OJTが機能する環境
10月23日の日経新聞、やさしい経済学-経営学のフロンティアに「人材育成と企業競争力」(一橋大学守島教授の執筆)というシリーズ論説があり、「OJTの機能不全」というタイトルに目が留まり大変興味を持って読ませていただきました。
OJT(On-the-job training)について、とてもわかりやすく書かれていたので、日ごろファッションビジネスの現場を見ていて感じることを織り交ぜながらご紹介したいと思います。
日本の人材育成は、OJT中心というところに特徴があり、日本の特に製造業の競争力の源泉は、現場作業者が持つOJTを通じて培われた「変化と異常への対処能力」にあったと言われています。
そもそもOJT(On-the-job training)とは・・・「非熟練者にできない可能性もある仕事をやらせて、途中でフォローをしながら、(その人を)育てる」こと
①「(できないかもしれないが)やらせてみる」
②「フォローする」
の2つの要素がポイント。
しかしながら、ここのところ、成果主義の浸透、職場での仕事の多さ、非正規従業員の増大も含めた人員構成のひずみなどを背景に、この2つの要素を実現するのが難しくなっているようです。
その結果、
・成果を出す能力がある人だけに仕事が集中する職場
・後輩に難しい仕事を任せて傍らでみていてくれる先輩のいない職場
・年齢構成がいびつでコミュニケーションが阻害された職場
が増え、「OJTを機能させ得るような職場環境が失われた」のではないか?
今こそ、OJTが機能する環境の再生をするために、
○現場リーダーの育成スキル開発
○適切な人員構成(特に年齢構成)への転換
をすべき、と筆者の方は、結んでいます。
比較的大手企業や歴史の長い企業には全般的に当てはまると思います。
新興企業においては、「(できないかもしれないが)やらせてみる」ことは多いですが、「フォローする」が欠けているため、本人は、不安を感じながらも、突き進まざるを得ない状況が続いていると思います。
筆者の方が言われる、「適切な人員構成(特に年齢構成)への転換」は、言うのは簡単ですが、現実的に非常に難しいと思います。 そのため、「現場リーダーの育成スキル開発」の方を、座学、OJT、コーチングを取り混ぜて、「自ら学び、教える力」をつけていくことをご支援するのが、私のような外部支援スタッフの仕事になるわけです。
先日、ある成長中クライアント企業様の年に2回の全体会議に出席させていただきました。よかったなぁ、と思ったのは、以前は、毎回、ある方が一人で何役も務め、孤軍奮闘していた姿が見られた会合だったのですが、今回は、その方は、一切前に出ず、若手の方々に役割分担をして、しっかりその方々が役目を果たされているのを見守っていらっしゃったことです。そして、任された何人かの方が、打ち合わせはしたわけではありませんが、私が日ごろ行っているプレゼン、進行手法を真似て、取り入れて発表を行っている姿を見た時は、とてもうれしくなったものでした。
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Comments
いつも楽しく拝見させていただいております。
スタッフ教育。今は、OJTが中心ですよね。集まってのトレーニングなどは、入社時しか難しくなってきているのが現状でしょうか。私の知ってるところでは、それすらもなくいきなり現場に放り込まれて・・・という悲しい現状のところも知っています。
>>新興企業においては、「(できないかもしれないが)やらせてみる」ことは多いですが、「フォローする」が欠けているため、本人は、不安を感じながらも、突き進まざるを得ない状況が続いていると思います。
>>そのため、「現場リーダーの育成スキル開発」の方を、座学、OJT、コーチングを取り混ぜて、「自ら学び、教える力」支援するのが、私のような外部支援スタッフの仕事になるわけです。
これはおっしゃるとおりで、教えられる本人も不安を感じますが、教える方が実は一番不安だったりします。自分自身が現場に放り込まれて、フォローもなく自己流で仕事はこなせるようになったが、いざフォロー、教えるとなると急に、今までやってきたことに自信をなくし不安になるものです。
ここで上司なり、会社が教える側に安心させることが大変重要です。やり方は間違ってないぞと一声掛けるだけで、全く変わってくると思います。その上で、外部支援がフォローすると。教える側にまず内部で、その後外部支援などが必要と感じます。このバランスが悪いと会社への不満が知らずと募ってくるのです。会社は任せたと言ってるが、実は本人には会社との距離感を感じてしまったりするんですよね。
私の考えですが・・・。
駄文失礼しました。
Posted by: 山田 | October 24, 2008 07:29 PM
山田様
いつも経験者ならではの説得力のあるコメントありがとうございます。
いずれにせよ、会社の理念と方向性(=会社の正解)をしっかり共有、確認した上での話だと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | October 25, 2008 12:07 AM