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April 30, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-いよいよ今週 nanaco(ナナコ)、WAON(ワオン)がスタート(07.04.22)

 コメント:各社早いとこ共通カードを作って生活者の財布の中のカードを
減らしてほしいですね。

2位‐新宿高島屋改装の目玉のひとつは婦人・紳士同一フロア(07.04.19)

 コメント:今年から大がかりな新宿、銀座・有楽町、梅田の各百貨店の改装が
相次ぎ、各社がどんな生活者視点の買い場を作ってくれるか期待です。

3位-米リミテッドブランズがアパレル事業を売却?(07.04.24)

 コメント:まだ、水面下の話ですが、現実味もあるし、実質的な世界アパレル
     SPA世代交代の年にもなりそうです。

4位-「顧客だけを見てください。ほかは見なくて結構です。」(07.04.26)

 コメント:この言葉が実践できれば、今、負けるはずはない・・・なぜなら、
      多くの企業は業界競合他社や上司の顔ばかり見ているから・・・

5位-H&M社長、日本進出戦略を語る(07.02.17)

 コメント:各紙・各誌にロルフ・エリクセン社長のインタビュー記事の露出が増え、
     検索エンジン経由でアクセスが絶えません。

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April 28, 2007

「日本買収」の幕開け

 4月27日、米シティグループの日興コーディアル証券へのTOBが成立したことを各メディアが報じています。
 
 なんか、5月からいよいよ解禁になる三角合併の「鏡開き」のような象徴的な出来事のような気がしてなりませんね。

 以前だったら各業界が大挙して排他してきた外資を、歓迎するかのようにTOB資金を用立てたのは、まぎれもなく日本のみずほグループ。

 シティの東証上場、大手証券会社の子会社化はあらゆる面で外資系企業の上陸、日本企業買収、鎖国的?だった日本の外の世界との交流を強力にバックアップすることでしょう。

 4月25日の日経新聞によると、東証も外国で上場している企業の上場審査基準を緩和すると言います。理由は三角合併によって外国企業の株式を手にする株主が売却しやすくする、保護のためといいます

 すでに上陸済みのウォルマート、テスコなどの世界の大手流通企業はもちろん、来年日本上陸を決めているH&Mも、買収も視野に入れた急速な拡大をほのめかしています。

 外資が日本企業を買収する目的として、製造業であれば技術や特許も目当てかもしれませんが、リテール企業の場合は、彼らにとっては、欧米を真似て作った日本の店舗業態には特に魅力はなく、お目当ては、おそらく狭い日本の中で、「好立地の店舗」と「人材」を獲得するためでありましょう。

 巨額な資金を背景にした外資による日本企業買収、負けじと同じ日本企業同士の買収・合併も加速するでしょうし、防衛策を講じる企業も増えるでしょう。

 27日の日経新聞によると、家具・ホームファッションリテーラー大手のニトリが、第三者企業による大量取得にあたって、目的や情報提供を求め、場合によっては、既存株主に新株予約権を無償で付与する事前警告型買収防衛策を次回の5月の株主総会で決議するとのことです。

 そんな日本が買われる時代の幕開けに対応すべく、当ブログでも、従来「外資来襲」や「流通再編」というカテゴリーに入れていたM&A関係のエントリーを独立させ、新たに「04.日本買収」というカテゴリーを追加いたしました。これからのファッションを含めた流通全般の業界関心事、キーワードの一つになることでしょう。

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関連エントリー-今、日本がお買い得
関連エントリー‐米銀シティグループ上場で、海外ファッション企業も東証上場加速?
関連エントリー‐ウォルマートの三角合併が怖い
関連エントリー‐H&M社長、日本進出戦略を語る

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April 26, 2007

「顧客だけを見てください。ほかは見なくて結構です。」

 日経新聞の最終面に掲載されているビジネスマンに人気のコーナー「私の履歴書」。現在、連載中なのは、セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんの巻です。

 鈴木さんの武勇伝は、いろいろな本にも書かれているので、連載記事の内容は、結構聞いたことがある話が多いのですが、4月25日の第25回目に、リテール専門銀行である、アイワイバンク銀行を設立した時の話が出ており、その中にある、ある一言に目が留まりました。

 「『顧客だけを見てください。ほかは見なくて結構です』お願いしたのはそれだけだ」

 鈴木さんが、アイワイバンクのトップにと、旧長銀の幕引役、安斎隆さんを口説いた時に関するくだりの一文です。

 同氏らしい言葉なのですが、改めてとても新鮮に感じました。

 こんな言葉で口説いて、実際にそれを実践することを100%バックアップすることができたら、ファッションリテーラーにしても、流通業においても、もっともっと異業種の優秀な人財を招聘し、活躍させることができるのではないか、と思ったものです。

 もしかしたら、志半ばでダイエーを去った樋口さんも、受け入れ側がそんな体制だったら、今とちょっと違う結果が出ていたかもしれないし、某FR社を去ったテクノクラートの方々もそうかもしれないと。

 今、その言葉の通りに行動することが、本当に求められている時代だと思うんですけどね・・・。 

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April 25, 2007

「アパレルSPA(製造小売業)原論」とも呼べる書籍

 昨日は、米リミテッドブランズ(LIMITED BRANDS)のアパレル事業売却の可能性のニュースに関してエントリーいたしましたが、同社について書かれた本で、「アパレルSPA(製造小売業)原論」と呼んでも過言ではない書籍をご紹介いたします。

 アパレルリテールビジネスに携わる方は既にお読みになったり、ご存知かもしれませんが、SPA時代のファッションリテールビジネス&マーケティングにご興味のある方は、是非一読ください。
 
「リミテッド社はなぜ世界最大になれたか 改訂版」(商業界 桜井多恵子著)

 10年以上前に日本リテイリングセンター、ペガサスクラブの桜井先生がリミテッド社を取材して書かれた古い本ですが、リミテッドは、ユニクロ、ハニーズも学んだSPAの大先輩。当時世界最大のSPA であり、アバクロンビー&フィッチを磨き、ビクトリアズ・シークレットを生んだSPA手法の極意が惜しげもなく紹介されています。

 ファッション専門店の多店舗化へのステップの考え方、価格帯別ブランド(業態)戦略、マーケットリサーチ、実験販売手法、海外ソーシング活動からM&Aによるファッションコングロマリット作りまで、ユニクロのファストリがこれまで何を考え、今後、何をしようとしているのか、お手本にしているようなところ、まだまだやり足りないことなどなどを考える上でも大変参考になる良書です。

 桜井先生には、かつてペガサスセミナーで勉強させていただきました。5年前に先生の講義を拝聴した時は、アメリカのライフスタイルディスカウンター、ターゲット社のトータルコーディネートできるアパレルマーチャンダイジングに盛んに傾倒されていました。

 最近は、どんなことをお話になっているかはわかりませんが、やはり、今、SPA(製造小売業)を目指すファッションリテーラーがベンチマークすべきベストプラクティスは、ZARAとH&Mですね。 

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April 24, 2007

米リミテッドブランズがアパレル事業を売却?

 私が比較的よくチェックしている海外のファッション・リテール系ネットニュースに、アメリカでビクトリアズ・シークレット、バス&ボディーワークス、エクスプレス、リミテッドを展開する世界4大ファッションSPAの一角、米リミテッド・ブランズ(Limited Brands)がアパレル事業の売却を検討しているという記事が出ています。

 WWD.COM (U.S)
 Retail Week (U.K)

 記事によると、根拠は、かつては世界最大のアパレルSPA(製造小売業)だったリミテッド(LIMITED)から創業した同グループも、インティメイト(下着)事業のヴィクトリアズ・シークレットとヘルス&ビューティー事業のバス&ボディーワークスの売上が70%を占め、アパレル事業は20%程度という現状。 創業者であり、CEOのレス・ウエックスナー氏が公の場で、「インティメイト事業とヘルス&ビューティー事業は、まだまだ伸びる事業であり、5年で2倍にする」と豪語していたり、投資家に対する会合で、役員クラスの人が、「われわれの未来はインティメイト事業とヘルス&ビューティー事業にある」と発言したことによるもののようです。

 当然、当事者はまだコメントを避けていますが、買収に名乗りを上げている2社のリテールビジネス向け投資会社の名が上がっています。1社はアメリカンイーグルアウトフィッターズの株も保有している Schottenstein Stores Corp.です。

 買収額は $2.1 billion=2520億円 ($=120円)?といったまことしやかな金額が出ています。ちなみに昨年度の年商は、LIMITED BRANDS全体が1兆2840億円なのに対して、LIMITEDは、590億円(260店舗)、EXPRESSの方は、2040億円(658店舗) です。

 先日、世界4大SPAの近況をコメントした、いくつかのエントリーの中で、LIMITED BRANDSのアパレル事業構成比がかなり低くなっていることを指摘しました。 同グループは、以前、アバクロ他、いくつかのアパレル事業をスピンアウトさせた過去があります。しかし、私が最も尊敬するファッションビジネスマンであるレス・ウエックスナー氏ですが、LIMITEDという創業ビジネスにも未練はないのでしょうかね、さすが、アメリカはビジネスライクな国ですね。

 もともと、LIMITEDグループは、「立地が最大の広告宣伝」というポリシーを持っており、広告宣伝にはお金をかけず、SCにおいて、最も目立つ場所を出店立地としておさえる、という広告宣伝費を使うGAPグループと好対照なところがありました。それゆえに、LIMITED EXPRESSの知名度はもちろん、立地は抜群。ジリ貧なアパレル事業は今が売却の好機と考えてもおかしくはありません。

 経営陣によるMBOの可能性もあるとのことですが、H&Mがアメリカを一気に落とすために目を付ける可能性もあります(ドイツではかつてGAPの店舗を買収しました)。そして、ユニクロのファストリも4000億円の買収資金を用意していると言ってましたね。おっと、十分予算内じゃないですか。

 GAPのリストラ(事業分割の可能性も)と言い、LIMITEDのアパレル事業の売却の噂と言い、名実とも、世代交代は目前です。

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 関連エントリー-米GAP、2年連続減収減益。世界SPAの世代交代鮮明
 関連エントリー-ZARA(ザラ)のインディテックスグループの驚異的な成長

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April 23, 2007

先週の記事別アクセスランキング

先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-お兄系ファッション、ブームの立役者たちの座談会記事を読んで(07.04.07)

 コメント:お兄系、もともとあったいろいろなテイストにスパイスとして味つけられた
     一つの要素と見ると、また見方も変わってきますね。
    
2位-いよいよ今週 nanaco(ナナコ)、WAON(ワオン)がスタート(07.04.22)

 コメント:電子マネー戦争、何年後かは、モバイルSuicaに集約するような気が
     しますが・・・

3位-しまむらの海外マーケットリサーチ(07.04.08)

 コメント:最先端を行くか?オリジナルを作るか?どうかは別にして、
    独自のスタイリングが支持される時代に、多くのものを見ること
    継続してその変化を見続けることの必要性が問われています。

4位-給与・賞与だけがすべてじゃない(07.04.12)

 コメント:従業員が満足できない会社に顧客満足なし、とあるクライアントオーナー。
     従業員満足(ES)を実践する企業を応援します。

5位-新宿高島屋改装の目玉のひとつは婦人・紳士同一フロア(07.04.19)

 コメント:多くの世代で、カップルのファッション消費が普及することを楽しみに。

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April 22, 2007

いよいよ今週 nanaco(ナナコ)、WAON(ワオン)がスタート

 明日23日(月)からセブンイレブンの電子マネーnanaco(ナナコ)がスタートし、27日(金)からイオングループのWAON(ワオン)がスタートしますね。

 家の前のセブンイレブンでパンフをもらったので、内容をちょっと整理・比較してみました。

■nanaco(ナナコ) 4/23日スタート プリペイドカード 
 セブンイレブンのみで利用可能 
 ICカード以外にお財布ケイタイによるnanaco(ナナコ)モバイルあり
 お買い物100円ごとに1ポイント、電子マネー1円に交換
 (但し使用時1%の手数料要)
 チャージ上限29、999円
 残念ながら、やはり家の前にあるイトーヨーカ堂ではしばらく使えないみたい。
 IYカードとの一体化を希望します。

 nanaco(ナナコ)ホームページ
 
■WAON(ワオン) 4/27日スタート プリペイドカードおよびクレジットチャージ
 可能カードあり 
 ジャスコ、マックスバリューなどイオングループスーパーで利用可能
 ICカード、イオンカードとの一体型カードあり、現状モバイル対応なし
 クレジットチャージが可能なカード(ワオンカードプラス)もあり 
 200円ごとに1ポイント、ワオン1円に交換、
 チャージ上限20、000円
 順次、ローソンなど提携企業でも利用可能に
 ジャスコもローソンも行動半径内にないから今のところあまり興味ないかな。

  WAON(ワオン) ホームページ

順次、クレジットチャージ(後払い)、オートチャージ、に対応してゆき、形としては、SuicaおよびモバイルSuicaが有するサービスに対応してゆくのでしょうね。

 モバイルSuicaオートチャージユーザーの立場から見て、メリットは近いものがあると思いますが、

 ○小銭を気にしなくてよい
 ○購買履歴が残る
 ○財布が薄くなった(これうれしいんです)

 さらに、nanaco(ナナコ)、waon(ワオン)には、
 ○ポイント還元がある
 
 というところでしょうか。

 しばらくは、同盟企業獲得合戦をされるのでしょうが、早くSuica、Pasmoみたいに、鉄道系を含めて大人な相互乗り入れ期待してますよ。生活者の財布を厚くすることは、時代に逆行していますからね。

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April 21, 2007

大手GMS(量販店)の06年度決算

 4月21日の繊研新聞に、大手GMS(量販店)イオン、ヨーカ堂、ダイエー、ユニー、西友の06期決算比較の記事が掲載されており、「本業回復で増収」という見出しに「ほぅ」っと思いながら読んでおりました。

 出資企業の子会社化による増収、傘下コンビニの既存店回復の兆しの見えない減収要因など連結はさておいて、本業(単体)は、営業利益増収とのことですが、要因は、既存店のようやくの下げ止まり、イオンについては、自社企画拡大、情報システム投資が功を奏した在庫の圧縮による粗利率のアップという前向きな要因はありますが、イトーヨーカ堂、ユニーにしても、人件費削減、減価償却費減などあまり前向きでない販売管理費圧縮で作った数字も少なくないようで、必ずしも継続的な明るい未来が待っているようではありません。

 やはり繊研新聞の4月上旬にリリースされた毎月恒例の小島健輔先生による記事「全国有力SCテナント調査」06年冬物商戦版に同先生が興味深いコメントされていました。

 アメリカのSC開発の歴史も踏まえて、これから、日本の大型SCでも、食品は別にして、本当にGMSは核テナントとして必要なのか?通常のテナントの1/3の家賃しか負担しない、効率の悪いGMS抜きのSC開発、GMS核テナント不要論が始まる、というような内容でした。

 確かに、まちづくり三法改正後、限られたスペースの取り合いが始まる中で、成果が上げられないのであれば、現実のものとなりかねませんね。当然の流れだろうな、と納得しながら読んでおりました。すでにその動きはありますし、ただ競争社会のアメリカと事情が違うのは、イオングループについては、グループ保護政策で、他のテナントからその分むしり取るってこともあると思いますが・・・

 話は変わりますが、都心部でも、コンビニの既存店売上前年対比が下げ止まらない中、先日、英最大の流通企業、テスコが出資する「つるかめ」の展開でおなじみのシートゥーネットワーク社が生鮮コンビニ「テスコ・エクスプレス」の出店計画を発表しました。SHOP99が先行したものの、多くの企業が狙い打ちしてきているマーケットです。

 GMSグループにとっては、ますますの激戦。その先にあるのは、淘汰なのか、進化なのか?目先の合併によるバイイングパワーの拡大だけでは解決できる話ではなさそうです。

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April 19, 2007

新宿高島屋改装の目玉のひとつは婦人・紳士同一フロア

 日経ネット他、各紙インターネットニュースに、130億円を投じて19日にようやく改装オープンした新宿高島屋に関する記事が掲載されています。

 改装工事中は、伊勢丹のように段階的にではなく、一気にやったため、ずいぶんと不便でしたが、記事によると新宿一番店である伊勢丹に対抗しての社運をかけての改装に相応しく、団塊世代および団塊ジュニア世代をターゲットに、いろいろなチャレンジがなされている模様です。

 NIKKEI NET

 中でも、横長の館の形状を活かしての、婦人・紳士が同一フロアーで買い物ができる工夫に注目です。

 昔から百貨店にしても、ファッションビルにしても、ファッション専門店にしても、婦人と紳士の売場は階層が違っているのが常識でした。

 まあ、9兆円のアパレル小売市場の中で婦人服は紳士服の倍のマーケット規模がありますから、まずは2階から婦人フロアを固めて後付的に上の方に紳士売場をつけ足すという男性にとっては屈辱的?な売場は世の中にたくさんあることをご不満に思っていらっしゃる男性もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

 今回の高島屋新宿店にしても、新宿マイシティ改めルミネエストにしても女性と男性が一緒に買い物ができる売場の提案(アルタやJRの車中から見えるエスとの館に大きく貼られた若い男女のカップルの天幕はそれを示唆していることは間違いありません)、はこれからようやく、増えてゆくと思われます。
 
 2000年過ぎくらいから、アメリカのマーケットリサーチに限界を感じた私は、ロンドンを集中的に回り始めましたが、ロンドン郊外で当時ヨーロッパ最大のSCであったBlueWaterSCに行った時にとても、新鮮だったのは、レディースラインとメンズラインが同一売場に左右対象に同等に展開されているショップが多かったことでした。

 当時、アメリカでもそんな売場はバナリパとアバクロくらいだったでしょうが、ロンドンでは、TOPSHOPとTOPMEN、DOROTHY PERKINSとBURTON(トップショップと同じアルカディアグループのお姉さん、お兄さん版です)をはじめ、多くのSPA系アパレルショップ、セレクトショップが、入り口は一緒で、左右にレディスコーナー・メンズコーナーが壁で仕切られて別れ、真ん中あたりで「再会」できるスペースが演出されていて、レジ横の試着室前には、相手が待っている間にゆったり座れるソファーがあったりなんかして、一番奥にあるレジは共通というような構造の売場を作っていました。
 
 男女が同じ売場でそれぞれのペースで商品を見て、時には、これどぉかしら、なんて意見を聞き合って、最後は一緒に精算するなって売場、素敵だな、なんて思ったものです。

 それに近い売場、日本だったら、UAのGLR(グリーンレーベル)くらいかな、最近は、コムサイズム(これはまだメンズが虐げられてますね)や郊外SCのポイントのグローバルワークのような、ファミリー業態には見受けられるようになりましたが、今後、都心部でも、男女が一緒に楽しめる次世代型のファッション売場の提案として、増えてきそうな気がしますね。

 そんな想像をしているだけで、売場から一緒に楽しく服を選びあうカップルの会話が聞こえて来ませんか?

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April 16, 2007

先週の記事別アクセスランキング

 先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-お兄系ファッション、ブームの立役者たちの座談会記事を読んで(07.04.07)

 コメント:思いがけずヴァンキッシュの石川社長からもコメントを頂き、ちょっと
      盛り上がりました。

2位-しまむらの海外マーケットリサーチ(07.04.08)

 コメント:しまむらがここまでやってきている現実、どう受け留めます?

3位-ZARA(ザラ)のインディテックスグループの驚異的な成長(07.03.22)

 コメント:現在の世界SPA戦争の構図がここに。

4位-給与・賞与だけがすべてじゃない(07.04.12)

 コメント:従業員満足(ES)へ進路を取れ。

5位-仏PPR(ピノー・プランタン)グループがプーマを買収(07.04.11)

 コメント:さらにスタイリッシュに磨きがかかるプーマに期待です。

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April 15, 2007

ユニクロ原宿店がTシャツ専門店「UT」に

 4月14日の繊研新聞、シブヤ経済新聞などによると、ユニクロは、同社のユニクロ・フリースブームの火付け役となった伝説の?原宿店を、4月28日、佐藤可士和氏プロデュースのTシャツ専門店「ユーティー・ストア・ハラジュク」として改装オープンするとのことです。

 ユニクロのUTに関するプレス記事
 
 すでにUTのホームページもあります。なかなかユニークで素敵です。

 UTホームページ

 原宿のTシャツ専門店という意味では、以前から、10坪のグラニフや、20坪強のBEAMS-Tがありますから特に新規性はありませんが、170坪すべてがTシャツとなると、博物館のようで、圧巻でしょうね。ところで、これ、一年中やるのかなぁ。

 個人的にも見に行くのは楽しみですが、今回の試みを聞いて、やっぱりユニクロさんは「単品訴求型」なんだなぁと思いました。

 せっかく業界のトレンドマーケットで実績のある逸材の方々を集めてらっしゃるので、原宿という立地で、「単品」ではなく、「スタイリング」を軸とした次世代的実験、すなわち、GAPグループで言えば、バナリパ・GAP・オールドネイビーのような「松竹梅戦略」の「松」=バナリパにあたる実験はできないものかなぁと思いながら、記事やサイトを眺めておりました。それがユニクロが一皮剥ける手立てのひとつのような気がするのですが・・・それともM&Aでそれをやるのでしょうかね。

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April 14, 2007

米ポロ・ラルフローレン社がインパクト21を完全子会社化

 4月14日の日経新聞、繊研新聞によると、米ポロ・ラルフローレンの全額出資子会社ピー・アール・エルジャパンは、オンワード樫山の子会社で、ラルフローレン、ポロラルフローレン、ポロジーンズなどを百貨店中心に販売する東証一部上場企業、インパクト21をTOBにより完全子会社化し、日本での米国直轄によるグローバル戦略を加速させるとのことです。

 表参道旗艦店出店の際にいずれはこう来るかな、と思っておりましたが、いよいよですか。

 ここのところ売上を伸ばせずにいたオンワード樫山サイド、米ポロ・ラルフローレン社の世界戦略の利害が一致した結果のようで、今回の全株売却で210億円を手にするオンワード樫山は、今年の9月からホールディングカンパニーへの移行を決めており、売却資金は、国内外の買収や投資に当てるとのことです。

 米直轄となるポロ・ラルフローレンの戦略は、既存の百貨店に加えて、その他の販売チャネルも開発するとのことで、路面店や近郊大型SC・・・それから、いよいよ日本でもアウトレットにポロ・ラルフローレンが登場しますかね。

 アメリカの大型アウトレットモールへ行けば、必ずと言っていいほど、核テナント級になっているPOLO。私も結構お世話になりました。ところが、日本では、オンワード樫山本体の「アウトレットモールには出店しない」企業ポリシーからアウトレット店が存在しない、というのは、業界でも知る人ぞ知る話。

 オンワードスタイルの販売は結構飽和に来ていたところですから、同社としては、手放す好機ではないでしょうかね。これ以上の拡大は、パープル、ブラック両レーベルのラグジュアリー戦略か、アウトレットも含むマス路線ってとこでしょうか。くれぐれも、アメリカのように乱売してクローズアウトビジネス(在庫過剰による横流しビジネス)の雄になりませんように。

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 関連エントリー-ラルフローレン、表参道出店でラグジュアリー市場に参戦
 関連エントリー-日本にはないクローズアウトマーケットとは

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April 13, 2007

H&Mの足音が聞こえる

 4月13日の繊研新聞に、12日中国本土1号店となるH&M(エッチアンドエム;ヘネスアンドモーリッツ)の上海店オープンに関する記事が掲載されています。香港に続き、一歩づつ、じわりじわりと日本に近づいて来ているような感じですね。

 同紙記事の内容に加えて、H&Mのプレスリリースや海外ネットニュースを織り交ぜてどんな様子だったのか、いろいろ探ってみました。

 オープン前日の前夜祭は、オーストラリア出身のスーパースター、カイリー・ミノーグが駆けつけ、チャイナドレスで登場し、ヒットナンバーでH&M中国1号店を祝福すると同時に、来月から全世界で販売される”H&M Loves Kylie”というスイムウエアのコラボコレクションも世界に先駆けてお披露目したとのことです。少林サッカーのマドンナ、ヴィッキー・チャオなど中国の有名スターたちも招待され、ずいぶん派手なパーティーだったようですね。

 オープン当日は、開店前に700人(繊研新聞には300人とありましたが)が並び、4層、660坪のレディース、メンズ、ティーンズ、キッズのフルラインの売場は大盛況だったようです。

 訪中したロルフ・エリクセン社長への各メディアのインタビューで気になった部分としては、H&Mの生産の60%を占めるアジア生産のうち、その半分である30%が中国生産。供給国として25年の付き合いである中国には、マーケット、人脈も含めてそれなりの理解がある、とのことで、なおかつ、生産地での販売となれば、更なる短サイクル生産・デリバリーのオペレーションへのチャレンジも行いたい、としているようです。

 やはり、生産のハブ拠点、中国でオペレーションに磨きをかけて日本進出、というわけですかね。

 同様にH&Mが日本に来る時に楽しみにしているのは、顧客コミュニケーション戦略です。H&Mはメディアに対してだけでなく、一般生活者に対してのプレスリリースも上手です。つまり顧客へのファッション啓蒙活動とでも言いましょうか?

 一般的に、日本のファッション企業は、極端なことを言うと、シーズンインして、雑誌掲載や店頭に商品が並ぶまで、情報は生活者にはなかなか入って来ないものです。たぶん、競合他社に情報が漏れることを恐れての結果ではないか、と見ていますが。

 一方、H&Mは同社のプレスリリースなどを見ていると、比較的、前もって、来シーズンのうちのトレンドはこうだよ、とか、こんな仕掛け(コラボなど)をしますよ、といった情報を意図的に公表して、期待を膨らませ、「お待たせしました」って感じで発売を迎えるしかけをよくやっているように見受けられます。次シーズンのトレンドを前もって、わかりやすく説明してくれれば、生活者の立場に立っても、親切で、信頼度が高まるのは当然ですよね。

 ZARAはあまり広告宣伝にお金をかけないと言われていますが、H&Mはかけると言いますから、どんな手(宣伝活動)を尽くして来年の秋を迎えますかね?東京オープンに向けて、著名スーパースターとのコラボコレクションは当然でしょうし、海外滞在や海外旅行でH&Mでショッピングを体験した人たちをトレンドセッターとして焚き付けることも定石でありましょう。

 確か、原宿のGAPが出来た時も、当日使える割引券配布で表参道に1000人くらいは並んだと記憶していますので、H&Mはどんなしかけでどれだけ人を並ばせるかも興味深いところですね。

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April 12, 2007

給与・賞与だけがすべてじゃない

 4月11日の繊研新聞にアースミュージックアンドエコロジーなどを展開するクロスカンパニーの既婚女性社員に対する更なる処遇の改善に関する記事が掲載されていました。

 ここのところ、採用難が深刻になり、ワールド、サンエーインターナショナル、ユナイテッドアローズ、ユニクロ・・・各社が契約社員、準社員、パートアルバイト(P/A)スタッフを大量に正社員化し、優秀販売スタッフの囲い込みを行う政策にでたり、大手スーパーが軒並みP/A時給をアップする動きがニュースになっている昨今。

 クロスカンパニーは、それに先駆けて、というか、もともと一部カフェで働くスタッフを除き、直営ショップで働くすべてのスタッフを正社員にし、長く働いてもらうための人材投資、教育を施したり、女性社員の立場で処遇を考えることで有名な会社でしたが、今回の記事では、女性社員の「終身雇用制」を目指し、更なる処遇の改善、特に既婚女性社員を配慮した制度を打ち出しています。

 新制度では既婚女性は1ヵ月前に申請すれば、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始でも、3連休を取れたり、日曜日も休めることになる模様です。それにより既婚女性社員は、「家族と過ごせる公休」の機会を得ることができるわけです。

 ファッション販売に限らず、小売業で働いている人は、売上指数の高い日曜日や祝日に休むことはタブー視されているもので、洋服が好きで続けている以上、友人や家族と休みが合わないことは、仕方がないと諦めているいるのが現実ではないでしょうか。
 
 多くの経営者は、販売力のあるベテラン社員にかきいれ時に休まれたら困る、と目先の売上を気にするところでしょうが、実際、結婚、出産、家族とのトラブルが元で優秀な販売スタッフを失うくらいなら、そういった制度の導入によって、中長期的に、モチベーションを持って会社で働き続けてくれることによって、長い目で見たらそちらの方が会社が伸びる、と考える30代の石川社長に共感します。
 
 ちなみに同社では、出産、育児などにについてはすでに法律を上回る(日数の長い)休暇制度を実施中とのことです。

 4月12日の繊研新聞にも、有能なパート社員を店長にしていることで有名な、ファッションセンターしまむらの記事があります。同社は、毎年、全店を2日間休業して総経費3億円をかけてパート社員さんのために慰安旅行を実施しています。

 全国1000店舗を越えるしまむらの2日間の売上といったら15億円は越えるでしょう。また、慰安旅行の経費3億円も営業利益の1%に相当するとのこと。 「やめたら即利益アップと考える人もいるだろうが、それをやってももうけるのがいい会社」と同社の幹部は胸を張って言います。

 待遇を正社員にするだけじゃなく、給与・賞与・報奨金といった金銭でつなぎとめるだけではなく、将来のエクセレントカンパニーはもっともっと先にある従業員満足(ES)を考えつづけてゆく企業なのだろうな、と思いながらそれらの記事を読んでいました。

 ※以下に2年前にクロスカンパニーについて書いたエントリーのリンクを貼っておきますのでよろしければお読みください。

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 関連エントリー-地に足のついたアパレルSPA(製造小売業)企業
 関連エントリー-人を育てエクセレントカンパニーを目指す

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April 11, 2007

仏PPR(ピノー・プランタン)グループがプーマを買収

 4月11日の日経新聞、繊研新聞などによると、フランスの流通大手で、グッチ、ボッテガベネッタ、イヴサンローランなどを擁する、フランソワ・ピノー氏でおなじみのPPR(ピノープランタン)グループがスポーツシューズ売上世界三位のPUMA(プーマ)を8450億円で買収するとのことです。

 追加情報として海外のネット情報を追っかけてみましたが、PPR社は、今後のプーマの展開について

 ○ライフスタイルブランドとして育成
 ○現在85%を占める卸売中心のビジネスをリテールに大きくシフト

 などのキーワードが出てきます。

 アディダスがリーボックを買収した際もブログに記事をエントリーしましたが、そのころは、アディダスとプーマの創業者は兄弟ですから、そのうち・・・アディダス(弟が創業者)がプーマ(兄が創業者)も買収か?などとの噂話も耳にしました。 

 しかし、個人的には、大手スポーツブランドの中で、一番ファッション性が高いと思っているプーマがPPRとくっつくのは、よいのでは、と思ったりします。

 コレクションの傾向を見ると、これからファッショントレンドの中にスポーツテイストも出てきて、スポーツシューズそのものもマーケットの中で復活しそうな兆しがありますし、プーマには、マス化したナイキやアディダスと上手に差別化しておしゃれなブランドポジショニングを目指していただきたい、と期待しております。 

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関連エントリー-アディダス、リーボック買収で、どうなる世界2大ブランド対決

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April 09, 2007

先週の記事別アクセスランキング

 先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?3位以外は不動です。

1位-ZARA(ザラ)のインディテックスグループの驚異的な成長(07.03.22)

 コメント:この春オープンする注目の近郊SCに続々と出店しているZARA。
      H&Mが来る前に一気呵成に陣取りを行う戦略でしょうか。

2位-伊勢丹・東急百貨店の業務提携の方がすごい(07.03.27)

 コメント:伊勢丹も今回の一連の改装で既存顧客の一部を切り捨てたような
      チャレンジングな見方もできますが、果たして成否はいかに。

3位-お兄系ファッション、ブームの立役者たちの座談会記事を読んで(07.04.07)

 コメント:今週ランクインした唯一の新エントリー。お兄系への関心の高さが
      伺えます。

4位-アルマーニ・エクスチェンジ(A/X)が日本初上陸(07.03.17)

 コメント:A/X渋谷旗艦店のオープンは今秋、公園通り沿いになるようですね。

5位-ユニクロが次々に他社で実績のある幹部を招聘(07.03.10)

 コメント:クオリティの低いユニクロ=「g.u.」よりも、クオリティの高い「ユニクロ」の
      ブラッシュアップに力を注いでほしいのが生活者の視点で見た私の
      本音です。

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April 08, 2007

しまむらの海外マーケットリサーチ

 今週は、経済紙、業界紙各紙が4月4日に発表されたファッションセンターしまむらを展開する、しまむら社の6期連続過去最高益を上げた同社の07年02月期決算について報道していますが、それにあわせて繊研新聞でも今週1面に「ネクストステージしまむら」という今後のしまむらの展開を考える連載特集企画を組んでいました。

 余談ですが、同社が毎回決算発表の際にリリースする「決算概要」は、毎年の衣料マーケットのマクロトレンドを知る上で、業界の経営企画担当者のバイブルのひとつと言っても過言ではないくらい、いろいろなことがわかるので、一読に値します。

 ファッションセンターしまむらが、メーカー提案商品を品揃えの主軸にしながらも、数年前からヤング化、ファッショントレンド性にチャレンジして成果を上げながら、全国1000店舗を超えた昨年からこれまで手薄であった東京、大阪といった都心部に攻め入り、着実な成果を上げている状況は、かつて主婦の店と呼ばれたヴォリュームマーケットの最右翼とて、トレンドマーケットを含めたファッションマーケット全体が侮っていはならない存在になりつつある話であると思います。

 記事でも盛んに話題にしているのは、しまむらの約50人のバイヤーは年4回、多い人で6回、パリやNYの定点マーケットリサーチを行って、インターナショナルなトレンドを肌で感じながら、仕入先アパレルメーカーを指導し、同店の目先の品揃えに味付けを行っているという点です。

 このあたりは、同社のホームページにも詳しく記されています。

 しまむらの事業活動-マーケットリサーチ

 記事には、主要納品メーカー幹部へのインタビューも載っていますが、「(しまむらの)情報収集力に追い越されたら存在意義が失われる」と危機感を持ち、「身を引き締めて商売を行う」と言わしめるほどです。

 10年以上前に商社のアパレル海外ソーシング(開発輸入)の営業担当をしていた私は、やはり年4回欧米のショップを定点観測し、大量に買い付けたサンプル商品をハンドキャリーして帰り、現地(NY、ミラノ、ストックホルムなど)提携先デザインオフィスのデザイン提案と一緒に、中国やインドで生産した場合の製品見積とともにプレゼンテーションすると大手アパレルメーカーのMDさんや小売チェーンのバイヤーさんたちにとても喜ばれたものでした。

 当時は、そんな芸当、商社マンやフットワークのよい大手アパレルMDの専売特許のように思っていましたが、そんなこと、今や、しまむらのバイヤーさんたちは当たり前のようにやっているわけですよね。

 まだまだ後追いやモノマネが多いとは思いますが、市場最低価格のヴォリュームマーケットとは言え、世界の店頭情報から裏づけをとりながら、ローカルなマーケットで生活者にファッションを提案するしまむら・・・時代はそこまで来ているということを、業界関係者に訴えたいところです。

 先日、アメリカ、パリ、ミラノの視察から戻られたアパレルチェーンのオーナーの方とお話をしました。パリやミラノの街を歩いていると、もうラグジュアリーブランドかH&MやZARAのファストファッションの店ばかり。ブランドの集荷(セレクト)型のお店もモノマネ店も消え去った・・・。高くても安くても自社で独自にデザインしたスタイリングを打ち出せるストアしか生き残れない時代が到来した、と危機感をあらわにされていました。

 マーケットの下からはしまむらが、海外からは今年、来年とかなりパワーアップするというZARAや日本進出を決めたH&Mが・・・もう生半可なマーチャンダイジングじゃ通用しませんぞ。

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 関連エントリー-しまむら1000店舗突破、いざ都市部攻略へ

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April 07, 2007

お兄系ファッション、ブームの立役者たちの座談会記事を読んで

 今週の繊研新聞の2面に連載されていた、「お兄系、ブームを越えて」という座談会記事を興味深く読ませていただきました。メンバーは、オクトパス・アーミーの蛸屋が展開する「バッファロー・ボブス」、せーのデザインの「ヴァンキッシュ」、両国ニットメーカー三高が仕掛けた「ジャックローズ」などそれぞれの社長または事業責任者の方々5人による座談会です。

 いわゆるお兄系ブームはどこまでつづくかは、もっか業界の関心事のひとつですが、記事を読みながら、(以下は記事に書いてあることではないのですが)、もう一方のヤングメンズファッションのブームであるサロン系とは違って、もともとD&G(ドルチェ・アンド・ガッバーナ)のスタイルにあこがれ、2000年ころから国際的同時多発的に起こったロックスタイルやライダーススタイルといったトレンドに裏打ちされて、裏原宿プロペラ道りの「バッファローボブス」が火付け役となって(という見方が一般的では・・・)、東京ストリートでリミックスされたファッションであり、ヤングのみならず、30代以上にも及ぶ幅広い客層が支えているテイストなので、あながち一過性には終わらない気もしてきました。

 記事を読んでいて面白かったのは、ヴァンキッシュのせーのデザイン社長の石川涼氏(31)の発言。他の4人が、ブームを超えて、これからどうしたいかについて、「店を増やしたい」、「よりいいものを作りたい」、「ワンランク上のものづくり」、「こだわり」、「本物」といった、旧来型の業界のモノづくりへのこだわり、いわば創り手の論理で語っているのに対して、石川社長は、たとえば、

 「僕は洋服屋からスタートしていないので、店を出すとか質の高い服を作るとかにはこだわっていない。ただ、つかまえたいところは絶対ヤング。彼らの感覚や消費を見ていると、難しい感覚は捨てて、その時代のトレンドに合うビジネスを展開したい。」

 といった発言など、一番、わかりやすく、生活者目線でブームを捉えているな、と思ったことです。

 なんか、自然で好感を持ちましたね。

 同社は、リアル店舗を多店舗化させるより、ケイタイ販売の可能性に賭けているところも、今風ですね。

 もうひとつ、記事を読んでいて、以前、親しくさせていただいていた、あるヤングメンズアパレルメーカーの社長さんの言葉を思い出しました。

 その社長さんは、50代後半で、一見、アパレルメーカーの社長さんには見えない方ですが(失礼!ごめんなさい)、よくおっしゃっていたのは、彼がもっとも信頼しているマーケット情報は、『渋谷センター街のティッシュ配りをやっている男の子が何を着ているか』だと言うことです。

 同氏は、時間があると、彼らを見に渋谷に行くのが習慣で、明治通り(原宿~渋谷間)を定点観測場所にしていた私も、よく、ばったりお会いしたものでした。

 どんなマーケットに取り組んでいても、業界情報に流されたり、ブームの後追いではなく、素直にターゲットの微妙な変化を観察し続ける「定点観測」の重要性を感じます。 

 その社長さんの場合も、すごく「わかりやすい」例であり、最近は残念ながらお会いする機会がありませんが、今でも、渋谷のフリーター君の微妙な変化に気づき、お兄系の次の芽を見つけているかもしれない・・・マーケッターである業界の先輩にいろいろ学ばせて頂いたころを思い出したものでした。

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 関連エントリー-ファッションはストリートから生まれる

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April 06, 2007

ケイトモス・トップショップコレクションが米バーニーズの店頭に並ぶ

 4月5日の繊研新聞によると、イギリスのファストファッション(イギリスでは「ハイストリートファッション」と呼びますが)の雄、アルカディアグループのTOPSHOP(トップショップ)が5月発売予定の「ケイトモス・トップショップコレクション」がご存知アメリカのファッションリーダーストア、バーニーズ19店舗と同社のウェブサイトで販売されることになったとのことです。

情報源はこちら

WWD.com 4月2日付 

BBC NEWS 4月1日付

 WWDによると、パリのセレクトショップ、コレットにも並ぶようですね。

 TOPSHOPとケイトモスとの取り組みは、以前ブログでもご紹介しましたが、ファストファッションが仕掛ける商品がバーニーズに並ぶとは・・・これはちょっと、ファッションビジネスとしては、センセーショナルですよね。

 トップショップは日本ではラフォーレ原宿に期間限定店舗をオープンし、小さいスペースながらファッションリーダーにそこそこの評価を受け、まずまずの売れ行きと聞きます。

 トップショップは、イギリスに303店舗を持ち、海外も97店舗、今後3年間に海外に100店舗の出店を予定しており、アメリカへの大型店出店が期待されるところです。

 欧州ファストファッションSPAの中でも、ZARAやH&Mに比べて、ホットなナショナルブランド、オリジナル開発商品、ユーズド(古着)、バラエティー豊かな服飾雑貨・生活雑貨の商品ミックスは米アーバンアウトフィッターズとよいライバル関係になるのでは、と楽しみです。

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 関連エントリー-TOPSHOP(トップショップ)がケイトモスと契約
 関連エントリー-米アーバンアウトフィッターズ、欧州そして日本へ

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April 05, 2007

本日より、ブログがケイタイにも対応

 4月5日の日経新聞にも記事が掲載されていますが(笑)、本日よりココログがケイタイに対応するサービスをスタートし、「ファッション流通ブログde業界関心事」もケイタイでお読み頂けるようになりました。

 以下メーラーからURLアドレスをケイタイにメールでお送り頂きご覧になってください。

 ファッション流通ブログde業界関心事ケイタイ版

 これからは、いつでも、どこでも、ファッションビジネス情報に敏感に・・・どうぞご活用ください。

 よろしくお願いいたします。

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April 02, 2007

先週の記事別アクセスランキング

 先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

1位-ZARA(ザラ)のインディテックスグループの驚異的な成長(07.03.22)

 コメント:果たして、この成長を維持し、2年後には世界1位となるのでしょうか。

2位-伊勢丹・東急百貨店の業務提携の方がすごい(07.03.27)

 コメント:東京の新世代富裕層をおさえにかかる伊勢丹・東急連合は強力

3位-東京ガールズコレクション(TGC)イン北京にガッカリ(07.03.28)

 コメント:一歩一歩でも、世界へ羽ばたくTGCイズムに期待。

4位-アルマーニ・エクスチェンジ(A/X)が日本初上陸(07.03.17)

 コメント:近郊型大型SCへも外資の力が拡大中。

5位-ユニクロが次々に他社で実績のある幹部を招聘(07.03.10)

 コメント:今年のユニクロは大型店出店戦略がキーポイントですね。

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