マーケットシェアと顧客シェア
1月13日の日経新聞に流通最大手セブン&アイホールディングスが旅行代理店業やカルチャー教室などサービス業を本格的に展開し、5年後には500億円の取扱高を目指すことに関する記事が掲載されていました。
同社は新会社セブンカルチャーネットワークに西武百貨店やイトーヨーカ堂などグループ会社が一部店舗で運営している事業を譲り受け、まずは英会話やダンス教室のカルチャー教室を、今秋には旅行代理店業をはじめる模様で、同社傘下の百貨店やセブンイレブンなどで順次取次を行うとのことです。
これまで圧倒的に店頭での物販が中心だった同グループがサービス業を強化しようという話。
この記事を読んでいて、私の職歴の中で商社、アパレルメーカーを経験し、その後小売業へと転身するにつれてマーケットに対する認識の変化を強く感じた当時のことを思い出しました。
私は同じファッションビジネスの中でも、商社という流通の中でも「川上」に近いところからスタートし、その後、縁あって、卸、小売ビジネスと「川下」、生活者に近づきながらキャリアを過ごしました。
商社や卸にいるころは、アパレルや雑貨などの取扱商品について、仕入予算をもって商品を買って下さるMD、バイヤーが何に興味を持っているかに関心を持ち、その枠の中で、いかに競合他社よりもたくさん買ってもらうか、常に業界を「タテ」に見ながら仕事をしていたように思います。
一方、小売ビジネスに転じてからは、店頭で買って下さるのは一般生活者であり、彼ら彼女らが今、どんなことに興味を持ち、何が欲しいのか、限られた予算の中で、どんなことにお金を使うのかに関心を払いながら、どんな商品、サービスを提供するかを考えるようになりました。すると、一転、業界タテ発想ではなく、生活者の視点でマーケットを、業種横断的に「ヨコ」方向に見る癖が付いてきた自分に気づいたものでした。
このタテからヨコへの視点の変化、視野の広がりはとても画期的だったと思いました。葦の髄から天井(生活者)を覗いていたのが広角レンズに変わった、あるいは大げさかもしれませんが、文字通り、舟に乗って川上から川下に川を下って来て、大海に出た時の感じと言っても過言ではないくらいの違いだったように思いましたね。
そんな視点でマーケットをとらえて、行動に移せる可能性、舞台を持っているのは、ある意味、リテイルビジネスに携わる者の役得ではないかなとも思っています。
そんな「ありがたみ」を感じながら、生活者の購買行動の変化に応えるべく、マーケットシェアの取り合いから顧客シェアを広げることを考えることが、これからの我々の使命ではないかなと感じたものでした。
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