自己実現の欲求時代のファッションビジネス
12月9日の繊研新聞に、IFIビジネス・スクール学長の尾原蓉子先生が書かれた、「ファッションビジネス40年ーこれまでとこれから(上)」という論文が掲載されておりました。
IFIビジネススクールは、私も12年前プレスクール時代に、当時勤務していた商社から研修目的で受講させていただき、MDコースを卒業、現在は、そのご縁もあって、プロフェッショナルコースの講師をさせていただいているファッション業界の人材育成機構です。
プレスクール時代から尾原先生は存じ上げており、リスペクトしていますが、今回の論文もいつもながら、グローバルなマクロアプローチで半歩先ゆく提言を的確にまとめておられ、納得しながら読ませていただきました。
その中で、ファッションマーケットの成熟度合いを、心理学でおなじみのマズローの欲求5段階論にあてはめて説明されていますが、現在は、第4段階の「尊敬への欲求」を超えて、第5段階の「自己実現の欲求」の段階であることを指摘されています。
すなわち、第4段階では、尊敬されるためにデザイナーブランドや高級ブランドを購入、顧客も企業も、いわゆるブランド信奉があったわけですが(80年代~90年代)、2000年代以降は、第5段階に突入して、多くの選択肢からいかに賢く、自分らしい組み合わせをするか、という購買行動に変わっているというわけです。
そんな時代のキーワードとして尾原先生が挙げていらっしゃるのが
ファストファッション、、チープファッション、ネットショッピング、顧客がカスタマイズ、感動や体験が生む新しい価値、顧客によるソーシャルリテイリング、クールジャパン、ファッション企業に求められるサステイナビリティ
です。まったく同感で、私のブログが取り上げたトピック、視点を一通り網羅していただいていたので、大変光栄でした。
話は変わりますが、今年、特に注目していた、ストリートスナップで、いつも興味深く見ているのは、個性的なコーディネートそのものもそうなのですが、スナップに撮られた子たちが着ているものを、それぞれどこで買ったかという情報です。
いろんなブランドを組み合わせて着ているんですが、今、圧倒的にユニクロが入っている。そしてローリーズファーム、ジーナシス、マウジー、ZARA、古着が多いです。近々H&Mも上位に入ることは間違いないでしょうね。
いわゆる勝ち組企業、ブランドたちですが、彼らは当然、店頭で自社ブランドのコーディネートを提案をしているものの、実は、お客さんは、上から下まで、そのブランドで揃えるわけではなく、それらのコーディネートを参考にして、自分らしい組み合わせをしやすいパーツを購入しているわけです。
自己実現の欲求の時代には、そんな最強のパーツが豊富に選べる店のポジショニングが高まるのでしょうね。
各企業は、そんな店を目指すのか、それとも、そういうブランドとどう共存するか、を考えるのか?業界内ではなく、生活者のタンスの中で考えないといけない時代なのかもしれません。
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