今年は中国一辺倒の海外生産比率が見直せるだろうか
昨年末に、ユニクロが、かつてのビジネスモデル、中国一辺倒(現在は90%中国;残り10%はベトナムやカンボジアとのこと)の海外生産比率を徐々に90%→60%にするとの発表がありましたが・・・
年始に入って、業界の方々と世間話をする機会が何度かありましたが、(特に生産サイドの)皆さん口をそろえて、「中国生産一辺倒」に本当に危機感をもっていらっしゃるな、というのをひしひしと感じました。
素材、附属品、日本マーケットへの対応の慣れ、スピードを考えると、ファッション業界にとって、中国はどうしても外せない生産地ですが、人件費アップ、為替レート、税制問題、というコスト高によってコストメリットが薄れ、従来活用していた沿岸地域の小中規模の工場が、軒並み欧米を相手にする大手に吸収されたり、廃業に追い込まれている話は深刻のようです。そんな影響で、今まで、30日だった生産期間が50日かかるという話も耳にします。
百貨店向けメーカーの方々は、是非国内生産の見直しを行っていただきたいと思いますが、SPA、専門店、チェーンストアのバイヤーさん、メーカーさんは、中国から遠方の生産地を検討せざるを得ないわけです。
日本企業でも、スーツ、ドレスシャツ、定番ボトムス、ユニフォームといった比較的デザイン変化が少なく、3ヶ月以上の生産期間を取れるアイテムは、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなど東南アジアに生産国がシフトされていますが、今後は、ファッション商品も「そのうち」、とは言っていられない様相かもしれませんね。
小さな坪数で、高回転で回しているマルキュー系ブランドを筆頭とするヤングファッションストアはともかく、「トレンド商品」と「定番的な商品」をミックスして販売しているファッションストアは、生産分散、使い分けを検討、実行に移す時期も近いかなとも思います。
「ファストファッション」と呼ばれるH&MやZARAにしても、もともとは欧米諸国への国内産業保護を目的としたアイテム別国別輸入クオタ(制限枠)があったからこそ、必然的に数十カ国にグローバルソーシング(商品調達)を行っているわけですが、このクオタの存在にかかわらず、トレンド商品は、「ファスト(小回り利く国で、短納期、多少のラフな品質に目をつぶる)」、ベーシック(定番的)アイテムは「スロー(遠方の国でも、長い生産期間でも、品質を重視して生産)」を上手に使い分けているのは、知られているところです。
なんでもかんでも、納期に引き付けて意思決定、フットワークのよい地で生産すれば、リスクが小さいのは間違いありませんが、今一度、社内で暗黙の了解にしている自社商品の企画分類政策(トレンド提案、定番、実験アイテム、の別)の再定義、見極めと、それにあわせた生産地を見直す必要もあるのではないか、と考えさせられたものでした。
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Comments
いつも楽しく読ませていただいております。
昨年末、広東省地域の工場閉鎖数が一気に増え、11月~1月は、閉鎖工場から人(=工員)が溢れ、暫くの間、マンパワーの確保は問題がなかったものの、それらの人々が、この旧正月をまたいで、沿岸部工場に帰ってきてくれるかどうか、、、年々、「戻り率」は悪くなっているようです。
服や雑貨などの軽工業では、特にその影響を受け、「納期は旧正月後の工員戻り率によって変動する」という工場もあります。
この1年、激動の年になる予感、、、。
話は飛び飛びになりますが、ヨーロッパの子供服ブランドは、生産地として日本の工場を物色していたり、、、。(ユーロが対日本円ではまだまだ強いので、割安に移るんでしょう。小ロットで回せるし)
中国の工場を引き上げて、日本の工場にまた依頼しようとおもったら、ヨーロッパブランドにキャパを抑えられてた、、、という話もありえます。
かなり、混沌としてきてますね。
Posted by: Is M. | January 28, 2008 05:55 PM
Is.Mさん
いつもありがとうございます。
今回もリアルな現場からのコメントありがとうございました。
ありえますね、日本の優良な生産背景が欧州におさえられるなんて話。
日本の企業も、日本の生産の良さを見直していただきたいところですが後継者難も深刻なようです。
では、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | January 30, 2008 06:23 PM