客足鈍らない値上げ?
11月15日の日経新聞連載記事、「先読みビジネス天気」に、「客足鈍らない値上げ探る」という見出しが出ていて、目がとまりました。
原材料、燃料の価格の高騰を受けて、スーパー、コンビニに商品を供給している食品・消費財メーカーが値上げを表明しているのに対し、スーパーの多くが、値上げは客数、売上を落とすと、価格据え置きキャンペーンを張っている現状。
しかしながら、いずれ製造サイドが耐えきれない時が来るのは明らかで、議論は、その時期はいつなのかタイミングを計っている、という話。
ちょうど、同日の繊研新聞にも、同様のアパレル業界の現状、原材料高、燃料高に加えて、アパレル輸入品の数量ベースで92%、金額ベースで83%を依存する中国での人件費増、増値税還付率引き下げなどコストアップ要因に関する記事が掲載されていました。
記事にもありますが、品質を落としての価格維持は論外で、同品質でも単なるコストアップ事情による価格転嫁が通用しないのも間違いないでしょう。これに対して、カジュアルマーケットのアパレルメーカー各社は、「わかりやすい付加価値」で、チェーン店バイヤーに価値に見合った価格を認めてもらう作業を進めている、とのことです。
これらの記事を読んでいて、やはり、日本の業界の多くはまだまだ小売とメーカーが一枚岩になっていないのだな、と思わざるをえませんでした。おそらく、その大きな要因の一つは、生活者に一番近くにいて、一番生活者のことがわかっているはずの小売側が本来のリーダーシップをもったリスクの張り方が弱いことに起因するものと思っています。
こんな時代への対応として日ごろ感心するのは、
○毎年同じようなアイテムを展開しているけれども、確実に価格以上の品質アップをしているユニクロ
○毎年、ファッション性を高めながら、消費者物価指数と連動した値下げを敢行するために、発注から店頭まで工程を研究し、削れるコストをあぶりだし、浮いたコストをメーカーと小売で折半する姿勢を貫くしまむら
ともに生活者からの返品は受け入れるけれど、メーカーへはやたらと返品や未引取りをしない、商品リスクをすべて小売側が負う、「背水の陣」をポリシーとしている企業です。
また、ナショナルブランドを取り扱わない分、独自の柔軟な価格決定権と粗利コントロールができる企業でもあります。
これから本格化する国内外のSPA(製造小売業)企業との競争は、そんな連中との真剣勝負なんですよね。
ところで、欧州ファストファッションに対して、日本のファッション企業はどんな対応をすべきか?と雑談することが時折あります。
単純に価格で応戦したら思うつぼなのは言うまでもありません。
キーワードは、彼らがある意味二の次にした「品質」、と日本というローカルマーケットに合わせることのできる、国内企業ならでは「柔軟性」ではないでしょうか。
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【第6位】→stay (07.11.16現在)
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Comments
@niftyトップページ「旬の話題ブログ」コーナーにて、
11/17に本ページの記事を紹介させて頂きました。
紹介記事については、「旬の話題ブログ」バックナンバーで
半年間、ご覧いただけます。
原材料、燃料の価格の高騰がファッション界の流通についても影響を与えていることなど、いろいろ勉強になりました。
生活知識に役立つ情報をありがとうございます。
今後も旬な話題の記事を楽しみにしておりますので、
引き続き@niftyをご愛顧の程、よろしくお願い致します。
ありがとうございました。
@nifty「旬の話題ブログ」スタッフ
Posted by: 「旬の話題ブログ」スタッフ | November 18, 2007 10:39 AM
@nifty「旬の話題ブログ」スタッフさん
いつもお世話になります。
ご紹介ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | November 19, 2007 11:55 AM