ユニクロの9月度既存店売上前年比が20.8%増
週の後半、経済紙、業界紙各紙で、上場ファッション流通企業の9月度業績を取り上げていましたが、ユニクロの既存店売上前年比、20.8%増(客数10.4%増×客単価9.5%増)は見事ですね。
同社の前年の同月(07年9月)売上前比は12.9%減だったので、その分のより戻し分もあるとしても、
○藤原紀香、山田優といった各世代で最も効果のあるカリスマタレントを起用したプロモーションと連動したレディースパンツ、ワンピースの販売促進。TVや雑誌だけでなく、従来のチラシの投入量も増やしていたようです。
○ユニクロにしては、ちょっと早めの打ち出しだな、と思っていた秋冬物の商材もTVCMと9月後半の気温の低下で瞬発的に動いたようですね。
去年の10月から引き続いて、売りたいものを絞り込み、しっかり仕込み、人気タレントを起用したプロモーションと連動して売り切る、絵にかいたようなプッシュ型マーケティングの成功だと思います。
それから、9月は、H&Mの日本上陸に関連して、メディアが盛んに、H&Mとユニクロの比較を行ったことも、少なからず、ユニクロの販促効果につながったのではと思っています。
正直、ファッション業界、海外渡航経験者、ファッションに特に関心のある人々くらいにしか知られていなかった、H&Mを説明するのに、
「H&Mは、ユニクロのように低価格ながら、よりファッショナブルなブランド」
「品質は、H&Mよりユニクロの方がいいらしい」
などと言ったユニクロと比較することによってわかりやすく説明する試みがなされ、同時に一般生活者には
「やっぱり、ユニクロは安くて品質がいいんだ」
という刷り込みがなされたのでは、ないかと思います。
古い話になりますが、90年代末からユニクロが知名度とともに、業績を上げ、急成長した、いわゆるユニクロブームの際、原宿出店、フリースブームの力が大きかったことは、誰もが認めるところだと思いますが、私は、その影で、同社が当時、はやり日本進出を果たし、拡大中だった、ベーシックカジュアルの世界最大手SPA、GAPとの比較購買を演出し、上手にその相乗効果というか、「テコの力」を利用したことも大きかったのではないかと思っていました。
H&Mが、日本進出を果たす時、同様のテコの力を利用するのは、どのファッション企業か?ととても関心を持っていましたが、今回も、ユニクロなのでしょうかね。
話を戻しますが、昨年の10月からは、ユニクロがファッションからベーシックによりを戻し、洗練されたプロモーションと連動して、業績が回復した時期になり、前年売上のハードルが上がります。
今月以降、プッシュ型販促で伸ばして来た同社がどれだけ前年超えができるか、注目してゆきたいと思います。
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Comments
いつも興味深く拝見させていただいております。
ユニクロの既存店でのこの伸びは驚異的ですね。
最近店を見る機会あり店内を見て回ったのですが、
ベーシック、ファッション、スポーツカテゴリーごとに打ち出し商品が
分かりやすく陳列され、よい演出がなされてました。
そして驚いたのが、XXLサイズが店頭にありました。
色々見ていますと、H&Mは大きいサイズが多く残ってると聞いております。
サイズ展開というのは、消費者の着こなしの流行もありますがずっと続く課題ですね。
Posted by: 山田 | October 06, 2008 10:41 PM
山田様
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
小さいサイズ、大きいサイズ、サイズ問題は業界がおろそかにしてきた課題であり隙間のひとつですね。
ユニクロも店舗では在庫リスクがあるので、主にネットで対応していたり、H&Mは、この件に限らず、とりあえず一通り出しておいて、顧客の反応を見て検証し、以後調整すればいい、くらいに考えているような対応が多く見られます。
最初から切り捨てるのではなく、実験してみて、適量を見出す。
それがSPA(製造小売業)の強みなんでしょうね。
これからもよろしくお願いします。
Posted by: taka | October 07, 2008 03:22 PM