買われる側の事情
繊研新聞1面の連載記事、「シリーズ再編、変わるM&A(全8回)」。 11日付で完結しましたが、昨年から今年にかけて増えているファッション業界のM&A、買収後の事情をとても的確にわかりやすくまとめてあり、大変興味深く読ませていただきました。
業界では、百貨店、GMSを除き、大手企業がシェア、バイイングパワーを拡大するために買収するケースは少なく、資金の潤沢な上場企業が、自社にはないマーケット(販路・客層)や感性を獲得するために、資金、オペレーション、人材の壁にぶちあたって伸び悩んでいる中堅企業を買収するケースが多いと思います。
買収によって、される側の企業は、資金力と信用力が上がり、出店機会が増えるというのは確実なメリットですが、その他の点ではいろいろジレンマがあるようです。
する側が公開企業であれば、月次で締めて短期間で損益を公表するタイムリーディスクロージャーのスピードに合わせたり、ある程度のビジネス拡大のスピードの加速はやむを得ないところでしょう。
しかし、量販型のオペレーションが買収される側の企業に活用できるかは、なかなか難しいところのようです。
する側のオーナー経営者は、自らが手塩にかけて構築したビジネスモデルは万能だと思い、生産背景、インフラ、マニュアルを押し付けてくるかもしれません。
しかしながら、
たとえ検査機関の品質基準をクリアする工場でも、小ロット・短サイクル生産やマニュアルには書けない感性に応えることにも長けているとは限りません。
出店機会が増えるからといって、もともとのブランディングからしたら納得のいかない立地への出店もせざるをえないかもしれません。
送り込まれた幹部が親会社の成功体験、法則を押し付けるかもしれません。
組織管理体制と感性のジレンマ、ビジネス拡大のスピードとブランドの飽和点とのジレンマ・・・
当然、答えはひとつではないと思いますが、これまでの事例を見る限りでは、親会社のビジネスモデルを無理やりあてはめようとするよりは、モチベーションを配慮しながら、「金は出すけど、口は出さない」。される側が、いままでの規模だったら、やりたかったけどできなかったことをソリューションするくらいの方が、いまのところはうまくいっているような気がします。
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