スマイル0円の価値
2月22日の日経新聞一面、連載中の「現場初働くニホン、第3部 仕事の値段③」を読んで。
記事で取り上げている、「感情労働」って言葉、初めて聞きました。
要は、「自分の気持ちを押し殺し、相手に合わせた言葉や態度で対応する仕事」のことで、米国のある社会学者が、肉体労働、頭脳労働と並ぶ第三の労働形態として提唱しているそうです。
日本でも3人に1人が多かれ少なかれ、「感情労働」に携わっているだろうという見方があるそうで、ファッション販売もまさに、これに当たるのではないかと思います。
記事の要点をまとめると・・・
・モノがあふれてサービスが勝負を分けると言われて久しく、各社、顧客の要望に応えようと、「顧客満足(CS)」よろしく、どんな時でも、笑顔で気持のよい接客を心掛けるよう、マニュアルを整備し、教育研修を行うことがあたりまえになった昨今。
・モラルを逸脱したクレーマー、モンスター・カスタマーもおり、必ずしも働き手の「笑顔」が報いられる保証はない。それゆえ燃え尽きてしまう感情労働者も少なくない。
・「スマイル、ゼロ円」と言われるように、顧客からすると、空気のようにタダと思われる「笑顔」。これに対して、顧客を満足させる笑顔の価値をはじき出し、評価や報酬で報いる試みが感情労働者を「何のための笑顔なのか」という疑問から解き放ち、笑顔がもっと自然になるのでは・・・
と企業の取り組みとして、ファッションビル、ルミネの接客の上手なテナントの販売スタッフを表彰する「ルミネスト」制度と、かつてクレーム対応が社会問題になった東芝が電話相談窓口の顧客対応の良し悪しを専門家がチェックし、賞与に反映させる仕組みを導入している事例が紹介されていました。
確かに、接客販売のような、「感情労働」に明確な対価をつけるのは、とても難しいですね。
ファッションリテイルはじめ、流通業にいると、毎日、いろいろなお客様をお相手にすることになります。それゆえに、「洋服が好き」なだけでは、勤まらないことも圧倒的に多いですよね。
私が、業界のファッション販売に携わる人たちと話をしていて、たまに残念だなと思うことのひとつは、お客様とのうれしかった体験よりも、モラルを逸脱したお客様とのイヤな体験ばかり語り、まるで、お客様の多くが、ネガティブな方のように聞こえる話方をする人に出会った時です。
実際、どんなに心をこめて接客したつもりでも、売れないことは多いですし、クレーム処理には、驚くほど時間と精神を消耗します(一時期お客様クレーム担当だったころもあるので気持ちはよくわかります)。一方で、降りかかる本部からの売上予算達成、販売ノルマクリアのプレッシャー。
今回の記事を読んでいて、私たちができることってなんだろう、と考えました。
販売のおもしろさって、「人は鏡」と言うように、
①こちらの誠心誠意の対応に、
②勇気づけられたお客様の喜びによって、
③自分も元気を頂き、ますます精進する
という、「積み重ね」、「スパイラル」で成り立っていると思うんですよね。
それをどれだけ、今、そして、これから夢を持ってファッション販売をされる人に情熱をもって語り継げるか、ということ。
同時に、それがわかるからこそ、そんな現場の小さな成功体験の積み重ねを促進し、「しっかり見ているよ」、「わかっているよ」というサインを送り続ける本部でなければ、と思います。それがあった上での目に見える評価制度でしょうね。
お客様から見ればゼロ円かもしれないスマイルが、ファッションビジネス人財の元気と成長につながるように・・・
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