バーニーズ・ニューヨーク売却で、気になるオイルマネーのファッションビジネスへの流入
米ジョーンズ・アパレルが、傘下のファッションリーダーストア、バーニーズNYをドバイ(アラブ首長国連邦)の政府系投資会社Istithmar(イスティスマー)に8億2500万ドル(約1000億円)で売却するとのニュースが各メディアで報道されましたが、今、観光などでも注目されている中東「ドバイの」の響きが気になりました。
バーニーズNYは会社更生法適用に陥ってから、1999年に、2社のファンドが資本を投じ、04年に現在保有するジョーンズ・アパレルが4億ドルで買収。好景気、富裕層の台頭の追い風に乗って、現在、全米に9店舗と13のアウトレットを展開し、業績も順調。今後の展望も明るい事業だったはずです。日本のフランチャイズ事業も昨年軌道に乗せた伊勢丹から住友商事に営業権が移り、これからが楽しみな業態であります。
ジョーンズアパレル社としては、バーニーズNYを投資から3年で2倍の価値にしたわけで、売却益で、中核の中間価格帯事業へのテコ入れを行いたい模様です。
買収側のドバイの投資会社、イスティスマーですが、 関連記事情報によると、アメリカでは、2年前にオフプライスストア(ブランドディスカウントストア)のLoehmann's(ローマンズ)を買収するなど、中東オイルマネーをアメリカ国内に投資中。アラブの投資会社は、比較的中・長期的なビジョンで投資を行うようで、WWDの記事などの中にも、バーニーズには、アメリカ国内だけではなく、国際的に富裕層への展開を期待しているようです。
日本のファッション流通にとっては、中東はとても縁遠いものがありますが、今後、世界の金融の一角を担うオイルマネーは世界のファッションビジネスの中でも無視できない存在でありましょう。
ヨーロッパから見ると、中東、特にドバイは、世界戦略の要衝の一つです。
日本と違って、アパレルの国別輸入制限枠を持つEC圏では、ドバイはインド~中東~東アフリカ各国に分散して生産されるアパレル生産のハブ的な中継地でありましょう。
また、日本のファッションに身近なところでお話すると、アフリカ方面の難民向けに輸出されるヨーロッパ古着は、一旦ドバイに集結します。ドバイにヨーロッパ古着を買い付けに行かれる古着バイヤーの話も耳にします。
06年にH&M(エッチアンドエム)が、中東進出を果たした際に、世界で唯一のフランチャイズ権をクウェートとドバイを中心に活躍するM.H. Alshaya社に渡しています。イスラム圏という独特な文化の中では、現地パートナーが必須と考えたのでしょう。
今後の中東企業の世界ファッションビジネスへの投資、参入ちょっと気になるところですね。
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