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April 07, 2007

お兄系ファッション、ブームの立役者たちの座談会記事を読んで

 今週の繊研新聞の2面に連載されていた、「お兄系、ブームを越えて」という座談会記事を興味深く読ませていただきました。メンバーは、オクトパス・アーミーの蛸屋が展開する「バッファロー・ボブス」、せーのデザインの「ヴァンキッシュ」、両国ニットメーカー三高が仕掛けた「ジャックローズ」などそれぞれの社長または事業責任者の方々5人による座談会です。

 いわゆるお兄系ブームはどこまでつづくかは、もっか業界の関心事のひとつですが、記事を読みながら、(以下は記事に書いてあることではないのですが)、もう一方のヤングメンズファッションのブームであるサロン系とは違って、もともとD&G(ドルチェ・アンド・ガッバーナ)のスタイルにあこがれ、2000年ころから国際的同時多発的に起こったロックスタイルやライダーススタイルといったトレンドに裏打ちされて、裏原宿プロペラ道りの「バッファローボブス」が火付け役となって(という見方が一般的では・・・)、東京ストリートでリミックスされたファッションであり、ヤングのみならず、30代以上にも及ぶ幅広い客層が支えているテイストなので、あながち一過性には終わらない気もしてきました。

 記事を読んでいて面白かったのは、ヴァンキッシュのせーのデザイン社長の石川涼氏(31)の発言。他の4人が、ブームを超えて、これからどうしたいかについて、「店を増やしたい」、「よりいいものを作りたい」、「ワンランク上のものづくり」、「こだわり」、「本物」といった、旧来型の業界のモノづくりへのこだわり、いわば創り手の論理で語っているのに対して、石川社長は、たとえば、

 「僕は洋服屋からスタートしていないので、店を出すとか質の高い服を作るとかにはこだわっていない。ただ、つかまえたいところは絶対ヤング。彼らの感覚や消費を見ていると、難しい感覚は捨てて、その時代のトレンドに合うビジネスを展開したい。」

 といった発言など、一番、わかりやすく、生活者目線でブームを捉えているな、と思ったことです。

 なんか、自然で好感を持ちましたね。

 同社は、リアル店舗を多店舗化させるより、ケイタイ販売の可能性に賭けているところも、今風ですね。

 もうひとつ、記事を読んでいて、以前、親しくさせていただいていた、あるヤングメンズアパレルメーカーの社長さんの言葉を思い出しました。

 その社長さんは、50代後半で、一見、アパレルメーカーの社長さんには見えない方ですが(失礼!ごめんなさい)、よくおっしゃっていたのは、彼がもっとも信頼しているマーケット情報は、『渋谷センター街のティッシュ配りをやっている男の子が何を着ているか』だと言うことです。

 同氏は、時間があると、彼らを見に渋谷に行くのが習慣で、明治通り(原宿~渋谷間)を定点観測場所にしていた私も、よく、ばったりお会いしたものでした。

 どんなマーケットに取り組んでいても、業界情報に流されたり、ブームの後追いではなく、素直にターゲットの微妙な変化を観察し続ける「定点観測」の重要性を感じます。 

 その社長さんの場合も、すごく「わかりやすい」例であり、最近は残念ながらお会いする機会がありませんが、今でも、渋谷のフリーター君の微妙な変化に気づき、お兄系の次の芽を見つけているかもしれない・・・マーケッターである業界の先輩にいろいろ学ばせて頂いたころを思い出したものでした。

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Comments

初コメント失礼します。

大変興味深く読ませていただきました。
ありがとうございます。

石川社長の発言、商人魂溢れてますね。

洋服屋はついつい思い入れが先に立ち、失敗こくことが多々あります。

「お客のココロをとらえた者が時代を制する」
忘れないようにしたいと思います。

Posted by: HD | April 08, 2007 12:15 AM

HD様

コメントありがとうございます。

的確なご指摘ですね。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: taka | April 09, 2007 03:22 AM

ご紹介ありがとうございましたm(__)m

Posted by: ishikawa | April 13, 2007 06:17 AM

ヴァンキッシュ、せーのデザインの石川社長様

わざわざコメント&リンクを頂きありがとうございました。

今後も「わかりやすい」生活者目線での商品、ブランド、事業開発、ご発展を応援してます。

よろしくお願いいたします。

Posted by: taka | April 13, 2007 09:32 AM

いつも勉強させていただいております。

最近お兄系がらみで、タカキューさんの郊外SC向けを意識した「semantic design」というブランドをお手伝いしています。
今回記載されている方々のラインはどちらかというと【都会お兄向け】で、「semantic design」は【田舎お兄向け】(言い方悪くてスミマセン)です。

takaさんの言うとおり、私もこのカテゴリーは一過性の流行物では無さそうな気がして参りました。

Posted by: KEN | April 19, 2007 10:30 AM

KENさん

いつもコメントありがとうございます。

タカキューさんの「semantic design」ですか・・・サイトを見たら、どうやらこれは旧「ムービン」のようですね。

いわゆる近郊・郊外都市の20代の客層に人気のあったきれいめモード系ファッションにトレンドを取り入れて進化した形ではないでしょうか。

これを見て面白いなと思ったのは、今、KENさん言うところの都市型お兄系スタイルをしている人たちは、昔は、渋谷センター街を中心とした元ガングロ・サーフ系だった人たちと思っていたのですが、semantic designの前身のムービン支持者は、比較的きれい目モードの好きな人たちでしたよね。丸井のDC系ブランドを見て、ムービンで買うような。

対極にあったような層が「お兄系」のキーワードで近いものを着ている現実が面白いですね。そういう意味で、お兄系が、都心田舎問わず、ブームは去ってもひとつの定番テイストとして定着して行く可能性も考えられますね。

これからもよろしくお願いいたします。

Posted by: taka | April 19, 2007 11:55 AM

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