試着販売スクープで考える業界の常識と課題
今週の読売ウイークリーにサンエーインターナショナルグループの人気ブランド、ピンキーガールズで行われていたとされる「行き過ぎた」販売員の試着、新品戻し販売のスクープ記事が掲載され、これらに対し、同社はHP上で、当初の意図と誤解を招いたとする同手法の中止について説明をしています。
記事の内容にご興味ある方は、同誌をお読みいただくとして、ファッションリテイラーの販売スタッフが自社ブランドの商品を店頭で着て接客販売することは業界の多くの会社で常識のひとつになっています。
古くから、業界で販売スタッフはマネキン(このフランス語がマヌカン)と呼ばれるように、販売スタッフの「着用」は、コーディネートや商品の良さを店頭でもっともわかりやすく顧客に伝える手法と考えられ、実際、説得力を持って売上につながっています。
みなさんも販売員さんが身につけているものに魅力を感じて、購入された経験をお持ちなのでは・・・
通常、この着用商品は、スタッフが社員割引で買ったり、会社側から支給されるのが一般的ですが、実際は、前者が多く、安くは買えるものの、給与からの天引きというスタッフの馬鹿にならない継続的な負担になっているのが現実。中には、会社側がノルマを課して売上のあてにしたりする事例も耳にします(←これじゃ、まるで飼い殺しですね)。それが理由で、せっかく採用になった職を断念するケースもあるようです。
ここのところ業界では、従来の春夏・秋冬という2つの大きいシーズンを6つから8つに細分化し、多品種小ロット、ひとつひとつの商品の販売期間を短くして、その商品回転、鮮度で生活者を魅了し、競合他社とスピードで競争している昨今です。
旬の自社ブランド服を着続けることをスタッフに課すとすると、スタッフにとっても、会社にとっても、気づかぬうちに負担が大きくなるのだなぁと思い知らされます。
また、そんなプレッシャーは、スタッフの定着率に影響するでしょうし、「試着販売」を奨励するとなると、運用面で、公私の境目がわからなくなり、こんなスクープや目に見えないところで不正も起こってしまうのではないかと心配してしまいます。
マーケット環境の変化は、業界の常識だから、みんなそうやっているから、では済ませられないことへも手をつけていかなければならない時代の始まりでもあります。
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【続報】
2月8日の日経新聞、繊研新聞、11日の日経MJによると
同社は、調査の上、組織的でないながらも、一部の店舗で「試着販売」が行われていたことを認め、これを禁止の上、年間3億円の経費をかけて全店、全ブランドに制服貸与制度をスタートさせるとのことです。
Posted by: taka | February 11, 2008 07:36 AM