今週は、経済紙、業界紙各紙が4月4日に発表されたファッションセンターしまむらを展開する、しまむら社の6期連続過去最高益を上げた同社の07年02月期決算について報道していますが、それにあわせて繊研新聞でも今週1面に「ネクストステージしまむら」という今後のしまむらの展開を考える連載特集企画を組んでいました。
余談ですが、同社が毎回決算発表の際にリリースする「決算概要」は、毎年の衣料マーケットのマクロトレンドを知る上で、業界の経営企画担当者のバイブルのひとつと言っても過言ではないくらい、いろいろなことがわかるので、一読に値します。
ファッションセンターしまむらが、メーカー提案商品を品揃えの主軸にしながらも、数年前からヤング化、ファッショントレンド性にチャレンジして成果を上げながら、全国1000店舗を超えた昨年からこれまで手薄であった東京、大阪といった都心部に攻め入り、着実な成果を上げている状況は、かつて主婦の店と呼ばれたヴォリュームマーケットの最右翼とて、トレンドマーケットを含めたファッションマーケット全体が侮っていはならない存在になりつつある話であると思います。
記事でも盛んに話題にしているのは、しまむらの約50人のバイヤーは年4回、多い人で6回、パリやNYの定点マーケットリサーチを行って、インターナショナルなトレンドを肌で感じながら、仕入先アパレルメーカーを指導し、同店の目先の品揃えに味付けを行っているという点です。
このあたりは、同社のホームページにも詳しく記されています。
しまむらの事業活動-マーケットリサーチ
記事には、主要納品メーカー幹部へのインタビューも載っていますが、「(しまむらの)情報収集力に追い越されたら存在意義が失われる」と危機感を持ち、「身を引き締めて商売を行う」と言わしめるほどです。
10年以上前に商社のアパレル海外ソーシング(開発輸入)の営業担当をしていた私は、やはり年4回欧米のショップを定点観測し、大量に買い付けたサンプル商品をハンドキャリーして帰り、現地(NY、ミラノ、ストックホルムなど)提携先デザインオフィスのデザイン提案と一緒に、中国やインドで生産した場合の製品見積とともにプレゼンテーションすると大手アパレルメーカーのMDさんや小売チェーンのバイヤーさんたちにとても喜ばれたものでした。
当時は、そんな芸当、商社マンやフットワークのよい大手アパレルMDの専売特許のように思っていましたが、そんなこと、今や、しまむらのバイヤーさんたちは当たり前のようにやっているわけですよね。
まだまだ後追いやモノマネが多いとは思いますが、市場最低価格のヴォリュームマーケットとは言え、世界の店頭情報から裏づけをとりながら、ローカルなマーケットで生活者にファッションを提案するしまむら・・・時代はそこまで来ているということを、業界関係者に訴えたいところです。
先日、アメリカ、パリ、ミラノの視察から戻られたアパレルチェーンのオーナーの方とお話をしました。パリやミラノの街を歩いていると、もうラグジュアリーブランドかH&MやZARAのファストファッションの店ばかり。ブランドの集荷(セレクト)型のお店もモノマネ店も消え去った・・・。高くても安くても自社で独自にデザインしたスタイリングを打ち出せるストアしか生き残れない時代が到来した、と危機感をあらわにされていました。
マーケットの下からはしまむらが、海外からは今年、来年とかなりパワーアップするというZARAや日本進出を決めたH&Mが・・・もう生半可なマーチャンダイジングじゃ通用しませんぞ。
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