ラベルで知るH&Mの商品企画意図とお買い物の楽しみ方
先週、今週は、いよいよ1週間後に迫ったH&M銀座店オープンをカウントダウンするかのように、H&Mストックホルム本社ツアーに参加されたメディア記者の方々の記事が、日経新聞、日経MJ、繊研新聞などに掲載されています。
H&Mの商品企画政策、組織、オペレーションなどは、同社のアニュアルレポート(英文年次報告書)を読むだけでも、結構詳しく説明されているのですが、9月5日の繊研新聞の連載記事「H&M強みと弱み②」に、とてもわかりやすい同社の店頭マーチャンダイジング政策のひとつが掲載されていましたので、専門的な解説も織り交ぜてご紹介したいと思います。
私のセミナーでもよくお話しする内容のひとつですが、SPA(製造小売業)系ファッションリテイラーの商品企画の基本のひとつに「企画分類」、すなわち、企画段階で、その商品が、お客さんのどんなニーズ、ウォンツのために企画する商品群に属すものかを明確にしておく、という大切な概念、作業があります。それによって、おのずと、その商品の投入のタイミング、販売期間、生産数量、リードタイムが決まってくるものです。
記事によると、H&M社でも、そのあたりは、徹底しているようで、また、オペレーションチームもそれらの業務サイクルに応じて、分担されているようです。
同社では、
1.ハイファッション・・・いわゆる提案型商品、新しいトレンドの芽を見つけるべく、一部の店舗に少量で展開し、売り切りで顧客の反応を見る
2.コンテンポラリーファッション・・・いわゆる重点販売商品、1で成果のあったものをマストレンドとして落とし込み、しっかり売上利益を取る
3.モダンベーシック・・・いわゆる定番・継続商品、トレンドに左右されず、比較的長く着ることができる品質重視のお約束商品、シーズン中一定期間、在庫を切らしてはいけない
4.L.O.G.G.・・・アメリカンカジュアル、1~3のヨーロピアンテイストに対して、よりアメカジテイストの強いもの(比較的、3の考え方に近いのではないかと思われます)
の大きく分けて4つの企画分類があるようで、それらの商品企画ミックス、投入頻度ミックス、商品回転ミックスにより、店舗特性に合わせて、巧妙な投入計画が立てられ、結果として、いつ行っても、期待した商品が確実に店頭にある(ベーシック系)と同時に、思いがけない新しい商品との出会い(提案型商品)が演出され、店頭鮮度が保たれることになるわけです。
H&Mの場合、これらが、商品のラベル(襟ネーム)ではっきり、区別されており、ウィメンズで言えば
☆ハイファッションは、グレーがかったピンク地のラベル
☆コンテンポラリーファッションは、バラのジャガード地のラベル
☆ベーシックは、H&Mのロゴが3つ並んだラベル
☆LOGGは、そのままLOGGと表示されたラベル
というようにお客さんも一目見ればわかるようにできています。
メンズは、もともと「ハイファッション」はなかったようですが、銀座店オープンにあたり、「MAN TREND」というハイファッションラインがスタートする模様。
ところで、日本のH&Mはどうなるかフタを開けてみないとわかりませんが、海外の事例でいくと、H&Mのお店って、店構え、内装はかっこいいのですが、単品のサイズ展開が多いのと、商品回転に対応した業務の一環か、店頭には、同一商品がたくさん並んでいます。そのため、特に、初めて同店を見る方にとっては、店頭の見た目はけっこう「大味(おおあじ)」に感じるかもしれません。
むしろ、ZARAの方が、計算されつくした美しい陳列手法が取られていて、きれいで選びやすいと感じることでしょう。
その代わり、H&Mは、比較的店内にマネキンを使ったスタイリング提案が多いのと、上記のように、企画意図別に分類されたラベルの違いを見ながら、ショッピングをするのも、H&Mでのお買い物の楽しみ方のひとつになるかもしれません。H&Mが実験的に投入している商品を知るには、グレーがかったピンク色のラベルを探せ!ってわけです。
世界約30カ国、さまざまな立地で支持を得ている、世界最大のファッション業態、H&M。売り場から学ぶこともたくさんありそうです。ぜひ、ストアコンパリゾン、ベンチマークの対象としてもウォッチして行きたいところです。
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