米フォーエバー21に見る非SPA成長戦略
6月17日、18日の繊研新聞に、アメリカのレディース&メンズ、ティーンズ・ヤング向け低価格ファッションチェーン、フォーエバー21に関する記事が連載されていました。
同社は、87年にLAを拠点に創業され、現在全米406店舗、年商1000億円超の株式非公開チェーン。
私も、同社が、90年代後半から2000年代前半にかけて西海岸のSCに次々に出店し、勢いのあるところを見ていましたので、最近の動向が気になっていたチェーン店の一つでありました。
当時、各社がVMDの工夫をこらすショッピングセンター内で、二段がけ什器が多く、什器に目いっぱい商品を詰め込んだ圧倒的なボリュームが印象的でした。商品量と価格からいつもバーゲンさながらの客数の入りだったような印象が強かったです。
SC(ショッピングセンター)を中心に出店し、日本円換算で言うなら
トップスであれば1900円前後
ボトムスやアウターであれば2900円前後
アクセサリーは数百円から
商品バリエーション、ボリューム、バリュープライスで、毎日新しい商品が店頭に入荷し、5週間で売り切る商品回転は、特に若い女性客に人気です。
ライバルはWET SEALやH&Mあたりでしょうか。よく、H&MやZARAなどのファストファッションSPAと比較されることがありますが、彼らのように自前でデザイン、パターンなど企画生産機能を持ちません。
LA拠点の韓国系のアパレルメーカーなど、2000社ほどの取引先が毎週サンプル提案してくる商品を、同社のバイヤーが即座にセレクトし、何千、何万という単位で発注、いわゆるOEM生産の形で納品してもらうスタイルをとっているようです。
生産地は、アジア生産もありますが、今でもフットワークを活かした、カリフォルニア州内、LAダウンタウン界隈で縫製されている商品(MADE IN USA)も少なくないようですね。
90代後半、私がアメリカから日本向けにアパレルやアクセサリーの輸出の仕事をしていたころ、LAダウンタウンのアパレルメーカーから商品を買いつけていた経験があり、フォーエバー21と取引のあったメーカーも少なくなかったので、彼らの事情もわかり、懐かしく思いました。
お読みになって、マルキューブランドみたいなオペレーションをナショナルチェーン化したみたいなビジネスモデルだと思われた方も少なくないはず。
海外は、カナダ、東南アジア、中東、そして最近、中国、韓国へも出店を始めましたが、日本へは、2000年ころでしたか、三愛と組んで、東京、大阪に確か3店舗くらい出店し、間もなく撤退した歴史もあります。
フォーエバー21がここまでの規模になって、大手SPAとは違い、企画生産機能を持たずに2000社が提案する企画から買付をしているというところはとても興味深いですね。
ネガティブな面を見ると、品質の統制が難しかったり(実際クオリティのばらつきは結構あるようです)、デザイナーブランドからデザイン模倣訴訟を何件か起こされていたり、メーカークオリティコントロールは難しいところだと思います。
しかしながら、アパレルメーカー側から見れば、この規模のチェーン店で、企画さえよければ取引が出来、うまく行けばビジネスが拡大できるという門戸を広げている売先が存在するということは、同社を相手にアメリカンドリームを夢見るメーカーも少なくないはず。
ファッションチェーン店が、規模が大きくなり、株式公開などをすると、株主を配慮した優等生的なオペレーションを整えざるをえなくなり、無理な出店もして、ある意味「つまらなくなる」事例はたくさんあります。
フォーエバー21のように、株式非公開、商品企画さえよければ来るもの拒まず、ある意味「やんちゃ性」を貫いて、どこまで、顧客の支持を得て、成長するか?今後の動向も注目したいところです。
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