ファッションリテイルビジネスにおけるバジェット(予算)コントローラーの役割
先週の記事になりますが、5月16日の繊研新聞、世界最大のファッションSPA業態、H&M(エイチ・アンド・エム・ヘネス・アンド・マウリッツ)関連の記事のひとつに、プレスリリースのために来日した新ヘッドデザイナー、Ann-Sofie Johansson さんのインタビューがありました。
彼女が、H&Mの機動的なマーチャンダイジング(MD)組織を説明する部分で読み過ごしてはならないことは、同社の商品ライン別に組まれている縦割りチームの構成メンバーが、デザイナー、バイヤー、そしてバジェット(予算)コントローラーであることでしょう。
同社が各MDチームに予算コントローラーを配置していることは、年次レポートなどでも周知の事実ですが、この職務が果たす役割は極めて大きいと思っています。
つまり、一般的にファッションビジネスにおいては、どんな商品を企画してどこで作って、いつ店頭に並べるかには重きを置いていますが、どれだけ作るか(数量)?、いつ何を基準に見極め、売り切って在庫を残さないようにするか?については、二の次にされることが多いです。
極論かもしれませんが、それがないことが、マーケットで飽きられたり、在庫過多となって、多くのファッションブランドが短命に終わる要因のひとつではないかとも思っています。
ファッション製造小売業、いわゆるSPAという一気通貫ビジネスモデルにおいては、毎週の店頭の動向から売上、粗利、在庫、仕入の進捗を確認しながら、需要予測をし、シーズン中に変化に対応する、店頭在庫コントロールの技術が欠かせないと思います。
H&Mが言うところの予算コントローラーは、そんな技術を熟知したスペシャリストであり、デザイナー、バイヤーとチームを組んでアドバイスをしながら、店頭の鮮度を管理(コントロール)する司令塔に違いありません。
そんなメンバー構成できめ細かく、ハイスピードで売場に対応することが、同社が世界1500店舗で高い粗利と商品回転を実現しながら、継続的な成長を遂げているゆえんのひとつではないかと思っています。
これに近い役割を果たしてる日本企業の職務として、しまむらの「商品コントローラー」というロールモデルがあります。
多くの成功しているファッションSPA、専門店がこの職務の人財に存在価値を見出しています。マルキュー系ブランドの中にもこの予算コントローラー的な職務の方がしっかり手綱を締め、感性とビジネスのバランスをとって安定的に成長している会社もあります。
ファッションビジネスにおいて、いい商品を企画して生産することが第一、利は元にあり、には間違いありませんが、そろそろこのあたりの精度を高めて行かないと勝ち残れない時代にも入ってきていると思います。
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