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September 25, 2007

オンワード樫山のマーケットの変化に対応する組織再編

 9月24日の日経MJの一面に、創業60周年を迎え、今年、ホールディングカンパニー制に移行したアパレル最大手のオンワード樫山が、今後の成長のために、従来の「殻」を破って、現在取り組んでいる3つ課題についての特集記事が掲載されていました。 

 記事の言う同社の3つの課題とは、
 1.脱・自前主義
 2.脱・内弁慶
 3.脱・セクショナリズム

 1つめは、販売する商品については、すべて自社開発にこだわり続けてきた同社が、SC向け新業態で他社ブランドを導入、自社開発商品とミックスして、生活者の幅広いニーズに応えようとする試みを始めたこと。

 2つめは、日本国内では、業界の東の横綱と言える同社が、国内市場だけに依存せず、買収した海外企業、英ジョセフと伊ジボコーを核に海外事業に力を入れ、現在の海外年商500億円規模を3年後に1000億円規模に拡大しようという話。

 3つめは、マーケットの変化にスピーディに対応するために、以前、各営業事業部(販売+商品企画)と別事業部だった生産部を今年3月の組織編成で各事業部に組み込んだという話です。

 記事を読んでいて、この3つ目に着目しました。

 この組織再編では、要は、大手企業にとって効率的と思われる「横割り」組織から、あえてマーケットにあわせた「縦割り」組織にしたというわけですね。

 狙いは明確かつ的確だと思います。

 部署が違うと、部署ごとの利害もちがっって、セクショナリズムになるというもの。同じ会社にいながら、独立採算制や部署ごとに効率目標などを設定していると、結構、別会社と同じあるいは別会社より始末が悪いかもしれません。

 現在、同社が、春夏・秋冬という2つの大きなシーズン(商品企画の単位)を、独自に8つに細分化して対応しているように、生活者、マーケットは、よりきめ細かく、スピーディーに仕事をすることを業界各社に求めているのが現実です。

 こういった現実の中で、もっとも大事なのは、高度なIT技術よりも、チーム内の高頻度のアナログコミュニケーションであることは言うまでもありません。

 私も経験がありますが、おなじ目的を達成しようというチームのメンバーが机が離れたところにいたり、思いついた時にすぐにコミュニケーションを図れる距離にいないと、案外、心の距離も出来て、いい仕事が出来ないものです。部署が違って、なおかつフロアの階も違って、会議くらいでしか会わないなんて言ったら、セクショナリズムがはびこって、意思決定の時間がかかって、うまくいくものもうまくいかないなんてことは、よくある話です。

 記事によると、同社は、今回の組織再編で、従来では考えられなかった、柔軟な生産体制、短サイクルの追加生産(QR;クイックレスポンス)が実現し、一定の成果が出せたとしています。 

 同社のこの事例は、スピード時代のファッションマーケットにおいては、生活者・店頭を起点にしたシームレスな縦割りコミュニケーションが必須であることを表した好例のひとつと言えそうです。

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Comments

毎日大変楽しみにこのブログは拝見しております。
大変勉強になり、そういう視点もあるのかと感心しております。
脱・セクショナリズムの内容で今までの経験で感じたこと
同じブランドの仕事に携わることで、ブランドに対する愛着心であるとか一体感であるとか会社の枠組み以上にまとまりができ、ブランドのパフォーマンスが上がることがあります。「横割り」組織、「縦割り」組織については、ブランド戦略に沿った組織体制が求められるのではないでしょうか?
横割り組織の場合、どうしてもブランドのコンセプトがぼやける商品作りに走る傾向があります。しかしながら素材の手配などスケールメリットをいかしたコストパフォーマンスというメリットもあります。ただ私の経験では横割り組織をトップが構築して業績が上向いたことは無いように記憶しています。

Posted by: sakamoto | September 26, 2007 12:43 AM

sakamoto様

いつもお読み頂きありがとうございます。
また、ご経験から来る、貴重なコメント感謝いたします。

そうですね。横割りのメリットは、主に業務や素材の共通化による効率化やコスト低減であると思います。同感です。

ブランド戦略による、という点も異論はなく、比較的計画生産ができる商品や業態であれば、横割りも威力を発揮すると思いますね。

しかしながら、ますますスピードが要求されるマーケットでは変化に柔軟な体制がよいようですね。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: taka | September 26, 2007 11:23 AM

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