売上規模や経営効率だけじゃ通用しない時代へ
6月27日の日経MJ、恒例の調査特集「小売業06年ランキング」を今年も興味深く眺めておりました。
この3年間で吸収合併で規模は拡大はするものの、経営効率(使用総資本経常利益率=ROA)が微減または横ばいのセブン&アイやイオンに対して、規模も拡大しながらそれ以上に経営効率にも磨きをかけるユニクロを展開するファーストリテイリングとしまむららの勝ち組専門店チェーンはそれらのGMSグループと好対照。
アパレル業界の中での影響力を表す「バイイングパワー(購買力)」(衣料品の店舗売上高で評価)は今年度は、以下の通りでした。( )内前年順位、金額単位百万円、( )内前年伸び率%です。
順位
1(1) 高島屋 433,757(▲0.3)
2(4) ユニクロ 375,233(+7.0)
3(3) イオン 366,311(+0.8)
4(2) 三 越 352,642(▲5.0)
5(5) しまむら 350,324(+7.5)
6(6) イトーヨーカ堂 290,560(▲5.5)
7(-) 丸 井 283,856( - )
8(8) 伊勢丹 272,517(+3.1)
9(7) 大 丸 271,047(▲0.3)
10(9) そごう 242,549(▲2.1)
今後、毎年同じような伸縮率だと仮定すると、3年後には、
1位ユニクロ、2位しまむら、3位高島屋、4位イオン、5位三越・・・イトーヨーカ堂は9位というような順位になりそうです。
もっとも、この「バイイングパワー」という発想は、従来の流通業、たくさん買うから安くしろ、リベートをたくさんよこせ、といった仕入先に圧力をかけて自分たちだけ利益を残すという旧来型の小売業の論理であって、これからの時代は、家電業界や食品業界は知りませんが、少なくともファッション業界においてはユニクロのようなSPAによる粗利率アップやしまむらのような企業努力による営業利益アップが勝ち組の定石であるのは間違いなさそうです。
SPAなど、流通企業の新モデルもそんな形で、収益性、成長性、安定性といった財務力、経営効率を目指すわけですが、今週発売された、ニューズウィーク日本語版7月4日号の「世界企業ランキング」などを読んでいると、それだけで喜んでいては、世界から取り残されてしまいそうです。
要は、以前もブログで取り上げたCSR(企業の社会的責任)に基づいたSRI投資家が公開企業に働きかけ、儲かっていて、かつ社会的に貢献している企業こそが投資に値する企業、そうでない企業には、改善を申し入れ、応じる姿勢がない企業には、株価下落圧力をかけるような動きに、世界の企業は、急ピッチで対応しようとしている様子が出ています。
このニューズウィークのランキングも50%財務力、50%社会的責任による評価をしてランキングがつけられています。
ここでいう社会的責任とは、
①企業統治(取締役会の独立性や法令順守)
②従業員(機会均等、雇用安定、安全、教育の充実、差別なし、など)
③社会(途上国での人権問題、取引先に対する立場濫用はないかなど)
④環境(環境問題への取り組みと成果)
が評価基準となっています。
ブログでおなじみのファッション流通企業では、ZARAのインディテックス社が世界全業種の中で8位、H&Mが同19位、GAPが124位、日本のイオンが136位、伊勢丹が495位です。
興味深いのは、H&Mは財務力では、世界全業種上位50社の中で、2位なのですが、社会的責任は従業員面と環境面で評価が低く、下から数えた方が早い順位。一方、インディテックス社は、財務力では、H&Mには少し及びませんが、社会的責任面での評価が高く、上記のような結果になっています。
記事によると、あまりにも企業に社会的責任面の努力を迫り過ぎるのはいかがなものか?という論議もあるようですが、世界的トレンドとしては、CSR重視の方向に向かっていることは間違いなさそうです。
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【第7位】→stay (07.07.01現在)
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