ユナイテッドアローズが活用する商社機能
8月28日の日経新聞、繊研新聞に総合商社の三菱商事が、セレクトショップ大手ユナイテッドアローズの発行済み株式の約3.41%を約30億円で取得し、資本・業務提携をすると発表したことに関連する記事が掲載されていました。
同日のUA社の株価は+73円とマーケットから好感された模様です。ファッション流通各社の株価が低迷する中で同社の株価は、既存店の堅調な業績によって安定していますね。
UA社は、自社株売却収入の30億円は運転資金に利用するとし、既存取引もある三菱商事との更なる業務提携については、
・物流ソリューションの活用によるコスト低減
・OEM生産機能を活かした新規事業創出の検討
・QR生産体制の構築
・ITインフラの整備
・商社金融機能の活用によるフリーキャッシュフローの拡大
・優良M&A案件の情報提供およびアドバイザー機能の活用
等について期待する模様です。
2011年連結売上高1200億円を目指す(07年03月期は609億円)UA社。1業態24店舗限界説を掲げる同社にとって、4年後に倍の売上計画はかなり高いハードルだと思っていました。
その実現のためには、出店スピードの加速とM&Aが必須ですが、その資金のリソースに「商社金融機能の活用によるフリーキャッシュフロー」を選択したわけですね。
ユニクロやポイントなどの日本の大手SPA企業の高い経常利益率、キャッシュフローの源泉には商社金融機能があることは間違いありません。
ひらたく言うと、商品仕入を商社経由にすることで多少商品原価が高くなっても、物流・経理管理の効率化とともに、店頭販売に合わせた在庫調整ができることと、商品代金の延べ払いによって、特に小売業においては店頭で毎日現金回収ができ、恒常的に生まれる「回転差資金」が出店など前向きな投資に利用できるという話です。
「回転差資金」は、銀行借り入れ、株式市場での調達とならぶ、特に日々生活者から現金回収ができるリテール企業に与えられた資金調達のアドバンテージとも言えます。もっとも、店頭での高い商品回転と企業の信用がそろってできる話ですが。
セレクトショップという「感性」と「希少性」を売り物にする企業でありながら、一方で、「規模の拡大」にチャレンジする、世界的にも稀有な例として、今後ともUA社の企業戦略に注目すべきところは大きいと思います。
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