            4938億円 (3812+1126)
 (いずれも05年度の連結ベース、日経新聞より)

 になり、伊勢丹・東急は2位に食い込むわけです。

 今回の伊勢丹、東急百の業務提携は、共同商品開発、商品・顧客情報システムの相乗り、伊勢丹から東急への役員含めた幹部の派遣が骨子になる模様です。

 ところで、伊勢丹は全日本デパートメント開発機構(ADOグループ)という百貨店の共同仕入機構を主催し、情報システム面でも同グループの面倒を見ています。上記7位までに入っていませんが、松屋や東武百貨店もこのグループ、百貨店再建で名をはせ、IFIでもお世話になったミスター百貨店こと故 山中鏆さんつながりでもあります。以下ホームページによると、ADOグループ百貨店の売上高は2兆円に上るとのこと。

 ADOグループホームページ

 今回の提携で、東急もこのグループに入ることを意味しますし、幹部を受け入れることで、ADOグループ企業よりも密接な関係となって行くのでしょう。

 東急沿線の富裕層、たまプラーザの東急SCの東急百貨店への格上げ、副都心線に乗り入れる東急東横線、伊勢丹アイカード、パスモの普及・・・すべてがつながり、伊勢丹の業界での影響力はますます大きくなりそうですね。

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 関連エントリー-百貨店都心部に積極投資も集客は新宿への一極集中か?

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March 26, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-アルマーニ・エクスチェンジ(A/X)が日本初上陸(07.03.17)

 コメント:渋谷旗艦店後の展開も楽しみですね。

2位-ユニクロが次々に他社で実績のある幹部を招聘(07.03.10)

 コメント:優秀人材がユニクロに流れる傾向は止まらない?

3位-ZARA(ザラ)のインディテックスグループの驚異的な成長(07.03.22)

 コメント:第二世代SPA、ZARAとH&Mのビジネスモデルに学ぼう。

4位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:春休み、GWと原宿は古着フリークで賑わいそうですね。

5位-靴のサイズに0.25cm刻みは必要?(07.03.19)

 コメント:今後ますます、サイズ対応が業界のスタンダードになることを
      期待しています。

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March 25, 2007

プレオープンとグランドオープン

 3月、4月は年間の中でも出店の集中する時期。今年も、私のほとんどのクライアント企業さんが毎週のように、各所で新店をオープンさせ、大方、まずまずの成果をお聞きし、よかったなぁと思っています。

 昨日は、事業の発案者である若い事業部長さん(女性)を社長特命でビジネスコーチングしながら、1年がかりで、ご一緒にプランをブラッシュアップしてきた新規事業立ち上げ1号店がグランドオープンにこぎつけました。

 とてもユニークで新規性の高い事業内容で、一昨年に手を挙げた信念と情熱をもった彼女の社内、役員向けプレゼンテーション資料や出店政策、店舗損益、中期事業計画の作成、取引先開拓のアプローチ・賛同を得る手法からオープンに向けての前準備まで、幅広くコーチングさせていただく中で、私自身の過去の断片的な経験を総動員し、かなり整理され、体系的になり、自分にとっても充実した案件となりました。

 そんな事業部長さんとの話し合いで、グランドオープンに先駆けて1週間前までに売場を完成させ、時間限定でお店を開け、実際に販売を行う、プレオープンをすることになりました。ちなみにこのお店は路面店です。

 目的は、売上ではなく、ファッション販売の経験のないスタッフさんもいるオープニングスタッフの仮の実践の場であるとともに、こんなお店がオープンするというお客様への告知、ご紹介といったコミュニケーション戦略の場と位置づけました。また、スタッフさんもお客様もくつろげる、ある雰囲気作りをし、ゆったりとしたコミュニケーションが図れる工夫を試みました。

 プレオープンの後、事業部長さんの依頼で、お客様と短時間ではありますが、コミュニケーションを図ったスタッフさん全員を集めて、グランドオープンを迎えるにあたって、課題の整理のための店内研修会を行いました。

 通常、私が、クライアント企業さんの幹部候補社員向け勉強会の最初に使う手であるKJ法を用いたグループワーク形式の研修会でしたが、ファッション販売の経験の有無、長さにかかわらず、全員のスタッフさんから、事業部長さんも耳の痛い、お客様の目線に立った課題が次々と抽出され、その後、事業部長さんを中心に課題が整理されて行き、すぐにできること、オープン後やりながら考えること、永遠の問題など、全員参加型の活発な議論がなされ、非常に前向きに研修会が終了しました。

 グランドオープン当日、オープン朝礼に立ち会った私は、「すぐにできること」のほとんどが実行されていたのがわかりました。

 スピーチの機会を頂いたので、プレオープンからグランドオープンに向けての、彼女たちの姿を賞賛し、今後も、忙しくなっても、あの時話し合った初心を忘れず、機会を作って、全員参加で、話し合って課題を解決して欲しい、という言葉をはなむけとさせて頂きました。

 グランドオープン初日、一丸となったスタッフさんたちは、予算を大きく上回る売上を上げました(拍手)。

 私も過去、いろいろな立場で、新店オープンを数々見てきましたが、なかなかオープン後、走り出してしまうと、ほぼ365日営業している店舗では、日々の忙しさ、スタッフ同士のシフトによるすれ違いから、誰もが感じている課題がわかっていても話あえず、解決のアイデアは、内部にあるにもかかわらず、そのまま放置されてしまうこともあるものです。

 チェーンストアにおいて、それを解決するのは、本部スタッフの仕事かもしれませんが、やはり、当事者である店長を中心とした現場のスタッフさんが「自分たちのこと」として取り組むことが理想であると思います。そして、そんな「自分たちで考える力のサイクル」を回してあげる継続的な環境づくりをするのが、本部の役目であると。

 今回はそんな形で、新規事業のプレオープンとグランドオープンをご一緒に経験させていただくことで、あらためて、そんなことを感じさせられました。

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March 23, 2007

レナウンがアクアスキュータムの再生を始動

 3月23日の日経MJなどによると、レナウンは子会社である英国高級ブランド、「アクアスキュータム」の再生を(ようやく)本格化し、今秋、米国に再上陸、百貨店向け卸事業を始める他、欧米で新ブランドを発売することにより、小売ベースの売上高を2010年2月期までに現在の約2倍である800億円にすることを目指すとのことです。

 以前、このブログでも紹介しましたが、05年10月に投資ファンドのカレイド・ホールディングがレナウンダーバンHDに資本参加した際にアクアスキュータムの再生を中核事業に位置づけ07年2月期から取り組む予定だったようですが、英国子会社の社長選任が遅れたことなどで、約1年遅れで着手になるとのこと。

 ご存知、アクアスキュータムのコート、チェックの裏地はかつて、バーバリーのコートと並び称されるほどの格式の老舗ブランドだと思います。

 長く続いた親会社レナウンの企業再生などとあいまって、残念ながら活かされていなかったのは事実。その間、客層別の数々のラインを開発して絶好調の三陽商会の「バーバーリー」に大きく水をあけられ、業界の方なら、「活かされていない」「もったいない」インターナショナルブランドの筆頭のひとつと言っても過言ではないかもしれません。その昔、同ブランドのライセンス事業の一端にかかわった経験をもつ私も個人的に切に思います。

 今秋のサックスフィフスアベニューなどへの卸、08年にはニューヨーク、パリへの旗艦店出店、若い年代向けの新ブランドの立ち上げ(バーバーリーのような手法ですが)と、今度こそはうまく軌道に乗ることをお祈りしております。

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 関連エントリー-レナウンダーバンHDの筆頭株主に投資ファンド

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March 22, 2007

ZARA(ザラ)のインディテックスグループの驚異的な成長

 ZARA(ザラ)を展開するスペインのSPA企業グループ、インディテックス社の2006年度(本年1月31日〆)決算が3月21日付で同社ホームページに速報ベースで発表されました。これにより世界4大SPAの2006年度決算が出揃った形になります。

 INDITEX GROUP プレスリリース記事

 わかりやすくするために、円建てで表記します。なお、為替レートは、3.22現在、$=¥117.5円、€=¥157.25、SEK(スウェーデンクローネ)=¥16.91を適用します。

 インディテックス社は、この1年、世界64カ国にZARAを筆頭に8業態で439店舗を出店し、売上高1兆2654億円、営業利益2093億円となり、

 店舗数はGAPグループとちょうど並び、売上高はLIMITED BRANDSを抜いて世界2位、売上高前年対比121.6%、営業利益124.0%の伸びは1位となりました。

 主要数値を以下に簡単にまとめてみました。決算期の数値です。GAP&LIMITEDが07.02.03、INDITEDは07.01.31、H&Mは06.11.30時点のものになります。 株式時価総額は為替レート同様、07.3.22現在のものです。

          GAP     INDITEX(ZARA他)  LIMITED       H&M    

売上高    1兆8717億円  1兆2654億円   1兆2526億円  1兆1354億円
(前年比)      (99.5%)    (121.6%)      (110%)    (111.7%)

営業利益    1378億円    2093億円      1380億円    2539億円
(前年比)      (67.3%)    (124.0%)    (119.4%)   (116.1%)
<売上比>    <7.3%>    <16.5%>   <11.0%>  <22.4%>

期末店舗    3131店舗       3131店舗   3798店舗     1345店舗
            (102.6%)    (116.3%)     (105.8%)   (112.7%)

推定1店舗      5.9億円     5.5億円      3.9億円     10.2億円
あたり売上高

時価総額   1兆6906億円  4兆3212億円    1兆2339億円  4兆8412億円  

ちなみにユニクロのファストリは06.8.31決算ですが、

売上高        4488億円、
(前年比)       (116.9%)

営業利益       703億円
(前年比)      (124.1%)
<売上比>     <15.7%>

期末店舗       1632店舗(ユニクロは703店舗)
推定1店舗
あたり売上高      3.5億円

時価総額       9589億円

※セブンアンドアイの時価総額は3兆4646億円、イオンは1兆8045億円になります。

GAPはしばらく足踏みまたはリストラの可能性がありますので、ZARA(ザラ)のインディテックスがこのペースで出店すれば2年後には売上高ベースで世界1位になる計算です。

また、売上高は、4位に甘んじたとは言え、H&Mの収益性と株主の評価は時価総額の表す通りです。
この中で、H&Mのみが”H&M”単一業態で、推定1店舗あたりの売上高約10億円は名実ともに世界最大のファッションストアといっても過言でないでしょう。それだけの大型店で大きなリターンを狙ってくるH&MとZARAが繰り広げる競演が楽しみです。

追伸:海外情報によると、香港に続き、上海のH&Mオープンも現地のセレブたちが同社のオープンを歓迎し、花を添えるそうです。

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関連エントリー-米GAP、2年連続減収減益。世界SPAの世代交代鮮明

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March 21, 2007

ダイエー会長にイオンモール川戸社長

 3月21日の日経新聞に、イオン・ダイエー資本業務提携後の人事に関する記事が掲載されています。

 イオンがどんな方をダイエーに送り込むのか、業界ではいろいろと憶測がなされていましたが、ダイエー会長として送り込まれるのは、日本のSC時代の立役者、イオンモールの川戸社長。代表権を持つ社長は丸紅からこられた西見社長が続投。林会長は副会長に退き、残念ながら、どちらかというと閑職にあたられる模様です。

 これで、イオン、丸紅のダイエーをめぐる思惑がだいぶはっきりしましたね。
 予想通り、食品流通の覇権とまちづくり三法改正後の都心部開発の2点に焦点が絞られます。

 同記事すぐ下に、以前にも報道されていましたが、イオングループのSC開発会社イオンモールと同ダイヤモンドシティを合併、イオンモールに一本化することに関する記事も掲載されています。新生イオンモールはまちづくり三法改正後のポストSC時代に、既存SCのリーシング(テナント入替)や中国など海外進出などを手がけて行く模様です。

 話は変わりますが、多くの百貨店、GMS、専門店チェーンが影響を受けた、いわゆる「チェーンストア理論」は、この狭い日本という国で、「売り場面積の拡大」と「坪当たり営業利益の増大」といった矛盾すると思われる目標を同時に達成しようというもの。残念ながら、どこへ行っても、坪当たり売上高が上がっているという景気のいい話はなかなか耳に入ってきません(首都圏の一部勝ち組駅ビルや大商圏の路面大型店くらいかな)。

 供給過剰、オーバーストアは言われて久しいものがありますが、単独店だけでなく、イオングループも加担したオーバーモール(SC)感も否めません。オープン景気がほんの1-2ヶ月だけだったという事例も少なくないようです。残念ながら、館が集客力を失ったテナントは打つ手が極めて少ないのが現状ですよね。

 話を戻して、さて、これからしばらくイオングループの首都圏・大都市圏開発がどのような展開を見せるか、注目です。
 
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 関連エントリー-SC(ショッピングセンター)同質化は誰のせい?

 関連エントリー-まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図

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March 20, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-ユニクロが次々に他社で実績のある幹部を招聘(07.03.10)

 コメント:業界の希少な人財を上手に活かして欲しいですね。

2位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:古着新御三家のうちのハンジローはルミネエストオープン初日で
      2700万円の売上を上げたとのこと。ブラボー! 

3位-H&M社長、日本進出戦略を語る(07.02.17)

 コメント:3月16日ロンドンリージェントストリートでOPENした新業態、
      COS、オープン後の詳細情報はまだ入っていませんが、
      BACK TO BASIC、 ハイエンドデザイナーを起用した、
      高級感のある無印良品のような感じです。 これについては
      またエントリーしますね。

4位-サマンサタバサがメッセージ社買収でアパレル事業本格参入(07.03.09)

 コメント:新旧世代の融合でアパレル業界に新しい風を吹かせてくれることを
      期待しております。

5位-イオンの主導で合意されたダイエー再建最終章(07.03.11)

 コメント:生活者にとって豊かな買い場、商品提供を期待しています。

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March 19, 2007

靴のサイズに0.25cm刻みは必要?

 3月19日の日経MJに東急ストアーが同社の衣料プライベートブランドの「BRIN(ブラン)」の婦人靴で0.25cm刻みのサイズ展開をするとの記事が掲載されています。

 通常展開サイズ21cm~25.5cmを0.25cm刻み19サイズで展開、5デザインあって、それぞれ11色展開しているそうで、左右違うサイズの購入も可能とのことです。価格は9800-10800円と通常より1-2割高いとのこと。

 残念ながらこのブランド、商品に関するサイトは只今準備中ですので詳細はわかりません。

 きめ細かく対応することはよいと思いますが、0.25cm刻みで揃えることよりも、0.5cm刻みでいいからサイズ欠品の無いように心がけて欲しいな、というのが記事を読んだ感想です。

 左右違うサイズが買えるのはよいかもしれません。やはり左右の足のサイズの違う私は、ファミリーセールなどで「左右組違い」の商品をたまに買ったりもしますので。でもちょっと商品管理が大変になりそうですね。いっそのことオーダーメードにした方がいいかも、とか思ったりしてしまいます。

 いずれにせよ、生活者のシューズサイズ問題に前向きに取り組む同社の姿勢は評価できる話だと思います。

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March 17, 2007

アルマーニ・エクスチェンジ(A/X)が日本初上陸

 今週のファッション流通関連で一番新聞を賑わしたのは大丸・松坂屋の経営統合の話でしょう。

 アメリカ仕込?のチェーンストア経営手法を軌道に乗せんとする大丸の奥田会長が、統合後、どのように、業界では高島屋、伊勢丹を筆頭とする各連合のパワー、流通全般ではセブン&アイおよびイオン・ダイエーグループと競い、いかに豊かな生活者のライフスタイルを創造してゆくのかを楽しみにしています。

 さて、もうひとつのホットトピックは百貨店を核テナントとした2つの郊外型SCの開業でしょうか。

 ひとつは12日に高島屋、イトーヨーカ堂、ロフトを核にオープンした流山おおたかの森SC、もうひとつは15日にオープンした大丸、イトーヨーカ堂、東急ハンズを核にしたららぽーと横浜です。

 流山おおたかの森SC

 ららぽーと横浜

 武蔵村山のダイヤモンドシティの時は近隣の某百貨店のプレッシャー?があり三越含めブランドメーカーから十分な協力体制が得られなかったと言われていますので、今回こそが東京近郊の百貨店が核テナントとなる郊外SCの試金石としての期待が高まります。

 前置きが長くなりましたが、もうひとつ、この2拠点を皮切りに伊アルマーニグループのファストファッションストア「アクセシブル(手の届く)アルマーニ」こと、アルマーニエクスチェンジ(A/X)の日本進出にも興味が高まります。

 3月16日の日経MJによると、A/X は、この2店舗の後、9月には渋谷に旗艦店をオープン、今後3―5年をメドに郊外SC他20箇所に100坪前後の店舗を出店し、年商100億円を目指すとのことです。

 同業態は、アルマーニグループの中でも、かつて、「GAPへのメッセージ」として18-25歳向けに開発された手ごろな価格帯のカジュアルチェーンですが、記事によると、アルマーニジーンズ(AJ)より3―4割安いというものの、ジーンズ18,900円、ニット10,290円と、ちと高いですね。アメリカのA/Xのサイトの価格と比較ください。

 A/Xホームページ

 やはり、外資とは言え、日本の既存のアルマーニグループのブランドが入っている百貨店への遠慮から高め設定なのでしょうか。本来は、独資で進出した海外チェーンには、内外価格差ナシを期待したいのですが・・・。

 A/Xには、すでに郊外SC出店が始まったZARA(ザラ)、来年進出するH&M(エッチアンドエム)あたりと是非、欧州ファストファッションチェーンのブームの一角を担って欲しいところです。

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関連エントリー-アルマーニエクスチェンジ(A/X)も参戦、世界のファストファッション競争

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March 15, 2007

MUJI(無印良品)NY旗艦店11月開業

 3月14日の日経MJに良品計画が展開する無印良品が今年11月、マンハッタンはタイムズスクエアの高層ビルと賃貸契約を交わしアメリカ1号店の出店を決めたとの記事が掲載されています。

 以前もMUJIアメリカ進出の話題は、ブログでもご紹介させていただきましたが、いよいよ輪郭がはっきりしてきましたね。

 ショップ名は「MUJI」、130坪程度のようですが、タイムズスクエア、ニューヨークタイムズ新本社が入居するビルの1階とのことなので、そこそこ話題を呼びそうですね。

 まずはマンハッタンに5店舗を出店し、5年間で西海岸、中西部含めて30店舗まで広げる計画だそうです。

 個人的には、ユニクロよりMUJIの方が日本らしくて欧米に受けそうな気がします。

 2000年前後のユニクロブーム後、社外取締役であるしまむら藤原会長の指導のもと業務改革を推進してV字回復。満を持してのアメリカ出店楽しみにしています。

 無印良品の業務改革について書かれた本をご紹介しておきます。ファッションリテーラーが成長の過程で陥りそうな課題が数多く載っていて、参考になることも多いです。ご興味ある方は是非お読みください。

  

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 関連エントリー-無印良品がアメリカに進出

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March 14, 2007

香港Li&Fung利豊(リー&フォン)社の兼松繊維買収が意味するところ

 3月14日の繊研新聞に、商社の兼松が、同社の子会社である繊維専門商社、兼松繊維の55%の株式を3月末付けで香港大手企業グループ利豊(Li&Fung;リー&フォン)に売却する報道を受けて、各商社アパレル部門の首脳が持つ危機感のコメント記事が掲載されており、興味深く読んでおりました。

 ※Li&Fungの読み方は、昔、リーフンとか呼んでいた記憶がありますが、繊研新聞にならってリー&フォンとします。

 この報道のもとは、以下のプレスリリースに詳しいのでご覧ください。

 兼松プレスリリース記事

 この記事を読み解くにあたって、説明しておかなければならないのは、繊研新聞の記事にも、ちらっと、コメントがあるように、日本のアパレル企業と欧米のアパレル企業のソーシング活動(海外で素材や委託工場を見つけて生産、輸入すること)はちょっと違うところがあるということです。

日本-デザインはアパレル企業が出すにしても、日本の商社に海外生産~国内納品
までを依頼する。商談は主に日本で行い、その連絡を受けた生産国の商社の
駐在員やその配下のスタッフが動いて委託先工場とやり取りをする。

欧米-アパレル企業が生産国に自身のバイイングオフィスを開設し、現地採用
スタッフが委託先工場とやり取りをする。あるいは、バイヤーが自ら現地に赴き、
素材や委託工場を開拓し、直接取引をする。
   
 つまり、欧米では、アパレル企業から見ても、生産国の工場から見ても「直接取引が当たり前」なんですよね。
だから、昔、そんな商慣習を知らない欧米人や日本と初めて取引する海外工場にmiddleman(中間業者)である「商社」の位置づけ、役割を説明するのに苦労したことを覚えています。

 日本では、今でも、言葉の問題(通訳代わり)、人材および人件費問題、回転差資金や在庫リスクヘッジの問題などから、商社は使い勝手はありますが、今後、より生活者に近づき、スピードが要求されるアパレル企業にとって、意思疎通を伝言ゲームではなく、ストレートにスピーディに行うという意味で、委託工場との「直接取引」はマストなマクロトレンドになってゆくことになるでしょう。

 以前から、やはり香港大手のシャツメーカーエスケルグループなどが、日本にジャパン社を作って、ファッションリテーラーと直接取引を始めてはいますが、今回、香港のグローバルソーシングの最大手のリー&フォン社が日本の繊維商社買収によって、直接、アパレル企業と商談を始めることは、そのような動きの口火を切ることは間違いなさそうです。
  
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March 12, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-米GAP、2年連続減収減益。世界SPAの世代交代鮮明(07.03.02)

 コメント:GAPのスクラップアンドビルトとオールドネイビーに賭けた新年度はどうなる
      でしょう。

2位-ZARA(ザラ)ジャパン スペイン本社100%出資へ(05.12.22)

 コメント:郊外SCへの出店も始まり、いよいよ日本出店加速ですね。

3位-百貨店都心部に積極投資も集客は新宿への一極集中か?(07.03.03)

 コメント:ますます伊勢丹の影響力が高まる?

4位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:古着と新品ミックスの楽しさに、高層階でも集客力を持つ古着新御三家。
      今後の出店も目が離せません。

5位-H&M社長、日本進出戦略を語る(07.02.17)

 コメント:3月10日に極東初となるHK店OPEN、マドンナデザインコレクションの発売、
      カイリー・ミノーグとのスイムウエアのプロモーションなど、春の戦略も話題に
      事欠かないですね。

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March 11, 2007

イオンの主導で合意されたダイエー再建最終章

 3月10日、11日の各紙の流通面の一番のホットトピックは言うまでもなく、3月9日に資本業務提携で合意したイオンとダイエーの年商6兆円グループ誕生に関する記事だったでしょう。

 ダイエー、マルエツへの丸紅も含めたイオンの出資比率合意を見ると、昨年の10月の時と全く同じなので、一見スムーズに決まったかのように見えますが、11日の日経新聞の記事によると、やはり、OPAの売却延期やダイエーの店舗売却をめぐっては、イオンの意見がかなり優先された模様です。

 業務提携によるバイイングパワーの強化や流通の効率化などの営業面の相乗効果への期待は誰もが想像するところですが、一方で、次世代SC(売場面積)の覇権を睨んだイオンは、まちづくり三法改正以後の都心部好立地のOPAやダイエーの店舗資産は手放されては困る、資本提携の本命のひとつだったに違いありません。

 さて、この巨大GMS連合の誕生によって、どんな豊かさが生活者にもたらされるのでしょうね。

 9日のちょうどイオン・ダイエー・丸紅の会見が行われているころに、ある政府系流通研究機関に所属されている流通専門家の大先輩の方とお食事をする機会に恵まれました。

 話題は、当然、イオン・ダイエーの提携のゆくえに始まり、また、多くの外資流通企業が、日本に進出した際に、日本の業界の秩序を崩してもらっては困ると、日本企業からのかなりの妨害に合って、いいとこなしで、「日本は閉鎖的な国だ」と結論付けて撤退していった数々の歴史から、来年進出のH&Mもそうならなければよいが、といった話まで、意気投合した次第です。

 話は、日本の悪しき商慣習、返品制度へもおよびました。その方は、戦後始まった日本の返品制度の歴史をよくご存知で、とても興味深い話をしてくださり、明日の、生活者主権の流通を考える上で、いい刺激になった、と感謝しています。Sさん、ありがとうございました。

 そんなことを思い出しながら、イオンダイエーの提携の記事を読んでいましたが、結局、なぜ、GMSの衣料売場がしまむらやアパレルSPA(製造小売)系ファッション企業に食われていったかというところを反省し、対策を打たない限り、いくらGMSが連合になったって何も変わらないんだろうな、と思ったりします。

 バイイングパワーだけを増して、目先の値入が良くなったところで、また、売場面積ばかり拡大して、生活者を迷わせても、本質は全く変わらないんだろうな、と。

 今、「勝ち組」と呼ばれている企業の多くは、生活者からは、返品を受けるけれども、企業の都合で、仕入先に返品や値引きや未引取りはしない、あるいは、できない企業だと思います。そんなの当たり前のはず、と思うかも知れないけれど、実際、多くの企業のバイヤーには売れなかった時の逃げ道があって、やりくりをしているのが現実。だから真剣に発注しない、だから値段を叩いたつもりでも、実際には高く買わされている、だから新鮮な商品が店頭に並ばない、のでしょうね。(これは、言わずと知れた、ダイエーの末期状態の時の話ですが、他人事ではありません)

 完全買取、一切返品しない、そんな瀬戸際に追い込まれないと、真剣に考えないし、人も成長しないだろう、って言うのは、しまむらの藤原会長の有名な持論。それゆえ、同社は徹底した完全買取ポリシーを貫きます。

 いくら合併で規模が大きくなっても、各所で人が成長する舞台を作らなければ、年々落ちてゆく売場面積あたりの、あるいは従業員一人当たり販売効率は止められないのが今の世の中。これはイオンダイエーの提携に限らず、百貨店しかり、家電量販しかり、各業界の大型合併すべてにはらむ両刃の剣だと思います。

 陣取り合戦の末には、果たして、かつてチェーンストア各社の経営者たちが夢見た、アメリカのような「生活者の豊かさ」は待っているのでしょうか?
 
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March 10, 2007

ユニクロが次々に他社で実績のある幹部を招聘

 3月10日の日経新聞にユニクロが、三陽商会で若くしてバーバリーブラックレーベルの責任者を務め成功に導いたとされる鶴博幸氏(36)を常務執行役員に迎え入れるという人事関連の記事が掲載されていました。

 ファーストリテイリングは、2010年グループ年商1兆円戦略に向けて、「経営者は育てられません。創業者募集」といった募集広告を出して話題を呼びましたが、このほか、ザラジャパンでマーケティングディレクターから代表まで務めた門田剛氏(46)の執行役員就任など、業界で名だたるブランドの成長をリードまたは参画された方々が続々とユニクロに加わっている模様です。

 ファッション関係の人材紹介を専門にお仕事にされている方の話を聞くと、大手アパレルでそれなりに実績を上げた方が次のステップアップをしようと転職を考える時、希望の年収アップを考えると外資系企業かユニクロくらいしか条件が合わない、という話がよくでます。そして、外資系はある程度の語学力を求められるため、結局はユニクロくらいしか薦められないとなるわけです。

 ユニクロの勢い、すごさを感じる一方、ちょっと寂しい話ですね。このままでは、業界の優秀な人材のユニクロへの一極集中が続く可能性が高いというわけです。

 一方、優秀な人材ばかりを集めてもうまく歯車が合わなければ、各球団の4番バッターばかり集めた巨人軍のようにもなりかねません。

 また、どちらかというと、マーケティングに強い方の招聘が目立ちますが、商品開発に強い方の強化バランス地位向上も大事ですね。

 ユニクロの商品は店頭でよく拝見しますが、ボトムス、服飾雑貨(バッグあたり)、下着、アンダーウエアあたりは商品的にものすごく改善をされた、キラりと光るものを感じますが、他の商品群の進化はまだまだ改善の余地大いにありだと思います。
 
 来年、ZARA、H&Mによる欧州ファッションSPAブームを迎える前にユニクロの更なる進化を期待しています。

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March 09, 2007

サマンサタバサがメッセージ社買収でアパレル事業本格参入

 3月7日、8日の繊研新聞、9日の日経MJに当ブログでもおなじみのバッグ・宝飾製造小売のサマンサタバサジャパンリミテッドが「ラストシーン」「ラストシーンガール」などを展開する中堅アパレルSPA、メッセージを買収することに関する記事が掲載されています。

 サマンサタバサ関連IR情報

 メッセージは1976年創業、06年2月期で約50店舗年商53億6400万円の企業。

 メッセージ社HP

 同社は業界の中でも、製造小売アパレルとしては歴史の長い方だと思います。持田社長の時代への変化対応力とリーダーシップでここまでやってこられたと思いますが、同社長のコメントのように、今後、単独での成長や従業員のことを考えた時に、このような伸び盛りの若い企業に次世代を託すことも、将来を見据えた中堅アパレル企業の選択肢であることを感じさせられます。今後このような事例が業界に増えることも十分考えられます。

 両社の今後の発展をお祈りいたします。

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【第15位】→stay (07.03.08現在)

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March 07, 2007

各社が正社員登用制度を加速

 3月6日に日経新聞、繊研新聞、7日の日経MJに百貨店やユニクロ、ポイントなどの衣料専門店が契約社員やパートアルバイトを正社員に登用する動きを加速させている内容の記事が掲載されています。

 専門店では、現場をよく知り、同社の業務になれたパートアルバイトを正社員に登用する制度は、一般的ですが、高島屋、三越、伊勢丹といった百貨店や西友あたりのGMSも本格的に取り組み始めている模様です。

 今後、業界では、ますます既存戦力の囲い込みと同時に「育成」業務への取り組みが必須になってくるでしょう。

 そんな記事の中、ユニクロが取り入れた「地域限定社員制度」も興味深いです。

 つまり、ナショナルチェーンで、正社員になると異動により、住み慣れない地域に転勤になることに二の足を踏み、または、事情により転勤が出来ないがために、優秀ながら、契約社員どまりだったスタッフが各地域にくすぶっているという例も少ないはず。

 これに対して、給与は一般正社員よりも少ないとのことですが、年2回の賞与は出るわけで、貢献の仕方によれば、一般社員よりも稼ぐ「地域限定社員」も出てくる可能性はありますね。

 いずれにせよ、経済環境が後押ししたとは言え、従業員満足(ES)への取り組みが増えることは喜ばしいことです。

 だって、従業員がその会社に満足していなければ、商品やブランドや会社のよさを、心からお客様に伝えることはできるはずがありませんものね。

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【第15位】↓down (07.03.07現在)

 関連エントリー-アパレル大手が販売契約社員を正社員化

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March 05, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-H&M社長、日本進出戦略を語る(07.02.17)

 コメント:各メディアに戦略を語り始めたエリクセンCEO。押し付けるのではなく、
     日本にきめ細かく対応する模様です。

2位-米GAP、2年連続減収減益。世界SPAの世代交代鮮明(07.03.02)

 コメント:まだまだ売上ダントツのGAPグループですが、市場飽和状態は否めません。
     今後、ZARA、H&Mに対してどんなポジショニングを示して行くのか注目です。

3位-ZARA(ザラ)ジャパン スペイン本社100%出資へ(05.12.22)

 コメント:ZARAの日本での拡大は、H&M進出のお膳立てにもなりそうですね。

4位-原宿人気古着ショップの魅力比較(05.04.06)

 コメント:当ブログの人気エントリー、暖かくなったので、古着が好きな人も、
    そうでない人でも、その魅力を覗きにいってはいかが?

5位-空想無印(07.02.11)

 コメント:さすがに無印期待値が高く、今週もランクインです。

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March 03, 2007

百貨店都心部に積極投資も集客は新宿への一極集中か?

 3月3日の日経新聞に東京と大阪の都心部での百貨店の改装・出店の過熱振りに関する記事が掲載されています。

 今週は、クライアント先でも、特に新宿伊勢丹やルミネエスト(旧マイシティ)の改装、リーシングの話題が多かっような気がします。

 記事によると、東京では、副都心線沿線の池袋、新宿、渋谷の各百貨店の改装投資額が掲載されていますが・・・

○東武池袋本店    90億円
○伊勢丹新宿本店 150億円
○高島屋新宿店   130億円
○京王新宿店     80億円
○西武渋谷       80億円

とのことで、なるほど、新宿の3社で総投資額360億円が地域としてダントツですね。これ以外にも先ほどのルミネや丸井シティがありますし。同じ副都心線と言っても、東武東上線、西武池袋線、東急東横線が副都心線へ乗り入れするとのことなので、池袋と渋谷の百貨店は、新宿に客が取られるのではと焦りを隠せない模様です。

 新宿の中でも、改装の様子を見ていると、他社が団塊世代とそれ以上の従来の百貨店客層を深堀しようとしているのに対し、伊勢丹の改装は地下から始まっていますが、明らかに、永年ファンであったシニアの客層を切り捨ててでも、比較的若くてお金を持っている30代、40代の客層を取り込もうという姿勢を感じますね。

 大阪も梅田地区で400億円を投じて新規出店する三越に対抗し、阪急梅田本店が600億円、大丸梅田も200億円超と東京以上の加熱振り。

 ところで、大阪も阿倍野、天王寺以外は坪効率が年々低下していて今後も下げ止まらないというような記事を先日繊研新聞で読みましたが、そう、昔と違って、新店や改装効果が薄くなった昨今、各社効果的な投資であることをお祈りします。

 まあ、生活者側は選択肢が多くなって悪いことはありませんが・・・

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March 02, 2007

米GAP、2年連続減収減益。世界SPAの世代交代鮮明

 米GAP(ギャップ)の2007年2月3日で終わる2006年通期の決算速報が3月1日付けで同社HPにリリースされていました。

 金額は以下、わかりやすくするため、3月2日の為替レート、$=117.4円で換算し、円で表します。

 売上は1兆8,717億円で約1%の減収、
 経常利益は1,483億円で30%の減益

 となります。

 中身を見てみると、
 米GAP事業・・・・・・・・・・・・6%減収、既存店売上前年対比は-7%
 米バナリパ事業・・・・・・・・・9%増収、既存店売上前年対比は±0%
 米オールドネイビー事業・・・±0%、既存店売上前年対比は-8%
 海外事業・・・・・・・・・・・・・・±0%、既存店売上前年対比は-8%

 となり、唯一バナナリパブリック事業の収益をその他が食っている格好になっていますね。また、オールドネイビー事業の売上構成比が、海外を含めたギャップ事業を上回った模様です。
 
 これを受けて、今期は、経営戦略的には、エンターテインメントビジネスのディズニーからこられたマーケティング系のCEOさんが、業績回復を実現できず、退任され、今期は創業者の息のかかった、マーチャンダイジング系の経営陣を固め、引き続き店舗のスクラップ&ビルトを行い、商品問題の建て直しを行うようです。

 事業別方針としては、
 ①GAPのリストラ
 ②オールドネイビーの強化
 ③新規事業のフォース&タウンは撤退
 とのことです。

 気になったので、比較の意味もこめて、ちょうど07年2月で締まった世界2位のファッションSPA、LIMITED BRANDS(リミテッドブランズ)の2006年通期決算速報も除いてみましたが、同社は
 
 売上高1兆2,527億円で約10%の増収、
 経常利益は1,288億円で約15%の増益

 となりますが、中身は、インティメイト(下着)ビジネスのビクトリアズシークレットとヘルスアンドビューティー事業のバス&ボディーワークスがグループ売上高の2/3を占め、成長を牽引しており、もともとの基幹ビジネスであるアパレル事業、LIMITEDやEXPRESS(グループ売上高構成比は1/3以下)はリストラ中なのがわかります。

 ベーシック系アパレルSPAで世界1、2位の規模になった両社。GAPは既存アパレル業態の建て直しに懸命で、LIMITEDは非アパレルファッションビジネスで成長しているのが現状です。
 
 なお、GAPは以前ブログでもご紹介したように事業売却の検討にも入っているとのことです。

 一方、世界3、4位のH&MとZARAのファストファッション系SPAの躍進は、アパレル事業を中心に二ケタの増収増益中。

 今月、21日に1月31日で締まったZARA(ザラ)を展開するINDITEX社の2006年通期決算が発表される予定ですが、その時点で、世界4大SPAの順位は

    2005          2006
1位 GAP          GAP
2位 LIMITED       INDITEX (ZARA)
3位 H&M         LIMITED
4位 INDITEX(ZARA)  H&M

となることがほぼ決まった模様です。LIMITED、H&Mの成長も2桁増と立派なものですが、ZARA(ザラ)を展開するINDITEXの20%超のハイペースの出店がものすごいですね。収益性ではH&Mが確実に伸ばしています。

 このあたりはINDITEXが出揃った段階でまた見てみましょう。

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 関連エントリー-米GAPが事業再建計画検討へ

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