組織力は「感謝」と「認知」から
最近よく売れているという
不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926)
という本を読みました。
題名からお察しの通り、私の過去の組織人としての経験も含めて、皆さんの職場でも起こっている耳の痛い話から始まります。
組織の力は「個人の力」と「個人間のつながり」のかけ算
しかし、業界の多くの企業が「ビジネスは人(ヒト)がすべてだ」と、「個人の力」を重視し、その積み上げで成長してきた一方で、「個人間のつながり」にはあまり重きが置かれなかったようです。
それゆえに、「職務」にではなく、「人」に仕事がついている状況が多く見受けられます。
仕事柄、人を活かす組織や職務について意見を求められることがあります。
「この業務は今、どの『部署』あるいは『職務』の方がやっていますか?」という質問に
「(部署や職務名ではなく)『○○さん(個人名)』の仕事です」というお答えを頂くことがあります。
理想を言えば、まずは、会社としてやりたいこと、あるべき組織・職務を考え、その後、誰を抜擢し、どうすればそれができるかを議論したいところですが、人が先に出てきてしまう組織編成も少なくないようです。
この本書が言うように、「人に仕事がつく」ことは、当面の生産性、安心感といった短期的なメリットという点では問題なさそうですが、このいわゆる仕事の「タコツボ化」現象、場合によっては、いつの間にか「聖域」が出来ていたりするところもあり、これが組織の中で、お互いが協力をしない、他の人の仕事への無関心、無干渉、孤軍奮闘、職場不信となる温床であると筆者は指摘しています。
本書では、この一筋縄にはいかないこれらの問題の解決に米Google社やサイバーエージェントなどの企業事例を取り上げて、いかに「個人間のつながり」をつけるか、協力したくなる環境にするか、について述べられています。
この本の中で、特に大事だなと思うのは、
感謝と認知を通じた効力感というインセンティブ
というフレーズですね。
要は、些細なことでも、「ありがとう」と言える、言ってくれる人がいる、自分の仕事ぶりを見てくれている人がいる、という安心感を「効力感」というそうですが、それこそが協力する組織を作る最大のモチベーションのひとつであると。
企業のいろいろな具体的事例が出ていますが、その中で、是非、改善のために試したいものとしては、
ベストサービス、好業績などで褒められた人だけでなく、その人が、自分は誰のおかげでその「いい仕事」ができたか?裏方3人を挙げ、その3人も併せて表彰されるというマリオットホテルの事例。
どの事例もベンチマークはできると思いますが、何事も理念と一貫性と継続力が大切なのは言うまでもありませんね。
組織を考える上で、いい視点を与えてくれますので、よろしかったらお読みください。
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Comments
人についてますよねえ、多くの仕事が。
当面はそのほうがラクでしょうから。
誤った成果主義は
それを助長しませんか?
Posted by: タッシー | May 10, 2008 09:07 AM
タッシーさん
いつもありがとうございます。
おっしゃる通りですね。その点、本でも触れられています。
定期的な「異動」も他の人の仕事への理解、感謝、認知に繋がるので、そのためにも、仕事の見える化、効率的な引継ぎのできる環境づくりをすることも大切だと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | May 10, 2008 02:23 PM