昨日のプレスリリースを受けて、日経新聞、繊研新聞、日本繊維新聞にユニクロが、ドイツの著名デザイナー、ジルサンダー女史が代表を務めるコンサルティング会社と契約を結び、今秋からユニクロのメンズ・ウィメンズ商品全体の監修と独自コレクションのデザインを委託したことに関する記事が掲載されていました。
10月をメドに発売されるコラボ商品はウィメンズで50型、メンズで20型、今回のプロジェクトの中心的役割を果たす、ユニクロの勝田役員によると、従来のユニクロよりも高級素材を使用するため、「若干価格が上がる場合がある。」とのことです。
春商戦本番に突入したファッション業界に、間違いなく、今年の重大ニュースの上位に位置づけられるビッグニュースです。
モードファッションの中でもシンプル、シャープなデザイン、洗練された=sophisticatedなイメージで、ファッショニスタからは幅広く愛され、極めて評価の高い大物デザイナー・・・自分の名を冠した「ジルサンダー」ブランドは、プラダの手に渡り、投資ファンド経由で、昨年、日本のオンワード樫山が264億円の巨額投資で傘下に収め、同ブランドは、今年からオンワードが本格的に展開をする矢先・・・
ジルサンダーご本人の復帰は、いつかH&Mあたりが演出するのではと思っていましたが、ユニクロの目のつけどころは年を追って精度が高まる一方ですね。
多くのファッション系ブロガー、専門家の方々がすでにブログなどで指摘されていますが、私もこの提携は、ベストマッチのひとつだと思いました。
人気ブログElasticさんには、一般の方のいろいろなコメントが寄せられていて興味深いです。無印良品のヨウジヤマモト氏による監修を事例に、宣伝効果はあっても、商品は、それほど変わらないのではないかというシビアなコメントも。
今回のユニクロの狙い、業界へのインパクト、課題を私なりに勝手に推測、整理してみました。
まず、ユニクロのイメージアップには絶大なる威力を発揮しそうです。
これまでイメージ戦略で払拭してきた「ユニバレ」問題を一気にぶっ飛ばす「印籠(いんろう)」になるかも。
一般的にモードスタイルは、実は、ある意味ベーシックでありながら、スタイリング、シルエットの問題から意外とマス化が進まなかった分野で、チェーンストアでも毎シーズンそこそこ値段が通り価格競争に陥りにくい美味しいテイスト、アイテム群であったと思います。
そんなマーケットにユニクロがマスビジネスとモードとサイズ感の折り合いをどのようにつけ、切り込んで行くかがとても興味深いです。ストレッチ素材なんかがキーになるかも知れません。
百貨店や駅ビルのキャリア系ブランドのベーシックラインや、メンズで言えば丸井に入っていそうなDC系ブランドや専門店チェーンのモードライン群などに少なからず影響があるのでは?と思います。
課題としては独自コレクションの生産数量ですね。今回の取り組みは是非、ユニクロ十八番のチラシ掲載商品とは切り分け、例えば都心部を中心に百数十店舗とオンライン限定とか、適量で進めてほしいなと思います。
さもなければ、以前組んだコレクションデザイナーたち同様、ジルサンダーも浮かばれませんし、売れ残り在庫の大量ディスカウント販売は売り場を見ていて悲しくなります。
それにしても、このある意味、「後出しジャンケン的?」な提携、オンワード樫山さんにとってはちょっと酷な気がしました。
デザイナーブランドで、本人がデザイン業務から離れ、別のデザイナーが手がけているケースは業界には沢山あります。
しかし、ユニクロの広告宣伝力を考えるとオンワード樫山のラフシモンズがディレクションする「ジルサンダーブランド」より、ジルサンダー本人が手掛けるユニクロの方が一般生活者にはわかりやすいかもしれませんからね。
最後に日本繊維新聞に掲載されていた、今回、ユニクロとの提携を決めたジルサンダーご本人のコメントを引用させていただきます。
「今回のユニクロからのオファーに大変驚いた。新しいスタートを切るよい機会だと思った。探していたのは斬新でゼロからのスタートが可能な場。何度も日本を訪問し、検討を重ね、ユニクロの世界に新鮮な驚きを感じた。低価格帯でも新たに実現できることがたくさんあることに気づいた」
会見では、ジル・サンダー女史は、盛んにデモクラティック、すなわち「(ファッションの)民主化」を口にしていたそうです。
今回のユニクロとジルサンダーのコラボが日本のそして世界の「ファッションの民主化」の大きな一歩になることを楽しみにしています。
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