ハニーズも、リスクを張って企画先行型商品を開発へ
9月20日の繊研新聞に、婦人服専門チェーン、ハニーズの江尻社長のインタビュー記事が掲載されており、興味深く読ませていただきました。
タイトルにある、「企画先行型商品を開発」するのは、ファッション企業にとって、ごく当たり前の話のように聞こえるかもしれませんが、この発言の意味するところは、同社のこれまでの強み、ビジネスモデルと関連しています。
同社は、綿密な店頭POS分析とストリートウォッチに基づき、1ヵ月後に「確実に売れる」商品をあぶり出し、判った時点から、最短3-4週間というQR(クイックレスポンス)により生産、店頭投入、マス顧客が最も欲しがる時にタイムリーに商品を店頭に積み込むことによって、売上を上げ、値下をせずに売り切っていたところにあると思います。
江尻社長の口癖を借りれば「競馬で言えば、最終コーナーを回ってから馬券を買うようなもの」であったわけで、半年前から、シーズンに先駆けて企画生産をせざるを得ない一般のファッション企業が負っているリスクを回避してきたわけです。
ところが、今回の発言は、同社が日本全国1000店舗を目指し、都心から地方ロードサイドNSC(近隣型SC)まで出店を広げる中で、(特に都心対策だと思いますが・・・)今までのような、平均的な単一マーチャンダイジングでは通用しなくなったことが、7、8月の既存店売上高前年対比2ケタ割れを引き起こした理由のひとつと考えているところから来ているとのことです。それに対して、同社は、企画先行型商品を開発できる人材の育成に乗り出したという話です。
これまで、いわゆるボリュームマーケット、マスマーケットにおいては、トレンド商品のトレードオフ、あるいはノックオフ、つまり、すでにマーケットの店頭に出ていて、ちまたで売れている商品、売れそうな商品のデザインをベースにして、素材を安価にしたり、手の込んだディテールを簡素化し、大量発注することで、安く生産し、安価で販売し、売上を上げるという手法が十分通用してきたと思います。
それゆえに、そういった企業には、「クリエイティブな」デザインをする人は必要なく、店頭でのサンプル買いを繰り返し、生産メーカーや商社に持ち込めば、それなりに売れる商品が調達できていたわけです。
しかしながら、当ブログでご紹介している、ZARAやH&Mなどの大手ファストファッション企業は、この常識にも影響を与えるような気がします。
彼ら、世界で、低価格でトレンドファッションを提供するファストファッションSPA企業と日本のボリュームマーケットのファッションSPA企業の一番大きな違いは、当然、ファストファッション企業には、欧州コレクションのショーを見た上で、そのデザイナーのノックオフ商品をQR生産でいち早くマーケットに送り出してしまうという驚異もありますが、それよりも、実際にデザインルームに数十人から百数十人という専属デザイナー、パターンナーを抱え、シーズン1年前からあらゆる方法を駆使して、マーケットをリサーチし、仮説を立て、自前でデザイン開発をしているということです。
彼らがマーケットに浸透してきたら、もう、ものまねだけでは通用しない。江尻社長の焦りはそういったところにもあるのではないか、と想像したものです。
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