香港Li&Fung利豊(リー&フォン)社の兼松繊維買収が意味するところ
3月14日の繊研新聞に、商社の兼松が、同社の子会社である繊維専門商社、兼松繊維の55%の株式を3月末付けで香港大手企業グループ利豊(Li&Fung;リー&フォン)に売却する報道を受けて、各商社アパレル部門の首脳が持つ危機感のコメント記事が掲載されており、興味深く読んでおりました。
※Li&Fungの読み方は、昔、リーフンとか呼んでいた記憶がありますが、繊研新聞にならってリー&フォンとします。
この報道のもとは、以下のプレスリリースに詳しいのでご覧ください。
この記事を読み解くにあたって、説明しておかなければならないのは、繊研新聞の記事にも、ちらっと、コメントがあるように、日本のアパレル企業と欧米のアパレル企業のソーシング活動(海外で素材や委託工場を見つけて生産、輸入すること)はちょっと違うところがあるということです。
日本-デザインはアパレル企業が出すにしても、日本の商社に海外生産~国内納品
までを依頼する。商談は主に日本で行い、その連絡を受けた生産国の商社の
駐在員やその配下のスタッフが動いて委託先工場とやり取りをする。
欧米-アパレル企業が生産国に自身のバイイングオフィスを開設し、現地採用
スタッフが委託先工場とやり取りをする。あるいは、バイヤーが自ら現地に赴き、
素材や委託工場を開拓し、直接取引をする。
つまり、欧米では、アパレル企業から見ても、生産国の工場から見ても「直接取引が当たり前」なんですよね。
だから、昔、そんな商慣習を知らない欧米人や日本と初めて取引する海外工場にmiddleman(中間業者)である「商社」の位置づけ、役割を説明するのに苦労したことを覚えています。
日本では、今でも、言葉の問題(通訳代わり)、人材および人件費問題、回転差資金や在庫リスクヘッジの問題などから、商社は使い勝手はありますが、今後、より生活者に近づき、スピードが要求されるアパレル企業にとって、意思疎通を伝言ゲームではなく、ストレートにスピーディに行うという意味で、委託工場との「直接取引」はマストなマクロトレンドになってゆくことになるでしょう。
以前から、やはり香港大手のシャツメーカーエスケルグループなどが、日本にジャパン社を作って、ファッションリテーラーと直接取引を始めてはいますが、今回、香港のグローバルソーシングの最大手のリー&フォン社が日本の繊維商社買収によって、直接、アパレル企業と商談を始めることは、そのような動きの口火を切ることは間違いなさそうです。
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