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November 30, 2007

ルミネのショップマスター研修

 日経情報ストラテジー1月号の特集は「ベンチマーキング経営」です。

 ファッション企業のクライアントさんへのビジネスコーチング業務で、日ごろ私が核に取り入れているコンセプトのひとつが、「誰でも手軽にできるベンチマーク」ゆえ、興味深く読ませていただきました。

 同誌は以前はIT改革系記事が中心でしたが、最近は、業務改革や人財育成系の事例記事が多く、企業を取り巻く、環境、時代の変化がよくわかります。

 この特集が言わんとする通り、自社の課題を抽出して、勝ち組企業の成功事例に学ぶ、「ベンチマーキング」はMBAでなくとも、誰もが取り組める業務改善への近道です。

 事例の中で、無印良品がしまむらはじめ多くの企業をベンチマーキングした改革で業績不振からV字回復したことは有名ですが、ルミネのテナントショップ人財育成の事例も業界では知る人ぞ知る成功事例でありましょう。

 勝ち組ファッションビル、ルミネでは、各テナント企業と取り組んで接客技術向上を目的とした販売スタッフによる接客ロールプレイングコンテスト「ルミネスト認定制度」も有名ですが、今回の記事で取り上げられている「ショップマスター研修」のコンセプトは、ファッションリテイラー、あるいはリテイルビジネスに携わるすべての企業に学んでいただきたい内容です。

 「ショップマスター研修」は、全テナントの店長を何回かにわけて集め、座学でグループ研修を行うものですが、その中核に取り入れられているのが、他店「ベンチマーキング」の手法になります。

 研修といっても、偉い講師の説教がましい、「ありがたい話」を延々と聞かされるという退屈なものではなく、同じ商品を扱う競合他社の店長たちが、日ごろ誰もが課題として抱えているテーマを話し合いながら、他店のよいところをお互い気づき合い、学び合うというとてもシンプルながら、即効性のある研修です。

 店長がライバル店とそんな話をするかい?

 ルミネがこの研修制度を始めた時は、店長たちが、ある意味会社あるいは店長個人のノウハウである話を競合他社とすることに懐疑的であったテナント企業もあったようですが、いまやいろいろなことが学べる、と各社エース級の人財をルミネに送り込んでいるのが現状とのこと。

 この手法は私も推奨している研修方法で、何もデベロッパーさんをあてにしなくとも、多店舗展開のリテイラーさんであれば、まずは自社内店長会議などで推進べきやり方でしょう。

 ○ベンチマーキングは経営者だけでなく、現場でもできる。

 ○課題解決のヒントは身近にある。

 ○本部は、現場が「学び(ベンチマーキング)のサイクル」を回してあげる場を作りさえすればよい。

 このことに気づくことが、ファッションリテイラーの人財育成への第一歩であり、ベンチマーキングがそれにうってつけの方法の一つであると、太鼓判を押したいと思います。
 
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関連エントリー-社内の学びのサイクルを回せ

【お知らせ】12月7日(金)大阪、当ブログ執筆者taka saitoが講師を務めるファッションビジネスセミナーのご案内はこちら

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November 29, 2007

中古ファッションマーケットの潜在性

 11月27日の日経新聞に、衣料・ブランド雑貨・家電を中古品専門店やインターネット競売で「旬を逃さず安く買う」消費者が目立ってきた、との記事が掲載されており、興味深く読んでおりました。

 本やCDについては、ブックオフなどの中古書チェーンが、すでに「生活のインフラ」となった感は誰もが認めるところですが、衣料の中古にはまだ懐疑的な方も多いと思います。

 記事のインターネット調査結果を引用させていただくと(ヤフーバリューインサイトのインターネット調査、20-69歳の男女1000人からの回答)

 中古品を月1回以上売買する人は19.2%(5人に1人)。また、中古品の売買を行う場合、その場所としては、中古書店の利用は60%に迫り、ネットオークションも55%を超えています。ここ一年に買った中古品では、22.8%が衣料品、ブランド雑貨を挙げています。

 記事には、ブランド品を購入する場合、伊勢丹新宿店と向いの「コメ兵」を使い分ける生活者の事例が掲載されており、

 シーズン中にできるだけ高値で売るために、飽きたらできるだけ早く手放す生活者→伊勢丹と比べて同じものが安く並んでいれば、コメ兵で買う生活者、という流通が成立していることにも触れられています。

 そういえば、ラグタグも伊勢丹本店のすぐ近くにありましたし、銀座にも中古ブランド衣料店が何軒かあります。

 従来のリサイクルショップをイメージすると、どうしても衣料は買う気がしないのですが、

 「旬を逃さず」高く売り
 「旬を逃さず」安く買う

 という、ネットオークションのディマンドチェーンがリアル店舗の形で成り立てば可能性は少なくないのかなとも思います。

 ところで私の休日の行動範囲の中に、トレジャーファクトリースタイルという店があります。

 もともとは大型リサイクルショップであったようですが、ブランドを中心としたファッション衣料の中古品と欧米古着をミックスさせて、きれいな内装の中で販売していて、さほどみすぼらしくない印象を受け、私も、しばし宝物さがしに興じてしまいました。

 この日経新聞の記事の翌日に、このストアを運営するトレジャーファクトリー社が東証マザーズの上場承認を受けたという記事を発見しました(上場予定12月26日)。

 将来、中古ファッション衣料、雑貨も本やCDのような「リユースインフラ」が生まれ、生活者の賢い買いまわりを促進し、既存新品ファッションチェーンに影響を及ぼす日が来るのでしょうか。

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November 27, 2007

明日の業態開発と店舗内装

 11月27日の繊研新聞の「告知板」に大手アパレルのワールドが新しいショップデザインのアイデアを公募する「ワールドスペースクリエイターズアワード2008」の広告が出ていました。
 
 アパレル業界で、Tシャツのグラフィックや商品のデザインを公募する企画は、多くの企業で行われていますが、業態コンセプトの基幹要素となる店舗デザインなど店舗の世界観、ビジュアルに関するものは、あまり聞かれません。

 同社は、3年前にこのスペースクリエイターアワードをスタートし、毎年数百の応募があり、実際、全国のSC各所で入選者のアイデアが実現しているとのことです。

 WORLD Space Creators Awards 2008について

 業界の中でも、ワールドは、新業態の開発にもっとも積極的な会社の一つであることはだれもが認めるところだと思います。
 受け入れる側の商業施設開発社が新業態好きという背景もあると思いますが、フラクサス、スタイルジャムのような大型新業態集積インキュベーション事業始め、次世代事業開発への投資を惜しまない同社が、次はどんな新業態を立ち上げるのかは、毎シーズンの業界関心事のひとつでありましょう。

 そのためのアイデアのソースとしてのプロ、学生に間口を広げた本企画は、とても納得がいくものです。

 ところで、ファッションストアのショップデザインを見ているといつも思うことがあります。

 多店化を前提としたファッションビジネスにおいて、店舗の内装は、標準化が前提になっているものです。

 つまり、どこのそのお店に行っても同じ看板、同じ内装・・・・

 その理由は、生活者からの認知度を高めることであったり、本部商品業務の効率化であったり、店舗デザイン、内装費の経費削減であったりいろいろです。

 しかしながら、その一方で、業界には、業態の価格帯にもよりますが、ある店舗数を越えると、生活者に飽きられるという飽和点なるものもあります。

 この議論をしていると、いつも頭に浮かぶのが、異業種ではありますが、私も大好きな「紅虎餃子房」を展開する際コーポレーションです。

 同社は、日本全国に複数業態をチェーン展開していますが、同じ屋号の業態であっても、1つとして同じ店舗内装は作らないというポリシーを持っています。

 内装はすべて違うけれど、看板を見なくても、「紅虎だ」と一目でわかる共通点、肌で感じる何か、を持っていると思います。そんな世界観の違いを楽しみつつ、いつもやみつき餃子と黒胡麻坦々麺を頼んでしまう私。

 ちなみに際コーポレーションは飲食業として有名ですが、オリジンは古着ミックスセレクトショップです。

 いまやどこのショッピングセンターに行っても、同じ顔ぶれの勝ち組企業で固められた店舗構成。

 「紅虎」のような考え方のファッションチェーンストアは出てこないものかな、と思います。

 生活者は何か新しい買い物体験を欲しながら、とは言え安心できる品揃えを求めているのではないかと思います。

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November 26, 2007

先週の記事別アクセスランキング

 先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

 先週の業界のトピックは、伊勢丹、三越の統合がそれぞれの臨時株主総会で承認されたことでしょうか。

 以前もブログで触れたように、注目なのは、三越アルコットの伊勢丹化です。

 伊勢丹は、08年秋に予定していた新宿本店新装開店を1年先送りして、三越アルコットを含めた大改装になる模様。旧丸井シティの改装開店が09年春ですから、09年は、新宿三丁目がかなり熱くなりそうですね。
    
【ランキング】
1位-MUJI(無印良品)のアメリカでの第一歩は?(07.11.18)

2位-アパレル流通における「逆三角形の積み木」崩し(07.11.21)

3位-新業態のハードル(07.11.14)

4位-「顧客の買いたい時期」に逆らわないセール(07.11.17)

5位-客足鈍らない値上げ?(07.11.16)

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November 25, 2007

【お知らせ】12月7日(金)大阪にて、好評「ファッションリテーラーの在庫コントロール」のセミナー開催します。

 今回は、来る12月7日(金)、私が基調講演の講師をさせていただきます、大阪の富士通ビジネスシステムさん主催のファッションビジネスセミナーのお知らせです。

日時   12月7日(金)
     14:00-17:00(前半90分が私の講演です)
 
場所   株式会社富士通ビジネスシステム
      関西営業本部 セミナールーム
      大阪市北区梅田3-3-10 梅田ダイビル13階
 
講演テーマ 「ファッションリテーラーの在庫コントロール」

 内容は、以前私が勤務していたアパレル専門チェーンにおいて、社長特命で「在庫コントロール部」を立ち上げてから、他社のベンチマーキングと試行錯誤を繰り返しながら、業務を構築、人材育成、引き継ぎを行った3年間の事例をまとめたものです。

 国内外の勝ち組SPA企業が着実に顧客の買いまわりポジショニングシェアを獲得している昨今、商品マーチャンダイジングの進化はもちろん、その上で、店頭の顧客満足と企業収益をリアルタイムにマッチングさせる「店頭在庫コントロール」の技術は必須条件になりつつあります。

 そんな店頭在庫コントロールを実践するための基本を体系的にまとめたのが今回の講演内容になります。

 過去、東京・大阪、数回のセミナーで、大手、中小ファッション企業の皆様、計300人以上の方にお聴きいただきましたが、自分で言うのは何ですが、大変ご好評をいただいている内容です。

 ご興味のある方、参加をご検討される方は、こちらからDMダウンロードができます。

 セミナーの後半には、アパレル出身SPA企業を中心に140社の導入実績のあるMD業務パッケージソフト、DTPさんの

 CreativeVision.net(CVネット)

 のデモンストレーションがあります。

 10-50店舗超くらいの規模の成長中ファッションリテイル事業を運営されている方にタイムリーな内容です。参加費無料で、まだ、多少空き席はあるようですので、参加ご希望の方は、富士通ビジネスシステムさんホームページからお申し込みくださるか、同社受付窓口にお電話ください。

 株式会社富士通ビジネスシステム
 関西営業本部営業支援部
 Tel:06-6343-2628

 富士通ビジネスシステム主催セミナー参加申込ホームページ

 私が講師を務める今年最後のセミナーになります。どうぞご来場ください。(予告:来年は2月、名古屋のセミナーからスタート予定です)

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不動産開発向けノンリコース融資の過熱に警戒感

 11月25日の日経新聞に、大手銀行の不動産向け融資で、特定の事業に資金を貸し出し、返済そのものもその事業収益に限る、「ノンリコース融資」の拡大、過熱ぶりに警戒感が高まっているという記事が掲載されていました。

 記事によると、従来はマンションや賃貸物件、ここのところ、注目の高まる都市部の商業ビルの再開発などに利用されているようで、通常1%程度しか設定できない大企業向けの企業貸出金利に対し、賃貸収入からの回収を目当てに、2-3%の高金利が見込めるとして、大手銀行が積極的に拡大し、単独での拡大に限界があるものについては、証券化して機関投資家から資金を集めている模様です。

 日銀調べ、この融資の9月末での融資残高は54兆円、この一年で1兆円増(この中で大手銀行系5グループの前年比は13%増の6兆2千億円)、金融庁はリスク管理の徹底を呼び掛けているとのことです。

 以前、ブログでもご紹介した銀座東芝ビルもこのスキームで再開発がされるようですね。

 この記事を読んで、都市部のファッションビルの再開発が促進されることが楽しみな一方、世界的な金融不安の発端になっているアメリカのサブプライムローンの二の舞にならなければよいな、と思ったのは、私だけではないでしょう。

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関連エントリー-銀座東芝ビルの再開発も楽しみ

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November 22, 2007

国際的に通用しそうな小売

 22日の日経新聞の株式往来欄に、今週、株価を伸ばしたファーストリテイリングの解説のところにあった一文に目がとまりました。

 「小売株には消費不振のイメージがつきまとうが、良品計画が十六日にニューヨークに開いた米国一号店が連日大にぎわいになっているため、国際的に通用しそうな小売株には将来性が期待できるという見方もでている」

 MUJIの1号店については16日のオープン時に長蛇の列、という報道はされましたが、通常、その後、1か月くらいが経過しないと記事には上がってこないと思いますが、1週間目はいい感じのようですね。

 MUJIが良さそうだからといって、ユニクロもよくなるかどうかはわかりませんが・・・

 ちなみにファストリは株価を上げましたが、当の良品計画は一旦株価を下げました。

 その後、読んだMUJI アメリカ1号店に関する海外ニュースで気になる内容を拾ってみると、

 MUJI NY SOHO店はオープン告知について、ウェブサイトと口コミでしか行わなかったそうです。それはお金を使って大々的に宣伝することはMUJIのコンセプトに合わないから、とコメントしているようです。

 また、アメリカのカリスマ主婦、マーサ・スチュワートがコミュニティで日本とヨーロッパに行く時は、必ず行くお店として、無印良品、MUJIを挙げたとか。

 このオープン告知をウェブ中心で行う顧客コミュニケーション、マンハッタンでは結構効く、という話を聞いたことがあります。

 たとえば、店舗工事中によく見かける Coming Soon の看板の下にシンプルにURLのみを記し、マンハッタンだから、往来も多いので、興味を持ってアクセスしてきた潜在顧客にウェッブ上で十分な情報を提供し、コミュニケーションをする。それが口コミで広がる、というシンプルな手法です。

 H&Mが2000年に5番街に1号店を出店した時もこれで話題を呼んだとか

 話はそれましたが、MUJIもまだ1週間、最初は話題性に事欠きませんし、90坪に2000アイテムの品揃えは、見ていても楽しいものがあると思います。

 真価が問われるのはこれから。是非「国際的に通用する小売」としてマーケットを切り開いていってほしいと思います。

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関連エントリー-MUJI(無印良品)のアメリカでの第一歩は?

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November 21, 2007

アパレル流通における「逆三角形の積み木」崩し

 今週の繊研新聞の一面に「どうするものづくり 日本のアパレル生産のひずみ」というシリーズ記事が連載されています。現在のアパレル生産の典型的な問題点、課題が的確に整理されていて、とてもよい記事だと思いながら読ませていただいております。これからアパレル業界を理解しようという方は是非、お読みいただくとよいと思います。

 特に、シリーズ6回目11月20日付けの「逆三角形の積み木」は、状況を的確に表し、とてもいいネーミングですね。

 要は、
 
 小売店→アパレル(卸)→商社→工場

 と流通を川上に遡るほど利益率、額とも取り分が少なくなる構造は、日本の他の業界でもそうかも知れませんが、

 ・小売の販売効率の低下、家賃の高騰
 ・アパレルの人件費、物流費、小売からの返品・値引対策経費の高まり

 から、中国などの生産サイドにも原材料、燃料、人件費、税金など原価アップの要因はめじろ押しなのにもかかわらず、従来より安い原価を要求しているという構図は、逆三角形状態の積み木を、上の方はそのままで、下からくずしている様子と同じだということを言っているわけです。

 記事にある、店頭売価10,000円の商品に対するそれぞれ流通の出値の例を引用すると、次の通りになります。(百貨店業界の場合) 

 小売店 →アパレル(卸) → 商社  → 工場(日本サイドの商社輸入原価)
 ¥10,000  ¥5,500     ¥1,600   ¥1,300  

 これでいくと、ホントの工場出し、いわゆるFOBは¥1,000強でしょうか。小売価格の10%。

 10年以上前、商社で海外生産をしていたころは、商社のアパレルまたは小売への出値が25%~30%、今、昔の同僚に話を聞くと、最近の商社出しは20%以下と言います。

 また、当時、素材価格は店頭価格の10%くらいを目安に生産していたのですが、今や、工場側のコスト、利益込みで同じくらいの価格を要求されているようですね。専門店の場合、原則買取になりますので、アパレルの出値は変わりますが、このコストモデルは、だいたい今の実態を表していそうな感じです。

 記事の中に、日本の業界の取り分のバランスを見直すべき、という業界の方の意見も掲載されていますが、上記のような理由もあり、それが、なかなか現実的でないのは、業界の誰もが認めるところではないでしょうかね。

 そんなわけで、日本のファッション業界では、商社を介在させるかどうかは別にして、小売が直接工場に発注する、あるいは、アパレルが直営店を運営する、いわゆるSPA(製造小売)業態化が進むわけですが、そうすると、単純に上記の¥1,600くらいを小売の原価にできる可能性があるわけで、同じ品質の商品を、30%OFF=¥7,000くらいで売って、シーズン中でも値下などで上手く消化が図れるビジネスモデルが成立するというわけです。

 海外SPAにいたっては、商社の介在もないので、リスクはありますが、世界の店頭を起点とし、生産サイドとも、柔軟な対応ができ、自社内コストコントロールも効きやすい、ということになります。

 というわけで、記事によると、中国有力縫製工場の顧客優先リストの上位は欧米SPA企業に占められ、かつて上位だった日本の大手アパレルは下位という現実。

 バランスというか、店頭と生産サイドをいかに直結させるか、といった構造そのものが問われている、という現状でしょうか。  

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November 19, 2007

先週の記事別アクセスランキング

 先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

 毎日日経新聞のファッション流通系株価をチェックすることが日課になっていますが、先週ハラハラしたのは、私だけではなかったはず。日本の上場株の6割は欧州を中心とした海外投資家に保有され、彼らの日本投資へのモチベーションが下がっている、という同じく日経の記事を読みましたが、株価に一喜一憂せず、生活者に向かい合ってビジネスの足元を固めて行きたいものです。 
   
【ランキング】
1位-新業態のハードル(07.11.14)

2位-バイヤーが陥りがちな単価アップの甘い罠(07.11.06)

3位-ワコールホールディングスがピーチジョンを完全子会社化へ(07.11.10)

4位-客足鈍らない値上げ?(07.11.16)

5位-H&Mのハイスピード経営(07.10.26)

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November 18, 2007

MUJI(無印良品)のアメリカでの第一歩は?

 現地時間16日(金)12:00にニューヨークマンハッタンSOHO地区に1号店をオープンし、アメリカに進出を果たしたMUJIこと無印良品の状況が気になって、ちょっと、海外ニュースをチェックしてみました。

 日本から来た、ミニマリズム、無駄を省き、ブランドレーベルのない、クオリティを重視したアパレル、ホームファッション、ステイショナリーの総合コンセプトストアとして紹介されており、90坪の売り場に日本で展開している約7000品目のうち、食品などを除く、約2000品目を品揃えしているとのこと。

 比較的店内の画像が見れるのは、こちらのニュースサイト、ブログ式で「コメント」欄にも興味深いものがあります。

 Gothamist:MUJI Opens Today in SoHo

 同じ日本から来たベーシック商品として、ユニクロとの比較が多いようですが、ユニクロがアパレル特化、商品単品を打ち出しているのに対し、MUJIは、そのコンセプトが強調されており、ユニクロが同質化、価格競争に巻き込まれがちなのに対し、MUJIの場合は、同じ商品でもコンセプトで差別化が図れそうな予感がします。

 そのコンセプトをアピールすべく、オープン初日は先着500名にノベルティ入りMYBAG(そのBAGを持って買いものに来て、スタンプがたまるとプレゼントがあったり、詳細未定ですが、15%OFFになるナイトセールもあるとか)が配られたため、アジア人を中心に?オープン前から行列が出来、オープン時間を前倒ししたとか。

 このMYBAG、オープン3日間は、買い上げ客にも配られ、その後も1ドルで販売するとか。日本のいわゆるエコバッグキャンペーンをマンハッタンで広めようという政策のようです。
 
 また、全般的には、歓迎されながらも、課題として指摘されているのは、

・サイズ問題・・・ 日本の商品はサイズが小さいので、MUJI ヨーロッパの商品を持って行っているようですが、アメリカマーケットに対応できるかどうか。靴の最大サイズが9.5?とか。 

・プライスが高め・・・ 商品が類似のGAP、ユニクロやH&M、IKEAと比較すると倍以上の価格は高い?というコメントが。

・CB2との対比・・・Crate&Barrel(クレート&バレル)のIKEA対策業態、”CB2”がまさにMUJIの隣にあるようですね。CB2にはアパレルはありませんが、それ以外は大方かぶります。CB2のデザイン性とMUJIのシンプル性をニューヨークっ子がどう評価するか楽しみなところです。

 CB2ホームページ

 この1号店の売り上げ目標は、4ー5億円、2号店を2008年4月にマンハッタンミッドタウンにオープン予定で、5年間でアメリカに40-50店舗を展開する計画とのことです。また、海外について、中東、ロシアへのフランチャイズでの出店計画も表明されたようですね。

 無印良品のような多品種のコンセプトストアは、世界でもあまり例がない日本の代表格と言える業態。今後の発展、展開を楽しみにしております。

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関連エントリー-MUJI(無印良品)NY旗艦店11月開業


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November 17, 2007

「顧客の買いたい時期」に逆らわないセール

 今週、クライアント先で、前週にセールを打ったある商業施設のことが話題になりました。

 この商業施設は、年間2回ある通常のシーズン末の値下げセール(バーゲン)とは別に、春夏、秋冬それぞれのプロパー(定価販売)期に会員限定のオフセールを各2回づつ行い、好業績を上げています。

 そのセールを打つ時期がまた絶妙です。

 毎年各シーズン、プロパー(定価販売)期には、通常、集中して売れる週(=顧客が今シーズンものを買いたい機運が高まっている時期)がそれぞれ約7週間ほどあるものですが、彼らは、その第1週目にあたる週の前の週と7週目あたる週の次の週にセールを打つのです。

 そうするとどういうことが起こるかというと、顧客がそろそろ買おうかな、と思う気持ちを1週間前倒ししてかきたて、一方、おしりを1週間引き延ばすことによって、買いたい時期=売れる時期を7週間から9週間に変えてしまう効果があることになります。

 いつもこの商業施設のセールに感心することは、顧客の買いたくなる時期を知っていて、それに逆らわないセールを打つなぁ、ということです。

 セールは1月と7月に行うもの、という常識は、いまやいろんな意味で崩れつつありますが、セールをいつ打つかはファッション企業の政策や業績を如実に表していると思います。

 今回紹介したように、顧客の気持ちが高まる期間を引き延ばそうというセールもあれば、最盛期にとことん売ろうと、あえて一番売れるピーク週にぶつけるセール、各社いろいろですが、最盛期を売り逃し、結果売れないから、と後手で打ったセールは売れた試しがないように思います。なぜならば、それは、顧客の買いたい気持ちが下がってくる時期であり、そういったタイミングに逆らっているからだと思います。

 さて、皆さんの周りではどんなセールがどんな意図で打たれているでしょうか。 

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 関連エントリー-セール期と実需最盛期
 関連エントリー-ピークパフォーマンス

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November 16, 2007

客足鈍らない値上げ?

 11月15日の日経新聞連載記事、「先読みビジネス天気」に、「客足鈍らない値上げ探る」という見出しが出ていて、目がとまりました。

 原材料、燃料の価格の高騰を受けて、スーパー、コンビニに商品を供給している食品・消費財メーカーが値上げを表明しているのに対し、スーパーの多くが、値上げは客数、売上を落とすと、価格据え置きキャンペーンを張っている現状。

 しかしながら、いずれ製造サイドが耐えきれない時が来るのは明らかで、議論は、その時期はいつなのかタイミングを計っている、という話。

 ちょうど、同日の繊研新聞にも、同様のアパレル業界の現状、原材料高、燃料高に加えて、アパレル輸入品の数量ベースで92%、金額ベースで83%を依存する中国での人件費増、増値税還付率引き下げなどコストアップ要因に関する記事が掲載されていました。

 記事にもありますが、品質を落としての価格維持は論外で、同品質でも単なるコストアップ事情による価格転嫁が通用しないのも間違いないでしょう。これに対して、カジュアルマーケットのアパレルメーカー各社は、「わかりやすい付加価値」で、チェーン店バイヤーに価値に見合った価格を認めてもらう作業を進めている、とのことです。

 これらの記事を読んでいて、やはり、日本の業界の多くはまだまだ小売とメーカーが一枚岩になっていないのだな、と思わざるをえませんでした。おそらく、その大きな要因の一つは、生活者に一番近くにいて、一番生活者のことがわかっているはずの小売側が本来のリーダーシップをもったリスクの張り方が弱いことに起因するものと思っています。

 こんな時代への対応として日ごろ感心するのは、

○毎年同じようなアイテムを展開しているけれども、確実に価格以上の品質アップをしているユニクロ
○毎年、ファッション性を高めながら、消費者物価指数と連動した値下げを敢行するために、発注から店頭まで工程を研究し、削れるコストをあぶりだし、浮いたコストをメーカーと小売で折半する姿勢を貫くしまむら

 ともに生活者からの返品は受け入れるけれど、メーカーへはやたらと返品や未引取りをしない、商品リスクをすべて小売側が負う、「背水の陣」をポリシーとしている企業です。

 また、ナショナルブランドを取り扱わない分、独自の柔軟な価格決定権と粗利コントロールができる企業でもあります。

 これから本格化する国内外のSPA(製造小売業)企業との競争は、そんな連中との真剣勝負なんですよね。

 ところで、欧州ファストファッションに対して、日本のファッション企業はどんな対応をすべきか?と雑談することが時折あります。

 単純に価格で応戦したら思うつぼなのは言うまでもありません。

 キーワードは、彼らがある意味二の次にした「品質」、と日本というローカルマーケットに合わせることのできる、国内企業ならでは「柔軟性」ではないでしょうか。

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November 14, 2007

新業態のハードル

 11月12日付のユナイテッドアローズ(UA)のニュースリリースを受けて、13日の繊研新聞、14日の日経MJに同社がこれまでチャレンジして来た新業態を整理、統合、再編することにより、主力業態を強化することに関する記事が掲載されています。

 UAニュースリリース

 ファッションリテイラーは、時として、基幹業態がマーケットの飽和に近づくと、次の柱、将来の種まきとして、既存業界が攻めきれていない、「真空マーケット」に対して、いわゆる「新業態」を立ち上げますが、ここのところ、厳しいマーケット環境もあってか、なかなかうまく行っているという話を聞かないのが正直なところです。

 特に、

 基幹業態から派生させて、より高い感性にチャレンジしたもの

 について、既に確立された既存ブランドの事業買収を除いては、残念ながら、成功事例を見つけることが難しいといわざるをえません。

 「文化は高いところから低いところに流れる」といわれるように、ファッションマーケットにおいても、マーケットのヒエラルキーの下(ヴォリュームマーケット)から上(トレンドマーケット)を狙った時のハードルは、極めて高いと言えます。

 その理由は、

・基幹業態で成功体験をもつ人の感性に任せようとする「ムリ」や、

・顧客の認知度が低い上に、

・価格が高くなれば、商品回転が落ちる

のは、当然で、

・既存業態と比較して、「売れない!」と、我慢ができない、

というのが、企業のエゴであり、生活者が突きつける現実でありましょう。

 このような例は、業界に枚挙にいとまがありません。

 逆に、トレンドマーケットの感性をもって、ミッドトレンドマーケットやヴォリュームマーケットを狙った新業態には、いくつも成功事例があると言えます。

 今回話題になった UAのグリーンレーベルリラクシング(GLR)はもともとそうですし、我慢に耐えたポイントのグローバルワーク、クロスカンパニーのイーハイフン・グリーンパークスあたりがその好例でしょう。

 但し、ヴォリュームマーケットのユニクロがさらにチープなg.u.を展開したことは、また違った意味で日本のマーケットを読み違ったということが言えるかもしれませんが・・・

 とにかく、目の肥えた生活者は、今、感性が高く、値段がこなれているという、業界の非常識?を求めています。

 欧州ファストファッションはまさにそれに応えたものですし、来年、彼らの本格上陸の臨戦態勢を迎えるにあたっては、各企業に真剣勝負が求められることになるわけです。

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November 12, 2007

先週の記事別アクセスランキング

 先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

 先週のホットトピックとしては、海外ニュースになりますが、H&Mのデザイナーズカプセルコレクション第4弾、セレブ御用達ブランドの最右翼、ロベルトカバリとのコラボレーション、roberto cavalli at H&Mの発売が11月8日木曜日にありました。

 各ネットニュースによると、今年も、熱狂的なファッションフリークが、欧米主要各店でアニマルプリントのドレスを求めて、数百人が開店前に並んだと報道されています。

 その前日(7日)になりますが、図ってか?H&Mの世界屈指の旗艦店のひとつ、ロンドンはオックスフォードストリート店の近くにユニクロがグローバル旗艦店をオープンさせた記事が日本の各紙を飾りました。

 ユニクロの海外展開は、韓国を除いてはいまひとつ芳しい噂が聞こえてきませんが、日本の代表として、MUJIとともに揉まれて、鍛えられていってほしいと思います。ちなみにこのロンドンオックスフォードストリートのユニクロの隣にMUJIの旗艦店もオープン予定だそうです。
   
【ランキング】
1位-バイヤーが陥りがちな単価アップの甘い罠(07.11.06)

2位-H&Mのハイスピード経営(07.10.26)

3位-QR(クイックレスポンス)時代の品質管理(07.11.01)

4位-ZOZORESORT(ゾゾ)のスタートトゥデイが東証マザーズ上場承認(07.11.09)

5位-ユニクロがモスクワ進出!?(07.11.07)

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November 10, 2007

ワコールホールディングスがピーチジョンを完全子会社化へ

 11月10日の日経新聞、繊研新聞に、ワコールHDがすでに49%の株式を取得して持分法適用子会社にしていたピーチジョン(PJ)の野口社長が保有する残りの51%の株式を、株式交換にて取得し、完全子会社化するとのことに関する記事が掲載されています。

 これにより、ピーチジョンはワコールホールディングスの100%子会社、野口美佳社長は、ワコールHDの株式の4.55%を保有する第4位株主になるとのことです。野口社長が手にするワコールHDの株式価値は、9日の終値で87億円規模。野口社長含めPJの経営陣は引き続き続投するとのことです。

 記事を読む限り、ピーチジョンのブランド価値含めたソフト面を高く評価しながら、生産、流通、販路開発といったハード面の主導権を完全に掌握し、グループのインフラと共有し、効率化をはかろうという目論見のようです。

 この記事に先駆けて、11月5日の繊研新聞に、ピーチジョンが、伊勢丹本店に「ガールズ・フロム・グッド・ファミリー」という名のランジェリー&ルームアイテムのセレクトコーナー的なインショップで、出店することに関する記事が掲載されておりました。

 カタログ通販とマルキューやルミネなどファッションビル中心だったPJもワコールのサポートでいよいよ百貨店進出か、と思っておりましたが、10日の日経の記事によると、百貨店のみならず、GMSへも出店する計画のようですね。

 ワコールの傘下に入る前のPJの課題は、確かに品質とデリバリー体制だったと思いますが、完全子会社化で生活者満足のためのインフラ強化のスピードアップをはかるのはよいのですが、変におとなしくなったり、拡販し過ぎて陳腐化してしまうのももったいないブランドだと思います。

 長く続いたワコール、トリンプの2大巨頭寡占の業界に、PJは、アパレルとランジェリーの垣根を崩す革新的で大胆な存在として一石を投じたと私は評価していました。

 ちょうど今週、多くの方が、都内JR山手線などの中でPJのホリデーラインの車内広告を目にしたと思いますが、野口社長の気迫を感じる、とても素敵で魅力的なプロモーションではありませんか。

 しかしながら、ワコールHDも今回の決算で、さきに取得したPJの株式評価損を計上した模様。投資を回収しなければならない焦りも、公開企業の宿命でありましょう。 

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関連エントリー-ピーチ・ジョン(PJ)が贈る最強の谷間
関連エントリー-ワコールHDがピーチジョン(PJ)と資本業務提携

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November 09, 2007

11月9日のセミナーへのご来場ありがとうございました。

 11月9日の富士通ビジネスシステムさん主催、私が講師を務めさせていただきました「ファッションリテイラーの在庫コントロール」のセミナーにご来場いただいた方々、誠にありがとうございました。

 今回は、ファッションリテイル企業の方々だけでなく、ブログをお読みいただいている、ファッション企業をクライアントとするコンサルティングファーム、シンクタンク系の会社からのご来場も多数あり、幅広くブログの内容や店頭在庫コントロールへご興味を示していただき、感謝をしております。

 これからも、SPA時代のファッションリテイラーの生活者視点、店頭起点の事業育成、人財育成に励んで参ります。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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ZOZORESORT(ゾゾ)のスタートトゥデイが東証マザーズ上場承認

 各メディアによると、トレンドファッションブランドのネット販売を主力に手がけるZOZOTOWN他 総合サイト「ZOZORESORT」を運営するスタートトゥデイが東証マザーズでの上場が承認されたとのこと。上場予定日は12月11日。

 比較的詳しいニュースサイトのリンクをご紹介しておきます。

 ベンチャーナウ

 いよいよですね。

 ITベンチャー、ネット通販と言っても、浮ついたところがあまり感じられず、しっかり在庫リスクを張っていたり、顧客視点の次世代マーケティングをされていた急成長中のとても楽しみな企業のひとつでしたので、過去にいくつかのエントリーでご紹介してきました。
 
 確かに、大手になったブランドは自前でECサイトを立ち上げつつありますが、半歩先行くマーケティングでの集客努力はいつも脱帽します。

 上場をゴールとすることなく、これを通過点とし、今後も生活者をワクワク楽しませていただきたいと思います。 

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関連エントリー-建築家がデザインするネットセレクトショップ ゾゾタウン
関連エントリー-SNS仮想マンション、ゾゾレジデンスはファッションマーケティングの宝庫
関連エントリー-ゾゾタウンがリアル店舗情報を紹介する「ゾゾナビ」スタート

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November 07, 2007

ユニクロがモスクワ進出!?

 11月7日の日経新聞に、同7日にオープンする英ロンドン、オックスフォードストリート旗艦店のために訪英中のファーストリテイリングの柳井会長が2-3年内にモスクワにユニクロ1号店をオープンすることを明らかにした、との記事が掲載されてされています。

 記事によると、ユニクロ海外事業の拡大を目論む同社は、新興国BRIC’Sの一角であるロシアの成長性を見込んで、最大消費地モスクワに「自前」でショップをオープンするとのことです。

 ロシアのことはよくわからないので、世界のSPAのロシア進出状況をちょっとチェックしてみました。 

 「自前」でロシア進出しているのは、ZARAの16店舗と、オランダ本社の欧州SPAの老舗、C&Aの7店舗。

 その他ベネトンと英ネクストがフランチャイズで出店しているようです。

 C&Aは、ヨーロッパに行かれた方は見たことがあるかもしれませんが、ベーシックカジュアルを軸に適度にファッション性を加えた、英ネクストやベネトンに近いSPAって感じでしょうか。

 C&Aホームページ

 記事を読んでいて、確かに新興国ということで、ロシアの成長性は望めると思いますが、モスクワはとても内陸なので物流やオペレーションはものすごく大変そうな気がしました。

 近隣東欧にも出店していて、ロシアでも生産を行っているであろうC&Aや、DHLで世界中何処へでも48時間以内に空爆可能なインフラをもつZARAと違って、ユニクロは中国から陸路?で商品を運ぶんでしょうかね。

 物流拠点を構えてじっくり、集中的にマーケットを攻略するH&Mはそう簡単に手を出さない地のように思えます。

 もっとも、目論見通り、ロシアはまだ成熟マーケットではなさそうなのでC&Aなど欧州ベーシックSPAとともに、同地の生活者に新しい価値が提供されれば可能性はあるのかもしれません。

 個人的には、ロシアなど分散投資するよりは、中国、韓国や近隣アジアに集中投資する方が賢明ではないかと思いますが・・・

 関係ないかもしれませんが、米GAPは、かつて、C&A、H&Mの牙城ドイツに進出し、彼ら先行欧州SPAに敗れ、店舗をH&Mに譲渡して退散した歴史があります。 

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November 06, 2007

バイヤーが陥りがちな単価アップの甘い罠

 11月5日の繊研新聞の一面に、「不振にあえぐ百貨店婦人服」「天候だけじゃない構造的課題浮き彫り」
の見出しで、9月-10%減、10月-5%減と前年売上を落百貨店婦人服売リ場の課題についての記事が掲載されていました。

 記事では、課題を

 1スタイリング変化

 2比較購買の広がり

 3問われる価格政策

 の3つにわけて解説していますが、このうち、3つめの価格政策は、業界が周期的に繰り返す失策、あるいは癖のひとつだと思っています。

 ここ数年の百貨店業界のように、ここのところ景気が回復したといって、よいものが売れる、高いものが売れるという風潮になると、どうしても既存の固定客がそのお店に期待している価格帯(=プライスライン、プライスポイント)を崩し、高いものの仕入を増やし、気がついたら、「以前より高くなった店」に見えて客離れを起こしてしまうという話です。

 品質アップに見合わない価格アップはもってのほかです。

 いつも気をつけなければいけないと思っているのは、調子にのって価格を上げ始めた初年度は、結構売上が前年を上回ったりするものです。

 しかし、この際、売上は微増していても、内訳としては、客単価(むしろカテゴリーの平均単価)が上がって、平均単価と反比例する「客数」が減っていることを容認してしまっていたりするものです。

 売上高↑=客数↓ x 客単価↑
 売上高→=客数↓ x 客単価↑

 連続して、客離れを起こし、2年目以降に歯止めがかからなくなると、客数減はボディブローのように、売上ダウンに直結します。

 売上高↓=客数↓ x 客単価↑or→

 高いものが少し売れるようになっても、バイヤーが「いいもの」に食指を伸ばしはじめた時も、プライスライン(展開価格帯)とプライスポイント(最多価格帯)は崩さない、あるいは、微減させるくらいがちょうどよい世の中ではないでしょうか?

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November 05, 2007

先週の記事別アクセスランキング

 先週1週間にこのブログ内でアクセスの多かった記事をランキング形式でご紹介します。業界でもっともホットな話題がわかるかも?

 都心部の秋の新店の実績はまずまずのようにお聞きし、何よりです。

 さて、今週来週は、セール前の追い込みですね。買いに行く方も、いい商品の在庫のあるうちに・・・

 先週のエントリーは、10月、11月と執筆させていただいた記事やセミナーの紹介に集中してしまい、恐縮ですが、よろしければご覧ください。  
  
【ランキング】
1位-H&Mのハイスピード経営(07.10.26)

2位-「ファッション販売(商業界)」12月号にファストファッションに関する寄稿記事が掲載されました。(07.10.31)

3位-古着(ユーズド)ミックス業態の高層階での活躍に期待(07.10.30)

4位-QR(クイックレスポンス)時代の品質管理(07.11.01)

5位-ユニクロのカシミヤの打ち出しに一抹の不安?(07.10.14)

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November 02, 2007

【お知らせ】11月9日(金)東京にて、好評「ファッションリテーラーの在庫コントロール」のセミナー開催します。

 来る11月9日(金)、東京の富士通ビジネスシステムさん主催のファッションビジネスセミナーの基調講演の講師をさせていただきます。

  日時   07年11月9日(金)
        14:00-17:00(前半90分が私の講演です)
 
  場所   富士通株式会社                 
         新宿アイランドタワー33階 セミナールームC 
         〒163-1333 東京都新宿区西新宿6-5-1 
         TEL:03-5323-7534  

  講演テーマ 「SPA時代のファッションリテーラーの在庫コントロール」

 過去、東京・大阪の富士通ビジネスシステムさんのセミナーで、連続満員御礼いただきました好評の内容です。
 
 講演内容は、私が以前勤務していたアパレルチェーンにおいて、社長特命で在庫コントロール部を立ち上げてから、他社のベンチマーキングと試行錯誤を繰り返しながら、業務を構築、人財育成を行った3年間の事例を体系だててまとめたものです。
 
 オーバーストア、国内SPA企業の躍進、海外SPA企業の日本進出と、群雄割拠の時代に、生活者の視点で、変化に対応するための「店頭在庫コントロール」の精度アップは必須技術となってきました。

 10-50店舗超くらいの規模の成長中ファッションリテール事業を運営されている企業の方にタイムリーな内容になると思います。

 参加費無料で、まだ、多少空き席はあるようですので、参加ご希望の方は、富士通ビジネスシステムさんホームページからお申し込みくださるか、同社受付窓口にお電話ください。
 
 セミナーの、後半は、200社以上に導入実績があり、某大手SPA企業や某靴専門チェーン企業が活用して実績を上げている、私のビジネスパートナーでもある松山電子計算センターさん開発のファッション専門店向けマーチャンダイジング業務パッケージソフト「現場主義II」のデモンストレーションもあります。
 
 ご興味のある方、参加をご検討される方は、こちらからDMのダウンロードができます。

 問い合わせ・お申し込みはこちらです。
 
 株式会社富士通ビジネスシステム
 第一営業本部 リテイルソリューション営業部
 セミナー事務局 
 担当:柏原氏、福岡氏、澤木氏
 TEL:03-5804-8261 FAX:03-5804-8269
 
 富士通ビジネスシステム主催セミナー参加申込ホームページ

 よろしくお願いいたします。

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November 01, 2007

QR(クイックレスポンス)時代の品質管理

 今週の繊研新聞の1面に「ハニーズ1400店舗への挑戦」という特集記事が連載されています。

 11月1日付の3回目には、同社の短納期生産~店頭投入を支える、独自の洗濯テストによる製品船積み前品質検査について書かれており、以前、私が海外生産をやっていたころの苦労を思い出し、興味深く読ませていただきました。

 この記事にもあるように、百貨店や大手チェーン店(GMSやユニクロなど)に納品される商品は、必ず、生地、製品について、指定公的検査機関で品質検査を受けたり、企業内品質管理室の厳格な基準をパスしたものだけが物流センターに納品され、店頭に並ぶというのが、一般的な流れです。

 実はこの品質検査、ものづくりに携わっている人にとっては、時間的にも精神的にも本当に馬鹿になりません。

 私の実感では、海外生産の受託業務を行っていると、その半分いやいや、60%くらいはこの品質検査をパスする商品をいかに作るか?裏を返せばいかに品質検査をパスするか?を考えていたような気がします(苦笑)。

 生地段階では問題なかったのに、製品で引っかかるなんて話、よくありましたから・・・

 業界の検査機関には、

 カケン
 Qtec
 ボーケン

 などがあって、私も相当通いつめたり、お世話になりましたが、生地や製品の洗濯後の色落ち、強度、縮率、斜行(ねじれ)や外観の検査の結果を待つのに、1週間程度かかっており、心配な商品の検査中は、夜もぐっすり眠れなかったこともありましたっけ?

 これは、大手小売企業が万が一の顧客からの品質クレームに対応するための保険目的で行われていることも少なくなく、厳格な検査基準に若干達しなくても、通常の着用には問題なかったりするケースも多々ありました。

 一方、顧客が、さほどうるさくないカジュアルチェーンや、私自身がカジュアルアパレルチェーンで働いていたときは、もっぱら、ハニーズがされているように、船積み前商品の「実用洗濯テスト」だったものです。2枚抜き取って、1枚を洗濯し、外観を比較をしたり、サイズを測ったり、着用して問題がなければ、OKしたもので、これをパスして店頭で大きな問題になったケースはほとんど記憶にありませんでした。

 その際、微妙なものは、MDやバイヤーなど関係者で協議したり、覚悟?したものですが、さすが、ハニーズ、この洗濯テストに対しても、しっかりA4サイズ 8ページからなる基準書を作ってらっしゃるわけですね。

 クイックレスポンス、ファストファッションの時代に、一考の価値ある話題ではないでしょうか?

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関連エントリー-本格的QRを実践する日本のアパレルSPA(製造小売業)
関連エントリー-ハニーズが極めるデマンドチェーンマネージメント

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